税理士の科目合格者が税理士法人や会計事務所への転職を考える際、「どのタイミングで転職すべきか」「1科目合格でも採用してくれる法人はあるだろうか」「最低でも3科目くらいは合格する必要があるだろうか」と悩む方は多いのではないでしょうか。

税務未経験の方がキャリアチェンジをして税理士業界への転職を志望している場合、求職者の潜在的な能力を評価する事務所は決して少なくありません。なぜなら、たとえ1科目でも合格した実績があれば、「粘り強く受験勉強に取り組んできたこと」を評価し、「入社後も勉強を続け、5科目合格するだけの意欲と能力がある」と判断できるからです。

では、科目合格者が税理士法人や会計事務所へ転職した場合、どのようにして実務と勉強を両立しているのでしょうか。科目合格者を採用している事務所の多くが入社後のフォローに力を入れ、「資格取得支援制度」を用意しています。

資格取得支援の内容は法人によって異なりますが、最も多いのは「残業時間」を制限することです。予備校や大学院に通っている方も多いため、残業をせず、終業と同時に退社できるよう配慮してくれます。

試験直前に「試験休暇」を用意している法人もあります。期間は数日～10日程度のところが多いのですが、中には1か月取得できるところもあります。

このほか、業務時間外になってしまいますが、先輩社員が有志で受験対策の勉強会を開いている事務所もあります。

たとえばコンサルティングファームの場合は、コンサルティングの領域によって有資格者でなくても仕事に就けるため、資格取得を重視しない事務所もあります。また、事業会社の場合も「税理士試験」に特化した支援制度を用意しているところは少ないようです。

入社後に資格取得の支援を受けたい場合は、税理士法人や会計事務所を中心に検討することをお勧めします。

「規模の大きな法人の方が、資格取得支援に手厚い」というイメージを抱く方がいらっしゃいますが、「規模による違い」は基本的にはありません。制度の手厚さや内容の違いは、規模ではなく、その法人の考え方や方針によるもの。そのため、資格取得支援制度の活用を考えている場合は、法人ごとに支援内容を確認することが大切です。

では、転職後、資格取得支援制度を活用するメリットは、どのようなものがあるのでしょうか。

これまでご紹介したとおり、「残業がほとんどなく、終業後、受験勉強に注力できる」「試験直前に試験休暇を取得できる」「先輩社員が有志で勉強会を開いてくれるケースもある」など、資格取得支援制度を活用するメリットはたくさんあります。

さらに、科目合格者に対して「科目手当」や「お祝い金」を支給する事務所もあり、年収アップも期待できます。

一方、転職により職場環境がガラリと変わるため、仕事に慣れるまでは「期待していたほど勉強に打ち込めない」と感じる方もいることでしょう。また、受験勉強に集中して「1年で2科目合格」した方でも、働きながら勉強するとなると、合格までのスピード感が変わってきます。

そのため、合格までのスケジュールを検討する際には、「実務と両立すること」を前提に、ゆとりをもって計画を立てることが必要です。

すでに3科目以上合格しているなど、「税理士資格の取得まであと一歩」といった方には、ぜひ資格取得支援制度の活用をお勧めします。資格支援制度の無い事務所では、「すでに十分に知識もあるし、無理して5科目合格していなくてもよいだろう」と、資格取得を諦めてしまう方もいらっしゃるからです。

しかし、今後のキャリアを考えた場合、「科目合格者」と「税理士の有資格者」では、市場価値が大きく異なります。

求職者の皆さんが理想のキャリアを築いていくためにも、資格支援の手厚い事務所に転職し、早い段階で5科目合格を目指すことをお勧めします。

これまでご紹介したように、資格取得支援の内容は事務所によって異なります。まずは、転職を検討している法人の支援内容を調べることから始めてみましょう。

調べる際には、資格取得支援制度の具体的な内容に加えて、制度の活用状況などもチェックしてみましょう。

「先輩が遅くまで残業しているのに、私だけ先に退社するのは申し訳ない」――このような心配をされている方もいらっしゃるかもしれません。そこで、法人全体の残業時間についても確認してみましょう。残業時間の少ない事務所であれば、他の社員に気遣いすることなく、勉強に打ち込むことができます。

科目受験を目指している社員向けに、業務量を調整した「専用の部署」を用意しているところもあります。残業時間が多い場合は、「科目受験者向けに何か対策をしていますか」と聞いてみましょう。マイナビ税理士では、応募する事務所の資格支援制度の内容や、活用状況をキャリアアドバイザーを通して事前にお伝えすることが可能です。

なお、制度を活用することはもちろん大切ですが、あくまでも勉強するのは自分自身であることを忘れないでください。特に正社員として入社するのであれば、実務に支障をきたさないことが大前提です。専門学校への通学を土日に回すなどの自助努力をしましょう。

いかがでしたか？
働きながら5科目合格を目指す場合、資格取得支援の内容はもちろん、残業時間の有無や配属先での協力体制など、さまざまな視点から転職先について検討することが大切であることが、おわかりいただけたかと思います。

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何よりも、マイナビ税理士では、税理士業界専任のキャリアアドバイザーが求職者の皆さんの気持ちに寄り添い、丁寧に転職へのご要望を汲み取っています。税理士として理想のキャリアを築いていけるよう、マイナビ税理士は全力で求職者の皆さんをサポートしてまいります。