税理士試験選択科目

酒税法

税理士試験の選択科目の1つであり、他科目と比較して簡単に合格できると言われている酒税法。税理士試験の5科目合格を目指す受験生にとって、選択科目をどう選ぶかは非常に悩ましい問題でしょう。本記事では「酒税法って本当に簡単なの?」「酒税法ってどんな風に勉強したらいいの?」などといった疑問を、初学者にもわかりやすく解説します。

税理士試験の酒税法について詳しく知りたいという方は、是非とも本記事をご一読ください。

酒税法とは?

酒税法とは

酒税法は、酒類(アルコール分1度以上の飲料)へ課される税を定めた法律です。酒税法では原材料や製法により、酒類が4種の大分類(発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類)と17種の中分類に分類されていて、これらの分類に従って税率が細かく定められています。

酒税は、たばこ税等と同様に個別消費税(国税)の一種です。税理士試験では未だに消費税法と別の科目として存続しています。

酒税法の特徴

税理士試験における酒税法は選択科目の1つで、消費税法とどちらか1科目のみの選択が可能です。酒税法は暗記すべき理論の量が少なく、合格に必要な学習時間が最も短いと言われています。また、会計や簿記等の知識無しで学習に取り組めるため、短期合格を目指す受験生が選択する場合が多い科目です。

試験では、他科目と同様に理論問題と計算問題の両方が出題されます。ただし、配点は理論問題が3割、計算問題が7割と、他科目と比較して計算問題の比率が高い傾向にあります。合格率は他の科目と同様10%台前半ですが、受験者のレベルが全体として高く、合格点が9割程度となった年もあるようです。

なお、酒税法は過去に試験科目として廃止が検討されたこともあることから将来的に税理士試験科目から除外されるという噂がありますので、酒税法を選択したいと考えている人は、なるべく早く合格しておくと良いでしょう。

酒税法の試験概要

酒税法の内容とポイント

理論問題は、酒税法の理論に対する体系的理解が問われます。酒税法の立法趣旨や、関連する法律(災害減免法、国税通則法等)についても一部暗記することが必要です。

一方、計算問題は「判定」と「計算」に分かれていて、「判定」では製造された酒類がどの分類(品目)にあてはまるかが問われ、「計算」では各品目に対してかかる酒税額が問われます。酒税法は会計や簿記とは独立した分野なので、問題を解く上でそれらの知識は不要です。このことから、酒税法は初学者が学習しやすい科目だと言われています。

酒税法の出題範囲例および試験内容

令和3年度(第71回)試験における出題範囲は以下のとおりです。

・酒税法に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む。

とは言っても、酒税法はミニ税法と呼ばれ、消費税法、事業税、住民税、固定資産税、国税徴収法と同様にボリュームが少ない科目です。そのため出題範囲は相対的に狭く、学習に必要な時間は比較的短いです。

もっとも、後述するように、学習に必要な時間が短い分多くの受験生が基礎知識を十分に学習している傾向にあり、決して一筋縄で受かる試験ではありません。

酒税法の出題形式

酒税法は、試験時間2時間、合計100点(第1問/30点 第2問/70点)の試験です。第1問が理論問題、第2問が計算問題であり、各大問に付記された注意事項や資料に基づいて複数の問題を解く形式です。

酒税法の難易度・合格率

酒税法の合格率

令和2年、令和元年と連続して合格率が上昇しています。平成25年以降で最高の合格率は令和2年の13.9%、最低の合格率は平成25年の11.8%でした。全体を通して、11%~13%台で推移していて、他の科目と比べて同程度となっています。

酒税法は、住民税や事業税と並んで受験者数の少ない科目の1つです。受験者数は千人以下で、かつ近年減少傾向で推移していて、令和元年には500人を切りました。

受験者数が少人数であり、かつその多くの受験者が十分な量の勉強をこなしていることから、酒税法は毎年合格点が高くハイレベルな争いになっています。

酒税法 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率
令和2年度 446 62 13.9%
令和元年度 492 61 12.4%
平成30年度 546 70 12.8%
平成29年度 623 76 12.2%
平成28年度 669 84 12.6%
平成27年度 756 90 11.9%
平成26年度 774 101 13.0%
平成25年度 817 96 11.8%

酒税法の難易度

税理士試験には合格基準点があり、全科目共通で60点です。合格基準点を超えることが科目合格の前提ですが、それだけで合格できるということではありません。税理士試験は、全体のうち決められた数の受験生しか合格することができない、相対評価の試験といわれています。

つまり受験生全体の内、上記の合格率に含まれる上位得点者のみが合格することが可能です。酒税法では合格基準点の60点を超えるだけでなく、全受験者の中で上位11%~13%の得点を取ってはじめて合格できることになります。

酒税法はミニ税法とも呼ばれ、比較的短い勉強時間で合格が可能とされています。しかし、だからこそ合格レベルに達している受験生が多く、その中で安定して上位の成績を取ることはそう簡単ではありません。過去には資格予備校による合格確実ラインが9割程度だった年もあり、1~2問のケアレスミスをしたり、たまたま未学習だった項目が出題されたりしただけで不合格になるリスクが存在するので注意が必要です。

税理士試験の中で相対的な難易度が高くないとしても、一般的にみれば非常に難易度が高い試験です。理論の体系的な理解、計算の反復練習が十分でなければ、合格することは難しいでしょう。

酒税法合格までの道のり

後述しますが、酒税法の合格には150時間程度かかると言われています。他の科目が400時間から600時間程度かかると言われていることと比較すると、かなり短い時間での合格が可能だとわかります。その分、理解し暗記する範囲が狭いのが酒税法の特徴です。

そのため、試験に合格するためには、出題範囲を丸ごと暗記するのが一番の近道と言われています。他の科目で丸ごと暗記することは難しいですが、酒税法は暗記すべき事項が少なく、この方法を効果的に用いることが可能です。なお、暗記の際は、資格予備校の教科書を使うと良いでしょう。なお、暗記すべき項目は少ないとはいえ、覚えにくい理論ではあるので覚悟して暗記してください。

また、資格予備校の講義を受講できる方には、受講することをお勧めします。なぜなら過去の出題傾向から、出題範囲の中でも暗記する必要が無い項目を教えてくれるからです。必要な項目を絞ることで、より効率よく暗記することが可能です。

理論問題に対しては、上記の丸ごと暗記で対応することができます。その上で、計算問題への対策として練習問題を使って反復練習を行う必要があるでしょう。計算問題は前半の「判定」と後半の「計算」に分かれていて、判定は反復練習が、計算はミスなく慎重に計算を進めることが必要と言われています。

酒税法の勉強時間・勉強方法

酒税法の勉強時間

酒税法合格に必要な勉強時間は、150時間程度とされることが多いようです。税理士試験科目の中でもボリュームが少ない科目であるため、簿記論や財務諸表論と比較して3分の1程度の勉強時間が確保できれば、合格することが可能と言われています。

学習期間としては、ボリュームが少ないため3ヵ月から4ヵ月程度で合格するケースもあります。8月の税理士試験受験を目指して4月頃から準備を始めなくてはいけない人にとって、最初に手を付けやすい科目でしょう。

酒税法の勉強方法

理論問題を解くためには、酒税法に対する体系的な理解が求められます。そこで、まずは教科書を使って条文等を丸ごと暗記することが有用です。数が少ない分、他の科目より暗記しやすいと言われています。さらに体系的な理解を目指すために、条文等個々に覚えるのではなく、それぞれの関連性や繋がりを意識して覚えることが重要です。

計算問題は、判定と計算に分かれています。判定とは与えられた条件から、問題の酒類が17品目の酒類のどれにあたるかを答える問題のことです。練習問題を反復し、何度もアウトプットすることで身につくと言われています。計算とは問題の酒類について納付する納税額を計算する問題で、慎重に進めていければ解くことができるでしょう。

酒税法はマイナー科目であるが故に、資格予備校等に通わなければ勉強がしにくいかもしれません。また、資格予備校においても酒税法を教えられる講師の数が少なく、提供している授業の数も少ないようです。

酒税法の攻略法

酒税法では、合格に8割から9割程度の高い得点が必要になる場合が多く、全体として高い点数での争いになります。そのため大前提として、いかにケアレスミスで点数を落とさないかが重要です。

70点の配点がある計算問題では、酒類の判定問題にミスがあるとその後の計算も不正解となってしまうため、判定問題を正確に解くことが非常に重要です。一方で、30点の配点しかない理論問題についても、しっかりと点数を稼いで取りこぼしを防ぐことが求められます。

特に計算問題については、運の要素も強いと言われています。なぜなら、毎年予備校の授業等では扱わないマイナーな項目が複数出題されるからです。計算の総合問題の中でマイナー項目が出題されると、その部分の計算は運に頼るしかなくなります。合格ラインにいる受験者でも、運悪くマイナー項目の処理を取り違えてしまい、不合格となってしまう事例もあるようですので、注意が必要です。

酒税法は実務にどう役立つ?

酒税法の実務との関連性について

酒税法は、税理士試験科目の中で最もマイナーかつ役に立たない科目と言われています。実際に多くの実務家が、酒造業者の税務などの特殊な業務に関わる場合を除き、実務では役立たないと言及しています。そのため、一般的な税理士業務に役立つ科目を勉強したいという方にとっては、おすすめできない科目だと考えられるでしょう。特に会計事務所への就職を目指す場合には、就職活動の際に評価されない可能性もあるので注意が必要です。

一方で、とにかく税理士試験に合格したいという受験生にとっては、酒税法を選択するメリットは十分にあります。学習時間を短く済ませられる、あるいは他科目の知識が必要とされず独立に勉強することが可能な点などはメリットです。短期合格を目指したり、学習を始めたばかりでとにかく1科目に合格したかったりという受験生には、おすすめの科目と言えるでしょう。

まとめ

酒税法は暗記が必要な理論の量が少なく、合格に必要な学習時間は150時間程度。そのため、他科目と比較して短時間で合格できる可能性があります。酒造業者の税務に関わる場合等を除いて一般の実務には役立ちませんが、短期合格を目指す際には注目すべき科目です。

酒税法の試験は、理論問題3割、計算問題7割で構成されています。必要な項目を暗記し、計算問題を反復練習することで合格に近づくことが可能です。酒税法は税理士試験の中でもマイナーと言える科目ですが、短期合格を目指す方などにとって、選択するメリットは大きいでしょう。本記事での内容を、選択科目を検討するうえでの参考にしてください。

執筆・編集

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ikesaka(ペンネーム)

税理士

税理士。大学時代に簿記と出会い、税理士を志す。大学卒業後、税理士事務所に入社し顧問先の税務顧問や法人設立、税務調査などに従事。ベンチャー系事務所や中堅規模の事務所を経験し、税理士資格取得後、事業会社に転職しバックオフィス全般に携わる。税理士としても独立し、特にスモールビジネスや若手、女性の起業家の支援に注力している。

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