税理士資格を有利に活かせる転職先とは?
税理士に限らず、どの業界にも「35歳転職限界説」は根強くあり、「年齢の高い人は転職が不利」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
しかし、税理士のように専門性の高い専門職では、「即戦力」で採用する企業も多く、年齢よりはむしろ、税理士資格やスキル、経験実績が重要になる場合があります。そこで、税理士資格を有利に活かせる転職先についてご紹介します。
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監修
マイナビ税理士編集部
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税理士資格が転職に有利な理由
実は税理士業界は、年齢が若い方が採用に有利だとは必ずしもいえない業界とされています。それはどういう理由によるものなのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
経理や財務に関する高い専門性をアピールできる
会計事務所や一般事業会社などは、業種の違いを問わず、経理や財務に対する高い専門的知識を持つ人材を求めています。大手の税理士事務所では、税理士資格や科目合格(3科目以上)を採用の条件としているところが多く、転職に際してもそうした実績が有利に働きます。一般的な企業の求人採用には、実績や経験よりも伸びしろに期待するポテンシャル採用と、すぐに現場で活躍できる即戦力採用がありますが、いずれの場合においても、資格を有していることは大きなアピールポイントになります。
ただし、採用する事業所によっては、専門性の高い知識の有無よりも、年齢、実践的な業務経験、人柄などを重視する事業所もあります。そのため、企業がどんな人材を求めているのか、転職エージェンシーなどを活用して応募前にじっくりと調べておきましょう。
目標に向けて努力できるひたむきさをアピールできる
税理士試験には、特有の制度として「科目合格制度」や「科目選択制度」があります。これは全11科目の中から、受験科目を受験生が自由に選ぶことができ、累積して5科目に合格した時点で税理士試験に合格したと認められる制度です。そのため、どの科目に合格しているかによって、その人がどんな分野の税務の専門家を目指して努力を重ねてきたのかをアピールすることにつながります。
例えば、選択必修科目で法人税法を選択していれば、税理士法人・会計事務所、一般企業での採用でプラスに評価されます。また、所得税法を選んだ場合には、税務に対するコンサルティング業務もできることのアピールにつながります。そのため、転職先を探す際には、自分の合格している科目特性を見極めて応募することも大切です。
問題解決に向けて軌道修正できる柔軟性をアピールできる
税理士試験は難関で、5科目を一発で合格できる人はあまり多くいません。むしろ、どの科目でも、1度や2度は不合格になっている方も多くいます。しかし、そうした不合格の経験も、自分の弱点を見つめ直し、それを克服するためにどのような工夫をして切り抜けたのかという資質として示すことができます。転職活動に際しては、その問題解決力の高さをアピールできます。
税理士のおもな転職先
税理士の転職先として、まず頭に浮かぶのは税理士事務所です。しかし、税理士の転職先には、多彩な選択肢があります。
そこで、税理士のおもな転職先を、大きく4つに分類してご紹介します。
会計事務所・税理士事務所・税理士法人
会計事務所や税理士事務所は、基本的に1人の代表となる会計士や税理士とスタッフによって運営されている個人事務所となります。
一方、税理士法人は、2名以上の税理士によって設立・運営されており、個人事務所には認められていない支店の設置なども可能です。規模が大きくなれば、全国展開している税理士法人もあります。
・大手税理士法人(Big4)
税理士法人の中でも、最大手の4社は「Big4」と呼ばれています。PwC税理士法人、デロイト トーマツ税理士法人、KPMG税理士法人、EY税理士法人の4つの税理士法人を指します。これらの税理士法人はグローバル展開する世界的な会計事務所の日本支部という位置付けになります。そのため、記帳代行や決算業務はほぼなく、業務の中心は税務申告書の作成とレビューで、個人事務所では経験できない高度な税務が経験できます。その一方で、税務経験の幅が限定的だったり、転勤があったりといったデメリットもあります。基本的には5科目合格者が望ましく、最低でも3科目以上の取得者が対象となります。また、語学力があることも重要視されます。
・国内独立系大手~中堅税理士法人
Big4と呼ばれる大手税理士法人以外にも、国内には独立系で数百名規模の大手税理士法人や数十名規模の中堅税理士法人が存在し、ここでも多くの税理士資格を持った人材が活躍しています。国内独立系の大手税理士法人は、職員の数ではBig4に負けませんが、取り扱っているサービスやクライアントの規模などに違いが見られます。
また、中堅税理士法人の場合には、上場準備企業や上場して間もない新興企業、ベンチャー企業等がクライアントのメインとなっています。事業承継支援や事業再生支援といった業務にも積極的に取り組んでおり、将来独立を志望している方には、Big4よりもむしろ実践的で幅広い経験ができる場合があります。
・中小の会計事務所・税理士事務所
税理士の転職先として最も一般的なのが、中小の個人会計事務所や税理事務所です。クライアントはおもに中小零細企業や個人事業主等で、会計事務所・税理事務所の業務も税務相談や税務申告書の作成、決算指導など、クライアントの税務・会計支援が主になります。全国どこにでもあり、クライアントも地元に根ざしている場合がほとんどです。
また、会計事務所や税理事務所の中には、相続やSPC(企業が資金を調達する目的などで設立する特別目的会社)関連業務のような特定の分野に特化して業務を担当している業務特化型の会計事務所・税理事務所も存在します。自分のキャリアプランに適した会計事務所・税理事務所を選ぶことが、転職活動の際には重要になってきます。
一般事業会社
税理士の転職では、会計事務所や税理事務所だけではなく、一般事業会社(一般企業)の経理部門で働くという選択肢もあります。
・一般事業会社(日系)
一般事業会社の場合、企業規模は大手上場企業から中小企業、そしてベンチャー企業までさまざまです。大手企業や上場企業であれば、税理士が勤務することも増えてきていて、一般的には税務専門の仕事を担当することが多くあります。中小企業やベンチャー企業では税務に限らず、経理や財務などの幅広い業務に従事することが多くなります。また、キャリアと実績のある税理士に対しては、CFO(最高財務責任者)や経理部長といった管理職としての求人もあります。
・外資系企業
税理士資格がある人の外資系企業でのおもな業務は、日本法人の決算対応、本国へのレポーティング業務になります。そのほか、財務計画の立案と財務データの分析をするFP&A(ファイナンシャルプランニング&アナリシス)や、キャッシュマネジメント等の会計にまつわる周辺業務を担当する場合もあります。
一般的には企業規模が大きな外資系企業では業務が細分化されており、担当する業務も特化されているのに対し、企業規模が小さな外資系企業では、より幅広い業務を担当するケースが多い傾向があります。なお、外資系企業での勤務を希望する場合には、英語は中級から上級、あるいはその企業の本社がある国の言語力は必須です。
金融機関
金融機関も、税理士の転職先のひとつです。税理士が活躍できる金融機関としては、銀行・信用金庫、証券会社、リース会社、ファンドやアセットマネジメント(資産管理)会社、SPC(特別目的会社)・REIT(不動産投資信託)などがあります。
また、金融機関の業務は、顧客とは直接やりとりをせず、社内向けの事務作業がメインとなる「バックオフィス」と、直接顧客対応を行う「フロントオフィス」の業務の2つに大きく分けられ、それぞれで業務内容が異なります。
・金融機関(バックオフィス)
金融機関のバックオフィスの具体的な業務には、自社の経理や税務業務のほか、市場取引を行うフロントオフィスの支援、ディーラーやトレーダーなどが売買(約定)した取引の事務処理、約定した契約の履行、決済、管理などがあります。
一般的に金融業界は年収水準が高いのがメリットです。一方、金融業界の会計・税務業務は一般事業会社とは異なるため、ほかの業界に転職しにくくなるというデメリットもあります。しかし、複雑な会計・税務処理も多いため、税理士としての専門性が活かせる職場でもあります。
・金融機関(フロントオフィス)
金融機関のフロントオフィスでは、税務申告書や税務意見書の作成といったような一般的な税理士の業務はあまり担当しません。法人向けの事業承継や組織再編のコンサルティング、個人富裕層向けの資産管理コンサルティングのほか、中小企業やベンチャー企業をターゲットとしたM&Aのアドバイザリーや資金調達を行う業務などがメインとなります。専門性が高い業務であり、顧客と直接コンタクトするポジションであるため、人脈づくりに有利で、独立の際に役立つこともあります。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームでも、多くの税理士が活躍しています。コンサルティングファームには、担当するクライアントに応じてさまざまな専門性を持つ事業所があります。その中で税理士のニーズが高いのは、財務・会計系、企業再生、経営コンサルティングを専門とするコンサルティングファームです。
財務・会計系のコンサルティングファームでは、株式公開支援、M&A支援、事業承継支援、企業再生支援、海外進出支援等の業務をメインとし、税務会計業務とコンサルティング業務の両方の経験を積むことができます。
また、経営戦略系のコンサルティングファームでは、税務会計の知識以外にも、システム構築や経営戦略などに関してアドバイスできる知識やスキルが求められます。
年代別による税理士の転職市場動向
近年、税理士の転職市場では、求人募集が求職者数を上回る売り手市場が続いています。国税庁より2018年度の税理士試験受験申込み者数が発表されました。それによると、2018年度の受験者数は58,400人で、2017年と比較して人数で5,040名減、前年比で92.1%と減少しています。
そのため、リーマンショックのような大きな社会現象が起きない限り、当分はこの売り手市場の状態が続くと予想されています。実際ここ2〜3年は、採用のハードルを下げた事務所も多く、転職を狙う絶好のタイミングとなっています。そこで、年代別の転職傾向についてまとめてみました。
20代税理士の転職動向
20代は前半を中心に、まだまだ税理士を目指しながら受験勉強をしている人が多い世代です。人材の流動性も高いため、景気動向にかかわらず、常に一定の求人数があるのが特徴です。
会計事務所や税理士法人は働きながら勉強できるため、特に科目合格者には人気の高い職場です。科目合格者の場合、3科目以上の合格者は有利になり、もし合格している科目が2科目以下の場合には、簿記論と財表(財務諸表論)に合格していると有利に働きます。また、経験者採用では実務経験が2年以上あると有利ですが、20代前半であれば未経験や未受験でもチャンスはあります。
一般事業会社への転職では、税理士試験合格者で、なおかつ会計事務所の経験者が有利です。それ以外では、上場企業の経理部門で働いた経験や高い英語力があることも有利に働きます。未経験で一般事業会社への転職を狙う場合には、税務の重要性は決して高くないため、将来のキャリアパスをよく考えて、自分に適した企業を選択することが大切です。
30代税理士の転職動向
30代は税理士にとって、転職によって税務会計の経験の幅を広げ、将来のキャリアプランに備える時期です。30代後半以降になると、経験がある即戦力採用がメインとなります。
30代で税理士法人や会計事務所に転職を希望する場合には、会計事務所経験が3年以上あると有利に働き、中でも税務や会計、マネジメントの経験者は優遇される傾向があります。
税理士法人への転職を希望する場合には、さまざまな税務申告の経験や連結納税、譲渡申告、相続税申告、M&Aや事業承継を目的とした株価算定といった特殊業務の経験者は、転職の際に有利となります。
また、一般事業会社の場合、上場企業では税理士資格所得者、英語力がある、十分な法人税務の経験者は、転職で有利に働きます。大手メーカーでは、十分な法人税務の経験者が優遇されます。一方、非上場企業やベンチャー企業の場合、会計税務のスペシャリストや税理士事務所の経験者だけではなく、科目合格者に対しても多くの求人が出されています。
40代税理士の転職動向
40代以上になると、転職市場で求められるハードルは当然高くなります。しかし、それに見合う経験やスキルがあれば、年齢に関係なく求人を見つけることができるでしょう。例えば、「会計事務所で法人・個人税務のスペシャリストであった」「語学が堪能で国際税務を十分に経験している」「上場企業の経理財務部門マネージャー経験者」などは優遇されます。また、この年代になると、マネジメントの能力や、顧客対応能力の高さなども重視される傾向が強くなります。
税理士資格を活かした転職を
一般的に転職を考える場合、年代、経験、資格の有無などによって転職先の選択の幅は広がります。その中でも税理士資格は、転職の可能性を高める資格です。会計事務所や税理士法人だけではなく、一般事業会社やベンチャー企業、コンサルティングファームなど、年齢の壁を越えてチャレンジすることができます。自分のキャリアや実績とともに、税理士資格を有効に活用した転職を検討してみてください。
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進路について適切なアドバイスをしてもらえました!自分の進路について明確な答えが出せていなかったものの、どの業種に進んだら良いかなど適切にアドバイスをしてもらえました。どういったキャリアを積んでいけばより市場価値を高められるのか、候補の会社がどう違うのかを具体的に説明していただけました。(30代/税理士)
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求人の提案力と面接のフィードバックが良かった!タイムリーな求人の紹介とフィードバックの提供が良かったです。面接前の情報提供では、自分のアピールしたい強みが、面接先企業のどこに符号しており、今後の展開をどう捉えているかの思考の整理をする際に役立ち、安心して面接を迎えることが出来ました。(30代/税理士)
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