女性経理の平均年収は?公的データで見る年収相場と年収アップのポイント

女性経理の平均年収は?公的データで見る年収相場と年収アップのポイント

「経理職として働く女性の平均年収はどのくらいなのか」「いまの年収は経理職として妥当なのか」と感じている方は少なくないでしょう。

年収が妥当かを確認する際は、平均額だけでなく、雇用形態、勤務時間、社内での職種区分、担当している経理業務を切り分ける必要があります。特に年収300万円台にとどまっている場合は、経験不足ではなく、経理補助や一般事務に近い給与評価のまま固定されているケースもあります。

この記事では、厚生労働省や国税庁の公的データをもとに年収相場を整理し、経理職として働く女性の年収に差が出る理由、年収アップにつながる経験、求人を選ぶ際の判断ポイントを解説します。

松浦 尚人

松浦 尚人

税理士

2013年、税理士試験合格。2015年税理士登録
大手税理士法人ではシニアマネージャーとして、主として外資系企業及びIT関連企業、スタートアップ企業に対する国際税務アドバイス、企業組織再編やM&A等の業務に従事。税務書籍の執筆や大学での講義の経験も有する。
2021年11月に松浦尚人税理士事務所を設立し独立。主に法人に対する税務申告、企業組織再編、国際税務等のアドバイザリー業務に従事。

目次

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公的データで確認する女性経理の平均年収

公的データでは、経理職に近い職種の賃金水準と、女性給与所得者全体の給与水準を分けて扱います。ここでは、平均額そのものよりも、現在の年収が経理経験に見合っているかを判断する材料として整理します。

女性経理の平均年収は約449万円

「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模10人以上の一般労働者のうち、女性の「会計事務従事者」は、きまって支給する現金給与額が月30万4,100円、年間賞与その他特別給与額が84万2,900円です。これをもとに算出すると、平均年収は約449.2万円となります。

平均年齢は43.9歳、平均勤続年数は12.3年のため、20代・30代の女性が自分の年収と単純に比較するには注意が必要です。以下、年齢階級別にまとめました。

年齢 平均年収
20~24歳 約346.6万円
25~29歳 約400.2万円
30~34歳 約431.7万円
35~39歳 約464.3万円
40~44歳 約464.3万円
45~49歳 約494.3万円
50~54歳 約485.6万円
55~59歳 約494.9万円
60~64歳 約416.2万円

参照:令和7年賃金構造基本統計調査(職種)第7表|厚生労働省・e-Stat

なお、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、「経理事務」の賃金(年収)は全国平均で512.2万円とされていますが、こちらは男女を合わせた職業分類の統計です。女性経理の年収を確認する場合は、上記の女性の『会計事務従事者』のデータのほうが直接的な参考になります。

自分の年収と比較する際は、平均額との差だけで判断しないことが大切です。仕訳入力や経費精算が中心なのか、月次決算や決算資料の作成まで担っているのかによって、同じ経理職でも給与水準は変わります。

参照:経理事務|職業情報提供サイト job tag(厚生労働省)

現在、年収300万円台なら給与評価を見直してみる

年代別では20代の平均年収が300万円台となる年齢層もあるため、年収300万円台という金額だけで給与が低いとは判断できません。

国税庁の「令和6年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した女性給与所得者の平均給与は333万円でした。また、男女を合わせた雇用形態別の平均給与は、正社員(正職員)が545万円、正社員(正職員)以外が206万円となっています。集計区分は異なりますが、雇用形態による給与差を把握する参考になります。
これに対し、正社員としてフルタイムで働き、月次決算補助や支払管理、請求管理、税理士対応などを任されながらも年収が300万円台前半から動かないとすれば、経理としての経験や担当業務の内容が給与に反映されていない可能性があります。

自分の給与を見直す際は、年収額だけでなく、雇用形態、勤務時間、担当業務、勤務先の給与制度を切り分けて見ていきましょう。

参照:令和6年分 民間給与実態統計調査|国税庁

女性経理の年収に差が出る主な要因

経理職に就く女性の年収は、保有するスキルだけで決まるわけではありません。雇用形態や勤務時間、社内での職種区分、経理部門に求められる役割によって、同じ経験年数でも給与水準に差が生じます。

年齢・経験年数で基本的な年収帯は変わる

経理職の年収は、経験年数だけでなく、どの決算工程まで自力で進められるかによって差がつきます。入出金管理や仕訳入力が中心の方と、決算整理仕訳の作成、勘定科目の精査、部門間の数値調整まで担う方とでは、同じ「経理経験5年」でも任せられる業務が違い、評価も変わってきます。

30代以降になると、処理件数よりも、決算を期限内に締められるか、差異の原因を特定できるか、税理士や監査法人に説明できるかが年収評価に影響します。年次決算や税務、管理会計、連結決算まで担当領域を広げていれば、次の役職や専門職としての評価にもつながります。

松浦 尚人

松浦 尚人

税理士

仕訳入力や経費精算などの日次処理と、決算整理仕訳や棚卸資産の評価、減価償却費の計算といった年次決算業務では、市場での評価も異なります。

税理士の立場から見ても、単に帳簿をつけるだけでなく、決算に伴う会計上の見積もりや調整まで主体的に担える人材は、企業と税理士事務所をつなぐうえで重要な存在です。

雇用形態と労働時間で年収の前提が変わる

年収を比較する際は、雇用形態と労働時間の違いを分けて考える必要があります。総務省統計局の「労働力調査」によると、2025年平均の女性の正規の職員・従業員は1,341万人、非正規の職員・従業員は1,450万人です。女性の平均年収には、正社員や派遣社員、契約社員、パートなど、異なる働き方の人が含まれています。

経理職でも、派遣社員や契約社員、時短勤務の場合、勤務時間や契約上の役割によって、月末月初の締め業務や決算期対応に関われる範囲が限られることがあります。請求書処理や支払処理、入出金管理を正確にこなしていても、月次締めや決算資料の作成に携わっていなければ、職務経歴上は日次処理中心の経験として扱われます。

一方、時短勤務や非正規雇用でも、任される工程次第で評価は変わります。雇用形態だけでなく、経理業務のどこを担い、どこまで責任を持って進めたかを整理しましょう。

参照:労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)平均結果の概要|総務省統計局

会社規模・業界によって経理組織の役割が変わる

会社規模や業界による年収差は、「大企業は高い」「中小企業は低い」と一括りにはできません。給与水準には、経理部門の社内での位置づけや、担当する業務の範囲が関係します。

本社経理として経営判断に使う数値を扱う会社もあれば、支店や事業所で伝票処理や支払処理を中心に担う会社もあります。同じ経理職でも、専門職として位置づけられているのか、管理部門の事務職として扱われているのかによって、評価のされ方は異なります。

一般職、地域限定職、総合職などの職種区分も、昇給や役職登用に影響します。経理職として長く働いていても、一般事務に近い区分のままでは、担当業務が増えても給与に反映されないことがあります。

業界全体の賃金水準も年収を左右します。利益率が高い業界や成長投資に積極的な企業では、経理部門に求められる役割が広がり、専門性や責任に応じた評価につながることがあります。一方、業界全体の賃金水準が低い場合は、経理経験を積んでも昇給が限られます。

年収が上がりやすい経理業務とスキル

経理職で年収を上げるには、日常業務を正確にこなすだけでなく、決算や開示など、会社の会計情報をまとめる業務まで担当しているかが問われます。転職時に評価材料となる経験を確認していきましょう。

年次決算・連結決算・開示経験は評価されやすい

年次決算の経験は、経理職として担当できる業務範囲を示す材料になります。日々の仕訳処理に加えて、決算整理、残高確認、固定資産管理、税金計算、財務諸表の作成など、決算全体の流れを理解していることが評価につながります。

月次決算を担当していても、年次決算は上司や税理士に任せているケースがあります。この場合、職務経歴書に「月次決算を担当」と書くだけでは、決算業務のどこまでを担ったのかが伝わりません。

連結決算や開示の経験は、上場企業やグループ会社の経理部門で評価対象になります。子会社の数値の取りまとめ、連結パッケージの作成、開示資料の作成補助などは、担当経験のある人が限られる業務です。

年収アップを目指す場合は、「決算に関わった」とまとめるのではなく、担当科目、主担当か補佐か、作成した資料、関係部署との調整範囲まで具体的に示しましょう。担当した業務の深さが伝われば、経験に見合う求人を選ぶ判断材料になります。

税務・管理会計・内部統制の経験も年収に影響する

税務、管理会計、内部統制は、経理処理だけでなく、会社の判断や管理体制に近い業務です。

税務では、申告資料の準備、税理士とのやりとり、税効果会計、消費税区分の整理などに関わった経験が評価材料になります。申告書作成を外部に依頼している企業でも、社内で必要資料を整え、論点を理解して対応できる人材は限られます。

松浦 尚人

松浦 尚人

税理士

多くの企業では、法人税申告書の作成を税理士へ外部委託していますが、社内で消費税の課税・非課税区分を正確に判断し、法人税申告に必要な資料を準備できる経理担当者は高く評価されます。

また、税務リスクを事前に把握し、税理士との橋渡しをスムーズに行える知識や実務能力は、専門職としてのポジション確立や給与アップにつながる重要な要素です。

管理会計では、予算管理、予実差異の分析、部門別損益、経営会議用資料の作成などが含まれます。経営層や事業部門に数字を説明する場面があるため、会計処理に加えて、数字を業務判断につなげる経験が評価されます。

内部統制では、承認ルール、業務フロー、監査対応、証跡管理などに関わります。特に上場企業や上場準備企業では、経理処理の正確性だけでなく、ミスや不正を防ぐ仕組みづくりも求められます。

簿記・Excel・会計システムは実務経験と合わせて評価される

簿記資格・Excel・会計システムの経験は、経理の基礎知識を示す材料にはなりますが、それだけでは担当できる業務範囲は判断されません。採用側が見るのは、その知識やツールを実務のどこで使い、精度や業務効率をどう改善したかです。

たとえば「Excelで照合表を作り確認漏れを減らした」「会計システム導入時にマスタ設定やデータ移行を担当した」など、具体的な工程まで示すと経験の説得力が増します。

時短勤務中などに、属人化した業務のマニュアル化、定型処理の自動化、締め日までの進行方法の見直しに取り組んだ経験も、業務改善の実績としてアピールできます。人手不足で後回しになりがちな課題を進めた実績や、限られた勤務時間の中で生産性を高めた経験は、時短勤務での転職においても強みになります。

年収アップにつなげるには、「何を知っているか」ではなく「どの業務を任され、どんな成果を出したか」を具体的に語ることがポイントです。

女性経理が年収アップを目指すときのキャリア選択

経理職として働く女性が年収アップを目指す場合、選択肢は管理職だけではありません。部門運営を担う管理職、決算や開示の専門性を深める専門職、ライフイベント後も担当領域を維持する働き方があります。役職の有無だけでなく、どの業務に責任を持ち、どのような実績を積むかでキャリアを考えます。

管理職として経理部門を支える道

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、「経理課長」の賃金(年収)は全国平均で966.8万円、平均年齢は51.5歳です。

もっとも、この数値は経理課長だけではなく、会社管理職員などの職業分類に対応する統計です。経理課長が属する職業分類の賃金水準を知るための参考値として捉えます。

管理職に進むには、経理処理の経験だけでなく、締め業務の進行管理、メンバーの業務配分、処理内容の確認、他部署との調整などを担った実績が求められます。

職務経歴書では、「メンバーを管理した」とまとめるのではなく、何人の業務を管理したのか、どの工程を見直したのか、どのような問題を解消したのかまで具体的に示しましょう。管理職としての評価材料になるのは、勤務時間の長さではなく、部門運営のどこに関わったかです。

参照:経理課長|職業情報提供サイトjob tag(厚生労働省)

専門職として会計領域を深める道

管理職にならず、特定の会計領域を深めることで年収アップを目指す道もあります。年次決算、連結決算、開示、税務、管理会計、内部統制など、専門知識が必要な業務を担当できれば、日次処理を中心とする経理職との差を示せます。

評価を分けるのは、業務名ではなく担当範囲です。連結決算であれば、子会社からの数値回収だけなのか、連結修正や内部取引消去まで担ったのかによって、経験の深さが異なります。

専門職を目指す場合は、現在の経験から伸ばす領域を絞ります。担当した科目、判断した会計論点、作成した資料、他部署や監査法人との調整内容まで整理すると、専門性を具体的に伝えられます。

ライフイベント後は働き方と年収条件の優先順位を整理

育休復帰後や時短勤務への変更によって年収が下がった場合は、勤務時間だけでなく、担当業務がどう変わったかも確認します。復帰後に日次処理が中心となり、締め業務や決算業務から外れている場合は、その後の昇給にも影響します。

年収を維持したい場合は、月末月初の締めにどこまで関われるか、在宅勤務でも担当できる資料作成があるか、繁忙期の勤務時間を調整できるかを確認します。

働き方を優先する場合も、月次締めの一部、会計システムの運用、業務フローの整備などを継続して担当できれば、職務経歴として示せる実績を残せます。勤務条件と担当業務を分けて考え、自分が優先する条件を明確にしましょう。

女性経理が年収アップにつながる求人を選ぶポイント

求人を選ぶときは、初年度の想定年収だけでなく、入社後に給与が伸びる仕組みと、ライフイベント後も担当業務を維持できるかを照らし合わせます。ここでは、求人票や面接で判断しにくい点に絞ります。

初年度年収より昇給の条件を優先する

求人票に書かれている想定年収は、入社時点の条件にすぎません。年収アップを狙う場合は、初年度の金額だけでなく、入社後に何を担えば昇給するのかを見極めます。

たとえば、評価制度上、担当業務の拡大が給与に反映されるのか、資格取得や業務改善が評価対象になるのか、時短勤務者も昇給対象になるのかで、その後の年収は変わります。

賞与比率が高い求人では、業績による変動も切り分けます。固定残業代が含まれる求人では、提示年収だけでなく、実際の労働時間に対して条件が見合うかも判断材料になります。

面接では、「入社後にどの業務を任されると昇給対象になるか」「時短勤務者や在宅勤務者も同じ評価制度の対象か」を聞きます。昇給条件が明確でない求人では、入社後に年収が上がるかどうかも判断できません。

作業担当のまま据え置かれない求人を選ぶ

年収アップを目指す経理職の女性にとって、求人名が「経理」であることより、入社後に作業担当のまま据え置かれないかが大切です。

求人票に「経理業務全般」と書かれていても、実際の担当が請求書処理や支払処理に限られるケースもあります。「経理アシスタント」「経理サポート」「事務兼経理」といった表記では、具体的な担当範囲を確認しましょう。

一方で、「決算担当候補」「主任候補」「月次締めをお任せします」「税理士対応あり」などの表記がある求人は、入社後に担当範囲が広がる余地を読み取れます。

面接では、「月次締めは誰が主担当か」「入社後どの時点で担当範囲が広がるか」「税理士や上司に任せている業務のうち、内製化したいものはあるか」を聞いてみてください。返答が請求書処理や支払処理に終始する場合は、処理中心のポジションと判断できます。

制度の有無より利用後の担当範囲で判断する

求人を選ぶ際、在宅勤務、時短勤務、フレックス、産休・育休実績は大切な条件でしょう。そのうえで判断したいのは、制度を使ったあとに、どの業務を任されるかです。時短勤務者が定型処理だけに戻る会社では、働き続けられても給与は伸びません。一方で、在宅勤務や時短勤務でも、予実管理や会計論点の整理、関係部署との調整を担える会社なら、担当領域を維持できます。

求人票では、制度の有無は分かっても、利用後の担当業務までは読み取れない場合があります。面接では、育休復帰後の配属実績、時短勤務者と月次締めの関わり方、在宅勤務日の担当業務など、実例に基づいた質問をすると実態が見えてきます。

自分の経験で狙える想定年収や、働き方を調整した場合の担当業務を知りたい場合は、経理職の転職に詳しいキャリアアドバイザーに相談すると、求人票だけでは見えない情報を整理できます。

まとめ

経理職として働く女性の年収は、公的データの平均額だけでは判断できません。雇用形態や勤務時間、担当業務、社内での職種区分によって給与水準は変わるため、現在の年収が自分の経験や役割に見合っているかを確認することが大切です。

年収アップを目指す場合は、年次決算や連結決算、税務、管理会計、内部統制などの経験を積み、担当範囲や成果を職務経歴書で具体的に示しましょう。管理職を目指すだけでなく、専門職として会計領域を深める道や、ライフイベント後も経験を維持できる職場を選ぶ道もあります。

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