税理士試験選択科目

固定資産税

税理士試験の選択科目の1つであり、他科目と比較して簡単に合格することが出来ると言われている固定資産税。税理士試験の5科目合格を目指す受験生にとり、選択科目をどう選ぶかは非常に悩ましい問題でしょう。本記事では、「固定資産税って本当に簡単なの?」「固定資産税ってどのように勉強したらいいの?」などについて、初学者にもわかりやすく解説します。

税理士試験で固定資産税を選択しようと考えていて、科目について詳しく知りたいという方は、是非とも本記事をご一読ください。

固定資産税とは?

固定資産税とは

固定資産税とは固定資産(土地、家屋及び償却資産)の資産価値に応じて、所有者が支払う財産税のこと。地方税の中でも、市町村税に分類されます。

税理士試験においては、固定資産税、住民税、事業税の3種が地方税です。これらは地方税法の中に規定されている税金で、個々の法律が存在しません。そのため、国税とは異なり、「~税法」ではなく「~税」という科目名が付けられています。

固定資産税は不動産を所有している方にとって、なじみの深い税金でしょう。固定資産税の内容は、読んで字のごとく固定資産に課される税金となります。固定資産とは、土地・建物といった不動産や償却資産(事業用に使用される機械装置等)のこと。受験にあたって基礎知識は必要ありませんが、簿記を抑えておくと理解が早いでしょう。

固定資産税の特徴

税理士試験における固定資産税は、選択科目の一つです。酒税法、消費税法、国税徴収法、事業税、住民税と並んでミニ税法とも呼ばれることもあります。学習のボリュームが比較的少なく、受験生に人気の科目です。

試験では、理論問題と計算問題が一問ずつ出題されます。理論問題の中で、応用理論が出題されますので注意しましょう。一方、計算問題は近年、過去問を踏襲しつつも計算量の多い問題が出題されています。

合格に必要な学習時間は、主要科目と比較して短い250時間程度だと言われています。ただし、同じミニ税法の酒税法や国税徴収法と比較すると、多めの勉強量が必要でしょう。対策方法としては、十分に条文の正しい暗記と計算問題の演習を行い、素早く確実に得点ができるような実力をつけることです。

なお、固定資産税は、将来的には税理士試験科目から除外されるという噂があります。固定資産税を選択したいと考えている人は、なるべく早く合格しておくと良いでしょう。

固定資産税の試験概要

固定資産税の内容とポイント

理論問題では固定資産税の対象物とその課税額を答える問題や、固定資産税額の決定のための手順等を問われる問題が多く見られます。応用問題として過去問で出題されていない論点が出題される場合があるため、論点を幅広く抑えること、そして未知の論点が出題された際の対応力を磨くといった対策が必要です。

計算問題では過去問を踏襲した問題が出題されます。固定資産には土地、家屋、償却資産といった分類があり、それぞれの分類に対して税額の計算方法が定められています。試験では、一定の条件の下で固定資産の課税標準額や課される税額等を計算する問題が出題されます。

固定資産税は合格のために高得点を求められます。特に計算問題では、満点に近い点数を求められることもあります。計算問題について本番同様の環境での演習を十分にこなし、本番ではケアレスミスをしないよう、慎重に点数を積み重ねることが重要となります。

固定資産税の出題範囲例および試験内容

令和3年度(第71回)試験における出題範囲は以下のとおりです。

・固定資産税に係る地方税法、同施行令、施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む。

ミニ税法とも言われるように、固定資産税のボリュームは小さい傾向にあり、出題範囲も比較的狭いと言えるでしょう。また、多少ではありますが、償却資産に関する問題を解くには簿記の基礎的な知識があると有利になります。

固定資産税の出題形式

固定資産税は試験時間2時間、合計100点(第1問/50点 第2問/50点)の試験です。通常、第1問では理論問題、第2問では計算問題が出題されます。

理論問題では、個別理論の暗記が求められる形式と事例に則して答える形式があります。一方、計算問題では大問中で与えられた条件に基づき、土地、家屋、償却資産の固定資産税額を計算する形式が多く出題されます。

固定資産税の難易度・合格率

固定資産税の合格率

令和2年と令和元年の合格率は、過去の合格率と比較して若干低い13.5%程度でした。平成25年以降の合格率の最高値は平成30年の14.9%、最低値は平成29年の13.3%となっています。13%~14%台の合格率と、他の科目と比べると若干高めに推移しています。

固定資産税はミニ税法の中で、消費税法、国税徴収法に次いで受験者数が多い科目です。酒税法、事業税、住民税が受験者数500人弱であるところ、固定資産税は1,000人弱をキープしています。ただし税理士試験全体の受験者数の減少と同様に、受験者数は減少傾向にある科目です。なお、将来的には試験科目から外されるとの噂もあります。

固定資産税 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率
令和2年度 874 118 13.5%
令和元年度 868 119 13.7%
平成30年度 845 126 14.9%
平成29年度 843 112 13.3%
平成28年度 947 138 14.6%
平成27年度 934 138 14.8%
平成26年度 1,098 162 14.8%
平成25年度 1,232 169 13.7%

固定資産税の難易度

税理士試験には合格基準点があり、全科目共通で60点となっています。合格基準点を超えることが科目合格の前提ですが、それだけで合格できるということではありません。税理士試験は全体のうち一定数の受験生しか合格することができない、相対評価の試験になっています。そのため受験生全体の内、一定以上の得点者のみが合格することが可能です。

固定資産税では合格基準点の60点を超えるだけでなく、全受験者の中で上位13%~14%の得点を取ってはじめて合格できることになります。

固定資産税はミニ税法とも呼ばれ、比較的短い勉強時間で合格が可能とされています。ただ、だからこそ合格レベルに達している受験生が多く、その中で安定して上位の成績を取ることはそう簡単ではありません。

税理士試験の中で相対的な難易度が高くないとしても、一般的に見れば非常に難易度が高い試験です。特に固定資産税は合格点が満点近くになるとも言われており、1つのミスが命取りになりかねません。十分な学習なしには合格できないでしょう。

固定資産税合格までの道のり

固定資産税の合格には250時間程度かかると言われています。酒税法や国税徴収法と比較すると、長時間の学習が必要となるでしょう。ただし、法人税法等が400時間から600時間程度かかることと比較すると、半分以下での時間での合格が可能であることがわかります。

理論問題の学習では個別理論の暗記が基本となります。一言一句暗記するというよりも、固定資産税が賦課されるまでの流れを理解することが大切と言われています。理論問題は計算問題に比べて、完璧が求められる度合いが低いようです。しかし、固定資産税の合格ラインにいるほとんどの受験生は、計算問題をほぼ完ぺきに仕上げてくるでしょう。そのため、最後に差が出るのは理論問題の出来と言えます。

計算問題では満点近くの得点を狙う必要があるため、早く正確に解くための学習が不可欠です。何度も演習を行い、計算過程を考えなくても手が動くレベルにまで持っていくことが出来れば合格に近づくでしょう。また、計算問題は一度ものにしてしまえば力が落ちにくいとも言われていますので、集中的に学習する時間を作ると良いかもしれません。

固定資産税の勉強時間・勉強方法

固定資産税の勉強時間

固定資産税合格に必要な勉強時間は、250時間程度とされることが多いようです。税理士試験科目の中ではボリュームが少ない科目であるため、簿記論や財務諸表論と比較して半分程度の勉強時間が確保できれば合格することが可能と言われています。なお、同じミニ税法と比較すると、酒税法や国税徴収法よりは長時間の学習が必要で、事業税や住民税と同程度の時間の学習が必要となっています。

学習期間としては、4ヵ月から6ヵ月程度で合格が可能と言われています。受験者の状況にもよりますが、8月の税理士試験受験を目指すのであれば、遅くとも1月~3月頃には準備を始めたいところです。

上記の必要な勉強時間は、あくまでも目安です。実際には300時間から400時間程度勉強して初めて合格したという声もありますので、自分の理解を深める学習を行いましょう。

固定資産税の勉強方法

理論問題は必要な学習量が少ないと言われますが、とにかく条文の暗記と固定資産税が賦課されるまでの流れを理解しておくことが重要です。計算問題を完璧にこなしたうえで、理論問題が合否を分けるポイントになります。根気強く一つ一つ暗記していくことが重要でしょう。毎年応用問題と言われ、これまで出題されてこなかった論点が出題される傾向にありますので注意してください。

計算問題は、正確に早く解くことが非常に重要です。何度も演習を行い、計算過程を体で覚えるレベルになることが求められます。

また、最新の頻出論点を把握している資格予備校又は通信教育を受講すると良いでしょう。税理士試験は相対評価の試験なので、独学は難しいと言われています。他の受験生がどのようなレベルにあるかを念頭に置きながら勉強することで、合格する確率が高くなるはずです。

固定資産税の攻略法

計算問題は基本的に満点を目指しましょう。また、理論問題も基本的には着実に得点しなくてはいけません。試験本番ではまず計算問題を最後まで解き、理論問題は残り時間で解く方法がおすすめです。

固定資産税は、合格得点が9割程度になることもある試験です。学習内容はボリュームが小さく、比較的短い勉強時間で合格できると言われています。しかし、特に計算問題では1問のミスが不合格に繋がることもあります。もちろん、しっかりとした実力を付けていれば、安定して合格をすることが出来るはずです。

固定資産税は実務にどう役立つ?

固定資産税の実務との関連性について

税理士の実務に関連するのは、土地や家屋よりも償却資産の分野が主体です。例えば、顧問契約の中で依頼された法人税の納税業務に付随して、償却資産税の申告書を作成する場合などに知識を活用できます。

また、不動産取引業や不動産賃貸業などの事業会社をクライアントに持つ税理士法人、会計事務所、コンサルティング会社では、固定資産税に関する知識を用いる可能性が高いでしょう。また、そういった会社に入社する場合も、固定資産税の知識を持つ税理士は重宝されます。そういった会社での面接においても、履歴書に書いてあると有利に働く場合が多いと考えられます。

その他にも、固定資産税は相続や事業承継ニーズの高まりと共に注目が集まっている分野です。増え続ける地主・不動産オーナーの相続や事業承継に際して固定資産税の知識を活かせます。

まとめ

固定資産税は学習内容のボリュームこそ少ないものの、短い試験時間の中でほぼ満点を求められる試験です。計算問題が半分を占めますので、計算が苦手な人には向かない科目かもしれません。合格に必要な学習時間は250時間程度と、他の主要科目と比較すると短時間で合格できる可能性があります。試験傾向を踏まえたうえで選択してみると良いのではないでしょうか。

執筆・編集

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ikesaka(ペンネーム)

税理士

税理士。大学時代に簿記と出会い、税理士を志す。大学卒業後、税理士事務所に入社し顧問先の税務顧問や法人設立、税務調査などに従事。ベンチャー系事務所や中堅規模の事務所を経験し、税理士資格取得後、事業会社に転職しバックオフィス全般に携わる。税理士としても独立し、特にスモールビジネスや若手、女性の起業家の支援に注力している。

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