「税理士は食えない」は本当?独立失敗を避ける対策と勤務先の選び方のポイントを解説
税理士試験の勉強中の方や、資格を取得して間もない方は「税理士で独立しても食えないのでは?」と不安になるのではないでしょうか。確かに準備不足で独立すると、厳しい現実に直面することがあります。どうしたら「食えない」状況にならずに済むのでしょうか。
今回は、なぜ税理士が「食えない」と言われるのかという背景を分析し、独立失敗を避けるための戦略と独立後も食べていくための勤務先の選び方を解説します。
目次
なぜ税理士は独立しても「食えない」と言われるのか
「税理士は独立しても食えないのではないか」。いずれ開業を、と思いながらも、心のどこかで二の足を踏む所属税理士や税理士受験生は少なくありません。今、開業税理士を取り巻く環境は以下に示す通り、シビアなものだからです。
顧問料の高額設定が難しい
円安や物価高、そして複雑化する税制の影響で、多くの税理士事務所が値上げをせざるを得ない状況にあります。しかし現実にはそう容易には進みません。次のような事情があるからです。
顧問先の資金繰り事情
税理士事務所と同様、顧問先も物価高の影響を受けています。資金繰りの都合上、顧問料の値上げに応じられないところもあります。
クラウド会計・生成AIの浸透
クラウド会計の登場以来、自ら記帳をし、確定申告まで行おうとする事業主が増えています。これに加え、昨今は生成AIの発達・普及により、自ら専門知識をAIに問い、解決までつなげようとする人も増えてきました。つまり「税理士いらず」になりつつあるのです。
低価格設定の税理士事務所の存在
提供するサービスにふさわしい報酬を堂々と請求する税理士事務所がある一方、低価格で勝負をかける税理士事務所も少なくありません。また、ひとり税理士でも、年金などほかの収入があることなどから低価格で顧問を引き受ける人もいます。つまり価格が二極化しているのです。
独立初期は顧客獲得が難しい時期です。それゆえ、低単価にならざるを得ないのですが、上記の理由により食べていけるほどの収入を確保できない時期が続くこともあります。
独立時の営業力・人脈不足
今、顧客がWebやSNSを使って自ら税理士を探す時代です。「税理士という資格さえあれば、黙っていても客が来る」わけではありません。税理士自身が積極的に情報発信を行うことが必要です。
こういった知識がない状態で独立すると、集客に苦戦する可能性があります。
クラウド・生成AIへの対応が必須
先ほどクラウド会計や生成AIによる事業主への影響に触れました。影響が及ぶのは税理士も同じです。クラウド会計や生成AIによる効率化や生産性の向上の必要性は、今後ますます高まります。こういったITの活用をうまくできれば、経営助言や資金調達支援といった付加価値の高いサービスを行いやすくなります。
しかし、IT活用が不足したままでいると作業効率が上がらず、結果、単価の低い仕事で長時間拘束されてしまうおそれがあります。ITへの対応力こそが、独立後の差別化と売上を左右する時代となったのです。
税制の複雑化
消費税のインボイス制度の導入や所得税の基礎控除・給与所得控除の複雑化など、税制は年々複雑化しています。住宅ローン控除でさえ、以前は誰もができるものでしたが、最近はひとつ間違えれば賠償問題になりかねないほど複雑になっています。こういった税制に独立税理士1人で太刀打ちするのは大変です。
データで見る「税理士事務所の休廃業率」
「税理士は食えない」という現実は、データにも表れています。帝国データバンクの調査(2024年)によると、業種別休廃業・解散率で最も高かったのは「税理士事務所」であり、5.61%という結果が出ています。
参照:全国企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)|帝国データバンク
税理士業界の平均年齢は60代前半です。そして調査が行われた2024年はインボイス制度開始直後の年でもあります。税制の複雑化への対応やITによる効率化、価格競争が迫られる中、耐え切れず廃業せざるを得なくなったのかもしれません。年齢を重ねれば重ねるほど、人は変化についていくのが難しくなります。
しかし、だからといって「若いから心配ない」とは言えません。年齢よりもむしろ「キャッチアップできるだけの気力と余裕があるか」が問われています。また、独立を考えるならそのための準備も必要です。まとめると、20代・30代のような若手税理士でも、変化を恐れ、準備を怠っていると、いざ独立開業しても食えなくなる可能性があるのです。
「食えない税理士」にならないための対策
税理士を取り巻く環境は厳しいものです。ただ、それでも独立して早々に食べていけるようになる税理士も少なくありません。彼らには、次のような特徴が見受けられます。
人脈づくりをする
独立して早々に税理士業を軌道にのせやすいタイプの特徴として多いのが「在職中から人脈づくりを心がけている」点です。交流会や勉強会にこまめに顔を出し、勤務先以外の同業者・異業種とのつながりをコツコツ積み上げています。また、SNSで専門知識を発信し、他の士業と交流することで、認知度を高めると同時に、独立のための下地作りをしています。つまり、独立後にゼロから顧客を探すのではなく、独立前から集客ルートを持つことで、独立しても仕事を得やすくなるのです。
業務で効率化を図る
クラウド会計や生成AIを上手に活用し、定型業務の工数を削減している点も特徴的です。もともとExcelなどで効率化を図ることが得意なタイプに多いと言えます。業務を効率化できれば、空いた時間をコンサルティング業務や特定分野の研究などに充てることができます。結果、低単価競争に巻き込まれず、高収益体質を実現しやすくなります。
強みを鍛える
特定の分野で強みがある人も独立後に成功しやすいです。「資産税専門」「医療に強い」「スタートアップ支援」といった強みがあると、選ばれやすくなります。
また、クライアントの中には「税務すべてではなく、今抱えている悩み(相続・贈与、医院経営、新規開業など)だけを解決してくれればいい」という人も少なくありません。そういった方に対し「○○分野で強いです」とアピールすると選ばれやすくなります。
「食える税理士」になるための勤務先選びのポイント
独立の失敗を防ぐには、勤務をしながら独立準備を進める「段階的な独立」を意識するとよいでしょう。同時に、意外と重要なのが独立前の環境です。将来を見据えた勤務先選びのポイントを解説します。
特化型の事務所
特定の分野で独立したいと考えているなら、その分野に特化した事務所で経験を積むのが近道です。「医療法人専門」「相続などの資産税専門」など、専門領域のノウハウを深く学ぶことができます。ノウハウを深く学べば、独立後、難易度の高い案件で紹介されやすくなります。また、コンサルティング業務で付加価値の高いサービスを提供しやすくなります。つまり、自身の独立後の「選ばれる理由」を早期に確立できるのです。
裁量の高い事務所
業務の内容にも着目しましょう。税務申告業務だけでなく、経営相談や資金調達支援などの高付加価値サービスを提供する業務にも触れられる職場が理想です。申告業務そのものも確かにシビアですが、クライアントの問題を解決し、事業の成長など未来につなげるクリエイティブな仕事は、より思考力が問われます。多様な業種や経営者と問題解決業務を通じて接していくことで、さまざまなケーススタディとノウハウが蓄積され、独立後に付加価値の高いサービスを提供しやすくなります。
フラットな関係を築きやすい事務所
独立後は、税務だけでなく組織経営も必要となってきます。スタッフの採用・育成・マネジメントを勤務時代に学べるのが理想です。また、独立すると実務の難問で悩むことが増えます。勤務の間にすぐに気楽に相談できる仲間とつながりを作っておくと、開業後も問題解決しやすくなります。
まとめ:勤務先選びは転職のプロに相談を
「税理士は独立しても食えない」という不安は、正しい準備と環境を選べば解決します。自分に見合った職場環境で独立の準備をコツコツと整えていけば、独立開業しても「食えない」という状況には陥りにくくなります。
独立成功のカギは、自分に見合った職場環境を選ぶことです。ただ、一人で探してもどれが自分に合うのかはなかなか分からないもの。そういうときこそ、転職のプロが助けになります。
「将来の独立を視野に入れて自分を磨ける転職先を探したい」。そう考えるなら「マイナビ転職 税理士」にご相談ください。あなたにぴったりの転職先がきっと見つけられるはずです。
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進路について適切なアドバイスをしてもらえました!自分の進路について明確な答えが出せていなかったものの、どの業種に進んだら良いかなど適切にアドバイスをしてもらえました。どういったキャリアを積んでいけばより市場価値を高められるのか、候補の会社がどう違うのかを具体的に説明していただけました。(30代/税理士) -
求人の提案力と面接のフィードバックが良かった!タイムリーな求人の紹介とフィードバックの提供が良かったです。面接前の情報提供では、自分のアピールしたい強みが、面接先企業のどこに符号しており、今後の展開をどう捉えているかの思考の整理をする際に役立ち、安心して面接を迎えることが出来ました。(30代/税理士)
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