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税理士になるまでの過程と税理士業界についての考察

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税理士になるまでの過程と税理士業界についての考察

この記事では、税理士を目指している方に向け、税理士になるまでの過程をお話しして、税理士業界の今後について述べたいと思います。今後、税理士になりたい方が増え、再び人気の職業になればという思いがありますので、考え方のひとつとして参考にしていただければと思います。

税理士になるまでの過程

税理士になる方法

税理士になるための主な方法は以下の3つになります(ほかにもありますが、ここでは省略します)。

①税理士試験5科目(会計2科目、税法3科目)に合格
②税理士試験の一部科目に合格 + 大学院で論文を書き一部科目の免除
③税務署に所定の年数以上勤務し、所定の研修を受ける

③の税務署勤務から税理士になる方は定年後に登録する場合が多く、若い時期に登録をめざす方にとっては ①、② の方法が一般的です。なお、②の方法については大学院で論文を書いて国の認定を受けることにより会計論文の場合は会計1科目を、税法論文の場合は税法2科目を免除できます。一般的には、負担の重い税法2科目を免除する人が多いです。

税理士になるためにかかる時間とお金

ご存じかもしれませんが、税理士になるためには時間、お金がともにかかるので並大抵の労力ではなることができません。

税理士試験1科目に合格するためには、毎週予備校の講義を受講し、それ以外の時間は仕事など絶対に外せないことを除き、すべてを自習にあてなければなりません。ほかの人と同じように遊んでいる時間はなく、いつも試験のことばかり考えて、勉強漬けの生活を1年間送って、やっと合格できるかどうかという大変難易度の高い試験です。

大学院も入学できれば科目免除が約束されているというわけではなく、入学後にしっかりと勉強しなければなりません。慎重に論文のテーマを選定し、文献をたくさん読んで深く勉強し、自分の考えを整理して文章化する作業は、税理士試験とはまた違う苦労があります。

私自身は5年弱の期間をかけて、以下の過程を経て税理士になっています。

●税理士試験の受験資格を得るための簿記1級の勉強
●税理士試験3科目(会計2科目、税法1科目)の勉強
●大学院で税法論文の作成

これらすべてを終えるまで、7,000時間以上を費やしています。また、税理士になるためにかかった予備校と大学院の費用を合わせると全部で 300万円弱のお金がかかっています。税理士になるためには、時間とお金が必要であることを理解しておかなければなりません。

受験者数の減少

実は、税理士試験の受験者数は年々減少傾向にあります。上記のように、税理士になるためには大変な労力(時間とお金)がかかるため、挑戦を躊躇する人もいることでしょう。特に税理士試験は1年に1回しか受験できず、どれだけ勉強してもその努力が必ず報われるとはかぎりません。

また、それ以外の理由として 、AI が税理士の仕事を奪うので、将来的に税理士の仕事はなくなっていくといわれていることが考えられますが、この点については、後ほど、私の考えを述べたいと思います。

税理士になりたい人が増えるために必要なこと

税理士試験の適正化

現状、税理士試験に理不尽な点があることは否めず、適正化の要望も出されています。私自身の経験として、ある科目の理論の問題の意図が非常にわかりにくく、その問い方では想定できる解答が4つ考えられるケースがあり、どのように解答するか非常に迷いました。解答欄は狭く、4つすべてを解答するのには不十分だったのですが、迷った末ぎゅうぎゅう詰めにして4つすべてを記述することにしたのです。

後で発表された出題のポイントでは、出題者が想定していた答えはその4つの中の1つだけだったようで、すべてを無理やり書いた自分は余計なことを書いたとして不正解にされるのではないかと気が気ではありませんでした。ただ、可能なかぎりの勉強はしていたため、結果的に合格できましたが、その年に合格できていた自分は運が良かったのかもしれません。

このように問題の指示が不十分で意図がわからないため、受験生が各々に問題の意図を解釈した結果、たまたま意図に合致したことを書いた人が正解になるということが起こりえるのが現状です。

従来、試験結果が不合格だった場合、結果通知には不合格のランク(A、B、C、D)が記述してあるだけでしたが、適正化の要望への対応としてか、2018年より各科目不合格だった場合は点数が明かされるようにはなりました(合格点の60点に対して、何点で不合格だったか記載があります)。ただ、採点基準は依然として明かされないようです。

そして、現状まだ受験生の答案用紙の開示には応じてもらえないということです。ほかの国家試験では解答用紙の開示請求に対応してもらえるものもあるので、税理士試験もそのようになるのが理想だと思います。不合格を経験することがまったくない受験生は少なく、1年間真剣に努力した方にとっては不合格になった原因がわからないということが一番辛いことなので、税理士試験に嫌気がさしてやめてしまう原因にもなるのではないでしょうか。

ですので、今後いま以上に税理士試験が適正化されることを願って已みません。

地方の人が受講できる大学院の増加

近年は、科目免除のために大学院に通う人も多く、人気がある大学院では倍率が数倍になるということです。

さて、大学院に通うためには自宅の近くに校舎がなければなりません。東京、大阪、名古屋などの大都市では税理士試験の科目免除に対応した大学院の数は多いのですが、地方では限られています。

実際私が住んでいる地域にも大学がなく、通うとなれば新幹線で1時間かけて東京に出なければならない状況でした。私は、幸い通信制の大学院に入学することができたので、基本的に年に数回だけ東京に通学するだけで済みました。講義はWeb で受講して単位を取り、修士論文の指導もメールで教授とやりとりすることで対応していただけました。

さて、税法2科目免除に対応した通信制の大学院は現状日本に1つしかないため、家の近くに大学の校舎がない地方在住の人にとっては需要を満たせていないと思うのです。具体的にどうすればよいかまではいえませんが、税法2科目免除に対応した通信制の大学院が増えることを願います。

税理士の今後

AI化の波の影響

さて、税理士は AI によって取って代わられる仕事といわれており、それが税理士試験の受験者数が減っている原因にもなっていると考えられます。

複雑な税金の計算など AI 以前に IT によって取って代わられている部分はあります。AI はさらに人間のように自ら考えることができるので、事務仕事である税理士業務はなくなるといわれているのだと思います。

たしかに、PC の中で完結するものについてはその傾向はあるとは思いますが、完璧ではありません。自分自身の元エンジニアとしての感覚でもあるのですが、AI に人間並みの認識力を持たせることには、限界があると思っています。たとえば、紙の資料を人間並みに正確に認識させるには、ほど遠い状態だと感じています。

それに、お客さまを相手にするコンサルティングなどの業務は、やはり人間でなければできないことなので、税理士の仕事がなくなるということはありえないと考えています。

時代と地域に合った対応

時代に合わせて、使えるものは最大限に活用していくべきだと思います。

IT、AI を味方につけて単純作業は任せることはもとより、考える必要があることについては AI が出す答えも1つの参考として、自分自身の考えと比較して、最終的には自分(税理士)が判断すればよいのではないでしょうか。

また、都会かそれ以外の地方かによって、IT、AI の浸透度には差があります。やはり都会ほど浸透が早く、地方では遅い傾向にあります。都会では IT、AI にすぐに置き換えられる仕事も、地方ではしばらく残る可能性もあるでしょう。地域ごとに税理士に対するニーズは異なるので、それぞれの地域に合わせた対応が必要になると考えます。

【プロフィール】

【プロフィール】

著者: 松井元

静岡県三島市の松井会計事務所に勤務する税理士。大学院で工学専攻を卒業後、自動車部品メーカーでエンジニアとして8年間働く。自分の頑張りが成果として見える環境で働きたいと考え税理士事務所に転職。34歳から税理士をめざして、働きながら税理士試験・大学院での税法論文作成を経て税理士登録。税務・会計と IT を使った経理効率化の両面でお客さまをサポートすべく奮闘している。

静岡県三島市の理系税理士、松井元の『税務・会計 & 業務効率化』の日々

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