コロナで急激増加!税理士の在宅ワーク、メリット・デメリットは?
2020年、新型コロナウイルス感染症がまん延して以降、あちこちの企業で在宅ワークが急増しました。それは、税理士業界も変わりません。「職員や所長が自宅で仕事をし、会議はもっぱらオンライン」__そんなケースはもはや珍しいことではなくなりました。
税理士業界の在宅ワークが減らない理由
「税理士事務所の在宅ワークは増えている」__筆者は、そう感じます。同業者に近況を聞くと「従業員はいるけど全員在宅ワーク。事務所に出勤するのは所長である自分だけ」「都内に事務所があるけれど、行かなくなった。もっぱら自宅で仕事をしている」という返事が戻ってきます。
在宅ワークが急増した一番の原因は、2020年に始まったコロナ禍でしょう。多くの企業と同じく、税理士業界も一時、騒然となりました。しかし、会計事務所の多くは税務申告や会計処理をクラウドのソフトやe-taxを使っています。そのため、外出が制限されたとしても、重大なダメージはありませんでした。
ただ、コロナ禍が収束しつつある今でも在宅ワークが税理士業界から消える気配がありません。次のような理由があるからだと思われます。
開業1~2年は資金繰りが苦しい
起業して最初の悩みは「資金繰り」です。お客さんもいない、初期投資にコストがかかる…といった状況では、資金が急激に減ります。独立・開業したばかりの税理士も同じです。退職前は高給でも、独立したらゼロからスタートです。登録費用のほか、年会費やソフト代、勉強代にお金がかかります。
特に痛手となるのが事務所の経費です。理想は「税理士は自宅とは別の場所に事務所を構えること」です。ただ、これはかなりコストがかかります。顧客がゼロでも家賃を毎月払わないといけないからです。
しかし、自宅の内部を仕事空間とプライベート空間に分け、情報管理を徹底すれば、自宅を事務所として登録するのでも問題ありません。それどころか、家賃や交通費、水道光熱費を払わずに済みます。こういった事情から自宅で開業する税理士は前からいました。コロナ禍を機に、さらに増えたように思われます。
子育てや介護の女性は在宅の方が仕事しやすい
税理士の中には女性がいます。日本税理士連合会が公表したデータによれば、2016年1月末現在における女性税理士の人数は1万859人、税理士全体に占める割合は14.4%となっています。とても少ないように見えますが、2006年では7,961人、全体に占める割合が11.4%であることを考えると、少しずつですが女性税理士が増えてきているわけです。当時から6年超経過した現在は、もっと増えていると見られます。
女性の社会進出という点から見ると、女性税理士の増加は歓迎すべきことです。ただ、それでも女性特有の事情が独立開業の足を引っ張ることもあります。「育児」と「介護」です。
子どもが小さいうちは、突然の病気や短い保育時間、PTA活動などがあります。親の介護があれば、なかなか思うように外出できません。自宅の外で事務所を持ち、決まった時間に働くのはかなり難しいと言えます。
しかし、自宅ならば、空いた時間で仕事ができます。「子どもや老親の世話を誰かに依頼する」「空き時間を持つ」などの工夫は必要です。しかし、いざというときにいつでも対応しやすくなります。
打合せはオンラインでも間に合う
コロナ禍以前の打合せは、対面ばかりでした。オンラインの会議アプリがなかったわけではないのですが、利便性があまりなく、普及しなかったのです。しかし、コロナ禍以後、対面がはばかられるようになりました。これと同時に誰でも使えるオンライン会議アプリが一気に知られるようになり、オンラインでの会議が広がりました。
今年以降、コロナの影響が徐々に落ち着きつつありますが、オンラインミーティングが廃れる気配はありません。むしろ「交通費や時間を節約できる」「資料を共有しやすい」などで、対面よりも好まれることもあります。
税理士の仕事は、顧客の機密情報にかかわるものばかりです。そのため、打合せはカフェやレストランではなく、税理士か顧客のオフィスで行われるのが主流でした。しかし、オンラインミーティングなら自宅でもできます。背景が気になるなら別の画像で編集することも可能です。「守秘義務を保持しながら会議を行う」という点でも、外部に事務所を構える必要はなくなったと言えます。
税理士は在宅ワークしていいの?規定を確認
ここで気になるのが税理士法の規定です。税理士法では原則、2か所以上事務所を持つことを禁止しています。
【引用元】税理士法(e-gov)
この条文は、税理士という職業が独占業務であるだけでなく、納税義務の適正な実現に資するべきものであることから定められています。1か所に税理士業務の本拠を限定しておけば、顧客と税理士の法律関係を明確にできます。また、所長税理士個人の限界を超えてまで拡大すると、税理士以外の者が税理士業務を行う「ニセ税理士」を誘発することになりかねません。税理士という職業への信頼の担保のために2か所事務所は規制されているのです。
しかし、そうはいってもコロナ禍では事務所に行くことがはばかられます。また、税理士業務のデジタル化が進み、現在はどこでも仕事を行えます。こういったことから、日税連は、2か所事務所の禁止規定の解釈について答えざるを得なくなり、次のように回答しました。
・自宅事務所は登録しているなら問題ない
・別に事務所があり、自宅で仕事をしているケースでも臨時的なものであり、誤解を招くような表示をしていなければ問題ない
・社員税理士についても、臨時に自宅に仕事を持ち帰ったりする程度は問題ない
・非税理士の使用人の在宅ワークは、所長税理士がきちんと管理監督が行えるなら問題ない
こういった解釈から、顧客の誤解を招くようなことをせず、なおかつ管理監督がきちんと行えるなら問題はないものと見られます。
【参考】日本税理士会連合会公式ページ
税理士の在宅ワークのメリット・デメリット
ここで在宅ワークのメリット・デメリットをあらためて確認しましょう。
メリット
もっとも大きいメリットは、コストがかからない点です。家賃や水道光熱費、交通費といった固定費を抑えられます。このほか、自宅でないと落ち着かない人にとっては「仕事に集中できる」という利点があります。
また、スタッフを雇う所長税理士にとっては、採用の幅が広がります。通う必要がないので、育児や介護に拘束されがちな女性も採用対象となるからです。女性税理士なら、育児や介護といった事情があっても仕事を続けやすくなります。
デメリット
メリットの反面、デメリットもあります。一番大きいのは、メリハリがつきにくいことです。自宅はプライベート空間でもあるため、意識の切替が難しくなります。
また、自宅だとお客様を呼びにくくなります。顧客によっては「対面がいい」という人もいます。自宅で打ち合わせも可能ですが、私生活を見られたくない人や自宅を知られたくない人にとっては苦痛となるはずです。
さらに、目の前で従業員が仕事をしているわけではないので、管理が大変になります。出勤・退勤のほか、進捗状況を管理するツールが必要となるため、かえってコストがかかるかもしれません。
まとめ
筆者は、在宅ワーク派です。妊娠・出産・育児と並行して税理士業務をこなしてきました。子どもがいると、発熱などで保育園から呼び出されるだけではありません。夜泣きすることもあります。夫の出張で家を空けるわけにいかないときもあります。そのため、仕事はほぼ自宅で行ってきました。在宅が許されなかったら、どこかで税理士を廃業していたかもしれません。
コロナ禍以前から、日税連では税理士業務へのテレワーク導入が検討されていました。税理士の成り手が減っていること、ワークライフバランスを大事にする人が増えていること、クラウドシステムやオンラインツールが普及していることから、今後も税理士業界の在宅ワークは認容されていくものと見られます。
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