税理士補助は未経験から目指せる?向いている人と志望動機の自己PRポイント

税理士補助は未経験から目指せる?向いている人と志望動機の自己PRポイント

税理士の世界に足を踏み入れたいと考えているものの、どこから始めればいいのか、未経験でも受け入れてもらえるのか、などの不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、税理士補助は未経験でも就職・転職できます。書類整理やデータ入力といった基本的な業務からスタートでき、働きながら税理士を目指すことも、会計のスペシャリストとしてキャリアを築くことも可能です。

この記事では、税理士補助とは何か、未経験から挑戦できる就職・転職先はどこが挙げられるか、そして成功させるためにはどのような準備が必要なのかを解説します。向いている人の特徴や、志望動機の自己PRポイントについても触れるため、ぜひご覧ください。

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税理士補助は未経験でも就職・転職できる

税理士補助は年齢、経験、資格に関わらず、だれでも就職・転職できます。業界では、以下のように未経験者や新卒者でも活躍できる求人が増加しており、基礎から専門性を高められる環境が整っているためです。

  •  人員不足で未経験でも将来性やポテンシャルを加味した採用が期待できる
  •  30代を超えていてもこれまでの経験やスキルが評価される
  • 人材育成を目的としたOJT(On the Job Training)やメンター制度が整っている

このように、税理士補助は業務経験がなくても挑戦できる環境です。興味を持った方はイメージを掴むためにも実際の求人情報をチェックし、新たなキャリアへの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

資格なしでも働きながら取得を目指せる

税理士補助を目指す際に見逃せないのが、働きながら資格の取得も目指せることです。資格がなくても対応できる簡単な付随業務から基礎を学びつつ、実務を通して知識を定着できるからです。

また、税理士法人や会計事務所では、以下の資格取得をサポートする支援を行っていることもあります。

  • 勉強時間を確保するために残業時間を制限する
  • 予備校や大学院を考慮して定時退社を促す
  • 試験の直前に数日から1か月程度の試験休暇を用意する
  • 業務時間外に受験対策の勉強会を開催する
  • 合格に対してインセンティブやお祝い金を支給する

資格取得支援制度が充実している事務所を選ぶことで、働きながら効率的に学習を進め、将来的に税理士として活躍するための基盤を築くことができます。「生活費を得ながら資格を目指したい」「資格の勉強と同時に実務経験も積みたい」と思っている方は、下記の特集ページもぜひご覧ください。

そもそも税理士補助とは

そもそも税理士補助とは、税理士のもとで書類の整理やデータ入力といった付随する業務を担当し、サポートする役割を果たす仕事のことです。会計スタッフや税務アシスタントとも呼ばれます。

あくまでも補助として働くため、税理士法第2条1項各号により規定された『税務相談』にあたる以下の業務を担うことはありません。

  • 税務の代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

参照:税理士法|e-Gov法令検索

では、実際にどのような仕事を担うのでしょうか。次で具体的な業務内容を確認しておきましょう。

税理士補助の仕事内容

未経験の方が税理士補助として担う仕事内容は、主に以下の4種類が挙げられます

仕事内容の種類 具体的な業務
記帳(経理事務)代行 請求書、領収書、現金出納の仕訳、会計ソフトへの伝票入力、勘定元帳の作成、書類のファイリング、決算書の作成
総務・人事業務 給与計算、年末調整
巡回訪問 帳簿のチェック、経営者や経理担当者への助言(税務相談にあたらない範囲)
その他の業務 契約書や請求書の発行、税理士のスケジュール管理、電話や来客への応対、事務所内での庶務的な仕事

全体を見るとわかるとおり、契約書や請求書の発行などの事務処理、税理士のスケジュール管理、電話や来客への応対など、事務所内での庶務的な仕事を担う仕事です。日々の業務を通じて企業の経営を支えつつ、会計や税務の基本から知識を深められるやりがいのある仕事です。

未経験から税理士補助として働く主な・就職・転職先

税理士補助として働く際に、主な就職・転職先となるのは以下の2つです。

形態 特徴
税理士事務所 税理士が個人事業主として運営する事務所。個人事業主や中小企業の税務業務に特化。未経験でも業務を通じて税務の基本の基礎知識を身につけられる場所
税理士法人 2名以上の税理士が所属する法人形態。規模が大きく支店を展開しているケースも多い。代表者が業務を行えなくなっても組織運営は継続できるため安定した職場環境

税理士事務所は、顧客との距離が近く、一人ひとりの案件に深く関われるため、丁寧なコミュニケーションを大切にする方に適しています。所長から直接指導を受けられる機会も多く、じっくり学びたい未経験者にとって理想的な環境です。

一方、税理士法人は組織的な体制が整っており、明確な評価制度やキャリアパスが存在します。組織的な環境での成長を望む方や、大企業の税務に携わりたい方に向いています。

BIG4税理士法人も就職・転職先の1つ

税理士補助のキャリアパスでは、以下のBIG4税理士法人への就職・転職も検討できます

  • デロイト トーマツ税理士法人(Deloitte Touche Tohmatsu)
  • EY税理士法人(Ernst & Young)
  • KPMG税理士法人(KPMG)
  • PwC税理士法人(Price waterhouse Coopers)

BIG4税理士法人では、広範にわたる業務を扱い、多数のクライアントを抱えています。そのため、業務に慣れるまでの期間では、多くの知識・スキルを習得できます。取引先には海外企業も含まれることから、グローバルな視点や英語力を活かせる機会も豊富です。

一方で、求人の条件には1〜2つの税理士試験科目の合格やTOEIC700点以上といった、具体的なスキルや経歴を設定することもあります。完全な未経験からでは厳しいものの、スキル・経歴から十分にアピールできれば、高みを目指せる就職・転職先として非常に魅力的です。

税理士補助の転職成功事例

税理士補助の転職成功事例としては、以下の2つが挙げられます。

【資格取得を目指す31歳女性の事例】

会計事務所の派遣スタッフ(年収300万円)から、税理士資格取得支援のある会計事務所の正社員(年収350万円)へ転職を実現しています。面接での明確なキャリアプランの提示が、年収アップと安定した学習環境の獲得につながりました。

【経理経験を活かした32歳男性の事例】

事業会社の経理職(年収450万円)から、会計事務所の税理士補助職(年収350万円)へ転身しました。税理士2科目合格の実績と強い意欲が評価され、一時的な年収減を伴う未経験分野でも採用を勝ち取った事例です。

いずれも、一時的な年収より「税理士資格取得」という明確な目標を優先した判断が、希望する環境への転職を実現しています。長期的なキャリアビジョンの提示が、面接での高評価を得るカギです。

未経験から税理士補助を目指す際の平均年収・目安

税理士アシスタント(税理士補助)の場合、未経験だと月収は大体20万円から25万円程度、年収に換算すると300万円から400万円程度が相場です。一方、補助業務の経験者であれば、月収は25万円から35万円、年収で400万円から500万円程度を見込むことができるでしょう。

あくまで一般的な相場であり、勤務地や勤務先の規模、さらには自身が持っているスキルや資格によって変動します。特に、税理士試験の一部科目に合格しているなど、専門的な知識やスキルを持っている場合は、より良い待遇を期待できる可能性があります。

税理士補助の求人例

マイナビ税理士が保有する未経験可・歓迎の税理士補助の求人例としては、以下が挙げられます

職種 年収 主な特徴
税務スタッフ 319〜507万円 未経験大歓迎、残業ほぼなし、試験勉強支援、アシスタント業務からスタート
税理士サポート事務(内勤) 350万円以上 試験勉強応援、AI-OCRによる効率化、オンライン研修あり、内勤スタッフとして勤務
税理士補助 300〜360万円 未経験可、資格取得支援あり、残業少なめ、賞与年2回
税務スタッフ 300〜600万円 経験の浅い方も手厚くサポート、WLB◎、長期就業者多数、先輩指導体制充実
税理補助 350〜500万円 資格不問、先輩同行からスタート、質問しやすい環境、クライアント制

求人は、未経験の方でも安心してスタートできる環境が整っており、将来のキャリアアップも視野に入れた支援体制が整っています。特に、試験勉強との両立やワークライフバランスに配慮された職場環境が特徴的です。

実際の求人を見てみる

未経験からでも税理士補助に向いている人の性格・特徴

では、未経験からスタートする場合、どのような性格や特徴を持つ人が向いているのでしょうか。ここでは、税理士補助に適した性格や特徴を、以下に分けて解説します。

  • 税理士を目指している
  • 意欲的に学習できる
  • コミュニケーション力が高い
  • 数字を扱うのに抵抗がない
  • ルーティンワークが得意

税理士を目指している

まず、税理士補助が未経験からでも向いているのは、税理士を目指している人です。税理士資格の取得を目指しながら働きたいと考えている場合も、こちらに該当します。

働きながら税務申告書の作成補助や帳簿の仕訳など、実践的な税務会計スキルを身につけることができるからです。また、実務で扱う内容は税理士試験の出題範囲と直接関連し、仕事を通じて試験勉強も可能です。

  • ベテラン税理士や他の専門家との人脈を築ける
  • 試験勉強中でも安定した収入を得られる
  • 実務経験の要件を満たすことができる

など、税理士補助の経験は、税理士試験合格後のキャリアにも大きく貢献する有意義な選択肢となります。

意欲的に学習できる

税理士補助としてのキャリアを未経験からスタートするには、まず何よりも「学習意欲」が大切です。未経験からこの分野に飛び込むためには、会計・税法の基礎から応用まで、幅広い知識を身につける必要があります。

  • 業務を積極的に覚える必要があること
  • 頻繁に改正される税法のキャッチアップが必要となること
  • 将来的に資格の取得に役立つこと

上記に挙げた3つの観点から見ても、意欲的に学習し続けることができる人は、税理士補助としての適性が高いと言えるでしょう。

コミュニケーション力が高い

実務面から見ると、高いコミュニケーション力を持つ人も税理士補助に向いていると言えます

未経験からキャリアをスタートさせるにあたり、多くの方が「専門的な知識や技能が必要ではないか」と考えます。確かに、専門知識は重要ですが、それ以上に重要なのが「コミュニケーション力」です。

業務では、クライアントである中小企業の経営者や社内の様々な部署、チームメンバーとの円滑なコミュニケーションを求められます。また、会社の財務状況を経営層に報告する役割を担うため、複雑な内容をわかりやすく伝える能力も求められるのです。

数字を扱うのに抵抗がない

他にも、税理士補助に向いているのが、数字を扱うのに抵抗がない人です。わかりやすくすると、家計を管理する際に毎月の支出をまとめたり、日常的な割り勘や割引をサッと頭で計算できたりするなどがスムーズにできる人です。

主に、税理士補助の業務ではクライアントの財務状況を正確に把握し、税金計算や申告書の作成など、お金に関する数値を日常的に扱います。その際、金額の誤り1つで不正申告となり、クライアントに大きな影響を与えてしまうことも少なくありません。

普段から数字に慣れている方や、これまでの経験で経理に近い業務を経験している方であれば、ストレスなく働きやすいでしょう。

ルーティンワークが得意

最後に、税理士補助が未経験から向いているのが、ルーティンワークが得意な人です。税理士補助の業務はいずれの業務もすべて期限が設けられており、時期に応じて業務が変わるものの、基本的には同じ作業の繰り返しです。

また、税理士事務所や法人における資産税、相続税などの特徴・専門性が異なっていたとしても、ルーティンワークとなることに変わりはありません。そのため、繰り返しの作業に対して、正確性と効率性を持って取り組むことができる人は、税理士補助として非常に向いています。

なお、ここまでお伝えした人以外にも、税理士補助に多いタイプや向いていない人などについては、下記ページで触れているため、ぜひご覧ください。

やりがいは?未経験から税理士補助として働くメリット

ここからは、税理士補助のやりがいと魅力ともいえる3つのメリットをお伝えします。

  • 経営者とのやりとりで自分を磨ける
  • 実務経験を積みながら勉強できる
  • 科目合格で年収アップが期待できる

経営者とのやりとりで自分を磨ける

税理士補助としてのやりがいは、経営者と直接対話できることです。一般企業では若手のうちから経営層と関わる機会は限られています。一方で、税理士補助の場合、クライアントの多くが中小企業のため、経営者と直接やり取りする機会が豊富にあります

提案した節税対策が功を奏したときや、経営改善のアドバイスに感謝の言葉をいただけたときは、この仕事を選んで良かったと実感できます。経営者の考え方や意思決定のプロセスを間近で学べることは、ビジネスパーソンとしての成長を実感できる大きなやりがいです。

実務経験を積みながら勉強できる

税理士補助の業務を通じて、理論と実践を同時に学べることも魅力の1つです。実際の会計処理や税務申告の現場で、テキストだけでは得られない生きた知識を学べます。

例えば、クライアントごとに異なる会計処理の特徴や、業種特有の税務上の取り扱いを学べたときは、確かな成長を実感できるなどです。また、税理士資格を持つ先輩や上司のアドバイスを実践して成功体験を積み重ねることで、税理士としての将来像が明確になっていくことも、大きな励みとなるでしょう。

科目合格で年収アップが期待できる

税理士試験の科目合格は、キャリアアップの指標として評価されます。科目合格数に応じて資格手当を支給する場合、一般的に約5,000〜1万円ほどの年収アップが期待できるからです。

働きながらの科目合格は非常に大変ですが、努力が目に見える形で評価されることは、大きなやる気につながります。また、勤続年数を重ねていくことで、任せられる仕事も増えて年収が高くなることもあるでしょう。

きつい?未経験から税理士補助として働くデメリット

税理士補助の業務は、会計帳簿の仕訳反映から決算書や申告書の作成補助、顧問先の定期訪問、税務調査の補助まで多岐にわたります。未経験からキャリアをスタートした場合、こうした会計や税法に関する基礎知識の習得が大変なことが主なデメリットです

また、税理士試験の学科合格者やプロ志向を持つ方が多く働く環境に圧倒されて自信を失ったり、まず調べてから聞くという風潮で相談できないことがきついと感じてしまったりすることもあるでしょう。

もし、この時点で「きつそう...」と考えた場合には、経理から経験していくことも1つの選択肢です。また、税理士補助の具体的なきつさや対処法にも触れた下記ページもぜひご覧ください。

未経験から税理士補助を目指す4つのポイント

ここからは、未経験から税理士補助を目指す際に押さえたいポイントを、以下の4つに分けて解説します。

  • 不安なら経理からキャリアを形成する
  • 資格を取得して自信をつける
  • 業務を丁寧に教えてもらえる環境か調べる
  • エージェントに相談する

不安なら経理からキャリアを形成する

税理士補助を目指す未経験の方で、専門性の高さから不安を覚えたという場合には、経理からキャリアを形成してみましょう。経理の仕事は、企業の日々の財務状況を記録・管理し、「財務の健康状態」をチェックする役割を担います。

その性質上、業務を通じて財務諸表の読み方や会計原則について学ぶことができ、税理士試験やその他関連資格の勉強にも直結します。また、実際の業務で直面する様々なケースに対応する能力を養うことにもつながるものです。

もし経理の仕事に魅力を感じ、キャリアプランを見直したいと考えたときには、上場企業や大手企業の経理部門でのキャリアを目指す選択肢も増えます。将来的には財務マネージャーやCFO(最高財務責任者)といったポジションを目指すことも可能です。

資格を取得して自信をつける

次に、税理士補助として働くにあたって自信がない場合は、資格の取得も検討してみましょう。合格基準が明確な資格試験に合格できれば、自分の実力を客観的に確認できるためです

具体的な資格については後述しますが、例えば日商簿記検定3級から始めて基礎を固め、2級へと進むことで、より深い知識と共に「この分野なら理解できる」という実感を得られます。「わからないことを理解できるようになる」という経験は、働き始めてからも新しい課題に立ち向かう自信となって支えてくれます

業務を丁寧に教えてもらえる環境か調べる

不安な方は未経験者を受け入れる体制が整っているかどうか、業務を丁寧に教えてもらえる環境があるかどうかを事前に確認しましょう。未経験OKと謳っている職場でも、その実態は様々です。

例えば、未経験者でも基本的なビジネスマナーやPCスキルがあれば十分とする、会計や税法に関する基礎知識がある程度求められるなどです。また、小規模な事務所の場合、教育体制が整っていないこともあり、実質的に独学に近い形で業務を覚えなければならないリスクも考えられます。

こうした状況を避けるためには、事前に以下の点は事前に確認しましょう。

  • 教育体制の有無
  • 先輩社員のサポート体制
  • 実際の業務内容

未経験から税理士補助を目指す場合、最初の職場選びが将来のキャリアに大きな影響を与えることも少なくありません。そのため、業務を丁寧に教えてもらえる環境があるかどうかをしっかりと調査し、自分にとって最適な職場を見つけることが成功への第一歩となります。

エージェントに相談する

税理士補助を目指す際、業界の内情や実際の仕事内容、求められるスキルセットなど、インターネットや書籍だけでは得られない情報が多く存在します。エージェントやアドバイザーへの相談は、効率よく情報を集める手段となります。

  • 独自の文化
  • 所長の人柄
  • 組織特有の働き方
  • 未経験者の受け入れ体制の有無
  • 研修制度の充実度
  • ワークライフバランスの重視度

こうした情報を自分一人で情報を集めると主観が入りやすく、面倒だと内情を知らないまま選べばミスマッチを引き起こします。一方で、エージェントであれば客観的な立場から、スキルや経験、性格を踏まえた上で、情報をお伝えしつつ最適なキャリアプランも提案してくれます。

転職後に「想像と違った...」「また転職しないと...」というリスクを減らし、スムーズなキャリアチェンジを実現するためにも、ぜひエージェントの力を借りてみてください。

未経験から税理士補助を目指す際に活かせる資格

未経験から税理士補助を目指す際に活かせる資格は、以下の7つです。

  • 税理士資格または科目合格
  • 日商簿記
  • 前掲簿記能力検定
  • MOS
  • VBAエキスパート
  • TOEIC
  • 領域ごとの資格

税理士資格または科目合格

税理士補助を未経験から目指す際に取得したい資格の中でも、特に高く評価されるのが「税理士資格」または「税理士試験の科目合格」です。税理士事務所や企業の経理部門での業務に直接役立ち、即戦力として期待されるため、未経験者が税理士補助として働きながらキャリアアップを目指す上で非常に有効です。

税理士試験は全11科目あり、いずれかの科目を1つでも合格すると「科目合格」となります。中でも、会計科目である簿記論、財務諸表論は税理士補助に役立つため、まず合格を目指したい科目です。

資格の取得方法や向いている人について詳しくは、ぜひ下記ページもご覧ください。

日商簿記

未経験からの税理士補助の仕事は、会計帳簿の作成や税務申告書の準備など、会計に関わる業務が中心です。そのため、日商簿記2級以上の資格を持っていると、基本的な会計業務を理解し、実務に活かせる能力があると見なされます

商工会議所の公開する簿記の受験者データでは3級の合格率が30%を超えており、競合が多くなると考えられます。そのため、2級や1級の資格を持っていると、より少数精鋭のグループに属することになり、採用の際に有利に働く可能性が高まるでしょう。

平均実受験者数 平均合格者数 平均合格率
1級 9,694 1,229 12.6%
2級 8,770 1,814 20.8%
3級 24,755 8,714 35.1%

※2023〜24年に実施された商工会議所の検定試験結果より、統一試験1級(4回), 2級(5回), 3級(5回)の平均値(人数は小数点切り捨て)

参照:簿記受験者データ|商工会議所の検定試験

また、日商簿記の資格取得を通じて学んだ知識は、将来的に税理士を目指す際の基礎となることもおすすめの理由です。税理士資格と簿記検定の違いや、学習ポイントについては下記ページをご覧ください。

全経簿記能力検定

日商簿記と同様に、公益社団法人全国経理教育協会が実施する全経簿記能力検定も評価されやすい資格です。この検定は以下に挙げた4つの区分に分かれており、2級だと日商簿記の2〜3級に近く、1級はさらに原価計算や管理会計などより踏み込んだ知識を学ぶことができます。

  • 1級商業簿記・財務会計
  • 2級商業簿記
  • 3級商業簿記
  • 上級

日商簿記よりも区分が明確で、税理士補助として実務に携わる際に直接役立つだけでなく、将来的に税理士試験に挑戦する際の基礎固めにもなるでしょう。

MOS

未経験から税理士補助を目指す際、PCスキルの証明として非常に有効なのがMOS(Microsoft Office Specialist)資格です。

MOS資格は、Microsoft Office製品の使用スキルを証明する資格で、Excel、Word、PowerPointなど、業務で頻繁に使用されるソフトウェアの操作能力を認定してもらえます。

税理士補助では日々の業務において、ExcelやWordなどのMicrosoft Office製品を使用する機会が非常に多いです。そのため、必要とされるPCスキルを持っていることを明確にアピールできるでしょう。

また、MOSは20代から経理を目指す方にも向いている資格です。税理士補助に不安を感じて、経理も視野に入れている場合は、ぜひ下記ページもご覧ください。

VBAエキスパート

VBAエキスパートとは、VBA(自動化するためのプログラミング言語)を駆使して、業務プロセスを効率化するための高度な知識と技術を有する人材を認定する資格です。

税理士補助の仕事では、複数のクライアントから提供される領収書や請求書のデータを整理し、正確な会計処理を行ううえで大量の数字と向き合うことになります。この際、VBAを使えばデータ入力作業を自動化、データの集計や分析の効率化により時間を大幅に節約できます。

このことから、未経験から税理士補助を目指す場合、VBAエキスパートの資格取得は業務遂行能力をアプローチできるポイントになります。プログラミングに馴染みがない方にとっては難しいことから、MOSを取得してさらにレベルアップや効率化を目指したいと考えている方におすすめです。

TOEIC

未経験から税理士補助を目指し、中でもグローバル企業やBIG4を視野に入れている場合には、TOEICもおすすめできる資格の1つです。こうした企業では国際的なクライアントを多く抱えており、日常的に英語を使用する機会も少なくないからです。

TOEICを取得する際、目標としたいのは日常会話レベルの英語力を証明できる700点以上です。メールのやり取り、基本的な会議での発言、簡単なプレゼンテーションを担えるレベルで、業務においても非常に役立ちます。

なお、700点に届かない場合でも、多くの企業で近い数値が求人の条件にも添えられていることから、キャリアプラン次第では取得しておいて損のない資格と言えるでしょう。

領域ごとの資格

ここまでご紹介した資格以外にも、以下のような各領域に特化した資格を取得する方法もあります。

領域 資格
資産運用・相続 ファイナンシャルプランナー、不動産鑑定士、宅地建物鑑定士
経営者への助言 ビジネス会計検定、中小企業診断士
給与計算、労務管理 社会保険労務士

それぞれの資格を取得することで、税理士補助としての専門性を高めることができるだけでなく、将来的に特化した税理士を目指す際にも大きな強みとなります。未経験から税理士補助を目指す方は、自分が興味を持つ分野や、将来的に専門としたい領域に応じた資格の取得を目指してみるのも良いでしょう。

未経験から税理士補助を目指す志望動機での自己PRポイント

ここからは、未経験から税理士補助を目指す方向けに、志望動機での自己PRポイントを以下に分けて解説します。

  • 【20代】ポテンシャルや将来性
  • 【30代】強い動機やビジョン
  • 【40代】親和性の高い経歴・スキル

【20代】ポテンシャルや将来性

税理士補助を目指す未経験の方にとって、20代の若さは大きなアドバンテージとなり得ます。この年代ならではとも言える以下の特徴をアピールし、採用担当者に強い印象を残すことができるからです。

  • 素直であること
  • バイタリティがあること
  • 気配りできること
  • 熱意があること
  • 将来を見据えたビジョンと行動が伴うこと

また、未経験から税理士補助を目指す場合には、上記を踏まえて、単に専門性を高めたいというだけではなく、具体的な将来のビジョンを持っていることが重要です。例えば、「〇〇の経験から××を磨いて、△△を担いたい」といった具体的な目標を持つことで、自分がどのように成長し、どのように貢献していきたいのかを明確に示しましょう。

もし、明確にできない場合は、経験やスキルの棚卸しで自らを見極めておくことが大切です。特に経験が浅く、自らを客観的に言語化できない場合には、キャリアアドバイザーからの助言を求めましょう。

【30代】強い動機やビジョン

未経験から税理士補助を目指す場合、雇用側はその強い動機やビジョン、そして熱意を重視します。なぜなら、30代の採用には、若手と比べて育成に要する時間や費用がかかると見られやすく、早期退職されるとその投資が無駄になってしまうからです。

そこで、この年代だからこそ有する強みを活かし、志望動機では以下の自己PRポイントを深掘りしつつ、数年は働き続けられることも採用担当者に伝えて安心してもらいましょう。

  • 強い動機
  • 明確なビジョン
  • 転職による熱意

また、未経験であってもこれまでの経歴から転職に役立つスキルを見つけ出し、アピールすることが大切です。異業種での顧客対応経験であればコミュニケーションスキルを、細かいデータ管理や分析経験は精密さや分析力を示せます。

【40代】親和性の高い経歴・スキル

40代で未経験、または完全未経験から税理士補助を目指す場合、「長く働けるか」という観点でみると30代と比べてより厳しくなりやすいです。これまで積み上げてきた親和性の高い経験やスキルを最大限に活かし、大きな強みとしてアピールしましょう。

  • チームマネジメントの経験から若手スタッフの指導や育成に自信がある
  • 業務効率化を図るためのITスキルを身につけている
  • 顧客との交渉経験が豊富にある
  • 資格を取得するための勉強、セミナーへの参加している
  • 経験から打ち出された落ち着きや広い視野を持っている

上記は、採用担当者にとって非常に魅力的に映ります。また、若手ばかりの税理士事務所・法人と比較して、平均年齢が自らと同程度、またはそれ以上であれば抵抗感を減らして溶け込みやすくなります。

より詳しい志望動機の書き方は、ぜひ下記ページもご覧ください。

税理士補助と未経験に関するFAQ

最後に、税理士補助と未経験に関する以下の質問へ回答します。

  • 税理士補助で税理士を目指さないのはあり
  • 税理士補助で資格を取得するメリットは?
  • 税理士補助はパートでも可能?

税理士補助で税理士を目指さないのはあり?

税理士補助として働きながら、必ずしも税理士を目指す必要はありません。実際、税理士補助の仕事は、税理士事務所や企業の経理部門での付随業務を専門として行い、その専門性を活かしてキャリアを築くことも可能です。雇用者側から見ると、税理士補助として専門性を高め、独立するリスクがない人材は魅力的です。

また、資格取得に向けた学習時間は短くなり、ライフワークバランスを保ちやすくなるというメリットもあります。ただし、税理士を目指さない場合でも、業務を円滑に進めるために基本的な税務知識や会計知識は身につけておくと安心です。

税理士補助で資格を取得するメリットは?

税理士補助で資格を取得するメリットは、以下の3つです。

  • 他の志願者と差別化できる
  • アピールポイントとなる
  • 給与水準が手当で高くなる

また、多くの税理士事務所・法人では資格取得をサポートする制度も設けています。例えば、試験の受験費用を補助したり、試験勉強の時間を確保するための勤務時間調整を行ったりするなどの措置が一般的です。

税理士補助はアルバイト・パートでも可能??

税理士補助の仕事は、未経験からでも始められるケースが多く、アルバイト・パートタイムでの勤務も可能です。この場合、書類の整理、データ入力、簡単な計算作業などが主な仕事内容となります。いずれの業務も、特別な資格がなくても行えるため、未経験からでもチャレンジしやすい職種と言えるでしょう。

基本的なPCスキルや会計、税務に関する基礎知識を身につけ、積極的に事務所での実務経験を積めるのも税理士補助の利点であるため、ぜひこの機会に挑戦してみてください。

まとめ

税理士補助は、未経験からでもキャリアをスタートできる職種です。年収は未経験で300〜400万円程度、経験者では400〜500万円程度が相場となっています。

業務内容は、記帳代行や給与計算、巡回訪問など多岐にわたりますが、教育体制の整った職場も多く、基礎から学べる環境が整っています。特に、数字を扱うことに抵抗がない人、コミュニケーション力の高い人、意欲的に学習できる人が向いているでしょう。

税理士補助としての経験は、将来的に税理士資格を取得するための貴重なステップとなるため、この機会に挑戦しましょう。少しでも不安を感じた際には、ぜひマイナビ税理士へご相談ください。専属のキャリアアドバイザーがスキル・経験の棚卸しからサポートまで徹底的にお手伝いします。

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