税理士になるには?最短ルートや簿記・経理等からのなり方を解説

税理士になるには?最短ルートや簿記・経理等からのなり方を解説

「税理士というハイステータスな資格が欲しいが、10年以上も勉強期間を作るのは難しい」「できるだけ受験期間を減らして効率的に資格を取得したい」と考えるのは当然でしょう。

税理士になるための最短ルートを知り、効率的な学習方法を実践すれば、2年程度で資格取得も不可能ではありません。ただし、闇雲に勉強を始めてしまうと、かえって時間がかかってしまう可能性もあります。

そこで本記事では、税理士になるための最短ルートや効率的な学習方法、年齢や職業別のアプローチ方法まで解説します。「最短で税理士を目指したい」「効率的な勉強方法を知りたい」という方は、ぜひ最後までご一読ください。

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税理士になるためには資格が必要

税理士は、国が認めた「税務の専門家」です。主に企業や個人事業主の税務に関する相談や手続きを行い、適切な納税をサポートする専門家として活躍します。この税理士の主な仕事内容は、以下の3つです

  1. 税務代理
  2. 税務書類の作成
  3. 税務相談

この基本業務に加えて、近年では以下のような業務も増えています。そのため、クライアントの経営状況を理解し、適切な税務アドバイスを行うことで企業の健全な発展をサポートする重要な役割を担っているともいえます。

  • 記帳代行や給与計算などの経理業務
  • 経営コンサルティング
  • M&Aに関するアドバイザリー業務
  • 会計参与としての役割

このように税理士は、専門性の高い国家資格を持つプロとして、企業の経営者や個人事業主のパートナーとなり、適正な納税と経営の両立をサポートする存在です

税理士になるには資格「試験の合格」と「実務経験」の2つが必要

「税理士になる=税理士として登録する」と定義した場合、大きくわけて以下2つの要件を満たす必要があります

  1. 税理士試験に合格していること
  2. 2年間の実務経験があること

税理士試験では、会計学2科目(簿記論・財務諸表論)と税法3科目の合計5科目に合格しなければなりません。そして、会計に関する以下のような実務を2年以上経験していることも求められます

  • 会計事務所での税理士補助業務
  • 企業の経理部門での実務
  • 税務署での実務経験

この実務経験は税理士試験の合格前でも認められます。そのため、試験勉強をしながら税理士補助として働くなど、並行して実務経験を積むことも可能です。なお、実務経験の2年間は短縮することができない必須期間です。最短で税理士になるためには、この実務経験要件を意識したキャリア計画が重要になってきます。

税理士になるための基本的な流れ

税理士になるための基本的な流れは現在の状況(高卒・大学生・社会人など)によって大きく異なりますが、基本的には以下の順序で進めていきます

  1. 受験資格の取得
  2. 試験科目の学習
  3. 税理士試験の受験
  4. 実務経験の積み上げ
  5. 税理士登録  

受験資格の取得において高校生の場合、税法科目の受験資格を持っていないケースがほとんどです。この場合、日商簿記1級などの資格を先に取得する必要があります。また、大学生の場合は、受講した単位で資格要件を満たしているかどうかを確認することから始めてください。

税理士になるまでの一般的な年数には「3〜5年以上」かかる

税理士になるためには税理士試験の合格と実務経験の両方が必要で、「3〜5年以上」かかると言われています。その理由として、以下の3つが挙げられます。

  • 会計(2科目)・税法(3科目)の計5科目に合格する必要があること
  • 1科目あたり約1, 500〜2, 000時間の学習時間が必要となること
  • 税理士事務所などでの2年以上の実務経験が必要となること

学習時間や実務経験の期間などには個人差がありますが、税理士を目指す上での様々な条件を満たすために、相当な努力と時間が必要とされるのが実情です。

税理士になるまでの最短ルートの年数は「2年」

税理士になるまでの理論上の最短ルートを選んだ場合、かかる期間は「2年」です。これは、以下の条件がそろった場合に限られます。

  • 受験資格要件を既に満たしている
  • 実務経験2年の間に、試験対策と合格を並行して達成している
  • 年1回(8月)の試験で必要な科目に合格している

資格要件を満たした上で、5科目すべての合格を目指す場合、実質2回の受験機会で全科目合格を達成しなければなりません。さらに実務経験を積みながらであることを踏まえると、ハードルも高いといえます。

<ココまでのまとめ>

  • 税理士の資格取得には一般的に3〜5年以上の期間が必要
  • 最短ルートの2年での取得は理論上可能だが現実的には極めて困難
  • 仕事と両立しながら無理のない期間で計画的に取り組むことが確実な合格への近道

最短で税理士になるためには?できる4つのこと

少しでも税理士になるまでの期間を短縮したいという方のために、実践できる方法を4つ紹介します。

  • 試験の免除制度を使う
  • 受験する科目を厳選する
  • 勉強時間や方法を工夫する
  • 会計士試験を受験する

試験の免除制度を使う

税理士試験では、一定の条件を満たすことで試験科目を免除する制度があります。近年では、税理士登録者の約半数が免除制度を活用しているほど一般的な方法となっており、以下のようなものがあります。

【大学院修了による免除】

  • 会計学分野の修士号又は博士号取得→会計系科目の免除
  • 税法分野の修士号又は博士号取得→税法系科目の免除

※平成14年4月以降の大学院進学者は、1科目以上の合格が必要

【資格保有による免除】

  • 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)→全科目免除(財務省令で定める税法研修修了必要)
  • 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)→全科目免除

【実務経験による免除】

  • 10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除
  • 23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除

多くが特定の科目を免除するものであり、実務要件を満たすために働きながら資格を取得したいと考えている際には有効な手段となります。より詳しい免除の内容と条件、活用のメリットなどについては、下記ページもご覧ください。

受験する科目を厳選する

税理士試験では単に勉強時間が短そうという理由で科目を選ぶと、同じような考えの多くの受験者同士で集まることになります。人数が増えた分だけ、かえって競争率が高くなって合格しにくくなることも十分に考えられます

  1. 自分が理解しやすい科目を選ぶ
  2. 将来の専門分野として活かせる科目を選ぶ
  3. 市場ニーズの高い科目を意識する

などを基準に、将来のキャリアプランを見据えた科目選択をすることで、税理士としての専門性も高めましょう。たとえ難しそうであっても、今後の仕事で実際に使う知識であれば無駄になることはありません。

勉強時間や方法を工夫する

税理士試験の最短合格を目指すなら、勉強時間の捻出方法や勉強方法に工夫を凝らすことが必要です。たとえば、次のような工夫方法をご検討ください。

  • 受験予備校・専門学校・通信教育を利用して受験テクニックや勉強スケジュールを教えてもらう
  • 通勤時間などの隙間時間を利用して毎日の勉強時間を確保する
  • 税理士試験に理解ある職場に転職する(試験直前期の休暇取得・残業の軽減などが期待できる)

もちろん、受験生ごとに状況が異なるため、受験予備校・専門学校を利用した方が効率的なスケジュールは組みやすいですが、経済的な理由で受講費用を捻出するのは難しいという人もいるでしょう。

また、社会人受験生なら仕事と受験勉強の両立が求められるので、自ら完全独学でスケジューリングをし、仕事帰りにカフェなどで集中して勉強に取り組むのが効率的だという人もいるはずです。

いずれにしても、自分が置かれた環境を踏まえたうえで、「どうすれば効率的に勉強を進められるのか」という視点を常に意識するのがポイントです。だらだらと暗中模索状態で勉強をしても進捗は遅れるだけなので、メリハリをつけて効率的な学習を実践しましょう。

会計士試験を受験する

税理士試験に必要な受験資格がないという人の場合、受験資格の制限がない公認会計士試験を受験するという方法が考えられます。公認会計士試験には受験資格が設けられていないので、学歴・年齢に関係なくだれでも思い立ったらすぐに試験にチャレンジ可能です。

ただし、公認会計士試験の難易度はかなり高いこと、公認会計士試験合格後に免除制度を利用して税理士登録をするには、公認会計士の実務補習団体等が実施する税法に関する研修を修了する必要があることなど、注意点が少なくないのでご注意ください。

<ココまでのまとめ>

  • 免除制度の活用が近年の主流となっており、大学院進学や他資格取得による免除を検討する価値がある
  • 科目選択は単純な難易度だけでなく、将来のキャリアプランを見据えて決定する
  • 効率的な学習方法の確立と、公認会計士経由のルートも視野に入れることで最短での税理士資格取得が可能となる

【ケース別】税理士になるためには「何から」すべき?

税理士を目指す場合、現在の状況によって最適なスタートラインが異なります。ここでは、主な以下のケース別に具体的な進め方を紹介します。

  • 高卒は「資格要件を満たす」
  • 大学・社会人・主婦は「現状から判断する」
  • 大学院で科目免除を狙うのもあり

高卒は「資格要件を満たす」

高卒の方が税理士を目指す場合、税法科目の受験資格を持っていないため、以下のステップを踏む必要があります

  1. 日商簿記1級を取得する
  2. 会計科目(簿記論・財務諸表論)に合格する
  3. 税法3科目に合格する

また、日商簿記1級以外に会計事務所等で3年以上働いたり、税務署で10年または15年以上勤務したりする方法もありますが、どちらも時間がかかります。日商簿記1級を取得するロードマップであれば、高卒からのスタートでも無理なく税理士を目指すとよいでしょう。

大学・社会人・主婦は「現状から判断する」

大学生・社会人・主婦の方は、まず以下の2点を確認してください

  1. 税理士試験の受験資格(税法要件)を満たしているか
  2. 実務経験要件を満たしているか

受験資格と実務経験の両方を満たしている場合は、すぐに試験対策を始めることができます。一方、実務経験が不足している場合は、以下の2つのアプローチが考えられます。

  • 税理士事務所で働きながら試験勉強を進める
  • 先に試験合格を目指し、その後実務経験を積む

特に社会人の方は、現在の仕事と両立させながら効率的に学習時間を確保しなければなりません。無理なく働きながら資格の取得もサポートしてもらえる先に転職したり、スキマ時間を活用して学習したりしましょう。

大学院で科目免除を狙うのもあり

現在、大学生で今後のキャリアを考えたときに税理士を目指すというケースでは、大学院での科目免除制度が税理士試験の負担を大きく軽減できる選択肢です。以下のように、一部の科目の免除を受けられます。

  • 税法関連の修士論文:税法科目2科目免除
  • 会計学関連の修士論文:会計学科目1科目免除

ただし、大学院での学習と論文作成にも相当な時間と労力が必要とされ、加えて学費もかかります。実際に、修士論文の作成だけでも一般的に1日2.5時間以上の学習時間を用意したほうがよいため、自身の状況や目標に合わせて検討してください。

【ケース別】税理士になるためには「何から」すべき?

税理士を目指すにあたって、現在の職業によってどのようなルートで学べばよいのかも変わります。以下では、職業別に税理士になるために何をすべきかの例を、よくある簿記取得者も含めて詳しく解説します

  • 日商簿記合格
  • 経理
  • 税理士補助
  • 不動産業界
  • 税務専門官
  • 市役所職員

日商簿記合格

はじめに、どの職業でも当てはまりやすい日商簿記の合格者の場合、税理士試験の受験資格を得るために1級の取得を目指します。2級・3級である場合は、簿記1級を目指して学習して税法の受験要件を満たしましょう(その他要件で満たしていない場合)。

特に簿記2級以上の保持者は、税理士試験の会計学科目(簿記論・財務諸表論)から受験を始めることで、既存の知識を活かしながら学習を進められます。また、簿記1級保持者、またすでに税法の受験資格を得ている場合は、すぐに税理士の試験対策をはじめることができます。詳しくは、下記ページもご覧ください。

経理

経理職は、税理士を目指す上で有効なキャリアパスの1つです。実務経験を積むことで会計・税務の実践的な知識が身につき、税理士試験の学習にも大きな強みとなります

  • 簿記会計の知識がなくても対応可能な単純な事務
  • 電卓の使用を伴う単純な入出力の事務

上記のような経理の業務では実務経験になりませんが、実際に会計・税法の知識を使って行う業務に携わっていれば、実務経験として認められることもあります。そのため、経理からスタートする場合、以下のメリットがあります。

  • 実務経験と試験勉強の相乗効果が期待できる
  • 給与を得ながら資格取得を目指せる
  • 税理士試験の一部科目免除の可能性もある
  • 将来的な独立時に実務経験が活きる

ただし、経理は繁忙期の業務負荷が高く、試験勉強との両立が課題となることもあります。計画的な学習スケジュールの立案を行って、無理のないペースで学びましょう。詳しくは、下記ページもご覧ください。

税理士補助

税理士を目指す上で、税理士補助も1つのキャリアパスの1つです。税理士補助は、税理士の業務である税務代理、税務書類の作成、税務相談を補助する仕事で、実務経験の要件を満たせる職種です。

税理士補助として働き始めるには、最低でも日商簿記2級程度の知識が必要です。必要に応じて日商簿記2級からでも資格の取得を目指しながら、未経験からでもパートタイムや有期契約社員として働き始め、経験を積みましょう。

また、近年は人材不足により、ワークライフバランスの確保や資格取得支援など、税理士を目指す人にとって働きやすい環境が整いつつあります。キャリアアップを考えている方にも役立つため、ぜひ下記ページも一緒にご覧ください。

不動産業界

不動産業界から税理士を目指すことは、意外に知られていない理にかなったキャリアパスの1つです。その理由は、不動産業界での知識や経験が税理士業務、特に相続税分野で大きな強みとなるためです

不動産業界での実務経験を活かしながら、まずは税法の受験要件を満たすために日商簿記の資格取得を目指して会計・税務の基礎を固めることがスタートラインとなります。受験要件を満たしたら、不動産業界の経験を活かせる相続税法、固定資産税を優先的に選択すると科目合格を目指しやすいでしょう。

不動産業界の業務経験は、実務経験として認められないこともあることから、税理士試験の学習と並行して、税理士事務所でのアルバイトや副業を検討してください。より詳しくは、下記ページで解説しています。

税務専門官

税務専門官からは、「国税従事者の免除制度」が活用できるため、税理士を目指しやすいです。この税務専門官から税理士になるルートは、主に以下の3つのパターンがあります

転職パターン 主な特徴
10年以上の勤務後 税法3科目が免除される、残り2科目の合格を目指しながら実務経験を積める、30代後半からの転身が可能
23年間の勤務後 会計学・税法の全科目が免除される、40代半ばからの転身となる、独立開業を目指すケースが多い
定年退職後 まとまった退職金を開業資金に活用できる、年金収入とのダブルインカムが可能、個人の営業力や人脈が重要

税務専門官から税理士を目指す場合、税務署での経験を活かせる反面、業務範囲は大きく広がります。また、地方税や経営コンサルティング的な知識に加えて、顧客開拓などこれまでにない営業スキルも必要です。税務専門官からの転身を考える場合は、自身のキャリアプランをしっかり設計し、転職のタイミングを見極めましょう。詳しくは、下記ページもご覧ください。

市役所職員

市役所職員、特に税務課での勤務経験がある方は、専門知識を活かして税理士への転身を考えることが多いです。このケースでは、簿記資格等を取得しながら受験要件を満たして、税理士補助として働きながら税理士試験の合格を目指すのが一般的です

また、税務課で10年以上、税務に関する事務を行ったときは、地方税の科目免除を受けられます。税務行政の実務経験があり、確定申告の受付など税務の基礎知識がある点は他にはない強みです。

ただし、税理士試験合格までは時間がかかること、公務員の安定性を手放すリスクがあることにも留意して考えてください。これらを踏まえると、まずは在職中に日商簿記の取得を目指し、その後税理士補助への転職を検討するのが堅実なアプローチと言えるでしょう。より詳しくは、下記ページもご覧ください。

税理士になるのに向いている人

受験資格がある限りだれでも税理士試験に挑戦することは許されています。ただ、税理士試験をクリアする難易度は低くありませんし、税理士業務も高い専門性を有するので、事前に税理士になる適性があるかを知っておくべきでしょう

税理士になるのに向いている人は次の通りです。

  • 数字を扱うのが苦にならず計算処理が得意な人
  • 企業の経営に関心がある人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • スキルアップや自分磨きの意識が強い人
  • 継続的な努力ができる人

税理士が業務をこなすためには、クライアントの要望を丁寧に汲み取ってミスなく数字を取り扱う慎重さが不可欠です。ですから、たとえば大雑把な人や計算が苦手な人、スケジュールを守れない人などは税理士には向いていないとご理解ください。

税理士になるには何歳までに資格を取得するべき?

大学在学中に税理士試験にチャレンジする人、社会人になってから税理士業界に興味が出た人、40代を過ぎて一念発起で逆転を狙う人など、税理士試験の受験生の置かれた状況はさまざまです。そもそも、税理士試験の受験資格には年齢制限はないので、何歳でも試験を受験すること自体は可能です

ただ、実態として、税理士試験合格後の就職・転職を考えたとき、「何歳になっても税理士になれる」というのは綺麗事でしかありません。そこで、税理士として着実なキャリア構築を目指すなら何歳までに資格を取得するべきか、について具体的に見ていきましょう。

税理士が未経験で転職しやすい年齢は「35歳前後」

転職するときの評価では、税理士としての実務経験と年齢のバランスが重視されます。未経験から転職しやすいのは、やはり35歳前後、30代までと考えた方がよいでしょう。

税理士は、税務のプロとして期待される専門知識や責任の重さがあり、税理士として独り立ちできるまでには、ある程度の経験が必要という考え方が一般的です。そのため、税理士として未経験の状態で転職する場合、年齢が高すぎると不利になる可能性があります。

たとえば、税法や税務申告に精通している国税免除者(税務署に10年以上勤務)でも、税理として働くためには未経験のスキルを身につけなければなりません。そのため、転職市場では、未経験のスキルを吸収しやすい年齢層が歓迎されやすくなります。

同じ税理士未経験者でも、会計事務所や税理士法人で税理士補助を経験してきた人と、それ以外の仕事をしていた人では事情が異なります。税理士補助として、税理士の仕事に深く関わっていることがプラスに評価される可能性が高いです。

20代は「ポテンシャル」で評価される

20代は、経験の少なさよりも、将来性や成長可能性で評価される傾向が強くあります。税理士試験の科目合格が数科目あれば、大手税理士法人への就職も十分視野に入れることもできるでしょう。また、税理士資格がなくても、実務経験を積みながら資格取得を目指せる環境へ飛び込みやすいのも20代だからこその特徴です。

40代までなら「若手税理士」になれる

日本税理士会連合会の第6回税理士実態調査報告書(2015年3月 )によると、もっとも多い年齢層は60歳代で全体の30.1%を占めています。20歳代 (0.6%)、30歳代(10.3%)、40歳代(17.1%)を合計しても、60歳代より少ないのです。
さらに、70歳代(13.3%)、80歳代(10.4%)も多く、税理士の50%以上が60歳以上になっています。税理士全体の高齢化が進んでおり、40代なら若手税理士と呼ばれる可能性があります

<ココまでのまとめ>

  • 税理士への転職は35歳前後がターニングポイントとなり、それまでに実務経験を積み始めることが望ましい
  • 20代は経験よりもポテンシャルで評価され、資格取得と並行して実務経験を積める環境が整っている
  • 税理士業界の高齢化により、40代までは若手税理士として活躍できることが多い

税理士を目指す人におすすめのキャリアパス

ここでは、税理士を目指す人向けの一般的なキャリアパスを紹介します。自分に合った道を選んで、着実にキャリアを築いていきましょう。

【会計事務所・税理士法人ルート】

  • 税理士事務所での実務経験を積みながら試験合格を目指す
  • 大手税理士法人(BIG4)で専門性を高める
  • 中堅・小規模事務所で幅広い実務経験を積む
  • 資産税や国際税務などの特化型事務所でスペシャリストを目指す

【企業内税理士ルート】

  • 事業会社の経理部門で実務経験を積む
  • コンサルティングファームで税務コンサルタントを目指す
  • 金融機関で税務アドバイザーとして活躍する
  • 上場企業の税務マネージャーを目指す

【公務員ルート】

  • 税務署や国税局で実務経験を積む
  • 市区町村の税務課で経験を積む
  • 税務大学校で専門知識を習得する

【独立開業ルート】

  • 会計事務所で経験を積んだ後に独立
  • 税理士資格取得と同時に開業
  • 複数の税理士でパートナーシップを組んで開業

例えば、経理から税理士を取得して企業内税理士になる、税理士補助からはじめて税理士の専門性を高めるなどはよくあるキャリアパスです。より詳しいキャリアパスや、今後のキャリアアップのポイントについては、ぜひ下記ページもご覧ください。

税理士と資格のFAQ

さいごに、税理士業界に興味がある人たちから寄せられるよくある質問を紹介します。

  • 大学で税理士に関して学べる学部は?
  • 税理士は未経験から目指せる?
  • 税理士は独学で合格を目指せる?

大学で税理士に関して学べる学部は?

税理士試験に直結する知識を学べる学部は主に以下の4つです

  • 商学部:会計学や経営学
  • 経営学部:企業会計や経営分析など
  • 経済学部:財政学や経済理論など
  • 法学部:税法の基礎となる法律知識

この学部では、税理士に必要な会計や税法の基礎知識を体系的に学ぶことができます。ただし、どの学部でも税理士試験合格に向けた個人の努力は必要です。

税理士は独学で合格を目指せる?

未経験からでも税理士を目指すことは十分可能です。むしろ、未経験者には以下のような強みがあります。

  • 新しい知識を吸収する柔軟性がある
  • 既存の仕事の枠にとらわれない発想ができる
  • 謙虚に学ぶ姿勢を持っている

特に20代〜30代であれば、将来性を評価して採用する事務所も多くあります。必要に応じて簿記などの基礎資格を取得しておくと、より可能性が広がります。詳しくは、下記ページをご覧ください。

税理士は独学で合格を目指せる?

多くの税理士試験受験生が予備校等を利用していますが、税理士試験は完全独学でも突破可能な試験です。ただし、独学での挑戦にはいくつかデメリットがあるので、かならず次のポイントを意識してください。

  • 勉強のモチベーションを維持できる状況を整える
  • 最新の税法情報などを意識的にチェックする
  • 試験の戦略ノウハウなどはSNSなどのツールを積極的に利用して取り込む
  • 市販の予備校本などを参考にしながら学習計画を練る

受験生ごとに状況は違いますが、「不平等だ!」と文句を言っても何も始まりません。自分の置かれた環境のなかでベストを尽くせば試験合格も見えてくるので、諦めずにチャレンジをつづけましょう。

まとめ

税理士になるためには、試験合格と実務経験の2つの要件を満たす必要があります。一般的には3〜5年以上かかるとされていますが、効率的なアプローチを取ることで最短2年での取得も理論上は可能です。

  • 試験科目の免除制度を積極的に活用する
  • 実務経験と試験勉強を並行して進める
  • 自分の状況に合わせた最適なキャリアパスを選ぶ
  • 35歳までの資格取得を目標とする  

一人ひとりのペースや状況は異なりますが、前述のポイントを押さえながら、着実に歩を進めていけば、きっと自らの目標に到達できるはずです。

「働きながら資格の取得を目指せる求人はある?」「現在の仕事から税理士を目指すキャリアプランはどうなるのだろう?」など、不安や疑問がある方はマイナビ税理士にご相談ください。キャリアアドバイザーがキャリアプランのご提案から求人の紹介まで、トータルにサポートいたします。

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