CFOは「Chief Financial Officer」の略で、「最高財務責任者」と訳される役職です。資金調達や管理はもちろん、キャッシュフローの最大化、資金投入による企業価値の最大化など、お金の面から企業をマネジメントしていきます。

日本ではCEO（最高経営責任者）のほうがメジャーかもしれませんが、欧米の企業ではCFOはCEOと並ぶステータスのあるポジションです。最近は、日本の企業も欧米化、グローバル化してきているため、CFOの責務はより重いものになっているといわれています。

CFOの仕事を考えるうえで欠かせないのが「企業財務（コーポレート・ファイナンス）」です。コーポレート・ファイナンスとは企業の資産、負債、資本を考えながら、「研究開発にどのような形で資産を投入するか」など、キャッシュフローの管理・予測、リスクマネジメントなどを行う活動のことです。

企業が経営を行ううえでお金は不可欠であり、中心にある存在です。そのお金をいかに効率よく、適切に扱うかが企業の勝敗の分かれ目を握っているといっても過言ではありません。CFOはお金の面から企業をマネジメントしていく立場なので、欧米で高いステータスにあるということも納得ですね。

・CFOは最高財務責任者。欧米ではCEOと並びステータスの高い役職である。
・CFOは資金調達や管理だけでなく、お金の面から企業のマネジメントを行う。

CFOは経営陣の一員であり、企業をマネジメントしていく役職です。そのため、CEOと共に経営課題に向き合うことが求められます。CEOとCFOの違いは、「CEO：事業や売上をつくる」、「CFO：事業をつくるためのお金をつくる」という見方ができます。

CEOに求められるのは、会社のビジョンをつくることです。どのような会社にするか、社会にどのような価値を提供するのか。ここでいうビジョンは具体的な現実を直接的に示したものではなく概念的で、企業の方向性を示すものであることも多く、ある意味、「感覚」や「夢」を映し出して描いた状態です。

CEOの描いた感覚的な夢に対して、その夢に賛同して投資家が資金を出してくれればよいと考える人もいるかもしれません。でも、現実はそうではありません。それを実現するためにはいくら必要か、どのようにして利益を出して投資家に還元するかなど、その感覚的な夢を現実に落とし込み、日々の事業を円滑に営んでいくために具体的に数字で把握して支える存在が必要です。

その役割を担うのがCFOです。CFOがビジョンをうまく現実に落とし込むことができれば、CEOはビジョンづくり、事業づくりに専念することができ、お互いに自分の領域に集中することができるのです。

CFOに求められるスキルはロジカルに財務状況をまとめ、外部に対して説明することができる力です。外部に対する説明が感覚的なままでは、客観性、合理性を伴わないため、安定した資金調達を成功させることは難しいからです。

また、CFOにはロジカルだけでなく、人間力も必要といわれています。CEOとの対話にしろ、投資家などの外部との対話にしろ、結局最後は「人と人」の対話にほかなりません。ロジカルな説明は前提として、そのうえで「この人がいるこの企業になら、投資や融資をしたい」と思ってもらえるだけの人間力が必要なのです。

・CFOはCEOの感覚を具体的に現実へと落とし込む役割を担う。
・ロジカルに説明ができるだけでなく、信頼を得られる人間力が必要。

最後に、税理士がCFOになるためにはどうすればよいのでしょうか？　税理士は税務のプロフェッショナルのため、数字上のお金のやりとりを見ることは問題なく行うことができる人がほとんどです。

ただ、CFOはこれまでも書いたとおり、企業の経営陣の1人のため、数字上のやりとりだけでなく、会社全体を俯瞰して経営者の目線で考える必要があります。この能力が不足していると感じた場合は、税務コンサルタントなどを経験して経営者の真横で仕事をする機会を増やしてみるとよいかもしれません。

経営者の仕事は「伝えること」と考えることもできます。経営陣だけで話し合い、その場にいる人全員が理解したとしても、実際に働く社員、協力してくれる会社、融資してくれる金融機関、投資を検討する投資家など、経営陣以外ともうまくコミュニケーションがとれなければビジョンが実現することはありません。

そのため、CFOになりたいと考えている税理士は、コミュニケーション能力を磨くことも求められています。専門知識をもたない人、税理士以外の領域の人ともうまくコミュニケーションをとり、企業のビジョンや思いを伝えられることが必要です。

いきなり大手企業のCFOに就任するのは難しいかもしれません。でも、スタートアップ企業やベンチャー企業は、税理士など金銭面のプロフェッショナルを求めています。そこで経験、実績、知見を積み重ね、そこからCFOのキャリアをステップアップしていくという方法もあります。

CFOに興味のある方は、転職サイトをチェックするほか、CFOになるためには自分にどんなスキルが必要か、転職エージェントに相談してみることもおすすめします。

・経営者の仕事は伝えること。コミュニケーション能力を磨く。
・スタートアップやベンチャーは税理士を求めている。