税理士事務所とは?会計事務所との違いから仕事内容、転職に必要なスキルまで解説
税理士事務所への転職を考えているものの、よく似た「会計事務所」や「税理士法人」との違いが曖昧で、一歩を踏み出せない__そんな人がいるかと思います。また、具体的な仕事内容や働く人々の実態について、くわしく知りたいと思っている方も多いでしょう。
今回は「税理士事務所とは何か」という基本から、それぞれの違い、業務内容、そして転職に必要なスキルまで、網羅的に解説します。税理士事務所への転職を考えている方、必見です。
目次
税理士事務所(会計事務所)とは何か
最初に税理士事務所や会計事務所とは何かについて確認しましょう。
税理士事務所・会計事務所の違い
「税理士事務所」というのは、税理士法規定する税理士が業務を行うための事務所のことです。税理士法第40条に次のような規定があります。
(事務所の設置)
第四十条 税理士(税理士法人の社員(財務省令で定める者を含む。第四項において同じ。)を除く。次項及び第三項において同じ。)及び税理士法人は、税理士業務を行うための事務所を設けなければならない。
2 税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する。
3 税理士は、税理士事務所を二以上設けてはならない。
4 税理士法人の社員は、税理士業務を行うための事務所を設けてはならない。
参照:税理士法|e-gov
このため、税理士が個人事業主として開業し、事務所を設置する場合は「○○税理士事務所」と称することとなります。
一方、「会計事務所」という名称には法的な定めがありません。税理士だけでなく、公認会計士が設立した場合や、税理士と公認会計士が共同で運営している場合にも使われます。しかし、実際には多くの税理士事務所が「〇〇会計事務所」や「〇〇税理士・会計事務所」という名称を用いています。税務だけでなく会計業務全般を扱っていることを分かりやすく示すためです。
税理士法人との違い
「税理士事務所」と「税理士法人」の最も大きな違いは、事業形態が「個人事業」か「法人」かという点です。
| 税理士事務所 | 税理士法人 | |
|---|---|---|
| 設立 | 1人 | 2人以上 |
| 事業形態 | 個人事業主 | 法人 |
| 拠点 | 1か所のみ | 複数設置可能 |
| 事業承継 | 所長の死亡・引退で廃業 相続(ただし後継者も税理士資格が必要) |
社員の加入・脱退により組織として継続可能 |
税理士法人は、大規模なクライアントへの対応や全国的なサービス展開が可能です。組織として継続性も期待できます。一方、個人の税理士事務所は、所長の専門性や考え方が色濃く反映されるため、特定の分野に特化していたり、地域密着で小回りの利くサービスを提供していたりするケースが一般的です。
税理士事務所の主な仕事内容
税理士事務所の業務は、大きく「税務業務」「会計業務」「コンサルティング業務」の3つに分類できます。
税理士の独占業務
税理士法によって、税理士にしか行うことができないと定められている3つの業務です。
- 税務代理: 納税者の代理として、税務署への申告や申請、調査の立ち会いなどを行います。(例:法人税・所得税の確定申告、相続税申告、税務調査対応)
- 税務書類の作成: 税務署に提出する申告書や届出書などを作成します。(例:確定申告書、法人税申告書、年末調整関係書類)
- 税務相談: 税金の計算方法や節税対策など、税に関する具体的な相談に応じます。
これらの独占業務は、税理士事務所の根幹をなす最も重要な仕事です。
会計業務
税務申告の基礎となる会計帳簿の作成をサポートする業務です。独占業務ではありませんが、顧客の経営状況を正確に把握することが可能であるため、多くの税理士事務所(会計事務所)が担っています。
- 記帳代行、会計ソフト導入支援
- 月次決算支援、試算表の作成と報告
- 決算書の作成
- そのほか、給与計算など
コンサルティング業務
税務の複雑化に伴い、需要が高まっています。会計・税務の専門知識を活かして、顧客の経営課題を解決に導きます。
- 資金調達支援(融資相談、事業計画書作成支援)
- 経営分析、経営改善指導
- 事業承継支援
- M&A、組織再編に関するアドバイス
- 補助金・助成金の申請サポート
AIにより単純な記帳代行業務が自動化される中で、こうした付加価値の高いコンサルティング能力は、今後ますます求められるスキルとなるでしょう。
税理士事務所の仕事を役職別に確認
税理士事務所では、さまざまな立場の人が役割を担い、業務を進めています。ここで、役職ごとの主な仕事内容を確認しましょう。
所長税理士・代表社員税理士
事務所の経営者であり最終的な意思決定者です。税務申告・税務代理など税理士としての独占業務を担うほか、以下の業務を行います。
- 事務所全体の経営方針の決定、マネジメント
- 新規顧客の開拓、既存顧客とのリレーション構築
- 高度な税務判断、節税対策の提案
- スタッフの採用、教育
所属税理士
いわゆる「勤務税理士」です。所長や代表社員の監督のもと、実務を担当します。担当クライアントを持ち、月次監査から決算、税務申告までの一連の業務を遂行します。経験を積むことで、マネージャーとして部下の指導・育成を任されることもあります。なお、原則、直接受任はできません。所長税理士などの承諾を税理士法にしたがって得た場合にのみ可能となります。
税理士試験の科目合格者・受験生
税理士資格取得を目指しながら、実務経験を積むスタッフです。税理士のアシスタントとして、以下のような補助業務からキャリアをスタートするのが一般的です。
- 会計ソフトへのデータ入力、記帳代行
- 月次試算表の作成
- 決算整理業務の補助
- 各種申告書作成の補助
実務を通じて税法や会計の知識を深めることができるため、試験勉強との相乗効果が期待できます。
そのほかのスタッフ
税理士や科目合格者以外にも、事務所の運営を支えるスタッフがいます。記帳代行を専門に行うパートスタッフや、総務・経理・秘書業務を担当する事務スタッフなどがこれにあたります。
税理士事務所への転職に必要なスキル3つ
税理士事務所に転職を考えるなら、次の3つのスキルは備えておくとよいでしょう。
会計・税務の知識とスキル
最も基本的なスキルです。税理士資格や科目合格はもちろん大きなアピールポイントになりますが、多くの事務所は実務経験を重視します。
これまでのキャリアでどのような業種・規模のクライアントを担当し、どの範囲の業務(記帳代行から申告書作成、税務相談まで)を経験してきたかを具体的に説明できるように準備しておきましょう。
PCスキル・ITスキル
現代の会計事務所において、ITスキルは必須です。特に以下のスキルは重視されます。
- 会計ソフトの利用経験: 弥生会計、勘定奉行などの従来型ソフトに加え、freeeやマネーフォワードクラウドといったクラウド会計ソフトの知識・経験があると強みになります。
- Excelスキル: VLOOKUP関数やピボットテーブルなど、大量のデータを効率的に処理するスキルは高く評価されます。
- ITツールへの順応性: チャットツールやWeb会議システムなど、新しいITツールを積極的に活用する姿勢も大切です。
社会人としてのスキル
税理士事務所の仕事は、顧客である経営者と直接対話する機会が非常に多いのが特徴です。そのため、専門知識と同じくらい、社会人としての基本的なスキルが求められます。
- コミュニケーション能力: 顧客の悩みや要望を正確にヒアリングし、専門的な内容を分かりやすく説明する能力。
- 課題解決能力: 顧客が抱える経営課題を発見し、解決策を論理的に検討する能力(ただし税務相談は税理士でないと応じられないので注意)
- 学習意欲: 税制改正など、常に変化する情報をキャッチアップし、学び続ける姿勢。
まとめ
「税理士事務所」とは、税理士ならではの独占業務に加え、これに付随する記帳代行やコンサルティングを行うところです。「会計事務所」と呼ぶこともありますが、「税理士法人」とは、設立形態や組織規模の面で個人事務所とは大きな違いがあります。事務所の規模や特化している分野、企業文化によって、働き方や求められる役割は大きく異なります。転職を成功させるなら、これまでの経験やスキル、そして今後のキャリアプランを棚卸し、それに見合う事務所を見つけることが重要です。
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