2023年度税理士試験から受験資格が緩和された!2つの改正点を解説
2023年度税理士試験から、受験資格が緩和されました。1つは会計科目、もう1つは税法科目です。どのように緩和されたのでしょうか。また、その背景は。今回は緩和されたポイントを解説しつつ、今後の傾向を考察します。
目次
税理士試験の受験資格が緩和された背景
税理士試験の受験資格が緩和されたのは、2022年度税制改正によるものです。なぜ受験資格の緩和に至ったのでしょうか。背景には次のような事情がありました。
税理士試験の受験者数の減少
1つは、税理士試験の受験者数の減少です。この10年間、受験者数は減少傾向にあります。
背景には、少子高齢化による人口減少のほか、受験資格のハードルの高さがあります。
2022年度までの税理士試験では、どの科目を受験するのであっても、学識・資格・職歴いずれかの要件を満たさなくてはなりませんでした。
2022年度税理士試験以前の受験資格(会計科目・税法科目) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
学識 | 資格 | 職歴 | ||||
大学・短大・専門学校卒業者 | 大学3年次以上で63単位取得者 | 一定の専修学校の専門課程修了者 | 司法試験合格者 | 公認会計士短答式試験合格者 | 日商簿記1級または全経簿記上級合格者 | 2年以上一定の会計・法律事務を経験した者 |
※法律学か経済学に属する科目を履修 |
学識要件の1つ「法律学か経済学に属する科目を履修したこと」が比較的低いハードルですが、法学部か経済学部以外だとほぼ受けられません。そのため、他学部の学生や卒業生が税理士試験を受けるなら、まず日商簿記1級に合格することが必要でした。
また、法学部か経済学部に在籍する大学生でも、3年次以上でないと受験できません。一方、3年次・4年次は就職活動の時期でもあります。これに加え、税理士試験は「難易度が高く、長丁場になりやすい」という特徴があります。このため、受験資格の制限のない公認会計士試験に比べて敬遠される傾向にありました。
税理士試験の受験者数の減少は、税理士数の減少そのものに直結します。税理士の数が減っては、今後ますます複雑化・多様化していくであろう税務に対応しきれません。ひいては税理士制度そのものを揺るがすことになります。
今回の改正は、受験資格を大幅に緩和して受験そのもののハードルを下げ、受験者数の増加を期待したものとなります。
多様な人材の確保の必要性
もう1つは、多様な人材を確保する必要性です。現在、インターネットの普及や経済のグローバル化を背景に、日本だけでなく海外で活躍する税理士が増えました。独占業務である税務書類の作成や税務代理、税務相談に限らず、事業承継や組織再編などを通じ、幅広いコンサルティングを手掛ける税理士も登場しました。このほか、セミナーや講演、書籍の執筆などで活動するようにもなっています。
こういった状況で求められるのは、幅広い視野と教養を備えた税理士です。今回の改正では、受験資格となる履修科目の幅がぐっと広げられました。これにより、多様な人材が税理士業界に集まることが期待されています。
2023年度税理士試験からの受験資格の緩和2つのポイント
2022年度税制改正による受験資格の緩和は、2023年度税理士試験から適用されています。図にすると、次のようなイメージです。
緩和のポイントは、次の2つです。
緩和1:会計科目の受験資格が撤廃
1つ目は会計科目の受験資格です。2022年度までは税法科目と同じく、学識・資格・職歴のいずれかの受験資格が求められました。
しかし2023年度以降、この受験資格は問われません。法律学や経済学の科目の履修どころか、日商簿記1級の合格も不要です。そのため、入学して間もない大学1・2年次や普通科の高校生でも受験できることとなります。
緩和2:税法科目の「学識」受験資格が「社会科学」全般に
2つ目は税法科目の受験資格です。税法科目は会計科目と異なり、従来通り受験資格が求められます。ただし、この受験資格のうち、学識要件の一部が次のように緩和されました。
2022年度税理士受験まで:法律学または経済学に属する科目の履修が必要
↓
2023年度税理士受験から:社会科学に属する科目の履修が必要
この社会科学に属する科目には、これまでの法律学・経済学に属する科目のほか、政治学や情報科学、心理学や教育学なども含まれます。平たく言うと「法学部や経済学部以外の卒業生でも、税法科目が受けやすくなった」ということです。
ただし、大学生については1つ注意すべき点があります。「大学3年次以上で62単位以上取得していることも条件となる」という点です。また、専門学校生にも条件があります。変わったのはあくまでも「法律学・経済学→社会科学」となった点だけだと意識するといいでしょう。
今後の税理士試験や税理士業界への影響
税理士試験の受験資格の緩和は、今後、税理士試験や税理士業界において、次のような効果があると期待されます。
受験者数の増加
税理士試験の受験資格が緩和されたことで、今後の受験者数の増加が期待されます。受験それ自体のハードルが大きく下がったからです。
会計科目の受験資格がなくなったことで、やる気があれば高校生でも中学生でも受験できます。また、法学部や経済学部以外の出身者が、わざわざ日商簿記1級を受験する必要もありません。税理士を志すなら、勉強に集中できる時間を持ちやすい10代、20代のうちにスタートを切り、在学中に官報合格することも今後は可能となります。
税理士業界の平均年齢引き下げ
今回の税理士試験の受験資格の緩和は、受験者の平均年齢そのものを引き下げる効果が期待されます。結果、税理士業界全体の平均年齢も引き下げられるかもしれません。
日本税理士会連合会の第6回税理士実態調査によれば、2014年1月1日現在の税理士のうち、60代以上の占める割合は53.8%になっています。20代の税理士の割合は、わずか0.6%しかありません。
参照:データで見る税理士のリアル。|日本税理士会連合会
一方、税理士業界では若手の力が求められています。DX(デジタルトランスフォーメーション)による税務の効率化、毎年の税制改正で複雑化していく税務に的確に対応する力は、気力と体力が充実している若手だからこそ担えるものです。
今後、10代・20代の受験者が増えれば、若い合格者も増えていくでしょう。20代税理士の割合も増していくかもしれません。税理士業界全体が若返れば、経済社会の変化にもスピーディに対応し、難しい事案でも解決しやすくなる可能性が高まります。
税理士の実務経験先は就職・転職のプロに相談を
今回の税理士受験の受験資格の緩和で、今後は20代前半の合格者が増えていくことが期待されます。大学卒業後すぐに税理士として活躍したい人や在学中に官報合格を達成する人も出てくるかもしれません。が、実は税理士としての登録は、税理士試験に合格しただけでは不十分です。2年以上の実務経験が求められます。
税理士を志す10代・20代の方は「実務経験をどこで積んだらいいか」で悩むかもしれません。
「Big4で活躍したいけれどどうしたらいいのか」
「資産税専門の税理士になりたいけれど、どこがふさわしいのか」
こう悩みながらも、誰に相談したらいいかわからず、一人で悩み続ける人も少なくありません。
しかし、就職・転職のプロがそばにいれば安心です。これまでの豊富なデータと幅広い経験値から、その人の希望に沿った職場を見つけてくれます。マイナビ税理士は、その中でも税理士業界に特化した就職・転職エージェントです。無料のキャリア相談を行っているので、気になったらいつでもご連絡ください。
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進路について適切なアドバイスをしてもらえました!自分の進路について明確な答えが出せていなかったものの、どの業種に進んだら良いかなど適切にアドバイスをしてもらえました。どういったキャリアを積んでいけばより市場価値を高められるのか、候補の会社がどう違うのかを具体的に説明していただけました。(30代/税理士)
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求人の提案力と面接のフィードバックが良かった!タイムリーな求人の紹介とフィードバックの提供が良かったです。面接前の情報提供では、自分のアピールしたい強みが、面接先企業のどこに符号しており、今後の展開をどう捉えているかの思考の整理をする際に役立ち、安心して面接を迎えることが出来ました。(30代/税理士)
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