【例文あり】税理士法人に転職する志望動機の書き方とポイント

【例文あり】税理士法人に転職する志望動機の書き方とポイント

「今の税理士事務所から別の職場に転職したい」「業界とは無縁の環境で仕事をしていたが、働きながら税理士資格取得を目指したい」など、税理士法人への転職を検討している人にとって重要なポイントが、「志望動機(理由)」です。

税理士法人への転職を成功に導くためには、業界の特性を反映した「志望動機」を作成し、面接で効果的にアピールしなければなりません

そこで今回は、税理士法人への転職活動時に重要な役割を果たす「志望動機」の決め方について解説します。あわせて、志望動機の記載例・面接時の注意点も紹介するので、最後までご一読ください。

志望動機の書き方に悩んでいる方、面接に自信がない方は、マイナビ税理士のキャリアアドバイザーにご相談ください。専任のキャリアアドバイザーがあなたの強みやスキルを明確にし、志望動機や面接対策などの支援で成功への第一歩を後押しいたします。

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税理士法人に転職するために面接や志望動機で必要なこと

税理士法人に転職するために面接や志望動機で必要なこと

現在、税理士業界は人材不足の課題を抱えているため、税理士法人の多くが人材育成体制を充実させ、実務経験の有無を問わず素質のある人材を積極的に採用しようという気運が高まっています。

ただ、「転職売り手市場だから希望すればどこでも採用される」と油断してはいけません。なぜなら、税理士法人ごとに規模・取扱い業務内容・採用予定人材に求めるスキルなどの諸条件が異なるからです。

つまり、税理士法人への就職・転職を成功させるためには、「当該税理士法人のニーズに自分が適した人材である」ということを適切にアピールするのがポイントになります(もちろん、自分の希望を捻じ曲げてまで税理士法人のニーズに合わせる必要はありません。ご自身が入所したいと思える税理士法人を選択するのは大前提です)。

そこで、まずは税理士法人への転職を成功に導くために必要な面接・志望動機のポイントを3点紹介します。

1.税務を志望する動機をまとめる
2.当該税理士法人への入所を希望する理由を明確化する
3.アピールできるスキル・経歴・強みを洗い出す

税理士法人を志望する動機をまとめる

税理士法人への転職・就職活動をスタートするときには、「なぜ税理士資格を取得したのか(したいのか)」を明確化するところからはじめましょう。

その際、もし税理士を志望する動機を上手く言語化できないのなら、税理士の業務内容から逆算をして志望動機を作成するのがポイントです。

たとえば、「税理士になれば税務相談サービスでクライアントの業務改善を実現できる」という事実に注目して、「税理士としてクライアントに適切な税務相談サービスを提供し、業績改善・業績向上に役立ちたい」という動機付けをするようなイメージです。

税務相談だけではなく、税務代理・税務書類の作成・各種コンサルティングサービスなど、税理士の職務内容は多岐にわたります。

就職・転職活動を開始するときには、「税理士になるとどのような職務に従事できるのか」を確認したうえで、志望動機に反映させましょう

税理士の仕事内容について詳しくは、以下の記事で解説しています。

転職先の税理士法人に決めた理由を明確にする

税理士法人への就職・転職活動を行うときには、「なぜ当該税理士法人への就職・転職を希望したのか」について明確な理由を提示しましょう

なぜなら、税理士法人によって規模・職務内容・クライアント層などがまったく異なるので、当該税理士法人を選択した理由が明確であるほど採用担当者からの印象がよくなるからです。

たとえば、当該税理士法人で取り扱っている主幹業務とご自身のキャリア・職務経験が重なっているのなら、即戦力としてのアピールに役立つでしょう。

また、ほかの税理士法人にはない当該税理士法人ならではの差別化ポイントを発見できたのなら、他事務所との差別化ポイントに魅力を感じたことを志望動機に挙げるのも効果的です。

税理士法人への就職・転職活動時には、「税理士資格を取得した理由」だけにとどまらず、「税理士資格を活かして当該税理士法人で働きたい理由」まで踏み込む必要があります。

就職・転職活動時には、各税理士法人の業務内容をホームぺージなどで確認するといった、入念な事前準備を怠らないようにしてください。

アピールできるスキルを洗い出す

希望する税理士法人への就職・転職活動を成功に導くためには、自分自身のキャリアを見直して強みになるスキル・実務経験などを洗い出すのがおすすめです。

これは、「自分を採用すれば当該税理士法人にどのようなメリットが生じるのか」という視点に基づくアピールとなります。

税理士法人の就職・転職時に役立つスキルや経歴は次の通りです。

・税理士としての実務経験
・経営に関する知識・ノウハウに精通している
・外国語力
・税理士試験の成績
・一般事業会社の勤務歴

これらのスキルと税理士法人のニーズが合致すれば即戦力としての採用が期待できるでしょう。

また、このような特別なスキルを有していない場合でも、真面目さ・誠実さ・今後の成長可能性をアピールできれば、人材不足の懸念がある税理士業界では充分採用圏内に入ってきます。

したがって、税理士法人への就職・転職活動の成功可能性を高めるのなら、「自分のこれまでのキャリアを見直してアピールポイントをピックアップしたうえで、不足があるのなら熱意・やる気でカバーする」という戦略が効果的だといえます。

税理士に求められるスキルや知識について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

税理士法人に転職するための志望動機対策

税理士法人に転職するための志望動機対策

税理士法人への就職・転職活動を成功に導くためには入念な志望動機対策が不可欠です。税理士法人ごとに求める人材像が異なり、画一的な志望動機はほとんど役に立たないからです。

そもそも、税理士法人には、いわゆるBIG4と呼ばれる大手税理士法人・準大手中堅税理士法人・小規模税理士法人など、さまざまな規模の税理士法人が存在します。

即戦力になる人材を求めている税理士法人もあれば、会計事務所の勤務歴のない未経験者を採用して社内育成予定などさまざまです。

ですから、税理士法人の転職・就職活動に注力するときには、次の2点に注意をして志望動機を工夫して対策するのがおすすめです。

1.長期的な視点で志望動機を作成する
2.自分の年齢を強みとして活かす

長期的な視点で志望動機を作る

志望動機を作成するときには、中長期的な視点をもつのがポイントです。アピールできることは、「今自分は何ができるか」だけではないからです。

「数々の経験を経て数年後どのようなキャリアを形成できるか」「実力をつければどのような恩恵を税理士法人にもたらすのか」までアピールできます。

そもそも、採用予定の人材の年齢・配属部署によって税理士法人側が求めるスキルは異なります。たとえば、税理士資格を取得して間もない人材に即戦力レベルのスキルを求めても意味がないのは明らかでしょう。

したがって、年代別・部署別に求めるスキルを把握したうえで、それに合わせた志望動機対策を練ることが重要だと考えられます。

税理士法人の就職・転職採用では、現在の知識・スキルだけではなく、今後その人がどう伸びていくのかなどの成長可能性もチェックされるので、数年後・十数年後のキャリアプランを明確にしましょう

自分の年齢も強みとして生かす

志望動機を考える際には、自分の年齢も強みとして生かすのもポイントです。

たしかに、「有利な条件で転職するなら30代半ばまで。年齢が若いほど転職市場では有利、年齢を重ねるほど求人募集は少なくなる」といわれることがあります。

一般事業会社への転職市場では、いわゆる「35歳限界説」が妥当するため、30代以上の求職者の多くが不安を抱えるのは仕方のないことです。

ただし、人材不足の課題を抱えている税理士業界の転職事情は一般事業会社とは大きく異なります。

「年齢を重ねているからネガティブ評価を下される」というわけではなく、むしろ、年齢・キャリアを重ねていることがプラスに働くこともあるということです。

たとえば、30代後半から40代前半の人の場合、10年以上の社会人経験・実務経験を転職活動時にアピールできるはずです。

税務事務所の勤務歴・一般事業会社における管理職経験など、税理士法人への転職活動に役立つスキル・経験は少なくないでしょう。

ただし、ご自身の実務経験・専門知識が、転職希望先の税理士法人のニーズに合致していなければ意味がありません。

たとえば、法人部門の求人募集に対して酒税法関連業務のスキル、相続税(資産税)部門の求人に対して大手監査法人におけるコンサルティング経験をアピールしてもミスマッチが生まれるだけです。

年齢を重ねた求職者は、今までの実務経験を活かせる求人案件にフォーカスすれば税理士法人への転職可能性を高められるでしょう。

税理士法人の志望動機を例文で確認

それでは、税理士法人への就職・転職活動で役立つ志望動機の記載例を紹介します。

採用担当者から高評価を受けやすい要素・低評価に繋がりやすい要素を整理しましたので、志望動機作成時にお役立てください。

OK例

私が貴事務所を志望する理由は、事業の継続発展のために顧客を助けて、共に成長できる仕事に携わりたいからです。

大学で税金の理解を深めるにつれて、税理士として任される仕事の専門性の高さに気づきました。そして、貴事務所の「顧客と共に成長できる」という経営方針のもとでなら、複雑かつグローバル化する税務の領域に挑戦することで成長でき、プロフェッショナルになれると感じています。

私は、大学時代で培ってきた英語力とコミュニケーション能力をベースに、今後も成長を続けるお客様の力強い味方であり、よきパートナーとなれる税理士として貢献したいと考えております。

私が貴事務所を志望する理由は、高齢化によって需要が伸びる相続・事業継承という領域でお客様をサポートできる税理士になりたいからです。

営業部として積み上げてきたお客様に寄り添うコミュニケーション能力と親しみやすさで、お客様の高い評価と満足度を実現し、貴事務所が掲げる「会社を守る」という経営方針に貢献したいと考えております。


【良い例】

・経営方針に共感する
・現在保有するスキル・実務経験を具体的に記載する
・これから経験したい職務内容・形成したいキャリアプランを明確にする
・自分のスキル・成長によってどのような貢献ができるかを具体化する
・真面目さ、熱心さ、コミュニケーション能力などの性格面のアピール
・現在の社会的課題に配慮している(AI化など)

税理士は高度な専門職ですが、独立開業するのではないのですから、転職活動時には「税理士法人という組織に入所させてもらう」という視点を忘れてはいけません。

たとえば、以下に挙げたNG例のように自己都合・身勝手な志望動機では、人格面に問題があると評価されて採用に至らない可能性が高いでしょう。

NG例

私が貴事務所を志望する理由は、取得した税理士の資格を生かし、活躍できる場であると感じたからです。

また、充実した研修制度によって知識やスキルを身につけられ、成長を感じられると思いました。

大学時代で培ってきた税金の知識を活用し、お客様と貴事務所に貢献したいと考えております。

私が貴事務所を志望する理由は、各種休暇制度が整っており、ワークライフバランスを整えながら働けると感じたからです。

貴事務所のほかに受けた税理士法人様では採用していただけず、悔しい思いをしました。

税理士として働くことを考えると、安定した職場が丁寧な仕事につながると考えております。


【悪い例】

・福利厚生面を最重要視している
・ワークライフバランスを整えたい
・当該税理士法人を選択した理由が不明瞭
・ほかの税理士法人に採用されなかったなどの経緯を記載している

こうした悪い例とならないように、「この人材ならぜひ迎え入れたい」と採用担当者に思わせるように、「当該税理士法人を選択した理由」「入所して何がしたいのか」「入所してからの成長可能性」を前向きな内容で志望動機に掲げてください。

税理士法人への転職は志望動機と合わせて面接対策もおこなう

税理士法人への転職は志望動機と合わせて面接対策もおこなう

税理士法人では採用の基準としてコミュニケーション能力を重視するところも多いため、面接対策は重要です。

また法人といっても、一般の企業と異なる税理士法人ならではのものもあるので注意が必要です。

そこで、税理士法人ならではの面接対策を以下の4点にわけて紹介します。

1.面接の服装
2.前職の退職理由
3.前職までの経験
4.積極的に質問する

面接の服装

税理士法人の面接に向かう服装は、雰囲気・要望に合わせるのがベターです。

そのような場合、服装は、男性の場合はスーツにネクタイを基本とするとともに、その色味にも注意が必要です。

スーツは派手な色や模様が付いているものは避け、無地で色は黒か紺がよいでしょう。ネクタイも落ち着いた色や柄のものを合わせます。

女性の場合はパンツでもスカートでも構いませんが、上はシンプルなジャケットを着用したほうがよいでしょう。

退職理由

税理士法人では社員に長く働いてもらうことを望んでいるので、一般企業と同じように前職の退職理由を細かく聞かれることも多くあります。

一般企業に勤めながら税理士の資格を取得し、税理士として経験を積んでいきたいという理由の転職であればそのまま伝えて問題ありません。

また、前職が個人経営の会計事務所の場合は、ステップアップや安定を求めての転職ということでも問題ないでしょう。

ただし、前職に不満があって退職された場合でも、前職について悪く言うことは避けるべきです

前職までの経験

税理士法人の場合は、年齢ごとに求めるスキルが異なることが多いです。

そのため特に40代後半以降 の人は税理士経験だけでなく、部下や後輩への管理・指導経験やマネジメント能力がわかる経験をアピールできるように準備しておきましょう。

また、法人部門や相続税(資産税)部門などに特化した部署の場合は、その範囲の経験をどれだけ積んでいるかを整理して話せるようにしておくことも重要です。

質問は積極的にする

面接で質問を積極的にすることは、その税理士法人への熱意として好意的にとらえられることが多いです。

ただし、あらかじめ税理士法人のことを研究していればわかることを質問することは、逆効果につながるので注意が必要です。

税理士法人の面接対策は、以下の記事でより詳しく紹介していますので参考にしてください。

税理士法人の現状

税理士法人の現状

以前とは異なり、現在では、多くの税理士法人が積極的に求人案件を出して人材確保に努めるようになっています

税理士法人専用のホームページだけではなく、就職・転職サイト、ハローワークなど、いろいろな媒体を活用して採用活動に注力しているのが実情です。

税理士法人が人材活動の動きを強めているのは、次の3つの理由からです。

1.税理士法人増加による採用競争の激化
2.税理士志願者減少と税理士業界の高齢化
3.税理士の仕事量の増加

まず、税理士法人は平成13年の法改正で制度化され、それ以降年々数が増えています。

税理士法人の数が増えるということは、優秀な人材の奪い合いが発生するということを意味するので、各税理士法人が人材の採用に積極的になるのも当然でしょう。

また、税理士試験の受験者数は年々減少傾向にあるため、業界全体が人材不足の懸念を抱いています。

できるだけ早期に税理士法人に人材を確保して育成を進めなければ税理士法人の存亡に関わるため、転職市場が活性化しているのが実情です。

さらに、税理士法人のクライアントである「法人」数も年々増加傾向にある点も積極採用に拍車をかける要因となっています。

また、マイナンバー制度の導入・相続税法の改正・デジタル化への対応・コロナ不況に悩むクライアントへのアドバイザリーサービスの提供など、社会情勢の変化を受けて業務量も各段に増加しているため、各税理士法人が人材確保に力を入れざるを得なくなっています。

したがって、税理士業界は今や完全な「売り手市場」の状況です。ご自身のキャリア・スキル・熱意があれば、条件に見合ったファームへの入所が実現するので、ぜひこの機会に今後のキャリアを再検討してください。

まとめ

税理士法人への就職・転職活動を成功させるためには、入所を希望する税理士法人が求める人材であることをアピールするための「志望動機」作成がポイントになります。

売り手市場の状況なら、ご自身の経験・スキルに見合った税理士法人への転職も難しくはないので、常にいろいろな募集案件をチェックして、資格の価値を最大化できる環境を見つけましょう。

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