税理士試験必須科目

財務諸表論

税理士試験の科目の1つである財務諸表論は、年度ごとに難易度の振り幅が大きいことで有名です。記述式の問題も多く、しっかり理論を押さえていなければ正解できません本記事では財務諸表論について、「どのような試験問題が出るのか」、「どう対策すればいいのか」などを解説しています。

財務諸表論とは?

財務諸表論とは

税理士試験における必須科目のひとつが、財務諸表論です。財務諸表とは、経営状況や財産状況を報告するための書類です。財務諸表論では、財務諸表の作成手順やルールを学びます。税理士として必要となる知識であり、簿記の考え方が基礎になっているので、簿記論と財務諸表論はセットで勉強するケースが大半です。お互いに関連性が強く、一方の理解が進めばもう一方も上達するという相乗効果が得られます。

企業は会計の流れを帳簿につけ、財務諸表を作成します。そして、金融機関や株主などは財務諸表から企業の経営状況を把握、評価します。ですので、財務諸表統一されたルールで作成さている必要があります。そこで、税理士は、財務諸表について正しい考え方とルールを理解している必要があります。

財務諸表論の特徴

試験では、計算と理論が50点ずつ、合計100点満点で出題されます。
計算問題は、出題事例に応じて貸借対照表や損益計算書といった財務諸表を作成します。作成にあたり財務諸表のルールとなる会社法や会社計算規則の理解度が問われます。
理論問題は、会計の原理、原則や基準について記述する問題が出題されます。また、以前は長文を記述する問題が出題されていましたが、近年は、文章の穴埋めや数行の記述を求める問題が数問出題される傾向にあります。

出題

第一問 理論問題 25点
第二問 理論問題 25点
第三問 計算問題 50点

財務諸表論の試験概要

財務諸表論の内容とポイント

財務諸表論は企業が外部に提出する報告書などの書類について、基本的なルールや考え方を学びます。税理士として必要な知識のため試験でも十分な知識があるか出題者にチェックされているといえるでしょう。会社法や会社計算規則に関する正しい理解が必要ですので、自分なりの言葉や表現ではなく、まず規則などをしっかり暗記することが勉強の基本となります。

財務諸表論の出題範囲例および試験内容

出題範囲次の通りです。

会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法の計算等に関する規定、会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)、財務諸表等の用語・様式および作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式および作成方法に関する規則。

財務諸表論の出題形式

例年の傾向として、大問が3つ出され理論問題が2問、計算問題が1問出題されます。理論問題、計算問題、ともに50点ずつの配点ですので、試験勉強では両方を押さえておくことが大切です。

財務諸表論の難易度・合格率

財務諸表論の合格率

財務諸表論の合格率は平成29年度に29.6%でしたが、翌年には13.4%となり、年によって合格率に大きな差がありました。ここ2年は19%ほどと、他の科目に比べ多少合格率が高い傾向にあります。

合格率
平成28年度 15.3%
平成29年度 29.6%
平成30年度 13.4%
令和元年度 18.9%
令和2年度 19.0%

財務諸表論の難易度

財務諸表論は、税理士試験のなかでも難しい科目とされています。その理由として、記述式のため理解度が如実に解答用紙に表れ誤魔化しがきかないからと考えられます。また、記述する量が多いため試験中に集中力を切らしてしまう人も少なくないようです。

また、財務諸表論は合格率が跳ね上がった翌年には難易度が高くなるという話もあり、受験する年によって難易度にばらつきが生じやすいのも受験生としては悩ましいところです。

しかし、前述のとおり財務諸表論の合格率は他の科目と比べると高い傾向にあります。しっかりと学習すれば十分一発合格を狙える科目ともいえるでしょう。

財務諸表論合格までの道のり

資格試験の勉強を始めようとするとき、予備校に通うか、それとも独学しようか迷うかたもいるでしょう。税理士試験を独学で合格するのはかなり困難です。税理士試験は、上位の一定数しか合格できない相対評価の試験ですので、本試験における対策や回答テクニックを知ることができる予備校や通信講座の受験生が有利です。インターネットが発達して情報を得やすくなった現代においても、独学だけで難易度の高い税理士試験に挑むのは難しいでしょう。

また、一人で勉強をするのはモチベーションの維持が大変です。予備校や通信講座であれば、講師がサポートしてくれますし、模試などで自分の今の実力がわかったり、周囲から刺激を受けたりすることもできます。以上のことから税理士試験の受験においては、通信講座や通信講座などを利用する人が多いようです。

財務諸表論の勉強時間・勉強方法

財務諸表論の勉強時間

財務諸表論の合格に必要な勉強時間は、およそ400時間といわれています。ただ、この数字はあくまでも目安であり、本人の理解度によってはもっと時間がかかるケースも出てきます。

特に理論の学習に時間がかかります。会計の規則や考え方を基本からしっかりおさえることが大切ですし、学習が進むと基本項目から発展した内容を学ぶので基本を正しく理解しておかないと先の項目が理解できないことがあります。また、計算問題も理論で学んだ内容がベースになりますので理論をしっかり理解することが大切です。

財務諸表論の勉強方法

基本的に予備校などの講義で学んだ内容を何度も復習し、知識を定着させることが大切です。

財務諸表論の理論は難しい部分もあり、一度テキストを読んだだけでは身につきません。実際に問題を解いてみても、思うように回答できないこともあるでしょう。そこで、問題の解答を見るとき、解説にもしっかり目を通します。自分が間違った部分は重点的に解説を読み込み、理解してから次に進んでいってください。
また、財務諸表論は簿記論と関係性が強いので、同時に勉強するのが効率的です。
そして、財務諸表論攻略に欠かせないツールが過去問です。過去問は出題傾向を把握できるだけでなく、本番の雰囲気を知っておくためにも重要です。財務諸表論の出題傾向は年によって大きく変わる試験ではないので、過去問のやりこみが有効な試験対策です。

財務諸表論の攻略法

本番で使えるテクニックとして、計算問題から回答することです。なぜなら理論問題よりも、計算問題の方が確実に点数を稼ぎやすいからです。計算問題は数字を修正して財務諸表を完成させることがメインなので何をすべきか明確です。
一方、理論問題は問題文から出題者の意図を読み、回答しなければなりませんので、問題文の読解だけでも時間もかかります。ですので、まずは点が取りやすい計算問題に一通り手をつけた後に、理論問題に取り掛かりましょう。

また試験までに、多くの問題を解いて本番に挑むことも有効な対策です。過去問だけでなく、模試も受けておくのがおすすめです。その目的は「回答のスピードを上げる」ことです。問題読解や答案用紙へ回答を書くスピートはすぐに早くはなりません。何度もスピードを意識して回答する練習が大切です。本番に近い形式の問題をやりこんで読解の速度を上げておきましょう。

財務諸表論は実際にどう役立つ?

財務諸表論の実務との関連性について

税理士の実務において、企業等の財務諸表の作成や理解に必要となる知識は欠かせません。
これは、法人税の税金計算が、企業の財務会計を出発点としているためです。正しいルールで財務諸表を作成できる知識がなければ、適切な税金の計算ができません。

また、社長や経営にかかわる人にとっても財務諸表に対する知識は重要です。そのため、企業からアドバイスを求められることもあるでしょう。

まとめ

財務諸表論は難易度が高い科目ですが、基本的な知識を理解していれば、本番で着実に点数を稼げます。普段の勉強や模試を受けるときから、「どこで点数を取れるのか」を考えることで、本番でも点数が取りやすくなります。また、比較的合格率が高い試験ですので、努力次第で十分に乗り越えられる壁です。

執筆・編集

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ikesaka(ペンネーム)

税理士

税理士。大学時代に簿記と出会い、税理士を志す。大学卒業後、税理士事務所に入社し顧問先の税務顧問や法人設立、税務調査などに従事。ベンチャー系事務所や中堅規模の事務所を経験し、税理士資格取得後、事業会社に転職しバックオフィス全般に携わる。税理士としても独立し、特にスモールビジネスや若手、女性の起業家の支援に注力している。

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