経理の勉強は何から始める?初心者に必要な知識・資格・効率的な学習法を解説
経理を目指すなら勉強をしなくても良いのでは、とお考えの方も少なくありません。しかし、システム管理や法改正への対応、関係者への説明など、専門知識を必要とする業務に対応するには、常に学び続ける必要があります。
経理初心者の方であれば、まず財務・管理・税務の3つの会計領域から勉強を進めるのがベターです。今回は、経理の初心者が優先的に身につけたい知識・スキルや、おすすめの勉強方法まで解説します。
「経理に興味がある」「勉強と並行して働ける求人を探している」という方は、マイナビ税理士へぜひお声がけください。現状を見極めたうえで、最適なプランをご提案いたします。

監修
マイナビ税理士編集部
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目次
経理は勉強しないでも働ける?
結論からいうと、経理として長く働いていくためには「勉強」が不可欠です。もちろん、最初は勉強していなくても、日々の単純作業(伝票入力など)をこなせるかもしれません。
しかし、最近はAI(人工知能)の技術が進化しており、そうした定型的な作業はさらに自動化されています。将来的には、システムを管理する側の知識や、毎年のように変わる法律・税制に対応するための知識がなければ、経理としての価値を発揮するのは難しくなるでしょう。
また、取引先や社内の他部署の人に対し、経理処理の理由を説明する場面でも勉強で培った知識がなければ対応できません。自らのキャリアアップを考えても、常に新しい知識を学び続ける姿勢が大切です。
業務中に学べる範囲にも限りがある
「働きながら実務(いわゆるOJT)で覚えればいいのでは?」と思うかもしれませんが、業務中に学べる範囲には限りがあります。あなたが職場で教わるのは、あくまで「その会社で最適化したやり方」だからです。
つまり、使用する会計ソフトやツールも、その会社で使っているものだけに限定されるということです。これでは「木を見て森を見ず」の状態になり、経理業務の全体像が見えにくく、応用力や柔軟性に欠けたスキルになってしまう恐れがあります。
将来、転職などで環境が変わったときに「このやり方しか知らない...」と困ってしまうかもしれません。自らのキャリアを考えるなら、実務とは別に勉強をする意識を持ってください。
経理の初心者が勉強しておきたい3つの会計領域
経理の仕事を「森」だとすれば、まずはどのような木々で構成されているのか、全体像を知るのが第一歩です。初心者を含めて、経理が扱う会計業務は以下に挙げた3つの領域となります。
- 財務会計
- 管理会計
- 税務会計
財務会計
財務会計とは、会社の外にいる株主や銀行(債権者)などに向けて、「うちの会社は今、こういう経営状態です」と報告するための会計のことです。経理担当者が日々行う業務の大半は、この財務会計に関連しています。
報告の際は、主に「貸借対照表」、「損益計算書」、「キャッシュフロー計算書」といった財務諸表(決算書)を使います。いずれも、会社法や金融商品取引法などにもとづいて作成するため、経理担当者はそのルールをしっかり勉強しなければなりません。
管理会計
管理会計とは、財務会計とは逆に、社内の経営者や各部門の管理者(マネージャー)に対して開示する会計のことです。「社内向けの報告書」とイメージするとわかりやすいでしょう。
- 原価計算(製品1個作るのにいくらかかったか)
- 損益分岐点分析(どれだけ売上があれば赤字にならないか)
- 経営分析 など
上記を通じて、経営陣が「今、自社の経営はどうなっている?」と判断するために必要な情報を、正確に集計してわかりやすく報告する役割を担います。こうした分析や計算手法の勉強も、経理で働くうえでは必要となってきます。
税務会計
税務会計とは、財務会計で計算した会社の利益(儲け)をもとに、納めるべき税金の額を計算し、国や地方公共団体に申告・納税する一連の手続きを指す会計のことです。経理担当者は、法人税、消費税、住民税、事業税など、会社が納める税金を正確に計算します。
少しややこしいですが、財務会計で計算した「利益」と、税務会計で計算する「所得(税金の計算対象となる儲け)」は必ずしも一致しません。勉強によって、財務会計のルール(会計基準)と、税務会計のルール(税法)とで、一部の費用の捉え方が異なるといった知識をインプットしなくては対応が難しい領域です。
経理を目指すならまず最優先で身につけたい3つのスキル
会計の3つの領域(森)には、それぞれに共通する経理の根幹となる以下のスキルがあります。
- 簿記の知識
- Excelの操作スキル
- コミュニケーション能力
将来的にどのような応用(財務分析、税務申告、経営企画など)に挑戦するにせよ、いずれのスキルも絶対に欠かせません。最初に勉強すべきだと考えて、不足している知識から学んでください。
簿記の知識
簿記とは、会社のお金の動きや取引を、「仕訳(しわけ)」というルールに沿って記録していく技術のことです。経理の仕事では、毎日発生する取引を「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」という2つの側面にわけて記録します。
この仕訳を勉強していないと、最終的な決算書の作成はもちろん、経営分析もできません。「売掛金」、「買掛金」、「減価償却」といった経理特有の専門用語も、簿記を学べばその意味がスッと理解できます。
「今は会計ソフトが自動でやってくれるのでは?」と思うかもしれませんが、ソフトがどのような処理をしているのかの意味を理解していなければ、エラーが起きたときやイレギュラーな取引が発生したときに対応できません。
Excelの操作スキル
経理業務では、会計ソフトと並んでExcelを頻繁に使います。売上データの集計、経費の分析、予算管理、各種報告書の作成など、ほぼすべての場面で登場するといっても過言ではありません。
また、会計ソフトから出力したデータ(CSVなど)をそのまま使うケースは少なく、基本はExcelで加工・分析します。SUM関数(合計)やVLOOKUP関数(データ抽出)、ピボットテーブル(データ集計)といった基本機能を勉強しておかなければ、作業効率が低下してしまいます。
コミュニケーション能力
経理担当者は、社内の他部署の社員や経営層から、経費精算の方法や予算の進捗など、経理に関する質問を日常的に受けます。その際、経理知識のない相手に対して、専門用語を並べ立てるのではなく、かみ砕いてわかりやすく説明する力が求められます。
また、決算期になれば、税理士や公認会計士(監査法人)といった外部の専門家とのやり取りも発生します。日ごろから周囲と良好な関係を築き、円滑に業務を進めるためのコミュニケーション能力を勉強しておくのもまた大切なのです。
では、簿記やExcelなどのスキルを身につけるには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
経理初心者におすすめの5つの勉強方法
経理初心者におすすめの勉強方法は、主に以下の5つです。
- 書籍を使って独学する
- 働きながら覚える
- オンラインで学習する
- 専門スクールに通う
- 資格試験を目指す
書籍を使って独学する
書籍を使った独学は、自らのペースで勉強できるもっとも手軽な方法です。経理や簿記に関する本は数多く出版されており、1万円もあれば数冊そろえられます。なかでも初心者向けに書かれた本は、イラストや図解が豊富で、専門用語もわかりやすくおすすめできます。
まずは「入門」、「かんたん」と書かれた本を1冊選んでみましょう。ただし、書籍を最初から最後まで読み通すのは意外に根気が必要です。疑問点が出てきたときにすぐに質問できず、途中で挫折してしまう可能性がある点はデメリットといえるでしょう。
働きながら覚える
実際の業務を通して覚えるOJT(On-the-Job Training)であれば、日々の伝票処理や仕訳入力、経費精算といった業務そのものが勉強になります。学んだ(指示された)内容をすぐに実践するため、知識が非常に定着しやすいのが最大のメリットです。
また、当然ながら給与をもらいつつ学べます。ただし、先に述べたように、学べる知識がその会社のやり方や使用ツールに限定されがちで、体系的な知識は身につきにくいというデメリットもあります。忙しい職場では、基礎から教えてもらう時間がなく、ただ作業をこなすだけになってしまう点も考慮しなくてはなりません。
オンラインで学習する
近年は、オンラインで経理や簿記を学べるe-ラーニングのコンテンツも充実しています。スマホやタブレットだけあれば通学の手間がかからず、自宅でのリラックスタイムや通勤時間を活用して効率よく勉強できるのが魅力です。
サービス内容も多様で、1対1の個別指導に対応しているもの、初級・中級・上級と難易度を選べるもの、簿記資格の取得に特化しているものなどさまざまです。ただし、独学と同様に「いつでもできる」と思うと後回しにして挫折しやすい側面もありますし、サービスを利用するにはある程度のコストもかかります。
専門スクールに通う
経理について専門的に学べる資格学校やビジネススクールに通う勉強方法もあります。決まった時間に決まった場所へ行くだけで、気分を切り替えて勉強に集中できるため、「独学だとなかなか続かない...」という人には適しています。
魅力は、分からない内容があればその場で講師に直接質問でき、漏れなく体系的に学べる点です。ただし、ほかの勉強方法と比べてまとまった費用がかかりますし、通学の手間がかかるのもデメリットとして挙げられます。
資格試験を目指す
「資格取得」という明確なゴールを設定して、勉強の集中力を高めながら学ぶ方法です。なかでも「日商簿記検定」の資格は、業務未経験であっても経理への熱意や基礎知識をアピールする材料になるため、就職や転職でも有利に働きます。
資格取得を目指す場合、専門スクールに通えば、試験の傾向と対策を踏まえた体系的なカリキュラムで学べるため、独学よりも効率が良いです。もちろん、独学やオンライン学習でも合格を目指すのも可能です。ただし、いずれの方法でも受験料や(スクールに通う場合は)受講料、試験会場への交通費といったコストはかかります。
経理を目指すなら勉強して取得したい資格
経理初心者や未経験者の方がまず目指したい、実務に役立つ資格は以下のとおりです。
- 日商簿記検定2級・3級
- ビジネス会計検定
- 経理事務パスポート検定
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
- 給与計算実務能力検定
経理としてのキャリアを築くうえで、資格は知識とスキルを客観的に証明してくれる武器になります。資格についてより詳しくは、以下のページでまとめているのでぜひご覧ください。
経理の勉強を効率よく進めるためのポイント
せっかく勉強をはじめても、効率が悪かったり、途中で挫折してしまったりしては意味がありません。経理の勉強を効率よく進めるためのポイントは、以下の3つです。
- 目標は明確にしてから勉強を始める
- 覚えた知識を使える状態にする
- 実際の帳票や書類に触れて学ぶ
目標は明確にしてから勉強を始める
経理の勉強をはじめる際は、「いつまでに何を達成するか」という明確な目標を設定してください。目標が曖昧だと、「今日は疲れたからいいや」と後回しになり、挫折しやすくなります。
例えば資格取得であれば試験日から逆算して、合格までに何が必要かをリスト化するだけでもスケジュールはグッと具体化できます。「税務・管理会計を覚える」であったとしても、以下のように分割可能です。
1. 仕分け(簿記3級)
2. 決算の流れ(簿記2級)
3. 会計ソフトの操作(実務)
4. 税務・管理会計(応用)
小さな目標を立て1つひとつクリアしていけば達成感を得られますし、何をすべきか悩まなくなるため時間を無駄にしなくて済みます。
覚えた知識を使える状態にする
経理の勉強は、実務経験と並行して進めればさらに理解度が深まります。「習うより慣れよ」と「習ってから慣れる」を同時に行うイメージで、演習を増やすだけでも効率は変わります。
日々の伝票処理や仕訳入力をただの作業としてこなすのではなく、「なぜこの処理をするの?」、「この勘定科目はどういう意味だろう?」と常に考え、疑問を持つ習慣をつけてください。なかでもExcelはすぐに触れられる良い教材でもあるため、家でも積極的に触れてみましょう。
実際の帳票や書類に触れて学ぶ
教科書だけでなく、請求書・領収書・振込明細などの実物に触れながら勉強すると、取引内容と仕訳の関係をより具体的に理解できます。例えば、架空の会社データを使って「この請求書をどう仕訳するか」を考える練習をすると、実務感覚が身につき、知識が現場で生きる形になるといった具合です。
ほかにも、先輩が作成した決算整理仕訳を見ながら会計基準を確認するのも良い勉強方法です。知識だけでは記憶が抜け落ちやすくなるため、経験を通じて覚える癖もぜひつけてください。
経理の勉強と両立できる就職・転職先選びも重要
これから経理職を目指す方や、経理として働きはじめたばかりの方は、勉強と実務をどう両立するかが課題です。なかでも決算期(3月~5月頃)は忙しくなり、勉強時間を確保するのが難しくなります。
もしこれから就職・転職先を選ぶのであれば、以下がチェックポイントになります。
- 未経験者の教育体制が整っているか
- 資格取得を支援する制度(受験料補助や報奨金など)があるか
- 繁忙期以外の残業はどれくらいか
もし、「働きながら勉強も続けたい」そんなご希望をお持ちなら、マイナビ税理士にお任せください。あなたの現在の学習状況やご希望を詳しくうかがい、ベストな働き方をご提案いたします。
まとめ
経理の初心者がまず最優先で身につけるべきスキルは、「日商簿記3級(できれば2級まで)」の知識と、「Excel」の操作スキルです。2つの基礎を並行して学べば、日常の経理業務から月次・年次決算まで、段階的に実務に対応できる経理パーソンへと成長できます。
勉強方法は、書籍での独学、オンライン学習、専門スクール、資格試験への挑戦などさまざまです。大切なのは、実務と勉強を切り離さず、両方を連動させながら知識を深めていくことです。
資格の勉強と両立できる職場探しは、マイナビ税理士がサポートします。まずはあなたの「現状」をお聞かせください。そこから最適なプランを一緒に見つけ出しましょう。
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