税理士が開業に失敗してしまう理由は?対策方法と開業のメリットとデメリットも解説
開業は多くの税理士にとっての憧れです。成功すれば、経営者として税理士事務所全体のサービスや働き方を決められる一方で、開業はリスクも伴い、失敗して廃業してしまうこともあります。この記事では、税理士の開業について、失敗する理由やその対策、メリットとデメリットなどをご紹介します。

大原 剛
公認会計士・税理士
2007年、有限責任監査法人トーマツ入所。上場企業および大企業を中心とした会計監査業務に従事。
その後、プライム市場上場企業およびグループ子会社において、経理・税務・会計システム・予算管理など、コーポレート部門全般の実務を経験。
これらの経験を踏まえ、ハルサク会計を設立。現在は、税務申告業務に加え、上場企業水準の開示・内部管理を見据えたバックオフィス業務の仕組み化や、IT企業・スタートアップを中心とした会計・税務・管理体制の構築支援を行っている。
また、日本公認会計士協会東京会において、経営委員会委員およびテクノロジー委員会委員を歴任。
実務と制度の両面から、企業の成長フェーズに応じた実践的な会計・税務支援を強みとしている。
目次
税理士が開業に失敗してしまう理由
税理士が開業に失敗する理由として多いのは、準備の優先順位や方向性を誤ってしまったことによる複数の問題が挙げられます。たとえば金銭面による準備や知識の不足、加えて顧客開拓についても戦略設計ができていないまま開業すると、十分な数のクライアントを確保できずに経営が不安定になるリスクが高まってしまいます。
まずは、税理士の開業が失敗してしまう理由について1つずつ詳しく見ていきます。
資金不足
税理士事務所開業直後はすぐに安定した収入を得るのは難しいため資金不足に陥りやすく、その結果として開業が失敗してしまうことがあります。開業時の資金不足は、事務所の運転資金不足によってのみ生じるわけではなく、生活費と事業資金を明確に分けて考えていないことが経営悪化の大きな原因になることもあります。たとえば、営業活動や設備投資に経営資金を充てられないと将来の業務効率化や顧客獲得が進まず、長期的な利益が期待できなくなってしまうでしょう。
適切な価格設定ができない
サービスの価格設定が不適切で、十分な収入を確保できないことも廃業につながる理由の1つです。特に、開業直後は実績を多く積み重ねたいために低めの価格設定をしたくなりますが、根拠のない値下げは売り上げの減少や業務量の過剰な増加を招きかねないため注意が必要です。加えて、開業初期に受注した仕事はその後も同じ価格帯での対応を求められることが多いため、後から価格を見直すことが難しくなる点も大きなリスクといえます。
顧客開拓がうまくいかない
開業が失敗する理由として、営業不足によって十分な数のクライアントが確保できないことも挙げられます。開業後はさまざまな媒体を用いて積極的に営業活動を行い、顧問契約など継続的な収入の見込める案件の受注を目指すようにしましょう。
税理士の開業で失敗しないための方法

税理士が開業に失敗して後悔しないようにするには、事前に綿密な計画を立てることや、個人事業主として必要な能力を身に付けることが重要です。
開業前から顧客を確保しておく
開業前からクライアントを確保できれば、開業直後からある程度の収入が得られます。具体的な方法としては、知人の紹介やセミナーを通して経営者とのつながりを持つことや、所長の許可を得たうえで前職での顧問先を引き継ぐことが考えられます。
資金計画を立てる
資金不足に陥らないために、事前に入念な資金計画を立てて余裕を持って資金を準備することも開業に失敗しない方法として重要です。開業直後に十分な収入が得られなくても経営を立て直せるよう、3か月から半年分程度の経費を用意する必要があるといわれています。また、資金計画や対応できる業務量を考えたうえで、適切な金額・量の業務を受注するようにしましょう。
集客の方法を考えておく
顧客開拓での失敗による廃業を防ぐためには、SNSやチラシ、税理士紹介サービスなど新規顧客を獲得するためのさまざまな方法について検討しておく方法が考えられます。開業後、営業に力を入れるのは重要ですが、同時に手間や費用もかかるため、ほかの業務の妨げになることもあります。そのため、開業するうえでは自社サービスを利用するターゲットを想定し、それに合った営業方法を事前に考えておくことが重要です。
税理士が開業するメリット・デメリット

税理士が独立開業するメリットは、自由な働き方ができ、年収ややりがいも上がる可能性があることです。一方で、経営悪化・廃業のリスクや肉体的・精神的な負担があるといったデメリットもあります。それぞれについて、詳しく解説していきます。
メリット
税理士の開業には以下のようなメリットがあります。
- 働き方を決められる
- 年収アップが期待できる
- やりがいが大きい
- 定年で退職する必要がない
税理士事務所の所長になれば、労働時間や事業内容を自分で決められるため、ワークライフバランスの改善や、前職とは違う業務への挑戦も可能というメリットがあります。また、所長は自身の努力が会社全体の利益や自らの収入に直結します。そのためやりがいが大きく、年収アップも期待できるでしょう。さらに、定年がないため老後も働き続けられる点もメリットの1つです。
デメリット
税理士が開業する場合、以下のようなデメリットが考えられます。
- 収入が不安定
- 廃業のリスクがある
- 業務の幅が広い
- 責任が大きい
開業税理士は固定給ではなく会社の利益が自分の収入に直結するため、収入が不安定な点はデメリットといえます。また、経営がうまくいかなければ廃業に追い込まれるリスクもあります。廃業してしまうと収入がなくなってしまうだけでなく、廃業後の手続きや再就職にも手間がかかるでしょう。加えて、税務業務だけでなく営業活動や人事管理、経理業務などさまざまな業務を行う必要があり、その最終的な責任を自分で負うことになるため、精神的な負担が大きくなる点も税理士が開業するデメリットとして挙げられます。
失敗するのが不安なら開業をやめて転職するのもおすすめ
開業のデメリットが気になる場合は開業を目指す代わりに転職をするという選択肢もあります。転職であれば、開業に伴う廃業のリスクや年収の不安定さを気にせずに開業と同じようなメリットを期待できるでしょう。
税理士資格は、転職活動において非常に強力な魅力となり、ほかの税理士法人や会計事務所だけでなく、コンサルティングファームや一般企業など幅広い進路が期待できます。そのため、自分の望む環境・業務内容での仕事がしやすく、大手企業や要職への転職ができれば年収アップも狙えるといえます。
また、転職によってやりがいや自己成長を追求することも可能です。特に、事業会社の経理や経営企画に転職すれば会社を内部から支えられるため、開業した場合と同じようなやりがいを感じられるでしょう。
マイナビ転職 税理士は、税理士専門の転職エージェントです。税理士業界を熟知したキャリアアドバイザーが希望する条件に合った転職先をご紹介します。ぜひご利用ください。
開業した税理士の事例
ここからは、実際に開業した税理士の実例をご紹介します。
40代前半で独立したAさん。もともと営業が得意で、顧客は独立初期からたくさんいました。それでも経営は順調にはいきませんでした。いったい、なぜでしょうか?
理由は「単価の安い仕事ばかり取っていたから」です。もちろん、Aさんも好んで単価の安い仕事を取っていたわけではありません。何としても独立を成功させようと、一般的な価格帯と比べて安くても仕事をすると決めていたのです。
この前向きな姿勢は、決して悪くありません。ただ、この状況がずっと続くと、仕事が増える→忙しい→休む時間がない→疲れる→でもお金にならない→経営を続けるため、また安い仕事でも取ってくるという地獄のループへと突入します。
実際にAさんはそうでした。働いても働いても事務所の経営は安定せず、それどころか1年後には過労で倒れてしまったのです。
Aさんから学ぶべき教訓は、「安いから頼む」という武器では続けられないということです。最初は安価で受けても、その実績をもとに少しずつ正常な価格の仕事を増やしていくなど、報酬アップの努力をしなければ、このループからは抜け出せません。
独立したら、「誰かがやってくれる」ということはなく、自分で判断して動くことが求められます。Aさんの事務所はその後、残念ながら廃業となったそうです。独立を考えている方は、「料金」についても真剣に考えることをおすすめします。
よくある質問
最後に、税理士の開業についてよくある質問をご紹介します。
税理士の廃業率は?
帝国データバンクによる2024年の調査では、税理士事務所の休廃業・解散率は5.61%で、これは全業種で最も高い数字でした。原因としては、税理士の高齢化によって事業が継承できないケースが増えたことや、競争の激化による顧問料の低下・インボイス制度の導入に伴う管理業務の増加のように経営環境が悪化したことなどが指摘されています。
参照:(記載内容の訂正/1月28日)全国企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)|株式会社帝国データバンク
開業した税理士の年収は?
開業した税理士の年収は幅が大きく、成功して高年収を得る人がいる一方で、年収500万円以下にとどまるケースも少なくありません。特に、顧客が少ない開業直後は収入が安定しないことが多いのが実情です。
開業した税理士が楽しいと思う瞬間は?
税理士事務所を開業した場合、自分のライフスタイルや重視するサービスに合わせて、自由に労働環境や事業内容を決められることは楽しさを感じられる要因として挙げられます。また、所属税理士とは異なり、上司や所長からの指示がなく自分の働きが自分の収入に直結するため、日々の業務も楽しいと感じられる人が多いでしょう。
まとめ
ここまで、税理士が開業する際の失敗の原因や開業のメリット・デメリットについて見てきました。税理士の開業には多くのメリットがある一方で、廃業のリスクや負担の増加も考慮する必要があります。開業を考えている税理士の方は、併せて転職という選択肢を検討してみるのもおすすめです。
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