50代で税理士が転職するのは難しい?未経験の場合や転職成功を目指す方法を解説

50代で税理士が転職するのは難しい?未経験の場合や転職成功を目指す方法を解説

税理士に限らず、一般的に転職は年齢が若いほうが有利で、年齢を重ねるほど転職がしにくいといわれています。しかし、税理士の場合、年齢を重ねるなかで培った経験や、長年のキャリアで広げた人脈や信頼は大きな強みになります。そこで、50代の税理士の転職について考えてみましょう。

大原 剛

大原 剛

公認会計士・税理士

2007年、有限責任監査法人トーマツ入所。上場企業および大企業を中心とした会計監査業務に従事。
その後、プライム市場上場企業およびグループ子会社において、経理・税務・会計システム・予算管理など、コーポレート部門全般の実務を経験。
これらの経験を踏まえ、ハルサク会計を設立。現在は、税務申告業務に加え、上場企業水準の開示・内部管理を見据えたバックオフィス業務の仕組み化や、IT企業・スタートアップを中心とした会計・税務・管理体制の構築支援を行っている。
また、日本公認会計士協会東京会において、経営委員会委員およびテクノロジー委員会委員を歴任。
実務と制度の両面から、企業の成長フェーズに応じた実践的な会計・税務支援を強みとしている。

目次

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そもそも税理士業界の年齢層ってどれくらい?

税理士業界では従来、就業者の平均年齢が高い傾向がありました。そして近年では、さらなる高齢化が加速しているといわれています。

日本税理士会連合会が2015年に発表した「第6回税理士実態調査」によれば、同会に登録している税理士のうち、どこかの税理士事務所に勤務している勤務税理士は、50代~80代の占める割合が25.6%に増加しており、80代の税理士の割合は4.2%です。

また、受験者そのものの高齢化も進んでおり、国税庁が発表した「令和6年度(第74回)税理士試験結果」によると、年齢別の受験者数は、41歳以上が最も多く11,543人でした。次いで多いのが21歳~25歳の6,255人、26歳~30歳の5,775人であり、41歳以上の割合が大幅に多いのが分かります。つまり、ほかの業界では早期退職などを含めればそろそろセカンドライフを考え始める年代の50代であっても、税理士業界ではまだまだ十分に活躍できる場があるというわけです。実際に、定年退職後に税理士登録をして税理士事務所で働き始める方もいます。これは、税務署や国税局等の国税官公署で23年以上勤務し、指定の研修を受ければ、税理士試験が免除になる制度があるためです。

参照:税理士試験|国税庁

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50代の税理士の転職事情

現役で働いている50代の税理士は数多くいます。しかし、50代の税理士が全員必ずキャリアがあるわけではなく、50代の新人税理士というケースもあるでしょう。

企業の採用には、これからの伸びしろに期待する「ポテンシャル採用」と、これまでの経験を活かして即戦力として活躍することが期待される「経験者採用」があります。

税理士資格があり実務経験がある場合

経験豊かで即戦力となる50代税理士は、転職市場において高い需要が見込めます。税理士の仕事は、その性質から経験が重要視されます。そのため、採用する税理士事務所などでも、50代の税理士が積み上げてきた経験やスキル、そして人脈を求めているケースは少なくありません。

また、一般事業会社に所属して組織内税理士として働く場合には、税理士事務所の場合とは異なります。周囲に専門知識を持った会計のスペシャリストがいないことから、経験にもとづく高い専門知識を求められることが多くなるでしょう。

さらに、会計コンサルタントとして活躍する場合にも、経験の豊富さは引き出しの多さにつながるため、税理士事務所以外でも50代の税理士に対するニーズは堅調です。

なお、マイナビ転職 税理士は、税理士を専門とした転職エージェントです。これまでの豊富な実績と長年の経験から、キャリアアドバイザーが応募者に合った転職先をご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。

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未経験の場合

未経験、つまりポテンシャル採用の場合、年齢が低いほど有利になる可能性が高いでしょう。また、50代での転職を20代~40代での転職と比較すると、次のような点で不利になることが多い傾向があります。

  • 今までの経験に慣れていて、新しい職場のやり方に適応しにくいと思われやすい
  • 若い人のほうが柔軟な考え方ができて、新しいことを吸収するのが早いと思われやすい指導や依頼をする際、年齢が若い人のほうが気楽と思われやすい

50代の転職では、こうした偏見とも戦わなければいけません。採用側の偏見を払拭するためには、採用活動をするなかで注意も必要です。自分のほうが知識があると考えて相手の間違いを頭ごなしに否定したり、自己アピールが自慢話になったりしないようにしましょう。

採用の現場でコミュニケーション能力の高さを示せれば、豊富なキャリアとスキルがあって、協調性も高い人間として、採用側に必要な人材と認識されるはずです。面接のような税務以外の部分で戦略的に転職を進めるためには、転職エージェントを活用するのがよいでしょう。転職に向けて不安がある方はぜひ一度キャリアアドバイザーにご相談ください。

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50代の税理士が転職で評価されるスキルや経験

50代の税理士が転職する際に評価されやすいスキルや経験は、特定分野での実務経験やマネジメント能力です。事業の継承やM&Aなどの特定分野では、長年にわたる実務経験が求められます。そのため、経験が豊富な50代の税理士は高い評価を得られるでしょう。また、マネジメント経験があれば、長年の経験で培われた実力に加え、人材の育成力まで備えているため、企業にとって大きな戦力になると判断されることもあります。

特定分野での実務経験

特定分野での実務経験は企業に高く評価されるため、面接でもアピールポイントになります。たとえば、事業の継承や国際税務といった専門的な経験は、経験の豊富な50代ならではの強みであり、企業にとっても魅力的です。50代の人材を求める理由は「経験と知識の深さ」であるため、幅広い分野で浅い知識を多く持っているよりも、特定の分野で深い専門的な知識を持っているほうが企業にとって価値の高い人材とされるでしょう。

また、新技術に携わった経験も評価が高くなるポイントです。昨今はどの業界でもDX化が進んでいるため、ITツールやAI、クラウド会計などの活用経験があると、より評価されやすい傾向があります。ツールの導入に携わったり、ツールを活用して税務を行ったりした経験があるとよりよいでしょう。50代ならではの経験だけでなく、ほかの世代に負けないITの技術や知識も兼ね備えていると市場価値がさらに高まります。

マネジメント経験

チームマネジメントや業務フローを改善した経験は、企業に評価されるポイントです。50代の転職では、自身が成果を挙げられるかだけでなく、組織の育成に貢献できるかも問われるでしょう。豊富な経験を活かし税務において力を発揮することに加え、下の世代を育成し組織を強化できる人材であることを期待されているためです。自ら業務をこなしながらチームを牽引する力があると、入社直後から即戦力になると企業に判断されるでしょう。

50代の税理士におすすめの転職先3選

50代の税理士の転職先は、ほかの年代の税理士同様に、次のようなものがあります。

  • 税理士事務所や会計事務所
  • 経営や会計系のコンサルティングファーム
  • 一般事業会社の経理

税理士の高齢化問題が特に深刻なのは、社員税理士よりも税理士事務所の所長の高齢化です。そして、今後必ず発生すると予想されるのが、税理士事務所の事業承継問題でしょう。

事務所のスムーズな承継を果たすために、職員のなかに社員教育や事務所全体のマネジメントを任せられるベテラン税理士を求めるニーズも高まってくるはずです。そのため、今後の転職市場において、50代の税理士の新たなニーズが増えてくる可能性もあります。

税理士事務所・会計事務所

50代におすすめの転職先として、税理士事務所(税理士法人)や会計事務所への転職が挙げられます。

50代の税理士におすすめの理由 勤務税理士等、働き方が柔軟で未経験の求人も比較的多い
転職成功のコツ 所長が求めている人材を事前に把握する
注意点 福利厚生の充実度が低い可能性がある

経営や会計系のコンサルティングファーム

50代の税理士におすすめの理由 実務経験があれば、年収アップが狙える
転職成功のコツ コンサルティングに活かせる高度な能力をアピール
注意点 ハードワークになることもある

一般事業会社の経理

50代の税理士におすすめの理由 ライフワークバランスを大事にしやすい
転職成功のコツ 上場企業や中小企業など幅広く見る
注意点 募集求人が少なく、倍率が高い傾向がある

転職によって年収はどう変化する?

転職後の年収の変化は、単に前職の年収のみから推測することはできません。個人の税理士事務所の場合などでは、年齢による年収のアップダウンがあまりなく、大きな変化がない場合も多いようです。

実際の求人例を参照すると、以下のような転職成功事例がありました。年収が気になる方は、それぞれの求人案件をさまざまな角度から調べ、比較するようにしましょう。

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50代の税理士が転職に失敗しないためのポイント

50代税理士の転職におけるポイント

50代の税理士のなかでも実務経験が豊富な場合は、即戦力を募集している求人を狙うと効率的に転職できるでしょう。さらに、税理士資格に加え、別の資格も保有するダブルライセンスとなることでより市場価値が高まります。面接においては、資格だけでなく新たな職場になじめるコミュニケーション能力の高さも重要です。資格や能力があっても50代の転職はほかの年代と比較して難しい現状があるため、転職エージェントを活用して、資格や能力を活かせる職場を探すのがおすすめです。

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即戦力を募集している求人を狙う

50代で豊富な業務経験を持つ税理士なら、即戦力の募集をうたっている求人が狙い目です。少人数の税理士事務所などでは、大手に比べて1人の職員が抜けた影響がより深刻です。急に人手が足りなくなって即戦力を求めているような求人であれば、若手よりも経験豊富なベテランが重宝される傾向があります。

ダブルライセンスを身に付ける

税理士資格と併せて、社会保険労務士、中小企業診断士、行政書士などの資格を取得してダブルライセンスとなっていれば、希少価値が高まります。採用の現場では、その資格をどのように業務のなかで活かせるかまで踏み込んで説明できれば、強いアピールポイントになるはずです。

コミュニケーション能力の高さをアピールする

採用者側は、どうしても年齢が高い方は職場や仕事になじむまで時間がかかるのではないかという点を心配します。そこで面接の場では、周囲に年齢を感じさせず、仕事上のコミュニケーションが円滑に取れそうだという印象を与えるように心がけてください。

転職エージェントを活用する

50歳以上の求人は、やはり20代~30代対象の求人と比較すると、数が少ないのが現実です。そこで、数少ない求人には応募が殺到することにもなるため、求人を出す側では対応が煩雑にならないように、転職エージェントを活用しています。そのため、非公開求人を出す事務所や企業も少なくありません。そこで、50歳以上の転職には、特に転職エージェントの活用が強い味方になってくれるのです。

なお、マイナビ転職 税理士では、応募者が不採用だった場合、紹介先のクライアントに不採用の理由を尋ね、応募者にお伝えします。50代の募集は数が多くないなかで、1つひとつの転職活動を無駄にせず、次につなげることができます。まずはお気軽に無料相談からお待ちしております。

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50代税理士が転職する前に知っておきたいポイント

50代での転職で知っておきたいポイントとして、初年度は給与や裁量権が前職よりも低い場合がある点が挙げられます。50代で多くの経験を積んでいて即戦力であっても、働く環境が変わるため初年度から好待遇は難しい可能性が高いでしょう。しかし、これは一時的なもので、実務での成果やマネジメント力が評価されれば昇給や昇格に直結するのが50代の特長です。50代の転職において企業は早期退職を懸念しています。新しい職場でも長期的な視点での成長を目指す姿勢は企業から評価されるため、一時的に待遇が下がることを受け入れつつ、早期に高評価を得るために行動していくとよいでしょう。

また、正社員以外の柔軟な働き方も視野に入れることも必要です。非常勤や短期勤務などの働き方では、自分の得意な特定分野に集中して力を発揮できます。専門的な戦力を必要なときに活用できることは企業にとっても適切な人材の活用方法であり、転職の幅が広がるでしょう。

よくある質問

ここからは、未経験でも50代で税理士は転職できるのか、どのような転職先の選択肢があるのかというよくある質問に答えていきます。税理士には年齢制限がなく、50代の未経験者でも可能性が十分にあります。50代で社会経験を積んできたからこそ、企業内税理士や金融機関など独立以外の選択肢があるでしょう。以下でそれぞれ解説します。

50代で未経験でも税理士に転職できる?

50代で経験がない場合でも、税理士への転職は可能です。税理士試験には年齢制限がなく、定年もないため、50代で資格を取得した後でもキャリアプランを考えていけるでしょう。税理士は、知識やアドバイスといった形のないサービスを提供するのが仕事であるため、クライアントとの信頼関係の構築が重要です。これまでに培ってきた人脈やスキルが、クライアントとの関係構築に活かせます。社会経験が豊富な50代だからこそ、資格を取得するメリットがあるでしょう。

転職の選択肢は?

50代税理士のキャリアステップの選択肢

50代では、今まで積んできたキャリアから独立を考える方も多いでしょう。しかし、自身で経営しなければならないことや独立後の収入が確実でないことなどがリスクです。独立や税理士法人以外の転職先としては、企業内税理士や金融機関が挙げられます。

企業内税理士は企業専属の税理士となるため、一般企業で社員として働きながら経営に深く関与できるでしょう。企業内税理士としてキャリアを積んでいけば、経営層と近いポジションで企業の意思決定に関与するキャリアプランも考えられます。企業に属するため、独立よりも安定性が高いことが魅力の1つです。

金融機関では、顧客向けのコンサルティング業務が行えます。税理士資格を持つアドバイザーであれば、顧客も安心して任せられるため需要が高いでしょう。また、金融機関は雇用環境や安定性が保証されている点が魅力です。税務のなかでも特に数字に強く、顧客とのかかわりが好きな方におすすめの働き方といえます。

年齢を理由に転職をあきらめる必要はありません!

ここまで見てきたように、50代の税理士が年齢を理由に転職をあきらめる必要はありません。転職エージェントを活用すれば、これまでの経験が活かせる新しい職場にきっと出会えるはずです。恐れずに、まずは一歩踏み出してみましょう。

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