独学で税理士試験合格は可能なのか?独学で合格を目指す勉強法とポイント
科目ごとの平均合格率12~14%の難関資格である税理士試験に、独学で臨んで合格することは不可能ではないものの、きわめて高いハードルと言えるでしょう。
特に働きながら独学で税理士試験に合格したいのであれば、情報収集を行って合格までの戦略を練り、高いモチベーションを持ち続ける姿勢が求められます。
今回は独学で税理士試験合格を目指している方に向けて、受験科目の選択や教材の選び方、さらには会計事務所や税理士法人で働きながら税理士試験合格を目指す方法などを伝授します。
独学で学びながら税理士を目指す際には、マイナビ税理士のキャリアアドバイザーへご相談ください。資格取得に向けたキャリアプランや転職先を提案いたします。
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監修
マイナビ税理士編集部
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独学で税理士試験に合格することは可能なのか?
税理士試験の概要と難易度
税理士試験は例年8月に実施されます。令和4年度(第72回)税理士試験は、8月2日(火)~4日(木)の日程で実施され、合格発表は、令和4年11月30日(水)に行われました。
全体の合格率は過去4年で15~20%前後を推移しており、合格には5年前後かかるのが一般的といわれる非常に難易度の高い資格です。会計学2科目(必須)と税法3科目(選択必須・選択)の合計5科目の合格が必要ですが、一度にすべて受験する必要はありません。
各科目とも合格基準点は満点の6割ですが、6割とれば合格ということではありません。合格ラインは試験内容や正解率などをふまえて毎回決められ、合格ライン以上の得点上位者から合格となります。
科目別の合格率はまれに18~20%を超える場合もありますが、おおむね12~14%程度です。つまり、上位12~14%に入らないと科目合格できないということです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和4年度 | 28,853人 | 5,626人 | 19.5% |
令和3年度 | 27,299人 | 5,139人 | 18.8% |
令和2年度 | 26,673人 | 5,402人 | 20.3% |
令和元年度 | 29,779人 | 5,388人 | 18.1% |
このように税理士試験は非常に難易度の高い試験です。必然的に、合格には多くの勉強時間が必要となるため、働きながら独学で合格することはとても難しいのが実態です。
しかし、税理士資格の合格をサポートしてくれる企業なども存在し、独学での資格取得のために、サポートしてくれる企業へ転職される方もいらっしゃいます。 一度キャリアアドバイザーへ相談し、資格取得を前提とした転職の相談をしてみてはいかがでしょうか。
受験資格はあるの?
税理士試験には受験資格が設けられていますが、税理士試験の受験をしやすくするため、令和5年度からこの受験資格が大きく緩和されることになりました。改正後の受験資格は会計学科目(簿記論・財務諸表論)と税法科目で異なることとなり、具体的には以下のようになります。
■会計学科目の受験資格
会計学科目については、受験資格要件が撤廃されました。つまり、令和5年度以降の税理士試験では、誰でも会計学科目の受験ができるようになります。
■税法科目の受験資格
税法科目については、引き続き以下の学識、資格、職歴のいずれかの条件を満たしていることが受験資格要件とされています。
<学識による受験資格>
・大学、短大または高等専門学校を卒業し、社会科学に属する科目(注)を1科目以上履修
・大学3年次以上で、社会科学に属する科目(注)を含め62単位以上を取得
(注)令和4年度までは法律学又は経済学に属する科目でしたが、社会科学に属する科目へと拡充されたことで、文学部や理工学部の大学生・卒業生も受験しやすくなりました。
・修業年限が2年以上、課程の修了に必要な総授業時間数が1700時間以上の専修学校の専門課程を修了し、法律学又は経済学を1科目以上履修
・司法試験合格者
・平成18年度以降に公認会計士試験の短答式試験に合格した者
<資格による受験資格>
・日商簿記検定1級合格者
・昭和58年度以降の全経簿記検定上級合格者
<職歴による受験資格>
以下の事務または業務に通算2年以上従事していたこと。
・法人または事業を行う個人の会計に関する事務(複式簿記による仕訳、決算、財務諸表作成業務など)
・銀行、信託会社、保険会社などにおいて、資金の貸付け・運用に関する事務
・税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務
合格に必要な科目数は?
会計学2科目、税法9科目のうち3科目(選択必須1科目、選択2科目)の合計5科目の合格が必要です。
なお、消費税法と酒税法、住民税と事業税については、どちらか片方のみの選択となります。
分野 | 科目 | 受験 |
---|---|---|
会計学 | 簿記論、財務諸表論 | 必須 |
税法 | 所得税法、法人税法 | 選択必須 いずれか1科目 |
相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税 | 選択 いずれか2科目 |
必要な勉強時間は?
次に、科目別に必要といわれる勉強時間から、合格までに必要な時間を考えてみます。
以下の例のように、必要とされる勉強時間が少ない選択科目を選んだ場合でも、1800~1950時間の勉強時間が必要になります。
平日2時間、土日6時間ずつ勉強できたとしても週22時間、1年(52週)で1144時間ですから2年近くかかることになります。難易度の高い相続税法、消費税法などを選択する場合はさらに多くの時間が必要になると考えられます。
<合格までに必要な勉強時間の例>
【必須】 簿記論 450~500時間
【必須】 財務諸表論 450~500時間
【選択必須】 法人税法 600時間
【選択】 国税徴収法 150時間
【選択】 酒税法 150~200時間
合計 1800~1950時間
<科目別 勉強時間の目安>
必須 | 簿記論 | 450~500時間 |
---|---|---|
財務諸表論 | 450~500時間 | |
選択必須 | 所得税法 | 600~700時間 |
法人税法 | 600時間 | |
選択 | 相続税法 | 450~500時間 |
消費税法 | 450~500時間 | |
酒税法 | 150~200時間 | |
国税徴収法 | 150時間 | |
住民税法 | 200時間 | |
事業税法 | 200~250時間 | |
固定資産税法 | 250時間 |
独学での合格は困難を極めるが不可能ではない
一般的な税理士試験の受験者は、予備校に通ったり、通信講座を利用したりして勉強します。前述したように、税理士試験の勉強は通常何年にもわたるため、予備校代などの費用は総額ではかなりの金額となります。
独学での税理士試験受験には、こういった経済的負担が少なく、また、自分のペースで勉強できるというメリットがある反面、以下のようなデメリットがあります。これらを踏まえると、独学での合格は不可能ではないものの、相当にハードルが高いといえるでしょう。
<税理士試験を独学で受験する際のデメリット>
・内容の理解に時間がかかる
・教材が不足しがち(特にミニ税法科目)
・受験テクニックや最近の試験動向を踏まえた“ヤマ”などの情報が入手できない
・自分との戦いになるためモチベーションを維持しにくい
<ココまでのまとめ>
・全体の合格率は15~20%前後。合格するまでに5年前後かかる難関資格。
・学識、資格、職歴のいずれかの条件を満たしていれば受験できる。
・会計学2科目、税法9科目のうち3科目の合計5科目の合格が必要。
・難易度が高くない選択科目でも、必要な勉強時間を消化するのに2年近くかかる。
・独学での合格は不可能ではないが道は厳しい。
独学で合格するために重要な事
会計事務所や税理士法人で働きながら税理士試験合格を目指す
税理士試験の受験者は、受験に専念している人と働きながら勉強する人に大別されます。ただし、メジャーなのは後者の方でしょう。また、働きながら勉強する人の職場は、会計事務所や税理士法人であることが比較的多いものと思われます。
働きながらの受験は勉強時間を確保するなどの課題がある反面、特に会計事務所や税理士法人で働いている場合には、特有の優位性もあるといえます。会計事務所や税理士法人で働きながら独学で税理士試験合格を目指す際には、これらの優位性を活かしていくことが有効でしょう。
前述のとおり、税理士試験を独学で受験することには、さまざまなデメリットがあります。こういったデメリットもあるため、独学で臨む人が合格までにかかる時間は専門学校等へ通う人に比べて長くなるのが一般的です。このような場合に重要なのが、やる気やモチベーションの維持です。
モチベーションの維持は、税理士試験合格のためにもっとも大切な要素ともいえます。そして、会計事務所や税理士法人で働いている場合の優位性の一つには、モチベーションを維持しやすいという点が挙げられます。会計事務所や税理士法人で税理士の補助業務を経験することで、憧れの税理士という仕事のやりがいや面白さを体感しながら、知識や経験を積むことができます。
また、試験に必要な知識を実務で裏付けられることや、試験勉強で培った知識を実務で役立てることができるのも会計事務所や税理士法人で働くことの優位性の一つといえるでしょう。特に、勉強で培った知識が仕事の中で役立ち、クライアントから感謝の言葉をもらうというのはとても喜ばしいことであり、記憶の定着やモチベーション維持に大きく寄与するはずです。
この他、試験や実務に関するさまざまなノウハウを有する諸先輩の話を聞けることや、税理士試験受験者について資格取得支援制度等の時間的・経済的な支援を受けられることがある点なども、会計事務所や税理士法人で働きながら勉強する人特有の優位性といえるでしょう。現在、会計事務所や税理士法人以外の職場で働いており、なおかつ独学で税理士試験合格を勝ち取りたいという方は、上記のような優位性のある会計事務所や税理士法人への転職を検討してみてもよいかもしれません。
受験科目の選択
税理士試験は、どの科目をどのタイミングで受験するかを自分で選択することができます。
科目によって難易度や合格ラインが異なり、比較的難易度が高くないといわれる科目もあります。
難易度が高くないといっても誰もが合格できるということではなく、ほかの科目と比較すると学習に要する時間が相対的に短くて済むという意味合いであり、簡単に合格できるものではありません。科目によっては、総学習量は少ないものの、大きなミスは一つも許されないといった側面を有することもあります。つまり、学習量が少ない=合格しやすいわけではないのが、税理士試験の悩ましいところです。
この点、税理士試験のための学校では科目選択のノウハウや情報提供がありますが、独学の場合は自分で情報収集して考えなければなりません。
こういったことを踏まえて、勉強の効率を重視する場合は難易度(必要とされる学習時間の長さ)や教材の豊富さを、モチベーションの維持には分野への興味や将来の目標を重視するとよいでしょう。
どちらかに偏らず、将来の目標やモチベーションと効率をバランスよく考えることも大切です。その際は、以下のような点を意識するとよいでしょう。
・自分自身の得意・不得意
・その分野に興味がある、将来のキャリアに必要な科目である
・難易度(必要とされる学習時間の長さ)
・独学に必要な教材が豊富にある
<ココまでのまとめ>
・会計事務所や税理士法人で働くことは、税理士試験合格にもプラス材料となる。
・税理士試験合格をめざすための転職もあり。
・受験科目の選択はバランスを考慮し慎重に行う。
独学は教材選びが重要
教材選びのポイント
独学では、自分にあった教材(参考書)を探し出すことが重要です。
必須科目である会計学は2科目とも教材として使えるテキストが豊富に揃っていますが、簿記などの基礎知識がない場合は、簿記3級や2級のテキストから入るとわかりやすいです。
また、頻繁に法改正がある税法は、書籍が税制改正に対応できていない場合もあります。試験対策の書籍とインターネットや経済誌などを併用して、最新の情報をチェックするとよいでしょう。
選択科目や選択必須科目は教材の種類が乏しい傾向があり、市販ではよい教材が見つからない可能性もあります。
税理士試験の予備校でテキストだけの販売もしていますので、探してみるのもよいでしょう。
テキスト購入者の質問に対応してくれる場合がありますので、独学のサポートにもなります。
参考書だけでなく、過去の問題を集めた問題集(いわゆる過去問)で試験の形式に慣れておくことも大切です。
なお、最近は会計学科目や主要な税法科目の予備校などの教材が、電子書籍でも販売されています。外出先などでもすぐにチェックできるため、電子書籍のユーザーはこれらを活用してみてもよいでしょう。
<ココまでのまとめ>
・教材の種類が少ない科目や法改正などの最新情報が反映されていないことも。
・税理士試験の予備校でテキストの販売を行っている。
まとめ
独学で税理士試験に合格するのは容易にできることではありません。
知識を身につける学習能力に加えて、自己管理や情報収集、継続する力が重要です。
合格を最優先に考えるなら、自分に何が足りないかを考えながら柔軟に対応することをおすすめいたします。
社会人として働きながら合格をめざす場合は、仕事との両立というハードルもあります。
マイナビ税理士に、税理士合格をめざすのに最適な働き方を実現するお手伝いをさせてください。
お悩みのご相談だけでもお待ちしております。
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