高卒から税理士になるには?合格率や難易度・受験資格を得る方法を解説

高卒から税理士になるには?合格率や難易度・受験資格を得る方法を解説

高校を卒業してから「税理士になりたい」と考えた際、「本当に実現は可能なのか」が気になりお調べではないでしょうか。結論からいえば、高卒からでも受験資格を満たしてから科目に合格し、実務経験を経て登録すれば税理士になれます。

ただし、高校を卒業した時点で受験できるのは、簿記論・財務諸表論の2つだけです。税法科目の受験には「学識・資格・職歴」のいずれかの要件を満たさなくてはなりません。

そこで今回は、高卒の方が税理士になるための道筋、合格率や難易度、年収について詳しく解説します。どのように要件を満たしていくべきなのかにも触れるため、ぜひ最後までご覧ください。

マイナビ税理士では、税理士登録に必要な実務経験を満たせる、または働きながら資格取得を目指せる求人をご提案いたします。受験資格を同時に満たし、最短距離での合格を目指している方もぜひご相談ください。

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高卒でも税理士になれる?

冒頭でもお伝えしたとおり、高卒の方でも税理士になることは可能です。税理士試験の5科目に合格し、2年間の実務経験を積んでいるのであれば「日本税理士会連合会」に登録できます。登録後は、地域の税理士会への入会によって税理士として働けます。

令和5年度(第73回)税理士試験から、会計学に属する2科目(簿記論・財務諸表論)については、受験資格の制限がなくなり、どなたでも受験が可能となりました。ただし、残りの3科目である『税法科目』の受験には、学識・資格・職歴のいずれかの要件を満たす必要があります(後述します)。

参照:日本税理士会連合会
参照:税理士に関する情報|国税庁

高卒の税理士試験の合格率

高卒の税理士試験の合格率は、約21〜24%です。令和5年度からの「会計学2科目(簿記論・財表)」における受験資格は撤廃となったため、高卒(旧中卒含む)の受験者数は着実に増えています。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和6年度 3,015 651 21.6
令和5年度 2,778 662 23.8
令和4年度 1,962 433 22.1
令和3年度 1,865 420 22.5
令和2年度 1,912 456 23.8
令和1年度 2,282 480 21.0

出典:税理士試験|国税庁

国税庁では税理士試験において「満点の60%以上」との合格基準を設けています。しかし、受験者数が増加しても、合格者数に比例して拡大しませんでした。

つまり、60%以上を取ればだれでも合格できるのではなく、実態としては得点調整や基準点設定の運用によって、事実上「受験者に合わせて合格ラインが動く仕組み」だと考えられます。「点数が取れたかどうか」よりも、「周りと比べてどうだったか」が基準となるため、合格の可否は単純な得点では計れません。

難易度は依然として高い

税理士試験の受験資格が緩和したとしても、難易度は依然として高いままです。令和5年度以降、高卒者でも受験しやすくなって高卒(旧中卒)枠の受験者数は増加しています。

ただし、ここで大切なのは、単に受けやすくなって人数が増えただけではないということです。以下のように、実力の高い受験者がこの枠に多く加わってきた場合、受験者全体の「レベル」は上がります。

  • 会計事務所での実務経験がある人
  • 高度な簿記・経理スキルを持つ高卒者

合格率は形式上これまでと変わらなくても、実際には以前より"合格枠を巡る争い"が厳しくなると考えられるわけです。結果として、同じ枠の中で勝ち抜くには、従来よりも一段上の実力が求められます。

高卒から税理士になるには

では、高卒から税理士になるにはどうしたら良いのでしょうか。基本の要件は、税理士試験は5科目合格に合格し、2年間の実務経験を積むことです

科目選択においては以下の必須2科目と選択3科目の受験となり、1回で1つずつ受けていく手法も可能です。

区分 科目名 備考
会計学に属する科目 - 簿記論 必須(全員が受験)
- 財務諸表論 必須(全員が受験)
税法に属する科目 A群 所得税法 A群から1科目は必須
A群 法人税法 A群から1科目は必須
B群 相続税法 A群と合わせて税法3科目になるよう選択
B群 消費税法
B群 酒税法
B群 国税徴収法
B群 住民税
B群 事業税
B群 固定資産税

税理士試験で合格した科目は、高卒等の学歴に関係なく一生涯有効です。ただし繰り返しとなりますが、税法科目には学歴以外の受験資格要件を定めており、高卒の方はまずそれを満たす必要があります。

高卒が税理士の受験資格を得る3つの方法

まず、税理士試験の簿記論・財務諸表論(会計学)では、高卒から受験可能(年齢・学歴不問)となっています。令和5年度(第73回)から受験資格の制限を撤廃したからです。

税法に属する科目(7科目)の受験資格を満たす方法は複数ありますが、日商簿記1級、実務経験2年のいずれかが満たしやすい方法です。以下で、詳しく見ていきましょう。

参照:受験資格について|国税庁

学識

まず、税理士試験の受験資格として挙げられる「学識」では、以下の「社会科学系の科目」を1科目以上履修する必要があります。大学生活自体に魅力を感じていたり、時間をかけても確実な学歴と資格を両立したいと考えていたりする人に向いている方法です。

対象者 必要な証明書
大学・短大・高専卒業者で社会科学系の科目を1科目以上履修した人 成績証明書(必要に応じて卒業証明書)
専門学校卒(2年以上、1700時間以上の課程)で社会科学系の科目を履修 成績証明書+課程証明書
大学3年次以上で社会科学科目を履修し、62単位以上取得済み 成績証明書+在籍証明書等

社会科学に属する科目には、法学、経済学、経営学、簿記学、社会学、政治学、統計学などが含まれます。高卒の方がこの要件を満たすには、短大や大学への入学が必要になるため、時間と費用がかかります。

資格

次に、高卒の方が満たしやすい税理士試験の税法科目の受験要件として挙げられるのが「資格」です。高卒という学歴にこだわらず、資格一本でキャリアを切り開きたい方にも向いています。

具体的には、以下の資格が当てはまります。

資格要件 必要書類
日本商工会議所主催 簿記検定試験1級 合格者 日本商工会議所発行「合格証明書」(合格証書は不可)
全国経理教育協会主催 簿記能力検定試験 上級 合格者(昭和58年度以降) 協会発行「合格証明書」(合格証書は不可)
会計士補(日本公認会計士協会発行の登録証明書)
会計士補となる資格保有者(旧公認会計士試験第二次試験合格者等) 旧試験合格証明書または全科目免除を証明する書面
公認会計士試験短答式試験 合格者(平成18年度以降) 試験委員会発行の「合格通知書」または「合格証明書」
公認会計士試験短答式試験 全科目免除者 「免除通知書」または「免除証明書」

なかでも、高卒の方にとってもっとも現実的なのは、日商簿記1級の取得です。日商簿記であれば学歴に関係なく受験でき、税理士試験の簿記論と出題範囲が重なるため、勉強も無駄になりません。なお、資格の取得に関しては、ぜひ下記ページもご覧ください。

職務

最後に、高卒の方が資格と同時に検討できるのが「職務」による受験資格の満たし方です。学校よりも現場で学びたい方や、就職口(税理士事務所・会計事務所など)を確保して働きながら受験要件を満たしたい方に向いている方法です。

具体的には、以下の職歴が通算2年以上ある場合、税法科目の受験資格が認められます。

  • 法人や個人事業主の会計事務(仕訳・決算等)
  • 税理士・公認会計士・弁護士等の補助業務
  • 税務署などでの税に関する実務
  • 銀行等での貸付業務など

いずれも一例であり、該当業種の「職歴証明書」の提出が必要です。「職歴による受験資格」は雇用形態に関係なく、実務内容が該当した業種での『通算2年以上の経験』が条件となります。

このほか、外国の大学卒業者などの特例に該当する人は「個別申請」によって受験資格が認められるケースもあります。

実務経験・受験資格を満たせる事務所が狙い目

高卒の方が税理士試験の税法科目を受ける際、基本的には『資格』か『職務』の2つが選択肢として挙げられます。どちらかで迷っている方は、ぜひ職務での受験資格・実務経験の同時獲得も検討してください

将来的に税理士試験の合格後、税理士として登録するには「実務経験」が必要です。うまく働き先を選べば、「受験資格」と「実務経験」を同時にクリアできます。ここでのポイントは、「どこで働くか」です。

項目 税法科目の「受験資格」 税理士登録の「実務経験」
必要な年数 通算2年以上 通算2年以上
内容の条件 会計・税務の実務(雇用形態不問) 税理士・会計士等の事務所 or 税理士法人等における 税理士業務に従事
認定方法 職歴証明書(勤務先発行) 所定の「実務経験証明書」(登録申請時に必要)
タイミング 税法科目の受験前に必要 5科目合格「後」に必要(登録要件)

例えば、税理士補助として2年以上働けば、受験資格・実務経験の両条件を同時に満たせます。最短距離で税理士を目指したい方、また働きながら資格の取得を目指したい方には特に向いています。

マイナビ税理士では、受験資格と実務経験を満たせる求人の紹介も可能です。少しでも興味がありましたら、キャリアアドバイザーへぜひお気軽にご相談ください。なお、会計事務所や税理士補助がどのような仕事か知りたい方は、ぜひ以下のページで解説しています。

税理士を目指す高卒の方からよくある質問(FAQ)

最後に、税理士を目指す高卒の方からよく寄せられる質問へ回答します。

高卒で税理士になれる割合は?

高卒で税理士になれる割合の目安は、単純に合格率からいえば約10%です。例えば令和6年であれば、全合格者5,762人のうち651人(約11%)が高校・旧中卒出身です。高校・旧中卒の合格率(21.6%)は、大学卒(15.1%)より高めで、全体平均(16.6%)を上回る結果となっています。

いずれにおいても、受験資格さえ満たせば学歴に関係なく合格を目指せるのです。もし、自分が向いているか、向いていないかで判断に迷っておられる場合は、ぜひ下記ページをご覧ください。

高卒で税理士になるには最短で何年かかる?

税理士になるまでの一般的な年数は、「3〜5年以上」です。制度上からみれば、受験資格および合格後の実務経験としても換算できる業務へ従事していた場合、税理士になるまでの最短ルートの年数は「2年」です。

ただし、2年以内に5科目の合格を達成した場合に限り、勉強や合格までに時間がかかるほど期間は際限なく伸びます。

高卒で税理士になった際の年収は?

高卒で税理士になっても、年収は学歴には影響されずスタートは「約360万円〜」となります。また、平均年収であれば、637万円前後です。

税理士資格は、学歴等ではなくその資格と知識・経験に価値があるため、高卒であっても大卒と同等の収入を目指せます。年収の詳しい数値は、ぜひ以下のページをご覧ください。

まとめ

令和5年度から会計学科目の受験資格が撤廃され、高卒でも税理士になるのは十分に可能です。高校卒業という学歴に不安を感じる必要はありません。5科目合格を目指すうえでハードルとなるのは、税法科目の受験資格を満たす方法です。

受験資格を満たす際には、日商簿記1級の取得や実務経験2年以上の積み重ねなど、自らに合った方法を選ぶことが大切です。また、会計事務所での勤務や税理士補助として働きながら試験勉強を続けて、受験資格と実務経験を同時に満たすという道筋もあります

マイナビ税理士では、税理士登録に必要な実務経験を満たせる、または働きながら資格取得を目指せる求人をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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