経理とは？

経理とは、会社が行う日々の取引を各種帳簿に記録し、一定期間ごとに各種帳簿を取りまとめて会社の経営成績や財政状態を示す書類を作る職種のことです。会社によっては、資金の借り入れや効率的な配分施策を検討する財務業務、あるいは税務申告書の作成を行う税務業務も経理業務に含まれることがあります。経理の仕事内容について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

経理の年収は？

経理は会社の取引やお金を管理する重要な役割ですが、担当者の年収はどれくらいなのでしょうか。このセクションでは、厚生労働省による統計に示された経理職の平均年収と、転職エージェントであるマイナビ税理士に掲載された経理職の求人の年収をいくつかご紹介します。

賃金構造基本統計調査における平均年収

経理職の平均年収に関する公的な統計データは、厚生労働省が毎年一回実施している賃金構造基本統計調査から取得することができます。令和4年賃金構造基本統計調査における「会計事務従事者」の年収は下表のとおりです。この結果から、経理職全体の平均年収は450万円ということがわかります。

※平均年収は「きまって支給する現金給与額」に12を乗じた金額に「年間賞与その他特別給与額」を加算
※「小企業」は常用労働者数（≒従業員数）が10人から99人、「中企業」は100人から999人、「大企業」は1,000人以上の企業
※「会計事務従事者」には経理事務員と金融業・保険業・郵便局における預・貯金窓口事務員が含まれ、税理士・公認会計士等は含まれません

出典：令和４年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種

出典：令和 4 年賃金構造基本統計調査業種別主な職種早見表

参考：令和４年賃金構造基本統計調査の概況

求人サイトに掲載された求人の年収例

公的な統計による経理職の平均年収は450万円でしたが、実際の年収はどれくらいなのでしょうか。

マイナビ税理士の求人検索で、保有資格として「税理士科目合格」、業種として「事業会社」をそれぞれ選択すると26件の求人結果がヒットしました。このリストの中から、初年度想定年収の記載がない求人、管理職採用の求人、コンサルタント採用の求人を除外した16件の年収は487万円～837万円という結果となります。また、会計伝票の承認や月次決算対応といった一般経理の求人9件に絞ると、年収は467万円～744万円となります。

一般経理の求人の業務内容と年収のサンプルとして、実際の求人から2つご紹介します。前職で十分な経験があるなどの理由がなければ、経理業務全般を担当するスタッフとして入社した場合の初年度年収は450万円前後が相場だといえるでしょう。

年収アップのポイントは？

このセクションでは、経理職の年収アップのポイントをご紹介します。

経理職の年収アップのポイント

経理職で年収アップをするための方法には、大きく分けて以下2つの方法があります。

①転職先から今より高い年収のオファーを受ける方法
②現職で高い評価を得て昇進する方法

①もしくは②を達成するために共通するポイントとして、資格を取得すること、難易度の高い業務を担当すること、英語のスキルを磨くことの3点についてそれぞれご紹介します。

資格を取得すること

1点目は、資格を取得することです。経理業務に関連した資格（会計士、税理士、USCPAなど）を取得すると、経理業務に必要な知識を有していることの証明になり市場価値が上昇します。先ほどご紹介したマイナビ税理士の求人検索結果においても、経理業務全般の求人の年収に比べ、「税務・会計・財務」の求人や、「単体決算・税務」の求人の方が年収が高い傾向にあります。年収アップを勝ち取るために、会計士、税理士、USCPAといった難関資格を取得することは重要な要素の一つです。
その他にも、日商簿記を取得することで簿記の基本的な理解から、複雑な財務諸表の作成能力を証明できます。加えて、簿記の知識は、日々の帳簿記入や月次決算、年次決算の効率化にも寄与するものです。
こういった資格を取得することで、選べるキャリアの選択を増やしつつ、さらなるレベルアップも実現できます。

難易度の高い業務を経験すること

2点目は、難易度の高い業務を経験することです。仕訳伝票入力や旅費経費精算業務といった一般経理業務も重要な業務ですが、連結決算、グループ通算制度による税務申告書の作成、組織再編に関する会計・税務面からの検討といった難易度が高い業務ができる人は、一般経理業務ができる人よりも希少といえます。そのため、これらの業務を担当することで市場価値が上昇し、結果として年収アップにつながります。ご自身の市場価値を上げるためにも、こういった難易度の高い業務へ積極的にチャレンジしていくとよいでしょう。

英語のスキルを磨くこと

3点目は、英語のスキルを磨くことです。英語のスキルを磨くと、出世コースである海外駐在の声がかかる可能性が高くなり、現職での年収アップにつながります。
TOECIなどの一般的な英語スキルの他、会計分野の専門用語についても、学習するとさらに良いでしょう。
また、平均年収の高い大企業ほど英語を使う機会が多いため、転職による年収アップを狙う観点からも英語のスキルを磨くことは重要です。

転職による年収アップの成功事例

このセクションでは、転職による年収アップの成功事例として、マイナビ税理士のサイトから経理・財務・税務の転職成功事例をいくつかご紹介します。

成功事例1

40代で自分の市場価値を見直すため、興味のある業界へ転職した事例です。初めての転職ながら、大幅な年収アップ（160万円増）を達成しました。前職では約20年の勤務経験を持ち、しかし他社を知らない状態だったので不安もあったようです。転職しようと考えたきっかけなど、詳しくは以下記事をご覧ください。特に30代後半や40代で、転職による年収アップを目指す方にとって参考になるでしょう。

成功事例2

現職の都合で転職活動をせざるを得なくなったものの、転職活動開始からわずか2か月で転職先が決まった方の事例です。面接での想定問答集を作るなど、ご自身なりの工夫を行って転職活動されました。上場準備にも関わった経験を活かして上場企業へ転職。興味のあった不動産金融というフィールドに活躍の場を移されています。具体的な活動内容、そして転職に向けて抱かれていた不安など、以下で詳しくご紹介しています。

まとめ

経理の年収アップのポイントについて、平均年収や転職での年収アップ成功事例にも触れながらご紹介しました。経理職で年収をアップさせるためには、会計士や税理士といった資格を取得すること、難易度の高い業務を経験すること、英語のスキルを磨くことの3点が重要です。ただし、年収アップのための優先事項は、各人の経歴や目指すキャリアによって異なります。
マイナビ税理士のキャリアアドバイザーは、経験・スキルの棚卸しから就職・転職市場の動向も踏まえて、あなたにあったキャリアプランをご提案いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。