税理士に学歴は必要?税理士試験や登録、実務の面から解説
税理士に学歴は必要でしょうか。今後、税理士試験を考えている人や税理士として活躍したい人にとっては気になる問題です。大企業を中心に学歴を重視する傾向にありますが、これは税理士業界も同じなのでしょうか。今回は税理士試験と登録、実際の活躍において学歴は必要かについて考えていきます。
目次
税理士試験に学歴は必要か
最初に、税理士試験に学歴が必要かどうかを確認しましょう。税理士試験の受験資格は2023年度以降、次のようになっています。
会計科目(簿記論・財務諸表論)
特になし
税法科目(法人税法、所得税法など税法の知識を問う科目)
次のいずれかに当てはまること
受験資格の種類 | 具体的な内容(どれか1つに当てはまれば受験資格あり) |
---|---|
学識による受験資格 | 大学または短大の卒業者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 |
大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者 | |
一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 | |
司法試験合格者 | |
公認会計士試験の短答式試験に合格した者(2006年度以降の合格者に限られます。) | |
資格による受験資格 | 日商簿記検定1級合格者 |
全経簿記検定上級合格者(1983年度以降の合格者に限られます。) | |
職歴による受験資格 | 法人または事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者 |
銀行・信託会社・保険会社等において、資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した者 | |
税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者 |
税理士試験を受けるのに学歴は不要
学識による受験資格だと、学歴が問われます。しかし「日商簿記検定1級に合格した」「会計事務所で補助業務に2年以上従事した」といった要件を満たせば、学歴がなくても税法科目の受験は可能です。
なお、現在の税理士試験については下記記事をご参照ください。
税理士の登録に学歴は必要か
税理士に登録するには、税理士試験の合格のほか、実務経験も問われます。この実務経験で学歴は問われるのでしょうか。
税理士の登録要件
ここで税理士の登録要件の全体像を見てみましょう。
現在、次のいずれかに当てはまれば税理士として登録できます。
ただし、1または2に該当する場合、租税または会計に関する事務に従事した期間(いわゆる実務経験)が通算して2年以上あることも求められます。
税理士登録の要件 | ||
---|---|---|
1 | 税理士試験に合格していること | 租税または会計に関する事務に従事した期間(いわゆる実務経験)が通算して2年以上あること |
2 | 税理士試験を免除されていること (学位による免除、国税従事者における免除) |
|
3 | 弁護士、弁護士となる資格を有する者 | |
4 | 公認会計士、公認会計士の資格を有する者 ただし、公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了した者 |
税理士の登録そのものに学歴は不要
税理士の登録そのものに学歴は不要です。もし学歴を問われるとしたら、実務経験を積む先である会計事務所や税理士法人などに就職するときだと思われます。
税理士事務所への就職・転職に学歴は必要か
税理士になるには基本的に、実務経験2年以上が必要とされます。そのため、税理士事務所での勤務経験が不可避です。事業会社も一つの選択肢ですが、「租税・会計に関する事務にどれだけ従事したか」が問われるため、在職証明書以外の書類も必要となります。そのため、税理士事務所に就職し、補助業務として実務経験を積むのが一般的な選択肢となります。
ここで気になるのが「就職の際、学歴が問われるかどうか」です。税理士事務所によっては、学歴をチェックするところもあるでしょう。税理士業務は常に勉強が求められるため「勉強に慣れているかどうか」「習熟度は高そうか」といったポテンシャルを見るためです。
しかし一般的に、税理士事務所が気にするのは次のような点です。
・税理士試験の合格科目があるか
・税理士試験の合格科目はどのような内容か
・税理士試験の合格科目がなければ、日商簿記検定試験の何級に合格しているか
税理士事務所での補助業務には、税務申告・記帳代行・税務相談のほか、年末調整や償却資産の申告などがあります。こういった業務に即対応するには、税務・会計の専門知識が必要です。そしてたいていの会計事務所は即戦力を求めています。こういった理由から、税務・会計の知識の度合いを示す合格実績を見るのです。学歴は、こういった要素をチェックした後の参考材料に過ぎません。
税理士の実務に学歴は必要か
税理士として登録した後、学歴が問われる場面はあるのでしょうか。結論から言うと「学歴がなくても問題ない」です。税理士登録後の仕事は実際、次のようなものとなっています。
税理士の中には中卒、高卒も
勤務税理士か開業税理士かを問わず、税理士の学歴や経歴はさまざまです。中には、高卒・中卒の税理士もいます。高卒の税理士でも、特定の税法分野を深く勉強し、誰から相談が来ても的確に答えられるほどの実力のある人がいます。
「今、税務をどれだけ勉強しているか」「今、税に関連する法令をどれだけ理解しているか」。学歴よりも、現在の税務に対する姿勢の方が、はるかに重要です。
税理士には研修義務規定がある
税理士の実務で大事なのは「税の法令や通達についての理解や知識」です。毎年の税制改正で、各税目が年々複雑化しています。知識のアップデートを常に行わないと、正しい税務処理を行えません。そのため、各税理士会は、会員である税理士に対し、36時間以上の研修を受講するよう義務付けています。
税理士は「研修を年36時間以上受講したかどうか」を問われますが、学歴を問われることはありません。
税理士としての信頼は対人能力がカギ
税理士の実務は、基本的に「対人関係」です。顧問先、在籍する税理士事務所の所長や同僚、税務署の職員など、あらゆる場面で人付き合いが求められます。ここで必要なのは次のような対人能力です。
・言葉を適切に選んでいるか
・説明はわかりやすいか
・相手の表情や場の雰囲気に配慮しているか
・発言するだけでなく相手の言葉にも耳を傾けているか
・お互いにとって適切な着地点を意識しているか
税務の知識は確かに必要です。しかし知識は、顧問先を守り、正しく申告納税を行ってもらうための手段に過ぎません。また知識があっても、相手を見ながら言葉を選ぶ配慮がないと、本来伝わるはずのものも伝わりません。
税理士の実務では、税務の知識以上に対人能力が求められます。これは学歴で得られるものではありません。日々のコミュニケーションを通じて少しずつ培われるものとなります。
税理士が学歴不問の転職先を探すならプロに相談を
今回は「税理士になるのに学歴は必要か」について解説しました。一言で言うと「税理士になるにも税理士としての実務にも、学歴はいらない」です。しかし、これはあくまで全体としての話に過ぎません。
税理士事務所それぞれの特徴は、実際かなり異なります。中には学歴を重視する税理士事務所もあるかもしれません。「転職先が何を重視するか」は、今後税理士になろうとしている人にとっては重要なポイントです。補助者として2年以上実務経験を積むのなら、安心して働けるところに行きたいものです。
学歴に不安を感じたときこそ、転職のプロの手を借りましょう。税理士業界に強い転職のプロに相談すれば、学歴不問、かつ自分の希望に合う税理士事務所が見つかる可能性が高まります。
「学歴を問われず、自分がやりがいをもって働ける税理士事務所に転職したい」。
そう感じたら、マイナビ税理士にご連絡ください。
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進路について適切なアドバイスをしてもらえました!自分の進路について明確な答えが出せていなかったものの、どの業種に進んだら良いかなど適切にアドバイスをしてもらえました。どういったキャリアを積んでいけばより市場価値を高められるのか、候補の会社がどう違うのかを具体的に説明していただけました。(30代/税理士)
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求人の提案力と面接のフィードバックが良かった!タイムリーな求人の紹介とフィードバックの提供が良かったです。面接前の情報提供では、自分のアピールしたい強みが、面接先企業のどこに符号しており、今後の展開をどう捉えているかの思考の整理をする際に役立ち、安心して面接を迎えることが出来ました。(30代/税理士)
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