税理士、相続税の業務で求められるスキルと内容は?
相続は、事業承継と並びニーズが増加している業務ですが、税理士業務の中でも、専門特化した知識が求められる分野でもあります。法人の仕事をしてきた方には、個人のクライアントは未知の分野であり、未経験から転職することを不安視される方も多いと思います。相続の業務内容や求められるスキルを確認してみましょう。
監修
マイナビ税理士編集部
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税理士の相続業務
相続とは?
ご存じのとおり、相続とは、亡くなった人(被相続人)が所有していた不動産や預貯金などの財産的な権利義務を、法律および遺言で特定の者(相続人)に引き継がせることをさします。3つの相続方法があります。
相続の種類 | 根拠 | 相続のしかた |
---|---|---|
法定相続 | 民法 | 法律で定められたとおりにする |
遺言相続 | 被相続人の遺言書 | 被相続人の遺志に従う |
分割協議相続 | 相続人全員による協議 | 相続人全員で分割方法を決める |
相続の業務内容
相続の業務は、生前対策と相続発生後の業務に大きく分けられます。税金への対策が期待されますが、遺産分割の方法によって、課せられる相続税に大きな差異が出る場合があり、そこで税理士の手腕が問われます。
また、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内が相続税の申告および納付期限となります。これを過ぎると延滞税や加算税などの罰金が課され、相続税軽減の特例も使えなくなるというデメリットがあります。
・生前対策
生前対策は相続税をシミュレーションすることと、節税や二次相続を視野に入れた最適なスキームを提案することが主な業務です。
(1)相続税の算出
(2)資産の評価
不動産(土地、建物)、動産(美術品、有価証券など)
(3)遺産分割方法のアドバイス
生前贈与(贈与契約書作成、贈与税の申告)、養子縁組、法人化などの選択肢の提案
(4)遺言書作成のアドバイス
・相続発生後の業務
遺産分割協議書は、本来は税理士業務にはあたりませんが、相続業務の一部として対応する場合のみ認められます。ただし、相続業務の範囲内であっても、代理人としての交渉、調停・審判の代理人、相続登記は、税理士が対応できない業務です。そのため、相続の業務では、弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士などと連携することも多いようです。
(1)相続財産の調査~財産目録の作成
生前対策から対応していれば確認のみ
(2)相続人の調査
(3)遺産分割協議書の作成
(4)相続税の申告
ココまでのまとめ
・相続業務は、生前対策から関わる場合と相続発生後から始まる場合がある
・遺産分割の方法によって相続税が変わってくる
・税理士では対応できない業務があり、ほかの士業との連携や役割分担も
相続業務で必要とされる知識と相性
相続業務で必要とされる知識
相続について定めた民法や相続税に関する知識は大前提です。加えて、小規模宅地等の特例のほか、空き家、農地、中小企業の株式など対する相続税が軽減される特例を把握している必要があります。相続の業務に携わる場合は、特例などの最新の情報を知っておかなければなりません。また、生前対策では不動産の有効活用をスキームに取り入れることもあり、不動産投資などの知識があるとベターです。
多くの相続人は税務や民法に対する知識がありませんので、そうした人にもわかりやすく説明するスキルは必須です。
相続業務の仕事との相性
遺産分割をめぐって相続人たちが争う「争続」という言葉もありますが、本格的なトラブルになった場合は税理士の手を離れ、弁護士の業務となります。「争続」となる前に、税理士から、相続人すべてが納得できる遺産分割の方法を提示できれば、トラブルを未然に回避することができる可能性もあります。
遺産分割や相続のスキームが適切かつ公正であることはもちろん、税理士としての信頼感や説得力を備えていることが重要になります。落ち着いた態度や話し方が身についている方は、その点は向いているといえます。
相続はクライアントとその家族、親族の非常に個人的な部分に立ち入る仕事です。守秘義務だけでなく、見聞きしたことに対して自分の感情をあらわにすることも望ましくありません。ですから、感情の切り替えやコントロールが苦手な場合は、仕事として続けていくことが難しいかもしれません。また、親身になって話を聞くことは大切ですが、クライアントと適切な距離感も保つことも大切です。
ココまでのまとめ
・基本の民法と相続税に加えて、相続税軽減の各種特例の最新知識は必須
・感情のコントロールができて、人と適切な距離感を保てる人に向いている
相続に関する民間資格
相続専門の国家資格はない
相続に関する助言や手続きは、弁護士、税理士、司法書士、行政書士などが行えることになっていますが、それぞれに独占業務の制約があり、相続を専門にする国家資格は存在しません。 一方、昨今の終活ブームを受け、相続に関する民間資格が急増しています。一部をここに挙げますが、このほかにも多数あります。
・相続士(NPO法人相続士協会)
・相続診断士(一般社団法人相続診断協会)
・相続鑑定士(一般社団法人全国相続鑑定協会)
・遺言執行士(一般社団法人日本遺言執行協会)
・相続カウンセラー(一般社団法人日本相続コンサルティング協会)
・相続対策プランナー(一般社団法人相続対策プランナー協会) ほか
資格で未経験からの転職を有利に
税務のスペシャリストである税理士にとって、法人税務と個人を対象とする相続は、畑違いの分野といえます。
民間資格は、国家資格のように業務を行う権限を保証するものではありませんが、相続に関する知識の裏づけにはなります。
資格取得は相続の専門知識を身につけるだけでなく、相続業務に対する理解を深めることにもつながります。相続業務のイメージがより明確になれば、自分の適性も判断しやすくなるでしょう。 また、未経験から転職する際には、相続業務への意欲や、自分なりに実務につくための準備を整えていることをアピールする材料になります。
ココまでのまとめ
・相続専門の国家資格はないが、民間資格は多数ある
・相続の民間資格を活用して、未経験からの転職を有利に
まとめ
高齢化社会の影響で、資産税の業務の中でも相続と事業承継の市場は拡大を続けています。市場の拡大と比較して相続に精通した税理士が少ないため、未経験者を採用している相続専門事務所もあります。
未経験から、相続業務の分野に転職するには好機といえるかもしれません。
相続業務は未経験であっても、自分の経験やスキルを分析していけば、応用できる知見やスキルを発見できることがあります。そのためには、相続の仕事を理解することが不可欠です。
また、民間資格などで相続に関する知識をアピールすることも、有利な転職活動につながるでしょう。
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転職された方の声
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進路について適切なアドバイスをしてもらえました!自分の進路について明確な答えが出せていなかったものの、どの業種に進んだら良いかなど適切にアドバイスをしてもらえました。どういったキャリアを積んでいけばより市場価値を高められるのか、候補の会社がどう違うのかを具体的に説明していただけました。(30代/税理士)
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求人の提案力と面接のフィードバックが良かった!タイムリーな求人の紹介とフィードバックの提供が良かったです。面接前の情報提供では、自分のアピールしたい強みが、面接先企業のどこに符号しており、今後の展開をどう捉えているかの思考の整理をする際に役立ち、安心して面接を迎えることが出来ました。(30代/税理士)
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