税理士試験科目の一覧と概要
税理士は税務の専門家です。税理士法第1条では税理士の使命を次のように規定しています。
「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」
このように、税理士には高い専門性と責任が求められます。では、税理士になるためのステップである、税理士試験はどのような内容なのでしょうか。税理士試験の概要・特徴を解説するとともに、科目ごとの内容を紹介していきます。
科目合格者の転職は
ご相談ください
税理士試験は複数の科目にて構成されており、会計学に属する科目2科目と税法に属する科目3科目で合計5科目合格する必要があります。
会計とは、企業等が行う経済活動を記録・測定・伝達するための手段のことをいいます。企業の財務会計と税金は密接に結びついており、例えば法人の税金計算は企業の会計上の利益を出発点として算定されています。
税法とは、税金をどのように課して、どうやって徴収するか等を決めている法律の総称です。税理士は税金の専門家であるため、税法に対する知識は必須です。
会計学に属する科目は簿記論および財務諸表論でどちらも必須科目となっています。
税法に属する科目は所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税のうち3科目を選択することとなります。なお、この3科目の選択の際には以下のルールがあります。
余談ですが、住民税、事業税、固定資産税の科目について、法人税法のように語尾に「法」がついていないのは、これらは地方税法という税法にまとめて記載されているためです。
税理士試験はその専門性の高さから、難関国家資格試験として知られていますが、一方で社会人にとって比較的挑戦しやすい資格試験といえます。それは、税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要がないためです。
一年に1科目ずつ受験することも可能です。すなわち、1年に1科目ずつ合格し、5年で5科目に合格してもよいのです。なお、1回の受験において申し込むことができる科目数は5科目までです。
合格科目に有効期限はなく、生涯有効となるため、仮に5科目合格を果たす事ができなかったとしても、科目合格を積み重ねていれば、保有資格として専門的な知識を有していることの証明となります。
一方で、科目合格制ゆえに、1科目あたりの難易度が高くなっているという側面もあります。というのも、税理士試験は働きながら勉強する受験生も多く、社会人受験生の場合は1科目または2科目に専念して受験することとなります。
税理士試験の合格基準は満点の60%であると明示されていますが、配点や採点基準は公表されておらず、実質的には競争試験と言われています。そのため、自分以外の受験生のレベルが高ければ、必然的に合格までのハードルも上がります。特に必修選択科目の所得税・法人税はボリュームも多く、難易度が非常に高くなっています。
また、税法科目は選択制であるため、科目の選択については、いくつかのパターンがあります。科目の選択に絶対の正解はなく、選択の際には学習しやすさやバックグラウンド、税理士となってからの方向性などを考慮して決定します。なお参考としていくつかのパターンを例示します。
これは法人に関係する税法を中心に選択するパターンです。所得税と法人税はどちらかを必ず選択する必要がありますが、法人メインで今後の業務を進めていくことを見据え、法人税を選択します。残りの科目については、法人をメイン+の顧客と考えた場合、必要となる税目である消費税、事業税を選択します。
税理士の業務の中でも専門性の高い資産税をメインに考えた場合、まず中心となる相続税を選択します。所得税と法人税については、個人向けの業務という側面が強いため、所得税を選択します。残りの科目としては、不動産に関係する固定資産税を選択します。
税理士として実務を行ううえで、重要となる科目をすべて選択すると、やはり国税3科目を選ぶことになります。その反面、非常にボリュームの多い科目ばかりとなるため、学習には相応の時間を要することとなります。
まずはキャリアアドバイザーに
ご相談ください