簿記2級を活かせる仕事は?簿記2級は転職に有利?

簿記2級を活かせる仕事は?簿記2級は転職に有利?

公認会計士や税理士を目指す人は簿記2級の勉強から始めることが多く、簿記2級はしばしば「会計業界への登竜門」といわれます。簿記2級はそれだけでも会計業界で働くうえで重要なスキルを取得することができ、資格を活かせる仕事も多いことから、転職市場でも高く評価されます。

この記事では、簿記2級で身に付くスキルと転職活動を開始する前に簿記2級を取得しておくメリットを紹介します。それに加え、簿記2級を活かせる仕事と転職面接における具体的なPRポイントを詳しく紹介します。

このようなお悩みはありませんか?

  • 簿記2級を活かして、周りと差別化しつつ有利な条件で働ける転職先を探している
  • 簿記2級を持っているが、未経験・30代を超えていることで転職に不安がある
  • 資格と業務経験を活かして、コンサルティングやアドバイザーなどの新たなキャリアを探したい

上記のような転職に関するお悩みや不安をお持ちの方は、
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大原 剛

大原 剛

公認会計士・税理士

2007年、有限責任監査法人トーマツ入所。上場企業および大企業を中心とした会計監査業務に従事。
その後、プライム市場上場企業およびグループ子会社において、経理・税務・会計システム・予算管理など、コーポレート部門全般の実務を経験。
これらの経験を踏まえ、ハルサク会計を設立。現在は、税務申告業務に加え、上場企業水準の開示・内部管理を見据えたバックオフィス業務の仕組み化や、IT企業・スタートアップを中心とした会計・税務・管理体制の構築支援を行っている。
また、日本公認会計士協会東京会において、経営委員会委員およびテクノロジー委員会委員を歴任。
実務と制度の両面から、企業の成長フェーズに応じた実践的な会計・税務支援を強みとしている。

目次

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簿記2級で身に付くスキル

日本商工会議所が主催する簿記検定、日商簿記2級は「高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル」とされており、会計経理業務を行うために必要不可欠なスキルを身に付けられます。

簿記2級の出題範囲には「購買活動や販売活動など、企業外部との取引を記録・計算する技能」である「商業簿記」に加え、「企業内部での部門別や製品別の材料・燃料・人力などの資源の投入を記録・計算する技能」である「工業簿記」が含まれます。そのため、簿記2級の学習を通じて、これらのスキルを身に付けることが可能です。

なお、簿記検定は日本商工会議所が主催するもの以外にも存在しますが、この記事では日本商工会議所が主催する簿記検定(いわゆる「日商簿記」)に絞って解説します。

参照:簿記 2級 | 日本商工会議所

簿記2級は転職に有利?転職活動を開始する前に取得しておくメリット

転職活動を開始する前に簿記3級ではなく簿記2級を取得しておくことで、最低限の会計知識の証明になることに加え、即戦力として働けることや努力ができることの証明にもなるというメリットがあります。

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業務を行ううえで必要不可欠な会計知識があることをアピールできる

簿記2級は工業簿記や高度な商業簿記も出題範囲に含まれるため、合格すれば、業務を行ううえで必要不可欠な会計知識を持っているとアピールできるメリットがあります。一方で、簿記3級の出題範囲は商業簿記のみです。日本商工会議所ホームページによると、簿記3級は「基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル」となっています。

即戦力になれる

即戦力を求めている企業であれば、簿記2級の取得者は評価されやすい傾向にあります。転職者の立場からすると、簿記2級を取得することで応募できる求人の幅が広がるため、よりよい条件の企業からの内定を得られる可能性も上がるでしょう。対して、簿記3級では工業簿記は出題されません。商業簿記についても、無形固定資産・税効果会計・連結会計といった、少し高度な内容ではあるものの一人前の経理担当者としては知っておくべき知識も、簿記3級の出題範囲には含まれません。そのため、簿記3級レベルの知識では原価計算や少し複雑な会計仕訳を行う際、同僚などに教えてもらいながら対応する必要があるでしょう。

参照:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027 年度試験から適用する暫定版(2022 年度版からの変更箇所を記載)|日本商工会議所

継続的に努力できることを証明できる

簿記2級を転職前に取得しておくメリットは、継続的に努力できるという証明になることも挙げられます。というのは、簿記2級の試験合格には4か月~6か月の勉強が必要とされているため、簿記2級を取得していることで一定期間継続して努力を続けていたという証になるからです。経理職は、毎年のように変化する税法や会計のルールを覚えて使いこなすことが必要です。そのため、経理職を続けていくには、税法や会計のルールに関する知識を継続的に更新する努力が求められます。企業側の面接官もそのことをよく知っているため、簿記2級の取得は継続的に努力できることを証明する手段としても有用です。

簿記2級を活かせる仕事 簿記2級を活かせる業務
会計事務所・税理士事務所での仕事 ・税務申告書の作成
・税務相談対応
・会計帳簿および決算書類の作成・記帳代行
・経営コンサルティング
・相続や事業承継の支援
一般企業の経理 ・会計伝票の処理
・入金や債権債務の消込
・月次および年次決算資料の作成
・税務申告書作成に必要なデータの収集
・予算管理
銀行、証券会社、保険会社の営業 ・取引先(法人顧客)の決算書
・財務状況の読み取り
・与信判断や融資・商品提案の前提となる財務分析
コンサルティングファームでの仕事 ・財務データを詳細に分析して問題点や改善のポイントを見つけ出す
・顧客の財務データの分析によるコスト管理等の施策立案
・会計基準を踏まえた将来の業績予測や予算の策定

ここからは、それぞれの業務内容、簿記2級を取得して入社(入所)した場合に担当する業務、簿記2級が活かせる場面、将来のキャリアパスについてより詳細に紹介します。

会計事務所・税理士事務所での仕事

会計事務所や税理士事務所の主な業務内容は、税務申告書の作成、税務相談対応、会計帳簿および決算書類の作成・記帳代行、経営コンサルティング、相続や事業承継の支援などです。なお、税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務であり、税理士資格を持たない人が単独で行えません。ですが、会計事務所や税理士事務所では、税理士の指示・監督のもとで、申告書作成の補助、会計資料の作成、記帳代行、決算書類の作成補助などに携わるケースがあります。

簿記2級が活かせる場面として想定されるのは、会計帳簿および決算書類の作成や経営コンサルティングです。会計帳簿および決算書類の作成では、簿記2級で学習した商業簿記の知識を活かして、正確な会計帳簿や決算書等を作成します。また、経営コンサルティングでは簿記2級で学習した工業簿記の知識を活かして部門別原価計算を行い、企業の経営効率や生産効率の向上に向けた提案や支援に携わることがあります。

将来のキャリアパスとしては、簿記2級を活かしながらさらに経験と知識を積み重ね、税理士または公認会計士の資格を目指すことが一般的です。税理士や公認会計士の資格を取得した後は、税理士法人のパートナーを目指したり、あるいは独立して自分の事務所を持って所長税理士として活動したりするといったキャリアパスがあります。

マイナビ転職 税理士では、非常勤でも働ける職場も多くご紹介しています。税理士の勉強と並行して実務経験を積みたい方はぜひご相談ください。

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簿記2級を活かして転職したいなら

一般企業の経理

一般企業の経理部の主な業務内容は、会計伝票の処理、入金や債権債務の消込、月次および年次決算対応、税務申告書作成に必要なデータの収集、予算管理などがあります。入社した場合は、これらの業務の担当者として、会計ソフトへの入力、資料の作成、データの収集、上司への報告などを行います。

簿記2級の知識は、日々の会計伝票を正しく起票・処理したり、月次および年次決算資料を作成したりする場面で大いに活用されます。また、税務申告の準備や予算管理・予算作成においても簿記の知識が必要になることから、これらの場面でも簿記2級の知識は役に立ちます。

将来のキャリアパスとしては、簿記1級の取得に挑戦して経理部内での昇進を目指したり、簿記の知識を活かして営業や人事といった他部門で活躍したりするほか、税理士や公認会計士の資格を取得して税理士法人や監査法人へ転職し、会計プロフェッショナルとしてのキャリアパスを歩む選択肢もあります。

銀行、証券会社、保険会社などの金融系の営業

銀行、証券会社、保険会社の営業担当者の業務内容としては、顧客に対しての商品・サービス提案や、契約の締結、継続的なサービスの提供などがあります。簿記2級の知識は、これらの業務の担当者として、取引先(法人顧客)の決算書・財務状況の読み取り、与信判断や融資・商品提案の前提となる財務分析などに役立てることができます。また、金融市場や投資商品に関する情報を収集して顧客に適切なアドバイスを提供するのも重要な業務の1つです。

簿記2級の知識は銀行や証券会社、保険会社の営業担当者の場合、それぞれ下記の業務において活かすことができます。

簿記2級を営業で活かせる業種 簿記2級を活かせる場面
銀行の営業担当者 融資審査における、顧客の信用力や返済能力の適切な判断
証券会社の担当者 顧客に対しての適切な投資商品やポートフォリオの提案
保険会社の担当者 顧客の年齢や収入、家族構成などに応じた適切な保険商品の提案

これらの場面において、銀行、証券会社、保険会社の営業担当者は簿記2級の知識を活用し、顧客に対して的確なアドバイスやサービスを提供できます。

将来のキャリアパスとしては、部署内での昇進を目指すほか、投資アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、リサーチアナリストなどのポジションを目指せます。また、金融機関等での業務経験を活かして、一般企業の経理部や税理士法人に転職するという道もあります。

コンサルティングファームでの仕事

コンサルティングファームの主な業務内容は、クライアント企業の経営課題や課題解決に専門的なアドバイスや戦略の提供です。
コンサルティングファームに入社した場合、これらの業務の担当者として、クライアントから提供されたデータの分析、アドバイスや戦略をまとめた資料の作成、クライアントへのプレゼンテーションなどを上席者の指導のもとで行います。

簿記2級が活かせる場面としては、クライアントから提供された財務データを詳細に分析して問題点や改善のポイントを見つけ出す場面、会計基準を踏まえた将来の業績予測や予算の策定が求められる場面、顧客の財務データの分析によるコスト管理等の施策立案などがあります。

将来のキャリアパスとしては、コンサルティングファームでの経験を積みながら上級のコンサルタントを目指したり、プロジェクトの計画立案や進行管理を担当したりするプロジェクトマネージャーになる道があります。また、コンサルティングファームでの経験を活かして税理士法人や一般企業へ転職するキャリアパスもあります。

以上、簿記2級を活かせる仕事として、会計事務所・税理士事務所、一般企業の経理部、銀行・証券会社・保険会社などの金融系、コンサルティング会社を紹介しました。簿記2級を活用できる求人・仕事をお探しの方、マイナビ転職 税理士の求人情報をご確認ください。

簿記2級が意味ないといわれる理由

簿記2級は取得難易度が低いと世間に思われていることや取得者数が多いことなどが理由で、ネットでは持っていても意味がないといわれることがあります。しかし、簿記2級は会計経理業務を行うために必要最低限の知識があることの証明であり、その後のキャリアを考えても、取得する大きなメリットがあるといえます。ここでは、簿記2級は意味がないといわれる理由について詳しく説明していきます。

取得難易度が低く、簡単だと思われている

簿記2級の試験の合格率は、ペーパー試験で20%前後、ネット試験で35%前後と難易度が高い試験ですが、知名度が高いことや税理士や公認会計士などの難関資格と比較されることが理由で、合格が容易だと思われています。しかし、簿記2級は会計業務を行ううえでの必要な知識を問うものであり、もちろん一定以上の勉強が求められます。

なお、過去の出題範囲や難易度のイメージで「簿記2級は意味がない」と語られているケースもあります。特に、日商簿記2級は2016年度以降、実務に即した内容となるよう出題範囲が見直されています。現在では連結会計、税効果会計、リース取引、外貨建取引なども含まれており、企業経理の実務で活用される知識が問われます。そのため、以前のイメージだけで「簡単な資格」「価値の低い資格」と判断するのは適切ではなく、現在の簿記2級は実務的な会計知識を証明できる資格の1つといえます。

合格者数が多く、市場価値が低いと思われている

簿記2級はネット試験とペーパー試験合わせて約15万人が受験し、合格者は約5万人います。社会人だけでなく、学生で取得する人も多いですが、決して簡単に合格できるような試験ではないでしょう。実際、簿記2級を持っていないと会計税務系の転職で不利になることもあるため、市場価値は高いといえます。たとえば、一般企業の経理・事務、会計事務所の求人などでは、簿記2級を持っていることを応募条件にしているようなケースも存在します。

簿記2級を取得後、さらにキャリアアップをねらえる資格は?

簿記2級取得後にさらなるキャリアアップを目指すなら、会計税務系では税理士や公認会計士、金融・保険系に進むならFPの資格を取るのがおすすめです。それぞれ詳しく見ていきます。

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税理士・公認会計士の資格

税理士登録には、税理士試験合格等に加え、原則として会計に関する事務等に通算2年以上従事した実務経験が必要です。一方、公認会計士登録には、公認会計士試験合格に加え、3年以上の業務補助等、実務補習の修了等の要件があります。簿記2級を持っていることで、未経験でも会計事務所や税理士法人に転職し、試験勉強をしながら実務経験を積める可能性があります。実務経験は試験合格前でもカウントされるため、事前に実務経験を積んでおくと、合格後すぐに登録できるというメリットがあります。

マイナビ転職 税理士では、税理士登録に必要な実務経験を積むことができる転職先をご紹介しています。税理士業界専門のキャリアアドバイザーが、転職のご相談から法人・企業の紹介、給与交渉まで、転職活動を幅広くサポートします。ぜひご相談ください。

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FPの資格

金融・保険系の営業では、金融商品やサービスの提案が業務内容となるため、FPの資格を持っていることで説得力を高めることができます。簿記2級も財務データの分析などサービスの提案を行うために役立つ資格なので、FPとは相性がよいといえます。会計税務系に進む気がない場合は、FPも取得するのがおすすめです。

転職面接における具体的なPRポイント

転職面接では、経理経験者なら実務経験と取得資格、経理未経験なら熱意や将来のキャリアプランなどをPRするのがよいでしょう。それぞれのケースのPRポイントを具体的に紹介していきます。

経理経験者のPRポイント

経理職の転職面接におけるPRポイントは実務経験と取得資格です。経理経験者の場合は、前職以前における実務経験や実績を業務ごと(たとえば毎日の伝票処理、月次決算、四半期決算、年次決算、税務申告)に細分化して紹介したうえで簿記2級の資格を取得していることを説明すれば、実務経験と取得資格の両面からご自身をアピールできるでしょう。取得資格について説明する際は、資格を取得した事実だけでなく、簿記2級を取得しようと思った理由や簿記2級の学習を通じて得たことを含めて伝えるのがおすすめです。そうすれば、向上心や将来性のアピールにつながります。単に資格を取得した事実を説明する場合と比べて、転職面接における面接官の心象をよりよいものとする効果が期待できるでしょう。

経理未経験者のPRポイント

経理未経験者の場合は、実務経験をアピールすることができません。その代わり、経理職を目指して簿記2級を取得した理由、簿記2級で取得した知識を活かして即戦力として活躍したいという熱意、将来の目標といった内容をPRするとよいでしょう。
下記記事では経理の志望動機の書き方について詳しく解説しているので、こちらもご参照ください。

まとめ

簿記2級は、会計事務所・税理士事務所や一般企業の経理部から金融機関の営業やコンサルティング会社などに至るまで、多岐にわたる仕事で活用することができるうえ、簿記1級や税理士資格取得でさらなるキャリアアップも可能です。

これから簿記2級を受験される方、あるいは既に持っていて会計業界での就業を目指されている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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