会計事務所・税理士事務所・会計士事務所・税理士法人の違いを徹底解説!

異業種から会計業界への転職を考えたとき、求人情報などで事務所の名称の微妙な違いに気づかれるかもしれません。 たとえば「会計事務所」と「会計士事務所」の違い。これは単なる事務所名ではなく、代表者の資格を表している場合があります。
会計業界に飛びこもうと考えている方は、ぜひ会計業界の名称の意味について知っておきましょう。
マイナビ税理士では、異業種から会計業界への転職を考えている方々へ、キャリアアドバイザーが的確にアドバイスいたします。会計業界への転職に関する疑問や気になる点があれば、お気軽にご相談ください。
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監修
マイナビ税理士編集部
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目次
会計事務所と税理士事務所の違い
会計事務所と税理士事務所は同じ!
税理士法第40条2項では「税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する。」と定められています。つまり、税理士が設立する事務所の正式な名称は「税理士事務所」ということになります。
そして、正式名称である「税理士事務所」に対して、「会計事務所」は俗称ということになります。実際に多くの税理士事務所が「会計事務所」という名称を使用しています。
一般的な税理士事務所は、法人・個人の税務業務以外に、中小企業、個人事業主などの記帳業務や決算処理、経営コンサルティングなど、会計全般の幅広い業務に対応しています。
しかし、税理士事務所という名称によって、税金に関する業務に特化したイメージを持たれる可能性があります。そこで、事務所名を会計事務所として「税務業務だけでなく、会計全般の業務を扱っている」ことを示す意図があると考えられます。
つまり、税理士事務所と会計事務所は名称の違いであり、業務内容や組織上の決まりごとについては、実質的には同じであると考えて問題ありません。
業務内容の違い
会計事務所は会計・監査・税務を幅広く扱う総称で、そのなかで税務に特化した小規模事務所が税理士事務所です。名前こそ似ていますが、業務の範囲に違いがあります。
まず、会計事務所は会計・税務・監査など幅広い業務を扱う「総称」で、「税理士事務所」「公認会計士事務所」「監査法人」などが含まれます。それに応じて業務範囲は広くなり、税務も該当します。
一方、税理士事務所は会計事務所の一種で、税理士が個人や法人に税務サービスを提供する場所です。記帳代行、税務顧問、決算・申告書作成など、税務を中心に実務寄りの業務を担います。
<ココまでのまとめ>
- 会計全般の業務を扱っていることを示すために「会計事務所」を名乗っている。
- 会計事務所は総称で、その中で税務に特化した小規模事務所が税理士事務所。
- 会計事務所と税理士事務所は、業務内容や組織上の決まりごとは実質的には同じ。
会計士事務所と税理士事務所の違い
会計士事務所と税理士事務所は違う!
税理士事務所が税理士の事務所であるのと同じく、「会計士事務所」は公認会計士によって設立される事務所です。すなわち、「会計士事務所」の代表者は、公認会計士で個人事業主ということになります。しかし、税理士事務所と同様、営業上の理由で広く知られている「会計事務所」という名称を使用しているケースが多く、使用する目的についてもほぼ同じと考えられます。
税理士事務所、会計士事務所のどちらも「会計事務所」という名称を使用することはできますが、税理士事務所が「会計士事務所」という名称を使うことはできません。
業務内容の違い
会計事務所、税理士事務所、会計士事務所のいずれも業務内容については、ほぼ同じで、事務所ごとの違いになります。
公認会計士は税理士会に登録することで、税理士の業務を行うことができますので、会計士しか所属していない会計士事務所でも、税務業務を行うことは可能です。
つまり、会計士事務所、会計事務所のどちらも税務業務を扱っている可能性があり、名称だけでは業務内容を判断できないということです。一方、公認会計士が所属していない税理士事務所では、会計士の独占業務である監査業務を行うことはできません。
会計士事務所 | 税理士事務所 | |
---|---|---|
代表者 | 公認会計士 | 税理士 |
税務業務 | 税理士登録すれば可 | 可 |
監査業務 | 可 | 不可 |
会計業務 | 可 | 可 |
年収の違い
監査や国際税務を抱える会計士事務所(とくにBIG4/大手)ほど年収は高く、地域(大都市圏)、規模(大手)、階級が上がるほど伸びます。一方、税理士事務所(小~中規模中心)は実務寄りで相対的に年収は低めです。
会計士事務所の場合、求人・統計の調査では平均約835万円あたり、BIG4では450~1500万超も見られます。税理士事務所(小~中規模中心)は700~800万帯に集中しており、地域は首都圏・関西・中京が高めになりやすい傾向にあります。より詳しくは、ぜひ下記ページをご覧ください。
<ココまでのまとめ>
- 「会計士事務所」の代表者は公認会計士。
- 公認会計士は税理士会に登録すれば、税務業務を行えるので、名称だけでは業務内容を判断できない。
- どちらも「会計事務所」という名称を使用することができる。
- 大手会計士事務所は高収入になりやすく、税理士事務所は控えめになりやすい。
税理士事務所と税理士法人の違い
税理士事務所と税理士法人は違う!
税理士事務所と税理士法人の違いは組織形態にあります。
税理士事務所は、税理士が個人事業主として運営する事務所です。それに対して税理士法人は2001年の税理士法改正によって認められるようになった形態で、2名以上の税理士が所属する法人です。BIG4と呼ばれる、グローバルな大規模法人も税理士法人に含まれます。
組織形態の違い
税理士事務所が個人事業主にあたり、税理士法人が会社ということになります。税理士法によって、以下のように定められています。
形態 | 特徴 | |
---|---|---|
税理士事務所 | 個人事業主 | ・代表者が税理士であればよい。 ・2つ以上の事務所を持つことができない。 ・代表者が業務を行えなくなった場合は事務所を閉鎖。 |
税理士法人 | 法人 | ・2名以上の税理士が所属している。 ・支店を展開できる。 ・代表者が業務を行えなくなっても組織運営は継続できる。 |
<ココまでのまとめ>
- 税理士事務所の代表者は個人事業主。
- 税理士法人は2名以上の税理士が所属する法人。
Big4・大手税理士法人と個人会計事務所の違い
クライアントの違い
税理士法人には、税理士2名の小規模法人とBIG4及び大手税理士法人のように数百人以上の大規模法人もあります。
BIG4及び大手税理士法人のクライアントは、資本金1億円以上、売上高も数十億円超の大手企業が中心です。それに対して、小規模の税理士法人は、特定分野や顧客に特化しているといったことがなければ、クライアント、業務内容とともに個人会計事務所と同等の場合が多いです。
税理士法人と個人会計事務所の違いというよりは、事業規模による違いと考える方が適しているといえます。ただし、あくまでも傾向としていえることであり、個人会計事務所が大手のクライアントを抱えているケースもあります。
おもなクライアント | |
---|---|
BIG4および大手税理士法人 | 大手企業(上場・未上場)、大手企業の系列会社、外資系企業、金融機関、資産運用会社など |
小規模の税理士法人 | 未上場の中小企業、個人事業主、個人 |
個人会計事務所 |
業務内容の違い
業務内容もクライアントと同様に、税理士法人と個人会計事務所の違いではなく、規模とクライアントによって変わってきます。
いずれも業務内容は、税理士法第2条第1項で定められた税理士業務とそれに付随する記帳代行等の業務となりますが、BIG4及び大手税理士法人では、高度で特殊な税務処理が多くなっています。
一方、監査は会計士の独占業務です。税理士法人や会計事務所に会計士が所属していれば、監査業務を行うことができますが、任意監査やデューデリジェンスなどが中心です。
また、BIG4及び大手税理士法人では個人を対象とはしませんが、クライアントの社員・役員などの関係者の税務には対応しています。
おもな業務内容 | |
---|---|
BIG4および大手税理士法人 | 税務コンプライアンス(税務申告書作成、税務相談、税務代行など)、 税務コンサルティング(M&A・組織再編税務、事業承継税務、企業再生税務など)、 国際税務(国際税務、関税・間接税、タックスヘイブン税制、移転価格など)、 個人所得税(海外出向者向け税務、日本に滞在する外国人向け税務など) |
小規模の税理士法人 | 税務(税務申告書作成、税務相談、税務代行など)、 それに付随する業務(記帳代行、給与計算など)、 経営コンサルティングなど |
個人会計事務所 |
風土の違い
会計事務所と税理士法人には、個人経営の事務所と会社組織の違いがありますが、やはりここでも規模の違いが影響する場合は多いです。
個人会計事務所は従業員5名以下の小規模経営が多く、代表の意思で物事が決まるので小回りが利く、アットホームな雰囲気などの特徴があります。
BIG4および大手税理士法人は大企業の風土になっており、外資系の文化も定着しています。しかし、小規模の税理士法人では組織は法人であっても、アットホームさなど、小規模経営の風土をもっている場合もあります。
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個人税理士事務所の良さ
<ココまでのまとめ>
- 税理士法人には、小規模法人からBIG4および大手税理士法人がある。
- 小規模の税理士法人は個人会計事務所とクライアント、業務内容が似ている。
- BIG4および大手税理士法人は、大規模なクライアントに高度な業務を提供している。
よくある質問(FAQ)
最後に、会計事務所と税理士事務所の違いを知りたい方からよくある質問へ回答します。
税理士事務所での繁忙期はいつですか?
税理士事務所の繁忙期は、年末調整(12月〜1月末)、確定申告(2月〜3月15日)、3月決算法人の申告(4月〜5月末)に集中します。2月〜3月は個人の確定申告対応で忙しく、夜遅くや休日対応も増えやすい状況が続きます。より詳しくは、以下のページをご覧ください。
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税理士事務所での繁忙期の業務
税理士事務所で在宅勤務はできますか?
税理士事務所での在宅勤務は可能です。税理士法の「二か所事務所」禁止には当たらないと整理され、在宅勤務は実務上認められます。
前提は、安全なリモート接続(クラウド/事務所サーバー)、資料持ち出しの厳格な管理、電話・郵送対応の仕組みなどです。また、紙資料や来訪対応の方法も考えなければなりません。より詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
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税理士事務所と在宅勤務
地方の税理士事務所はどのように働きますか?
地方の税理士事務所は、地域の中小企業・個人を幅広く担当するジェネラリスト型が主流です。対面・訪問比率が高く紙資料対応も残りやすい一方、在宅はハイブリッドのような形式になります。
主な業務は、記帳・顧問・決算申告に加え相続等も横断します。また、繁忙期(1〜5月)は出社増、閑散期は改善・IT導入や提案活動に時間を振る、地域密着の働き方が基本です。
会計事務所に向いている人は?
会計事務所に向いているのは、主に数字と期限管理に強く、学び続ける姿勢を持った顧客志向の人です。そのほかにも、以下のような特性も挙げられます。
- 正確性と地道さがある
- 守秘義務への意識を持っている
- 繁忙期を乗り切る体力と計画性がある
- わかりやすく説明できる対人力がある
- 会計ソフトやクラウドに抵抗がない
それぞれの詳細や、なぜ人が辞めていくのかについては以下のページをご覧ください。
会計事務所や税理士事務所は未経験でも働けますか?
会計事務所や税理士事務所は、未経験でも働けます。人手不足の事務所ではポテンシャル採用があり、まずは記帳・給与計算などからはじめるといったスタートとなります。
採用確度は20代~30歳前後が高く、簿記2級や税理士科目合格、Excel・会計ソフト操作があると有利になりやすいです。応募は税理士試験後、または12月や確定申告後の4~6月が狙い目です。より詳しくは以下のページをご覧ください。
大手会計事務所は激務ですか?
大手会計事務所の繁忙期は、一般的に激務になりやすいです。年末調整~確定申告・3月決算が重なる11月下旬~5月は残業が増加する傾向にあります。
一方で教育体制や報酬、扱う案件の規模・専門性は激務を超える魅力です。ワークライフ重視なら配属領域や残業実績、繁忙期の体制(代休・増員・外注)を応募前に確認しておくと安心です。詳しくは、以下のページで解説しています。
まとめ
会計事務所、税理士事務所、税理士法人などをひとくくりに会計業界と呼びますが、その中には組織形態の違いやそれに伴う業務内容の決まりごとなどがあります。また、規模やクライアント、専門性などの違いで、同じ税理士でも仕事内容や働き方は千差万別になります。
業界構造や会計業界の組織形態を予備知識として理解しておかないと、会社説明会での業務内容などを聞いてもピンとこない可能性もあります。自分に適した環境を見つけるためには、業界や組織のしくみを知っておくことが大切です。
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