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税理士試験の受験科目選択。「ミニ税法」を選択する際の注意点

税理士試験の受験科目選択。「ミニ税法」を選択する際の注意点

難関国家資格である税理士試験において、受験性が頭を悩ませることの一つが税法の受験科目の選択です。短期合格のためには、相対的に学習ボリュームの少ない「ミニ税法」を選択すべきという意見も多いでしょう。一方で、ミニ税法には特有の留意点も存在します。ここでは税理士試験の受験科目選択にあたり、ミニ税法を選択するメリット・デメリット、そして試験と実務の両方の観点から押さえておくべき点をご説明します。

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佐山 和也(ペンネーム)

税理士、中小企業診断士、社会保険労務士

金融機関系シンクタンクに勤務し、会計・税務を中心とした企業からの経営相談やコンサルティング業務等に10年超にわたり従事。また、その傍らで開業税理士・中小企業診断士として執筆活動などを行っている。難解な税法や会計基準等の規定を分かりやすく伝えることがモットー。

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税理士試験の受験科目における「ミニ税法」とは?

税理士試験の受験科目は会計2科目と税法9科目の全11科目からなり、税理士となるにはこのうち5科目に合格しなければなりません(いわゆる「院免」制度も存在しますが、ここでのご紹介は控えます)。会計2科目は必修のため、税法科目としては3科目の合格が必要です。税法科目の選択は基本的に受験者の任意ですが、後述するように一定の制約もあります。

そして、会計2科目を除いた税法9科目のうち国税三法と呼ばれる法人税法、所得税法、相続税法以外の科目がいわゆる「ミニ税法」です。ミニ税法にあたる6科目の具体的な試験科目名は、以下の通りとなります。

・消費税法
・酒税法
・国税徴収法
・住民税
・事業税
・固定資産税

後半の3科目は地方税法という法律の中に含まれている税目のため、語尾に“法”は付きません。ミニと名の付く所以は、勉強の範囲やボリュームが法人税法などの国税三法に比べ相対的に少ないためです(ただし現在、消費税法はミニ税法とは呼べないようなボリュームになってきています)。そのため、一般的にミニ税法を受験科目として選択することは、税理士試験の短期合格に効果的とされています。ただし、ミニ税法には注意すべき点も多いため、安易に飛びつかずよく考えてから選択することが大切です。

なお、合格すべき税法3科目のうち、1科目は法人税法または所得税法のいずれかでなければなりません。したがって、ミニ税法を選択できるのは最大で2科目までということになります。

ミニ税法ってどんな科目?

続いて、税理士試験におけるミニ税法がどのような科目なのか、その概要や受験データを確認していきましょう。以下の表は、各ミニ税法の学習内容や相対的な学習ボリューム、理論(左)と計算(右)の比率、科目選択上の制限などについてまとめたものです。

【ミニ税法の概要】

                             
科目名 学習内容 学習ボリューム・理論と計算の比率 備考
消費税法 商品売買やサービスの提供などに課される身近な消費税について学ぶ科目 最も多い 消費税法と酒税法は、いずれか片方のみ選択可能
50%:50%
酒税法 酒類(アルコール分1%以上の飲料)に対して課される税金について学ぶ科目 少ない
30%:70%
国税徴収法 納税がなされなかった場合に、強制徴収するための手続きなどについて学ぶ科目 少ない理論のみの出題
100%:0%
住民税 地方自治体が行政サービス提供のため住民に課す地方税について学ぶ科目 中程度 住民税と事業税は、いずれか片方のみ選択可能
50%:50%
事業税 法人や個人事業主の行う事業活動に対して課される地方税について学ぶ科目 中程度
50%:50%
固定資産税 土地や建物、事業用償却資産について地方自治体が課す地方税について学ぶ科目 多い
50%:50%

(注)理論と計算の比率は年によって変動することがあります(上記は令和3年度の比率)。

続いて、直近2年(令和元年度および令和2年度)の税理士試験の科目別の受験者数と合格者数、合格率を見てみましょう。青線で囲われた部分がミニ税法です。

【科目別:直近2年の受験者数と合格者数、合格率】

科目 受験者数 合格者数 合格率(%)
令和元年度 令和2年度 令和元年度 令和2年度 令和元年度 令和2年度
簿記論 11,784 10,757 2,052 2,429 17.4 22.6
財務諸表論 9,268 8,568 1,753 1,630 18.9 19.0
所得税法 1,659 1,437 212 173 12.8 12.0
法人税法 4,260 3,658 627 588 14.7 16.1
相続税法 2,897 2,499 338 264 11.7 10.6
消費税法 7,451 6,261 884 782 11.9 12.5
酒税法 492 446 61 62 12.4 13.9
国税徴収法 1,677 1,629 213 198 12.7 12.2
住民税 410 381 78 69 19.0 18.1
事業税 392 335 58 44 14.8 13.1
固定資産税 868 874 119 118 13.7 13.5
合計 41,158 36,845 6,395 6,357 15.5 17.3

出典:国税庁ホームページのデータより作成

受験者数(合格者数)では消費税法がダントツで多く、これは会計2科目に次ぐ数で国税三法を上回っています。消費税は身近な税金であり、税理士として仕事をする上で消費税の知識は必須ともいえますので、そのことが表れているのでしょう。次に受験者数が多いのが国税徴収法、そこから少し離れて固定資産税が続きます。残りの酒税法、住民税、事業税の3科目はいずれも各年の受験者数が500名を下回っており、選択する受験生はあまり多くありません

合格率については、住民税の合格率が突出して高くなっている点を除くと、概ね各科目10%台前半となっています。これは、必修科目である会計2科目(簿記論と財務諸表論)よりも随分と低い合格率です。テキストの勉強範囲でいえば、消費税法を除くミニ税法よりも会計2科目の方が随分と広いのですが、合格率という点でミニ税法は会計2科目よりも難しいという結果となるでしょう。

なお、このような比較をする際に注意すべきなのは、会計2科目とミニ税法では“受験者の層が大きく異なる”ということです。一般的に会計2科目は税理士試験の入り口となる科目であり、会計科目の受験生のうち、すでに何れかの税法科目に合格している人の割合は高くないと思われます。一方でミニ税法の受験者は、会計2科目に合格していることが多いでしょう。つまり、会計科目の受験者層よりもミニ税法の受験者層の方が相対的に高いレベルにあり、その分だけ競争もし烈だといえます。したがって合格難易度という点では、会計2科目とミニ税法では、合格率という数字以上に差があるという見方もできます。

ミニ税法は実務でも役立つの?

前述の合格率からもわかる通り、ミニ税法を選択したとはいえ、わずかな勉強時間で合格できるわけではありません。ミニ税法を選択する理由が短期間での合格を狙うためであったとしても、長い時間をかけて身に着けた知識は、せっかくなら実務の中でも生かしていきたいものでしょう。ここでは、各ミニ税法について一般的な実務での有用性を評価し(★が多いほど有用性が高い)、具体的な活用場面について概略をご説明します。

【ミニ税法の実務での有用性】

      
科目名 有用性評価 具体的な活用場面
消費税法 ★★★★★ 消費税は全ての事業者にとって影響があるため、消費税法の有用性は群を抜いています。ミニ税法とはいえないような学習ボリュームがありますが、できれば選択しておきたい科目です。
酒税法 顧客に酒造メーカーがある場合などは役立ちますが、そうでない場合、実務で用いることはほぼないといえます。
国税徴収法 ★★ 税金を滞納している(しそうな)会社が顧客にある場合などに、スポット的に必要となることがありますが、有用性はさほど高くありません。
住民税 ★★ 法人税や所得税の申告とセットとなるため、単独の有用性は高くありません。ただし、事業所の多い法人顧客に対し、法人住民税均等割の節税方法などを提案できると有意義でしょう。
事業税 ★★ 住民税と同様に、法人税や所得税の申告とセットとなるため、単独の有用性は高くありません。ただし、外形標準課税に関する知見を高め、法人顧客に節税方法などを提案できると有意義でしょう。
固定資産税 ★★★ 賦課課税方式の税金のため、通常あまり有用性は高くありませんが、富裕層の顧客に相続税の節税を提案する場合などには、非常に役立ちます。相続税法と相性の良い科目といえるでしょう。

このように消費税法以外のミニ税法は、自身が注力したい分野(法人主体、個人の資産税主体など)や事務所の特性などを考慮しながら選択するとよいでしょう。

ミニ税法合格に必要な勉強時間はどのくらい?

最後に、ミニ税法に合格するためにどのくらいの勉強時間が必要になるのか、筆者の見解をお伝えします。税理士試験の科目ごとの必要勉強時間の目安については、インターネットを検索すると資格予備校などがWeb上で公開しているものが見つかるでしょう。筆者は全科目を受験した経験があるわけではないので、個別に勉強時間の目安を掲げることはできません。しかし、少なくとも言えるのは、これら資格予備校が公開している目安時間を“鵜呑みにすべきではない”ということです。感覚的には、これらの目安時間の少なくとも2倍から3倍は見ておく必要があるのではないかと思います。

税理士試験は各科目60点が合格ラインとはされているものの、実際のところは競争試験です。このため、実際の合格難易度は受験者層の影響を大きく受けることになります。前述したように、ミニ税法の受験者はすでに会計2科目に合格していることが多く、法人税法などの難関科目の合格者であることも少なくありません。そのため、一般的に競争は相当にし烈であり、合格するには100点を取れるくらいの完成度が求められることもあります
消費税法以外のミニ税法の目安時間は、会計2科目の概ね半分以下とされています。ただし実際には、会計2科目より時間がかかることも少なくないでしょう。ミニ税法を選択しようとする場合は、この点をよく理解しておく必要があります。

同時に、ミニ税法の勉強は法人税法や所得税法などの主要科目と比べ、勉強が苦痛となることが多い点も考慮しておく必要があります。法人税法や所得税法、相続税法などは、実務の中でも必ずその知識が求められるものです。そのため、試験勉強がそのまま自身のスキルアップにつながり、この点が勉強を継続できる大きな要素の一つであると思います。しかし、消費税法以外のミニ税法は実務で直面しないことが多く、どうしても試験のためだけの勉強となってしまう側面があります
また、学習ボリュームがさほど多くない割に、一つのミスが命取りになる傾向が強いでしょう。そのため、一通り科目の全体像をつかんだ後は、すでに理解している論点について、暗記などの精度とスピードを高めるための勉強に時間を費やすことになります。このような勉強は、一般的には苦痛と感じる人が多いはずです。ミニ税法を選択しようとする際は、こういった特徴も理解しておいてください。

まとめ

税理士試験に短期合格するため、税法科目の中にミニ税法を織り込むのは有用な選択肢の一つです。しかし、消費税法以外のミニ税法は、実務や就職の際に必ずしも役立つわけではありません。また、合格難易度も決して低いわけではないことは、しっかりと理解しておいてください。税法科目は、自身の適正や進みたい道をよく考えて選択することをお勧めします。

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