税理士有資格者が事業会社の経理部に就職するメリット・デメリット
税理士試験を突破した税理士有資格者のキャリアの王道は、税理士事務所や税理士法人で一定期間修行した後に独立開業することです。
しかし税理士業界の競争激化などにより、現在の税理士という職業は、昔ほど“食える職業”ではなくなってきているのも事実でしょう。
このような背景から、税理士有資格者の中には、あえて開業税理士となることや税理士事務所への就職を避け、事業会社の「経理部」などへの就職を希望する人も多くいます。
ここでは税理士有資格者が事業会社の経理部で働くことを選択した場合に、どのようなキャリアプランを描けるのかについてご説明します。
このようなお悩みはありませんか?
- 事業会社の経理部でどのような仕事があり、スキルや経験を活かせるのか知りたい
- 税理士の圧倒的な知識量を経理の業務で役立てて、新たなキャリアプランを形成したい
- 積み上げてきた知見と、将来的な独立を踏まえて別のキャリアを形成したい
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監修
マイナビ税理士編集部
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税理士事務所(税理士法人)以外への就職も検討する価値あり!
まずは税理士業界を取り巻く状況について、簡単に確認しておきましょう。 一昔前まで、税理士が顧客から受領する税理士報酬について、税理士会の「税理士報酬規程」というものがありました。
この規程自体は報酬の上限額を定めるものですが、多くの税理士が報酬を決めるにあたりこの規程を参照していたのです。
つまり税理士報酬については、ある程度横並びの状態であったといえます。
ところが、この税理士報酬規程は2002年4月1日に廃止されて税理士報酬が自由化されることになり、税理士間の競争に拍車がかかりました。
加えて、インターネットを活用した低コストの集客方法の定着や、税理士を紹介することで手数料を得る紹介業者が激増したことで、税理士業界の競争環境は激化の一途を辿っています。
そのため、現在では税理士資格を取得し開業しても顧客開拓は容易ではなく、税理士業の収益性はかつてよりも低下しているといえるでしょう。
その一方で、税制の複雑化により税理士職業賠償責任保険の適用件数や金額は増加するなど、税理士業務のリスクは増しています。
このような事情を踏まえると、税理士の職業としての魅力は以前に比べ相対的に低下したといえるかもしれません。
こうした中、税理士試験に合格しても税理士登録せず、事業会社の経理部などに就職する人も一定数いるのが現状です。 一見もったいないとも思えるこの選択ですが、税理士試験で培った知識は、ケースによっては事業会社の経理部でも十分に生かすことができます。
以下でご説明するように、税理士試験を突破した税理士有資格者の選択肢として、事業会社の経理部への就職というのも一考の余地があるでしょう。
事業会社の経理部に就職するメリット
前述のように、事業会社の経理部においても、税理士試験で学んだ知識は十分に活用することができます。
特に必修科目である会計2科目や、法人税、消費税などは会社の経理でも必要となる知識です。
一般論として、これらの分野で税理士有資格者と同等の知識を有している人は非常に稀といえます。
そのため、会計・税務知識以外のビジネス・スキルも高めていければ、税理士有資格者は評価・待遇面でも優遇される可能性が高いでしょう。
以下では会社の規模や業歴といった観点から3つのケースに分け、それぞれ仕事のやりがいや活躍するための条件などについて解説します。
大手企業で高度な財務・税務戦略の立案に携わる
大企業の経理部に就社するケースです。
大企業であるため入社難易度は高くなりますが、安定した雇用と高い給与をもらえる可能性が高いところが魅力でしょう。
また、仕事のやりがいという面では、一般的な中小企業では用いることの少ない、高度な会計・税務面の知識を発揮できる場があることが挙げられます。
例えば大規模なM&Aやグループ内の組織再編、連結納税(グループ通算制度)など、高度な会計・税務知識が要求される業務に携われることもあるでしょう。
これらに対応するには、会計面では企業結合会計基準や連結会計基準、税務面では組織再編税制など、非常に難易度の高い分野の知見を高めていく必要があります。
会社の財務面や税務面(納税額)に与える影響も大きいため、事業面の取り扱いを踏まえた上で財務改善や税負担の少ないスキームなどを検討するのは、大変やりがいのある仕事といえるでしょう。
また、租税特別措置法に設けられている、主に大企業向けのさまざまな制度の活用を検討する場面もあるでしょう。
具体的には研究開発税制や賃上げ投資促進税制、オープンイノベーション促進税制などが挙げられます。
これらは制度自体が複雑であるのに加え、毎年のように改正が行われるため、常に税制改正の内容をチェックしておくことが必要です。
自社の事業内容をよく理解した上で、これらの税制の適用が可能かどうか検討し、大きな節税効果を得ることができれば評価は非常に高まるでしょう。
税理士有資格者であることは、人事評価にもプラスに捉えられることが多いはずです。
日常業務に加えて上記のような高度な業務にも対応できれば、昇進にも繋がっていくことでしょう。
中小企業で“番頭”的な立ち位置を確立する
中小企業の経理部(中小企業の場合、総務部などのセクションに経理の仕事が包含されていることも多くあります)に就職するケースです。
中小企業の場合、入社難易度は大企業よりも相対的に低い反面、大企業ほどの待遇は望めないことが一般的でしょう。
日本企業の99.7%は中小企業であるといわれています。
企業ごとの特性はさまざまですが、一般的に中小企業の経営者は“数字が苦手”なことが少なくありません。
特に簿記や会計など、本来ならば企業経営において必要不可欠なこれらの知識を十分に有している中小企業経営者は、少数派といえるでしょう。
そのため、簿記や会計に関する高い知見を有する税理士有資格者の存在は、大企業に勤める場合以上に重宝されます。
数字を扱う経理には自然と会社内の重要な情報も集まるため、経理部内で存在感を発揮できれば、会社経営の中枢に立つことができるかもしれません。
さらに、中小企業向けの優遇税制を駆使するなどして会社の節税にも貢献できれば、会社オーナーからの信頼も高まるでしょう。
その上で、オーナーと円滑な人間関係を築ければ重要な役職に登用されるなど、出世できる可能性は高いといえるのではないでしょうか。
また、多くの中小企業ではオーナーが比較的高齢であることが多く、「事業承継」に関する取り組みが待ったなしの状況となっています。
税理士試験の試験科目で相続税法を選択していたなど相続税の知識があれば、オーナーから事業承継について助言を求められるといったこともあるかもしれません。
スタートアップ企業やベンチャー企業のCFOを目指す
スタートアップ企業やベンチャー企業の経理部に就職するケースを考えてみましょう。
これらの会社で社会に認識され、事業が軌道に乗り始めると急速な勢いで成長していきます。
この成長期には経営のダイナミズムを体感でき、他のスタートアップ企業の買収(M&A)などの業務を経験できる可能性もあるでしょう。
事業が急成長するに従い、会社の資金繰りや投資判断など、会計や税務の知識が求められる場面が増えてくるはず。
そこでは、税理士有資格者の持つ会計・税務知識が大いに役立ちます。
また、ときにはDX投資促進税制などの優遇税制について、助言を求められるといったこともあるかもしれません。
さらにその先には、IPO(Initial Public Offering:新規株式公開)やベンチャーキャピタルからの大規模な資金調達などが待っている可能性があります。
そこでは、すでに上場している大企業や成熟期に入っている中小企業などでは経験できない、レアな仕事に携われるチャンスがあるでしょう。
こうした業務で存在感を発揮し、社内や経営陣の信頼を得られれば、業務を主導するCFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)的なポジションを狙うことも夢ではないかもしれません。
ただし、求職段階でこういった会社に巡り合えるかは運次第といえます。
また、事業が軌道に乗らず行き詰ってしまう会社も多い点には留意が必要です。
なお、規模が小さいうちに入社する場合は、中小企業と同じく経理以外の仕事にも携わることになるかもしれません。
事業会社の経理部に就職するデメリット
ここまで、事業会社の経理部に就職する意義やメリットについて説明してきました。
続いて、デメリットについても触れておきます。
税理士が事業会社の経理部に就職する最大のデメリットは、何といっても申告代理や税務相談など、税理士の「独占業務」を行えないことです(もちろん、社内の申告業務に携わることは可能です)。
また、どうしても経験できる仕事が所属会社の業務に限られてしまいます。 そのため、税理士事務所で働くよりも、さまざまな業種に関する知見を身につけることが難しく、直面する税法規定なども限定される可能性が高いでしょう。
特に大企業や規模の大きい中堅企業では業務が細分化されていて、一定期間はルーティンワークが中心になる可能性もあります。
待遇・報酬面から見ると、中小企業では他の従業員とのバランスからも高給は望めない可能性があります。
スタートアップ企業やベンチャー企業でも、会社が軌道に乗るまでは同様と考えられるでしょう。
また、大企業では周りも優秀な人材が多いため、税理士有資格者でも必ず出世できるわけではありません。
出世して高給を得るためには、管理能力など他のビジネス・スキルも高める必要があります。
さらに、M&Aや事業承継など独立開業して携わっていれば高額の報酬がもらえるような仕事を成し遂げても、それと同等の報酬をもらえることは通常ありません。
もちろん、その後の評価・出世には好影響があるかもしれませんが、同じ業務と考えれば少し寂しさがあるかもしれません。
まとめ
税理士有資格者が事業会社の経理部に就職することには、安定した雇用や相対的に高い給与を得られる可能性がある、一般的な税理士事務所では経験できない業務に携われる可能性があるなどのメリットがあります。
その一方、税理士としての活動は原則できないというデメリットもある点に注意してください。
また、年齢が高くなれば税理士事務所への就職も難しくなってきます。
この場合、税理士としてのノウハウを身に着けることが困難となり、開業税理士として独立できなくなるかもしれません。
事業会社の経理部への就職を検討する際は、将来的な独立開業の展望など、自身のキャリアプランをよく考えながら選択していく必要があるでしょう。
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