税理士と弁護士の違いとは?税理士スキルを身につけてキャリアアップ
税理士法により、税理士として登録できるのは税理士試験の合格者、税理士試験の免除者のほかに、弁護士(弁護士となる資格を有する者)、公認会計士(公認会計士となる資格を有する者)と定められています。公認会計士はもともと関連する業務ですが、弁護士は税理士として登録することでどのようなメリットがあるでしょうか。
監修
マイナビ税理士編集部
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弁護士資格があれば税理士登録が可能
弁護士資格で登録できる資格
弁護士は裁判書類の作成や法律相談業務、刑事裁判の弁護人、民事裁判の代理人などの法律全般に独占業務をもつだけでなく、ほかの資格に登録することができます。
また、税理士法第51条第1項により、所属弁護士会経由で国税局長に通知すれば、その管轄区域内に限って税理士業務を行うことができます。
登録できる資格 | 登録団体 |
---|---|
弁理士 | 日本弁理士会 |
税理士 | 日本税理士連合会 |
社会保険労務士 | 全国社会保険労務士会連合会 |
行政書士 | 日本行政書士連合会 |
海事補佐人 | 国土交通省海難審判所 |
税理士と弁護士、業務範囲の比較
税務を独占業務とする税理士と、法務を独占業務とする弁護士では業務範囲が異なります。
たとえば、税務に関する法律において、弁護士はそれに関する事務全般を取り扱う権限がありますが、税理士の権限は訴訟の補佐人、すなわち弁護士の補佐的な役割に留まります。
弁護士の業務範囲 | 訴訟事件に関する行為、非訟事件に関する行為、審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為、その他一般の法律事務 |
---|---|
税理士の業務範囲 | 税務代理、税務書類の作成、税務相談、会計業務、租税確定の範囲内で行う社会保険労務士業務、租税に関する訴訟の補佐人、財産価格の証明、会計参与 |
弁護士の視点が活かせる税理士業務
弁護士としての視点を活かせる業務として、税務調査立会いや納税者の代理人業務があります。税務調査で承服できない指摘があった場合、税務署に対して不服申し立てを行い、税務訴訟で争うことができるのが強みになります。
事業承継や事業譲渡では税務だけでなく、会社法などに精通していることでより高度なアドバイザリーが可能になり、必要に応じて代理人として交渉に携わることもできます。
<ココまでのまとめ>
・税理士のほかに、弁理士、社会保険労務士、行政書士、海事補佐人に登録できる。
・法務知識と独占業務を活かして、より高度なアドバイザリーができる。
税理士業務未経験でも転職できる転職先
会計事務所・税理士法人や事業会社で実務を経験すると、税理士としてのスキルが身につきます。遠回りのようにも思えますが、もっとも確実にスキルアップできる方法です。両者の業務内容はほぼ同じですが、業務範囲や立ち位置は異なります。
会計事務所・税理士法人
会計事務所や税理士法人は、企業や個人事業主などの顧客の税務代行や経理業務などを請け負っています。記帳代行、税務申告、巡回審査、給与計算、年末調整、コンサルティングなど、税理士業務の全般を経験することができます。
一般的な会計事務所ではさまざまな業種や規模のクライアントを抱え、税理士は複数のクライアントを担当するため、質・量ともにバラエティに富んだ事例を経験できます。
ただし、相続や事業承継などの案件を扱わない事務所もありますので、特定分野の経験を積みたい場合は、専門特化した事務所を選ぶと効率が良いかもしれません。
会計事務所や税理士法人は、有資格者であれば未経験者の採用にも積極的な事務所が多いです。会計の実務では即戦力になれないかもしれませんが、弁護士としての法務知識を活かせる職場はあるでしょう。
事業会社
税務に特化する役割ではなく会計のスペシャリストとして、事業会社の経理部門で働く税理士もいます。月次決算、決算(四半期・期末)、有価証券報告書の作成、連結決算対応などの主計業務は会計事務所・税理士法人とほぼ同じです。
そのほかに支払や経費精算などの出納業務が加わります。会計事務所・税理士法人よりも業務の幅は広く、企業会計の全容を把握することができます。ただし、その対象は入社した会社と関連会社などに限定されます。
未経験者採用のスタンスは会社によりますが、経理部門であえて未経験者を採用するケースは少なく、会計事務所や税理士法人と比較するとハードルが高い傾向があります。
その代わり、組織内弁護士や企業法務に関する需要が高いので、弁護士資格を活かせる機会は会計事務所や税理士法人よりも多いでしょう。税務調査の対応などで頼れる人材として評価される可能性もあります。
<ココまでのまとめ>
・業種や規模など幅広い経験を積めるのは会計事務所・税理士法人。 ・企業内の会計の全容を把握できるのは事業会社。 ・未経験者採用には、どちらかといえば会計事務所・税理士法人が積極的。 ・弁護士資格と法務知識を活かすことで会計の経験不足をカバーする。
税理士スキルを身につけるメリット
弁護士が税理士業務を経験するメリット
税理士業務を経験することで、弁護士の業務範囲である法的な手続きの後で発生する納税への視点をもって、助言ができるようになります。法的には選択肢があるケースでは節税を視野に入れた方法を提案し、納税額を少なくできればクライアントの利益につながります。
また、弁護士として相続や財産分与に関する依頼を受けたとき、その後に発生する納税申告や税務相談を行うことができるようになります。
相続や離婚を多く扱っている法律事務所では非常に役立つと考えられます。また、同業の法律事務所よりも業務の幅が広がるため、独立する際には強みとなるでしょう。
税理士のスキルを活かしたキャリアアップ
弁護士資格があれば登録できるとはいっても、通常の税理士業務が行えるほど税務に精通している弁護士はやはり少ないでしょう。税理士の業務範囲は非常に幅広く、すべてを網羅するにはかなりの時間と実務経験が必要です。
税理士業務の中で、弁護士としての知識や経験を活かせる分野、ニーズの高い分野に着目してキャリアプランを考えていくとよいでしょう。
弁護士が関わる機会が多い税理士業務
税理士業務の中でも弁護士が関わる機会が多い事例があります。複数の利害関係者が関わり、相続、贈与、譲渡などにより納税の義務が生じる事案です。こうした事例では、法務と税務の知識をあわせもっていると有利になります。
<弁護士と税理士が関わる可能性がある事例>
・相続
・事業承継
・事業譲渡
・財産分与(離婚、相続)
・民事再生、倒産、自己破産(法人) など
弁護士と税理士の接点が多い業務である「相続」を例にとってご紹介します。税理士登録をすることで、相続に関する登記以外の業務をカバーできることになります。
相続で発生する業務 | 弁護士 | 税理士 |
---|---|---|
遺言書作成 | 〇 | 〇 |
相続税対策(税務相談) | × | 〇 |
相続人・相続財産の調査 | 〇 | 〇 |
遺産分割協議書の作成 | 〇 | 〇 |
代理人としての交渉 | 〇 | × |
相続税の申告 | × | 〇 |
相続登記 | × | × |
調停・審判の代理人 | 〇 | × |
<ココまでのまとめ>
・弁護士の業務においても、納税への視点をもって助言できるようになる。
・相続、贈与、譲渡などによって納税義務が生じる業務に強くなれる。
まとめ
税理士業務の中には、弁護士の業務と深く関連するものがあります。
税理士として登録し、会計事務所・税理士法人や事業会社で実務経験を積むことで、税理士としてのスキルを身につけることができます。そのスキルは弁護士としてのアピール材料となり、仕事の幅は確実に広がります。税理士業務を経験して、キャリアアップをめざしてみてはいかがでしょうか?
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