簿記1級は独学でも合格可能?合格するために重要な教材選びや環境の整え方をご紹介します

簿記1級は独学でも合格可能?合格するために重要な教材選びや環境の整え方をご紹介します

簿記2級に合格し、次の目標として簿記1級の合格を目指そうとしている方の中には、「簿記2級までは独学で合格できたが簿記1級は難しいと聞く。簿記1級は独学では合格できないのか?予備校に行ったほうがよいのか?」という不安をお持ちの方や、「独学で簿記1級に合格するためには何が必要なのか?」という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、独学で簿記1級に合格するための方法について解説します。

マイナビ税理士編集部

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簿記1級の難易度

「簿記1級は難しい」 という言説を聞いたことがある方は多いでしょう。実際のところ、簿記1級はどれくらい難しいのでしょうか?合格率と出題範囲から、簿記1級の難易度を確認します。

簿記1級の合格率

日商簿記検定1級の合格率は、簿記検定を主催する日本商工会議所のホームページで公表されています。第101回(2002年6月9日実施分)から第165回(2023年11月19日実施分)までの期間における、簿記1級の合格率の推移は次のとおりです。図の縦軸は合格率を、横軸は実施回を示しています。また、グラフの線が途中で途切れているのは、簿記1級の試験が実施されない回があるためです。

2407_801_1.png

第101回から第166回までの期間における簿記1級の合格率の最低値は第114回の3.5%、最高値は第165回の16.8%で、合格率の平均値は10.4%でした。この合格率を相対化するため、同じ時期における簿記2級の合格率と比較したのが次の図です。

2407_801_2.png

この図ではオレンジが簿記2級、青が簿記1級の合格率を示しています。このグラフからは、簿記1級の合格率はほぼすべての回で簿記2級の合格率を下回っていることがわかります。第101回から第166回までの期間における簿記1級の合格率の平均値が10.4%であるのに比べて、簿記2級の平均値は27.0%であることから、合格率の観点からみると簿記1級に合格するほうがはるかに狭き門だと言えるでしょう

出典:日本商工会議所ホームページ
簿記 1級受験者データ(統一試験) | 商工会議所の検定試験
簿記 2級受験者データ(統一試験) | 商工会議所の検定試験

簿記1級に合格するための勉強時間

簿記2級に比べると格段に合格率が下がる簿記1級に合格するためには、簿記2級よりも多くの勉強時間を費やす必要があります。どれくらいの勉強時間で簿記1級に合格できるかは個人差がありますが、一般的には500時間~1,000時間だといわれています。簿記2級の合格に必要な勉強時間が約250時間程度とされるため、簿記1級の合格にはその2倍から4倍の勉強時間を確保する必要があります。

簿記1級の試験内容

簿記1級の試験内容には、企業の取引を記録して正確な決算書を作成するために必要な知識と、企業内部の部門別や製品別原価計算などを行うために必要な知識が含まれます。試験は、商業簿記及び会計学で90分、工業簿記及び原価計算で90分の、計180分で実施されます。

出典:日本商工会議所ホームページ

簿記1級の出題範囲

簿記1級の出題範囲は、日本商工会議所ホームページに掲載されています。簿記1級では、簿記2級では出題されなかった高度な論点(減損会計や退職給付会計など)が出題範囲に含まれるなど、簿記2級と比べるとより広範な知識が求められます。また、同じ論点でも、たとえば簿記2級ではファイナンスリースの借手側の処理のみが出題範囲であるのに比べて、簿記1級ではファイナンスリースの貸手側の処理やセールアンドリースバックの処理も出題範囲に含まれるなど、より複雑な会計処理に関する知識も問われる内容です

簿記1級の出題範囲は、直近で2022年度に改定されました。この改定では、2021年4月から適用が開始された企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」が出題範囲に含まれ、契約資産および契約負債の論点などが出題されるようになっています。

出典:日本商工会議所ホームページ

簿記1級を取得するメリット

簿記1級は経理財務に関する高度な知識と技能の証として、その難易度が周知されていて、就職・転職の際には強みとなります。また、会社によっては資格手当の支給や昇格につながる場合もあります。

簿記1級の取得で、税理士試験の受験資格を得られます。また、簿記1級は税理士、会計士の登竜門ともいわれます。出題範囲は、税理士試験の必須科目の簿記論と共通する部分が多いです。また、財務諸表論の内容にも関連しているため、簿記1級合格レベルの知識があれば、この2科目に対応する知識はかなり身についているといえます。

公認会計士の試験科目でも、会計学、財務諸表論と共通する部分があります。簿記1級の勉強で自分に合った勉強方法を確立できれば、税理士試験にも取り組みやすいでしょう。

独学での合格は難易度こそ高いが、決して不可能ではない

ここまでで紹介したように、簿記1級は日商簿記の最高峰。決して簡単ではありませんが、独学での合格が不可能かと言われればそういうわけではありません
昨今は市販教材の質も高く、テキスト類や過去問題集など、書籍が非常に充実しています。また、独学であれば自身のペースで進められるため、社会人や時間に余裕のない方でも資格取得を目指すことが出来ます。
次のセクションでは、独学で合格を目指すうえで押さえておきたいポイントを解説いたします。

独学で簿記1級に合格するための方法

独学で簿記1級に合格するための方法として、教材選び・教材の使い方のコツと、環境の整え方についてご紹介します。

教材選び・教材の使い方のコツ

教材選びについては、定評のある予備校が発行しているものであれば、どれを選んでも内容に大きな差はありません。書店で見比べて、自分に好みに合ったものを選ぶとよいでしょう。また、あまり多くの教材に手を出さずに、一つの教科書を何回か通読したり、同じ問題集を何度か解いたりすることをおすすめします。思うように成績が上がらないと、つい他の教材に手を出してしまいがちです。しかし、これだと教材の読み込みが中途半端となり、結果的に簿記1級に合格するための知識が身につかなくなる恐れがあります。

環境の整え方

簿記1級は、平均合格率が10.4%の難関資格です。簿記2級までは片手間の勉強で合格できたとしても、簿記1級に片手間で合格することは非常に難しいでしょう。そのため、受験すると決めたら高校受験や大学受験のときのように、自宅の机を勉強モードに切り替えるのがおすすめです

また、大学生や社会人が簿記1級に合格するための目安とされる500~1,000時間を確保するためには、毎週土日のどちらかは一日勉強に充てることが必要でしょう。「次の簿記1級の試験までは勉強に集中する」と家族や友人に宣言しておくことで、勉強に集中できる環境を作ることをおすすめします。

さらに、簿記1級は簿記2級までと違ってネット試験が実施されず、紙試験(会場試験)しか行われません。そのため、各予備校が実施する模擬試験を会場受験することも有効です。特に簿記2級までをネット試験で合格した方にとって、簿記では初めての会場受験となります。本番で緊張したり上がったりしないよう、本番同様の環境と緊張感で実施される模擬試験を一つは受験するようにしましょう。

簿記1級と簿記2級の求人例

ここまで、簿記1級に独学で合格するための方法について解説しました。この記事の最後に、簿記1級の具体的な求人をいくつかご紹介します。また、簿記2級を取得した後、簿記1級の勉強中に会計税務の職種に転職をしようと考えている方に向け、簿記2級の具体的な求人もご紹介いたします(いずれも2024年6月時点の求人情報)。

マイナビ税理士では、求人を業種ごと(税理士法人、コンサルティングファーム、事業会社、金融機関)に検索することができます。簿記1級の求人例としては、Big4の1社である大手税理士法人の求人(年収400万円~1,000万円)、会計コンサルタントの求人(年収500万円~1,200万円)、事業会社の財務経理部門の求人(年収600万円~900万円)、信託銀行の求人(年収500万円~1300万円)など、条件次第では1,000万円を超える求人もあります

一方、簿記2級の求人例としては、全国展開ではなく地域に根差した税理士法人の求人(年収375万円~600万円)、バックオフィス支援のコンサルタントの求人(年収360万円~500万円)、事業会社の経理部門の求人(400万円~600万円)、保険代理店の求人(年収600万円~850万円)など、年収上限が600万円から800万円の求人が多数派です。簿記1級の求人のように、年収1,000万円を超える求人数はかなり少なくなります。もっとも、簿記2級に合格した状態で経理職に転職し、経理の実務経験を積みながら簿記1級の勉強をして更なるステップアップを目指す人も少なくありません。どのタイミングで転職をするかは、ライフプランに合わせて検討するとよいでしょう。

まとめ

以上、簿記1級に独学で合格するための方法について、簿記1級の合格率や試験内容と出題範囲などにも触れながらご紹介しました。簿記1級は出題範囲が広く、高度な内容も問われる難関試験です。しかし、教材を正しく選び正しく使うこと、勉強に集中できる環境を整えることの2点を意識すれば、独学でも十分に合格を目指せます。簿記1級に合格すると応募できる求人の幅も広がり、想定年収の高い求人に応募しやすくなるでしょう。ぜひ簿記1級に合格して、転職による年収アップを勝ち取ってください。

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