会計事務所から経理に転職したい!業務内容等の違い、コツ、求人例をご紹介

会計事務所から経理に転職したい!業務内容等の違い、コツ、求人例をご紹介

会計事務所から一般企業の経理部への転職はよくあるケースですが、会計事務所と一般企業では職場環境、業務内容、将来のキャリアパスが異なるため、それぞれに向き不向きがあります。この記事では一般企業の経理職へ転職をお考えの方に向けて、会計事務所と一般企業の経理部の相違点、会計事務所から一般企業への転職に成功するコツ、具体的な求人例をそれぞれご紹介します。

内山 智絵

内山 智絵

公認会計士、税理士、ファイナンシャルプランナー

大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。2021年春に個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。

目次

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会計事務所と一般企業の経理部門との違い

まずは会計事務所と一般企業(事業会社)の経理部門の違いについて、職場環境や業務内容、将来のキャリアパスに焦点を当てて解説します。

職場環境の違い

会計事務所は所長をトップとする組織であり、職場環境には所長の意向が大きく反映されます。そのため、快適さや休暇の取りやすさ、リモートワークの可否といった要素は、所長次第で大きく変わることが少なくありません。また、所長の交代によって、職場環境が大幅に変化することも珍しくないでしょう。
一方、一般企業では職場環境が、特定の個人(事務所長や支社長など)の裁量で大きく左右されることはそれほどありません。たとえトップが交代しても、基本的な環境は変わらない傾向があります。そのため、安定した環境を求める方には一般企業の方が適しているかもしれません

業務内容の違い

会計事務所の業務は顧客対応や入力作業、各種書類の作成が中心で、外勤(外回り)と内勤の両方を行うことが一般的です。一方、一般企業の経理部門では外勤はなく、内勤のみで業務の大部分がオフィス内での経理作業や社内会議に充てられます。そのため、「一日中オフィスにいると気が滅入る」「外勤で積極的に人と関わりたい」という方には、会計事務所の業務が向いているでしょう。逆に、「顧客対応を避けたい」「安定したオフィスワークがしたい」という方には、一般企業の経理部門が適しています。自分の性格や働き方の好みに合わせて選択することが大切です。

将来のキャリアパスの違い

会計事務所では、実務経験を積みながら税理士試験に挑戦し、税理士資格を取得した後に独立開業を目指したり、税理士法人の社員(パートナー)となったりする道が考えられます。そして、一般企業では経理部での経験をもとに、経営企画や総務、営業など他部門へ異動しながら昇進を目指したり、他社の経理部門へ転職して経理の専門家としてキャリアを積んだりというキャリアがあるでしょう。
「将来的に独立開業したい」「専門家としてスキルを磨きたい」という方には、会計事務所のキャリアが適しています。一方、独立に興味がなく一般企業内での幅広いキャリア形成を目指す方には、一般企業への転職が新たな可能性をもたらすでしょう。自分の将来の目標を見据えて選択することが重要です。

会計事務所から一般企業への転職に成功するコツ

続いて、会計事務所勤務者が一般企業の経理部門への転職に成功するためのコツを解説します。

一般企業への転職で実現したいことを明確にする

一般企業への転職を成功させるための第一歩は、自分が転職を通じて何を実現したいのかを明確にすることです。業種をまたぐ転職面接では、「これまでのキャリアを活かすなら会計事務所の方が適しているのではないか。なぜ一般企業への転職を選んだのか」といった質問が想定されます。このような質問に備えるため、一般企業への転職によって叶えたい目標や、会計事務所ではその目標が達成できない理由を具体的に整理しておきましょう。明確なビジョンを持っていることは、面接官に対して説得力を与える重要なポイントです。

自分の強みを整理する

次に、自分の強みを明確にすることも大切です。会計事務所での勤務経験から得たスキルや知識を整理し、それを一般企業の経理部門でどのように活かせるかを説明できるように準備しましょう。このプロセスは、自分を採用したいと思わせるための重要なステップとなります。例えば以下などは、転職においてアピールできる具体的な強みです。

  • 専門知識を持たないクライアントに対して、複雑な会計や税務の内容をわかりやすく説明する能力
  • 日々の業務と並行して税法や会計基準の最新情報を学び続けた姿勢 等

これらの経験を適切に言語化し、面接で自信を持って伝えられるようにしておきましょう。

資格を取得する

難易度の高い資格(公認会計士、税理士 など)の取得も、転職活動を有利に進めるための強力な武器となります。こうした資格は専門知識を持っていることを証明するだけでなく、働きながら勉強を続けて、成果を出せる努力家であることの証明にもなるでしょう。会計事務所での勤務と資格試験の両立は非常に大変ですが、その苦労を乗り越えた実績は、面接官側からすると非常に高く評価できるポイントです。自分の努力や成果を具体的にアピールすることで、他の候補者との差別化を図ることができるでしょう。

具体的な求人例

会計事務所勤務者が応募できる、一般企業の経理部門の具体的な求人例をいくつかご紹介します。

1つ目の求人は、上場準備中の企業であるA社の求人です。この求人に応募するための必須要件は「経理経験5年以上(会計事務所でも可)」「日商簿記2級以上」「PCスキル」であり、2つ目と3つ目は会計事務所勤務経験者であれば満たすことが多いでしょう。そのため、5年以上会計事務所で勤務してさえいれば、通常は応募要件を満たすことができます。この求人は通常の経理業務に加えて、上場準備に関する業務(証券会社との折衝や上場準備書類の作成など)の経験も積むことが可能です。企業経理としてのスキルを高めたい方にとって、非常に魅力的な求人だといえます。

2つ目の求人は、非上場企業B社の経理課長候補の求人です。この求人に応募するための必須要件は、「年次決算の経験」「会計事務所での経験」「公認会計士であること」のいずれかとなっています。そのため、会計事務所での勤務経験があれば、基本的には応募要件を満たすことができるはずです。この求人では上場を見据えた経理業務を担当するため、上場企業クライアントの経験や部下のマネジメント経験を持つ方が適しています。将来的に、経理部門の中核として活躍したい方におすすめです。

3つ目の求人は、東証プライム上場企業のグループ企業であるC社の求人です。この求人に応募するための必須要件は、「事業会社または会計事務所におけるマネジメント経験」「開示または連結決算業務の経験を有すること」です。そのため、例えば会計事務所における立場が管理職で、連結決算を組んでいるクライアントを担当した経験があれば応募要件を満たします。この求人は、連結グループの経理業務やM&A関連業務も経験することができるため、単体・連結決算を超えた幅広い経理経験を積みたい方に適したポジションです。

出典:マイナビ税理士 経理の転職・求人情報(2025年1月閲覧)

まとめ

会計事務所と一般企業の職場環境、業務内容、将来のキャリアパスの違い、会計事務所から一般企業への転職に成功するコツ、具体的な求人例をご紹介しました。会計事務所での勤務と一般企業の経理部のどちらで働くのが向いているのかは、個々人の性格や考え方などによって異なります。会計事務所に勤務している中、異なる環境の方が向いているのではないかと感じているのであれば、一般企業への転職を検討してみてはいかがでしょうか。

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