市役所職員から税理士への転職は可能?

市役所職員から税理士への転職は可能?

市役所で税務に携わってきた公務員が、「税務・会計に特化した仕事がしたい」といった理由から税理士事務所への転職を果たしたケースは少なくなく、市役所在籍中から簿記試験に挑戦するなど、着々と準備を進めている方もいらっしゃるようです。

税理士事務所の中には、日商簿記検定2~3級程度のスキルをもった25~35歳前後の人材を「税理士補助」として採用する傾向が高く、これらの条件に当てはまる公務員であれば、十分に転職が可能です。

市役所職員と税理士の仕事内容を比較しながら、転職のメリット・デメリット、公務員が転職活動を行う上で気をつけてほしいことをご紹介します。

公務員から税理士事務所への転職は、税務・会計の専門性を活かす魅力的な選択肢です。マイナビ税理士ではキャリアアドバイザーがあなたのスキルと希望に合った最適な転職をサポートいたしますので、転職をご検討の際はお気軽にご相談ください。

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市役所職員から税理士に転職する理由

長く働いていると忘れがちですが、公務員である市役所職員は安定性の高い仕事です。自主的に辞めない限りは定年まで雇用が約束されていますし、福利厚生も充実しています。また、公務員は社会的信用を得やすいため、住宅ローンを借りやすいなど数々のメリットがあるのです。
そんなメリットを捨てても、転職したいと考える人が少なくないのはなぜでしょうか?まずは、市役所職員が税理士に転職したいと考える理由について見ていきましょう。

市民からのクレーム処理が負担になる

市役所の部署のうち、税務に関係するのは税務課です。税務課は、税金を換算する課税課と税金を徴収し末納税者に対して催促を行う徴収課に分かれており、市町村が集める所得税のうち地方税や住民税、固定資産税、軽自動車税、入湯税などを管轄するほか、国の代わりに確定申告の受け付けなども行っています。

市民からの問い合わせ対応は、市役所職員にとって重要な業務のひとつです。しかし、税務課はお金が関わる部署であるため、市民からきつい言葉を浴びせられる機会は、ほかの部署より多いといえます。
税金滞納者との折衝や未納税者の財産差し押さえ、取り立てなども業務の一環なので、不満を持つ市民から抗議やクレームを受けることも多くあります。そうしたことが負担になり、休職や転職を考える人は少なくありません。

税務経験や簿記資格を活かせる仕事への憧れ

市役所で税務に関する仕事をするうちに興味を覚え、日商簿記検定試験を受ける人は珍しくありません。しかし、市役所の仕事はローテーション制なので、数年でほかの部署に移ることが一般的です。
簿記資格を取得した後、「学んだことを活かして税務の仕事を続けたい」と思うのは自然なことであり、そのような人たちが税理士への転職を考える傾向があります。

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市役所職員と税理士の違い

「税務関係の仕事に就きたい」という憧れだけで転職しても、なかなか長続きはしません。本気で転職を考えるなら、市役所職員と税理士の違いをよく知った上で、比較・検討することが大切です。
両者のおもな違いとしては、次のような点が挙げられます。

仕事内容の違い

市役所職員の仕事は多岐にわたりますが、その基軸は市政を滞りなく行うこと。税務に関する仕事でいえば、課税と徴収が職務の中心となります。
一方、税理士のおもな仕事は、税務・会計業務とコンサルティングです。クライアントは企業経営者や個人事業主、相続対策が必要な人などであり、税務のスペシャリストとして次のようなことを行います。

税務代理:確定申告や税務署の決定に不服がある場合の申立てなど
税務書類の作成:確定申告書や相続税申告書を納税者の代わりに作成する
税務相談:税務署への申告の相談に応じる
会計業務:会計帳簿の記帳や財務諸表の作成など
財務・経営相談:銀行から融資を受ける際の、事業計画書の作成や資金繰り支援など

収入の違い

市役所職員から税理士を目指す場合、まずは税理士法人に応募し、その法人で税理士補助として働くのが一般的です。税理士補助として勤めながら、数年かけて税理士資格の取得に必要な5科目の合格を目指します。
税理士補助の基本給は、未経験者であれば20万~25万円程度です。税理士補助の経験者であれば月収は25万~30万円程度、さらに税理士試験の科目にいくつか合格していれば待遇アップも望めます。

一方、総務省が発表した「平成29年4月1日地方公務員給与実態調査結果」によると、全地方公共団体における28~31歳の職員の平均月収は22万8,662円です。年齢や所属する税理士事務所にもよりますが、転職により収入額が大きく変わるわけではないことがわかります。

同調査によると、最も月収が高くなる56~59歳時点での平均月収は41万2,300円。厚生労働省が発表した「平成29年賃金構造基本統計調査」によると、税理士・公認会計士の平均月収は69万1,800円であり、税理士に転職することで将来的な収入アップが望めそうです。

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税理士事務所への転職は可能?

市役所職員から税理士への転職は、実際に可能なのでしょうか?
税理士事務所では「税理士補助」として中途採用の求人を行っています。税務に関する実務経験のある人が優遇される傾向がありますが、未経験歓迎の求人も少なくはありません。

税理士補助の応募条件としては、日商簿記2級・3級の合格を求められる場合が多く、25~35歳という年齢制限のある求人が大半です。そのため、この年齢内で日商簿記2級または3級を取得している方であれば、転職は十分可能といえます。

転職活動は在職中と退職後どちらがいい?

実際に転職活動を始めようと考えたとき「在職中に転職活動を始めるべきか、退職してから始めるべきか」に悩む方も多いでしょう。どちらの場合もメリット・デメリットはありますが、可能な限り、在職中から転職活動を始めることをおすすめします。

退職してから転職活動を始める場合、時間が自由に使えるというメリットがある半面、生活のメリハリを保つのが難しかったり、生活費に余裕がなくなったりすることで焦ってしまいます。その結果、転職先を妥協してしまうということが起こりうるのです。
一方、仕事をしながら転職活動を進めた場合、生活費の心配をせず自分に合った転職先をじっくり見極めることができ、結果的に良い選択につながることが多いのです。

在職中に転職活動を始める場合、ひとつだけ注意しなければならないのは、職場の上司や同僚に転職の意思を知られないようにすることです。
人には職業選択の自由があり、在職中に転職活動をするのは悪いことではありません。しかし実際には、転職活動をしていることで裏切り者扱いされたり、今の仕事に力を入れていないと評価されたりすることが多いため、転職先が決まって上司に退職の意思を伝えるまでは、誰にも知られないようにしておくのがおすすめです。

税理士資格は数年かけて取得するのが一般的

税理士事務所に転職できたとしても、税理士試験に合格しなければ、税理士として働くことはできません。税理士として税務・会計の仕事に携わりたいと考えるなら、試験勉強にかかる時間や費用などを覚悟しておく必要があります。

税理士試験は年に1回行われ、全11科目のうち5科目で基準点を超えれば合格となります。全11科目中「簿記論」と「財務諸表論」は必須科目であり、選択必須科目の「法人税法」や「所得税法」を含めた9科目から残りの3科目を選択します。
5科目を同時に受ける必要はなく、数年かけて5科目をクリアするのが一般的です。

なお、税理士試験では、条件を満たすことで、一部の科目が免除される制度があります。地方公務員としての経験も評価対象に入っており、次の2つのうちいずれかの条件を満たせば、税法のひとつである「地方税」の科目が免除されます。

・事業税もしくは固定資産税の賦課、またはこれらの地方税に関する法律の立案に関する事務に通算10年以上従事した場合
・上記以外の事務に通算15年以上従事した場合

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一般企業の経理事務も検討しよう

税理士試験は、いずれの科目も合格率10%台の難関であり、簡単に合格するものではありません。そこで、リスクヘッジとして「もし合格できなかった場合どうするか」を考えておく必要があります。
たとえ税理士になれなくても、税理士事務所での勤務実績を仕事に活かすことはできます。その一例として、一般企業の経理部門で働くことが挙げられます。たとえ税理士試験に合格しなくても、税務の専門知識を深めることは、個人の強みになりうるといえるでしょう。

リスクを認識した上でキャリアを選択する

市役所職員から税理士を目指す場合、最初は税理士補助からのスタートであり、また必ず税理士試験に合格できるとは限らない不安定さもあります。しかし、税理士として働くことができれば、公務員時代とは違う景色が見られることも確かです。
公務員である市役所職員と税理士の仕事内容の違いや、転職する際のリスクをしっかり認識した上で、自分のキャリアプランに合った道を選びましょう。


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→税理士としての資格・経験を活かして公務員に転職する方法

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