【2024年3月まで】個人の確定申告は3つ!所得税・贈与税・消費税の内容と申告期間、注意点を解説

【2024年3月まで】個人の確定申告は3つ!所得税・贈与税・消費税の内容と申告期間、注意点を解説

「年明けの個人の確定申告」というと世間一般には「所得税の確定申告」を言います。しかし実際には、贈与税と消費税の確定申告もあるので注意が必要です。この記事では所得税・贈与税・消費税の個人の確定申告の内容と申告期間、注意点について解説します。

鈴木 まゆ子

鈴木 まゆ子

税理士・税務ライター

2000年中央大学法学部法律学科卒業。㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て、2012年税理士登録。税金の正しい知識を広めるべく、WEBを中心に多数の記事執筆・税務監修を行う。分かりやすい解説に定評がある。共著「海外資産の税金のキホン」(税務経理協会、信成国際税理士法人・著)。

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目次

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個人の確定申告1:所得税

個人の確定申告の1つ目は所得税の確定申告です。一般に言う「確定申告」とは、この所得税の確定申告を指します。具体的な内容は、次の通りです。

内容

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得とこれに課される所得税額(復興特別所得税も含む。以下同じ)を自ら計算し、翌年3月15日までに所轄の税務署に申告・納税するというものです。源泉徴収や予定納税で先払いした所得税があるなら、算出した所得税額との精算を行います。


計算方法

所得税は、次の流れで計算します。

2403_779_1.png

参照:所得税のしくみ|国税庁

所得税の対象となる所得は10種類の区分に分け、それぞれの区分で所得額を計算します。

2403_779_2.png

その後、総合課税か分離課税かで、税額計算の流れが分かれます。

総合課税の対象となる所得

  1. 合算した所得額から各種所得控除を順に差し引いて課税所得額を計算
  2. 1に所得税の税率(超過累進税率)を乗じて税額を計算

分離課税の対象となる所得

  1. 区分ごとに所得を計算(総合課税で引ききれない所得控除があったら一定の順に各所得から差し引く)
  2. 1の区分ごとの所得に所定の税率を乗じて税額を計算

総合課税・分離課税で算出した税額からさらに住宅借入金等特別控除額などの税額控除を差し引きます。そして復興特別所得税を計算し、所得税と復興特別所得税の合計額と源泉徴収された所得税や予定納税をした所得税を精算します。

申告すべき人

確定申告が必要なのは、次のような人です。

2403_779_3.png

参照:令和5年分所得税及び復興特別所得税の手引き|国税庁
上記P3を一部加工して作成

申告期間

申告・納税する期間は申告対象となる年の翌年2月16日から3月15日です。2023年分の申告期間は、2024年2月16日(金)から3月15日(金)までです。

必要書類

所得税の確定申告で共通して必要となる書類は、次の2点です。

  1. 所得税及び復興特別所得税の確定申告書(第一表、第二表)
  2. マイナンバーカード関連書類

2は次のいずれかになります。

  • マイナンバーカード
  • マイナンバーの分かる書類(通知カード、住民票の写しなど)+身分証明書(運転免許証など)

申告内容によっては、上記以外にも添付書類が必要となることがあります。

注意点

確定申告が不要だとされる場合でも、医療費控除や雑損控除などで還付申告をする場合は、すべての所得の申告が必要です。また、青色申告で65万円あるいは55万円の特別控除の適用を受けるのなら、期限内申告が必須となります。

個人の確定申告2:贈与税

贈与税の確定申告も、所得税とほぼ同時期に生じます。贈与税の確定申告は、おおよそ次のようなものです。

内容

贈与税の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産と課される贈与税額を自ら申告して納めることです。現在、贈与税には次の2つの課税制度があります。

  • 暦年課税...特に届出をしていないときの課税制度。一般に言われる「贈与税」は暦年課税制度の贈与税を言う。
  • 相続時精算課税...18歳以上の子や孫が60歳以上の親や祖父母から財産を受け取るときに適用できる課税制度。適用を受ける最初の年の翌年3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要。

計算方法

贈与税の計算方法は、課税制度ごとに次のようになります。

暦年課税

「1年間にもらった財産の合計額-基礎控除額(110万円)」に贈与税率を乗じて計算します。ただし「20歳以上の受贈者が親や祖父母などの直系尊属からもらった財産(特例贈与財産)」か「特例贈与財産以外の財産(一般贈与財産)」かで、税率構造が変わります。

2403_779_4.png

参照:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
上記を元に筆者作成

相続時精算課税

2023年分までの贈与については、「(贈与財産の累計額-2500万円)×20%」で贈与税を計算します。

なお、2024年分以降の贈与については、贈与税を次の2段階で計算します。

  1. 相続時精算課税でもらった財産を「1年間に贈与された財産-基礎控除額(110万円)」で計算する
  2. 1の累計が2500万円の特別控除額を超えたら、超えた部分の金額に一律20%の税率を乗じて贈与税額を計算する

申告すべき人

贈与税を申告するのは、次に当てはまる人です。

暦年課税

贈与された財産の合計額が110万円を超える人です。なお、次の2つの贈与税の非課税措置で贈与税額が0円となっても、申告は必要となります。

  • 住宅取得等資金の贈与税の非課税
  • 贈与税の配偶者控除

相続時精算課税

2023年までの贈与については、すべての贈与について申告が必要です。2024年以降の贈与については、「1年間に贈与された財産-基礎控除額(110万円)」で金額が生じたときに申告が必要となります。また、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の適用を受ける場合は、必ず贈与税の申告をしなくてはなりません。

なお、2023年までの贈与でも、2024年以降の贈与でも、期限内申告が必要です。期限後申告となると、2500万円の特別控除額以下であっても20%の税率で贈与税がかかります。

申告期間

申告期間は贈与された年の翌年2月1日から3月15日までです。2023年分の申告期間は、2024年2月1日(木)から3月15日(金)までとなっています。

必要書類

贈与税の申告で共通して必要な書類は、次の通りです。

  1. 贈与税の申告書(第一表)
  2. マイナンバーカード関連書類(所得税の申告と同じ)

なお、贈与税の申告書には次の3つがあります。

  • 第一表(兼贈与税の額の計算明細書)
  • 第一表の二(住宅取得等資金の非課税の計算明細書)
  • 第二表(相続時精算課税の計算明細書)

提出すべき申告書は、次のようになります。

申告内容 必要となる申告書
暦年課税のみを申告 第一表
相続時精算課税のみ申告 第一表と第二表
暦年課税と相続時精算課税の両方を申告
第一表と第二表
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置を暦年課税で申告
第一表と第一表の二
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置を相続時精算課税で申告
第一表と第一表の二と第二表

参照:令和5年分贈与税の申告のしかた|国税庁

申告内容によっては、上記以外の書類が必要となることがあります。

注意点

2023年度(令和5年度)税制改正で、贈与税が大きく変わりました。贈与税の申告で注意したいのが相続時精算課税です。2023年までの贈与分と2024年からの贈与分とでは、計算が異なる点を意識した方がいいでしょう。

個人の確定申告3:消費税

個人が事業者の場合、消費税の申告が必要となることがあります。

内容

消費税の確定申告とは、課税事業者が1月1日から12月31日までの課税期間に国内で生じた課税資産の譲渡等について課税標準額と納めるべき消費税額を自ら計算して申告し、納付することを言います。

計算方法

消費税の計算方法は、2023年分以降しばらく、次の3つとなります。

一般課税(原則課税、本則課税)

「課税標準額に対する消費税額-控除対象仕入税額」という流れで計算します。実際には、貸倒回収にかかる消費税額を加算し、返還等対価にかかる消費税額や貸し倒れにかかる消費税額を減算します。

なお、申告する消費税額は、次の順で計算します。

  1. 国に納める消費税を計算する(標準税率7.8%、軽減税率6.24%)
  2. 国に納める消費税額を元に地方に納める消費税額を計算する

参照:令和5年分 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き 個人事業者用(一般用)「確定申告の流れ」|国税庁

簡易課税

基準期間の課税売上高5000万円の事業者が選択できる計算方法となります。

ざっくりとした税額計算は「課税標準額に対する消費税額-仕入控除税額」です。仕入控除税額は次のように計算します。

2403_779_5.png

参照:No.6505 簡易課税制度|国税庁

みなし仕入れ率は、事業区分で次のようにされています。

2403_779_6.png

参照:No.6505 簡易課税制度|国税庁

2以上の事業を営んでいる場合、みなし仕入率を複数使うことがあります。

2割特例

インボイス登録で免税事業者から課税事業者に転換した場合のみ適用できる計算方法です。2026年分までとなります。「課税標準額にかかる消費税額-特別控除額(課税標準額にかかる消費税額×80%)」が、おおよその計算の流れです。

くわしくは、次の記事でご確認ください。

申告すべき人

消費税の申告をしなくてはならない個人は、事業者のうち、次のいずれかに当てはまる人です。

  • 基準期間の課税売上高が1000万円を超える
  • 特定期間の課税売上高が1000万円を超える
  • 1と2に当てはまらないが、消費税課税事業者選択届出書を提出している
  • 適格請求書(インボイス)の発行事業者として登録している

申告期限

消費税の申告と納付は、対象となる年の翌年3月31日が期限となっています。ただし、2023年分の消費税の申告期限は、2024年4月1日(月)です。本来の期限である2024年3月31日が日曜日であるため、その次の最初の平日が期限となります(詳細は後述)。

必要書類

消費税の申告で共通して必要な書類は、次の通りです。

  1. 個人事業者の消費税及び地方消費税の申告書(第一表、第二表)
  2. マイナンバーカード関連書類(所得税の申告と同じ)

1は一般課税用と簡易課税用があります。2割特例の場合、簡易課税制度選択届出書を提出したのなら簡易課税用を、そうでないのなら本則課税用を使います。

また、計算方法や申告内容によって添付する付表や明細書が変わります。

注意点

2023年10月1日からインボイス制度が開始しました。そのため、10月1日以降の課税仕入れについては、インボイスがないと仕入税額控除ができません。このほか、リバースチャージ方式など、消費税ならではの細かいルールも意識しておきたいところです。

まとめ

上記のほか、次の点にも注意しましょう。

  • 申告・納付の期限が過ぎるとペナルティが生じる...無申告加算税、延滞税など
  • 期限が土日祝日になった場合、次の最初の平日が期限となる(国税通則法10②)

確認作業をていねいに行い、正しく確定申告作業を進めていきましょう。

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