税理士が資産税特化型に転職するには?業務内容や将来性、必要なスキルを解説

税理士が資産税特化型に転職するには?業務内容や将来性、必要なスキルを解説

資産税分野で転職を希望する税理士が増えています。将来性や市場価値が見込まれるためだと思われますが、背景には何があるのでしょうか。今回は、一般の税務との違い、資産税業務の内容そして資産税分野で税理士が転職するのに有利なスキルについてお伝えします。

鈴木 まゆ子

鈴木 まゆ子

税理士・税務ライター

2000年中央大学法学部法律学科卒業。㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て、2012年税理士登録。税金の正しい知識を広めるべく、WEBを中心に多数の記事執筆・税務監修を行う。分かりやすい解説に定評がある。共著「海外資産の税金のキホン」(税務経理協会、信成国際税理士法人・著)。

目次

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資産税とは何か?一般の税務との違いも確認

資産税とはどのような内容なのでしょうか。一般的な税理士事務所が扱う内容とどのように違うのかも含め、特色を見ていきましょう。

資産税とは

資産税とは、財産の移転や承継、活用などに関わる税分野全般を言います。具体的な税目で言うと、相続税・贈与税・譲渡所得に課される所得税と個人住民税、固定資産税などです。このほか、資産運用や財産の承継の形態によっては、消費税や法人税なども関係します。

一般の税務との違い

資産税専門の税理士事務所は、次の点で一般の税理士事務所と異なります。

クライアントは個人が大半

相続や贈与、資産の譲渡といった行為は個人によるものです。そのため、クライアントも個人が中心となります。ただ、非上場株式の相続や贈与、譲渡などがある場合、同族会社もクライアントになることがあります。

資産家からの相談が中心

2015年1月以降、相続税の基礎控除額の引き下げなどにより相続税の対象となる人が増えました。そのため、税理士事務所に相談に来るクライアントは1億円以下の相続財産のケースが増えています。しかし、やはり中心は資産家となります。相続財産の規模が大きいと「複数土地がある」「同族会社の株式もある」「海外に資産がある」など、一般人には対応しにくいことが多いためです。

顧問契約がない

相続や贈与、財産の売却といった行為は単発のものです。そのため、資産税専門の会計事務所の多くは顧問契約がありません。したがって、一般の税理士事務所に比べて売上が不安定になりがちです。

報酬単価が高い

資産税専門だと報酬単価が高くなる傾向にあります。相続税申告だと「遺産総額×0.5%~1%」が一般的な相場です。遺産総額が1億円であれば50万円から100万円となります。「相続人が多い」「非上場株式がある」といった事情があれば、別途報酬が加算されます。

資産税に強い税理士の市場価値が高い理由

資産税に強い税理士は現在、需要が高まっています。次のような事情があるためです。

高齢化社会の進展

人口の高齢化が進んでいます。総務省「令和6年版 高齢社会白書」によれば、65歳以上人口の占める割合は1994年には14%超だったのが2023年10月1日時点で29.1%に上ったとのことです。これと並行して死亡数も増加しています。2003年は100万人超だったのが、2022年、2023年は150万人超となりました。

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参照:人口推計(2023年(令和5年)101日現在)‐全国:年齢(各歳)、男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口|総務省統計局

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参照:令和5年(2023) 人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

死亡数が増加すれば当然、相続の発生率も高まります。相続後のトラブルを懸念して生前贈与を検討する世帯が増えてもおかしくありません。また、相続した財産を売却する案件も増えます。

こういったことから、相続税・贈与税・譲渡所得課税の申告や相談の件数が現在増加しているのです。

資産税に強い税理士が少ない

資産税に強い税理士は多くありません。一般的な税理士事務所に次のような事情があるからです。

  • 法人の顧問業が中心、相続案件は年に数件。法人税、消費税よりも資産税の知見を深めにくい
  • 各税法が毎年の税制改正で複雑化している。そのため、相続税法を含めたすべての税目について詳細に深く研究することが難しい

実際、難易度の高い案件を資産税特化型の税理士事務所に一任するところも少なくありません。

高難度業務になりやすい

遺産総額が高額になればなるほど、難易度の高い案件になりがちです。資産額が多い人ほど生前に運用をしています。そのため、相続財産に複数の不動産があったり、海外に所在する財産があったりします。オーナー会社であれば事業承継対策を講じていることもめずらしくありません。

コンサルティング要素が高い

資産額が多ければ、その分、相続税も高くなります。税率構造が累進課税となっているからです。

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参照:No.4155 相続税の税率|国税庁

相続税を抑えるべく、クライアントによっては生前の相続税対策を検討していることがあります。また、オーナー会社であれば「いかに税負担を少なくして非上場株式を次に承継するか」が課題になります。そのため、資産税関連の税務はコンサルティング要素が高くなるのです。

資産税専門の税理士事務所の主な業務内容

ここで、資産税に特化している税理士事務所の業務内容を確認しましょう。

税務申告

資産税特化型事務所の税務申告の中心は、相続税・贈与税、譲渡所得にともなう所得税申告です。譲渡によっては消費税の申告をすることもあります。一般の会計事務所と異なり、法人決算や個人事業主の確定申告案件が多くないため「年明け1月から3月、5月に偏って忙しくなる」状態にはなりにくいです。

税務相談および生前対策

相続税・贈与税などの税務相談も業務の一つです。「相続税申告すべきかどうか分からない」といった内容のほか、資産家やオーナー会社の役員から「相続税をできるだけ抑えて資産を承継したい」と持ちかけられることがあります。相談から申告業務や生前対策といった業務につながるケースが少なくありません。

財産評価

「不整形地などの土地がある」「相続財産に不動産が複数含まれている」「オーナー会社の株式をどう評価したらいいか分からない」といった事情を抱えている相続案件もあります。こういった場合、正確な財産評価も業務として重要になります。

資産税分野で求められる税理士のスキル

資産税の分野で活躍する税理士には、次のようなスキルが求められます。

資産税に関連する法律の知識

資産税の分野に特化するなら、相続税・贈与税・譲渡所得にかかる所得税と個人住民税、固定資産税などの税目の知識は備えていなくてはなりません。案件によっては法人税、消費税なども知っておく必要があります。

また、資産の移転や承継、運用という場面では相続や契約、役員変更なども関係します。そのため、民法や会社法など、税法以外の法律への理解も求められます。

さまざまな士業との連携、コミュニケーションスキル

資産の相続・贈与・譲渡などといった法律行為には、遺言書や遺産分割協議書、売買契約書の作成、登記といった作業が必要です。また、相続人同士が争っている場合、税理士が間に入ることはできません。こういったことから司法書士や弁護士など、ほかの士業との連携する力も求められます。

また、適正な申告や相続税対策をするには、クライアントから資料や情報をていねいに聞き出す必要があります。こういったことから、資産税業務には高いコミュニケーションスキルが必要となります。

資産税で役立つ資格

資産税分野に関連する資格の取得も役立ちます。宅地建物取引士の資格を取得する税理士は比較的多いです。このほか、不動産鑑定士の資格を取得する人もいます。

諸外国の税制の知識

国境を超えた投資活動が活発化したことで、最近は海外にある資産を相続したり、国外に住む相続人が日本の財産を相続したりする案件も増えてきました。こういったケースでは、海外の税制の知識や人脈がある方が有利になります。

資産税専門で転職を考えるならプロに相談を

資産税に特化した税理士は、今後もますます需要が高まります。実際、資産税専門の税理士事務所への転職を考えている人も少なくないようです。転職するなら、自分に合った働き方で長く活躍できるところにしたいもの。1人で探すより転職のプロに相談した方が、自分にぴったりの職場を探しやすくなります。

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