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本当の「税制改革」なくして、男女平等の日本は実現しない?
2017/3/03
コラム
本当の「税制改革」なくして、男女平等の日本は実現しない?

「平成29年度 税制改正」の中でも、世間から特に注目を集めていたのが「配偶者控除」です。控除の年収上限が引き上げられたことで、「妻が稼げるようになって、家庭の収入もアップして大喜び」とは、どうやらどの家庭もなっていないようです。その理由は一体何なのでしょうか?

103万円から150万円へ引き上げ

「103万円の壁」と呼ばれていた配偶者の収入制限。これは妻の年間収入が103万円以下の場合、夫の所得から38万円を控除するというものです。この税制のため、「もっと働きたい」「もっと稼ぎたい」と思っていても、103万円を超えないように仕事をセーブする人達がたくさんいました。
今回の「平成29年度 税制改正」では、103万円が150万円にまで引き上げられました。150万円を超えた場合は段階的に控除額が減り、201万円以上になると控除額がゼロになります。ただ、これまでは夫の年収に制限はありませんでしたが、38万円の控除を受けられるのは「年収1,120万円以下」と、新たなルールが設けられました。これを見て、ちょっと気になったのが年収1千万円以上の人はどれぐらいいるのかということ。調べてみたところ、「平成26年度民間給与実態統計調査」によると、4.1%なのだそうです。

話を戻します。「妻が年収150万円まで稼げるようになった」と、うかれてばかりもいられないのは、以下の2つの理由があるからです。
・妻の年収が130万円を超えると、夫の扶養から外れて、年間で20万円以上にもなる社会保険料を払わなければいけなくなる可能性がある。
・夫の会社の「家族手当」の条件が「妻の年収が103万円以下」になっている場合が多い。そのため、妻が年収103万円以上稼ぐと、会社手当がなくなる。または、150万円に引き上げられたことを理由に会社手当の支給自体を検討する会社が出てくる可能性がある。
こうして見ると、「103万円の壁」以外にも、世の中にはさまざまな“壁”が存在するようです。

「内助の功」を後押しする税制

103万円から150万円に年収上限が引き上げられたものの、配偶者控除のための所得制限自体を廃止する案は今回も見送られることになりました。見送りに対して、「結局は専業主婦を優遇する内助の功型の税制だ」と批判する声もあります。実際のところ、共働き世帯は増え続けている現実があるにもかかわらず、託児サービス利用料の控除などは採用されませんでした。このような、女性の働き方に制限が出るような今の日本について、みなさんはどのように感じますか?

内閣府男女共同参画局の資料「男女共同参画白書(概要版) 平成27年版」には、「就業者及び管理的職業従事者に占める女性割合」という項目があり、これを見ると世界各国のデータが一目でわかります。管理職の女性割合は、日本は11.3%で韓国の11.0%に次いで下から2番目。
これがどれほど低いかを示すために他の国の数値も載せると、アメリカ 43.7%、フランス 39.4%、オーストラリア 34.7%、イギリス 34.2%となっています。欧米に限って数値が高いわけではありません。フィリピン 47.6%、シンガポール 33.8%と、同じアジアの国でも多くの女性が管理職を占めている国もあります。
もちろん、我が国の低い数値が全て「年収の壁があるからだ」とは言い切れませんが、国が「内助の功」型の税制をとり続ける限り、日本は本当の“男女平等の国”にはなれないのかもしれませんね。

年収150万円以下では「働き損」?

「150万円に上がったところで“働き損”になるだけ」と、嘆く妻も少なくないようです。冒頭で説明した通り、130万円以上稼ぐと社会保険料は自己負担になるし、会社手当も出なくなるかもしれない。さらに、「年収を増やすために仕事を1.5倍にしたところで、手取りの増加は1.2倍程度で損のほうに目がいく」と話す人もいます。こうなってくると、妻に与えられた選択肢は主に2つ。
1つ「は社会保険を払わないで済む130万円、または会社手当がでる103万円以内に年収を収める」こと。これでは税制改正前と何も変わらないのが悲しいところです。一体、何のための“改正”なのでしょうか?
もう1つは、思い切って上限を自ら取っ払い、150万円といわずにドンドン稼ぐことです。社会保険料が自腹になっても、会社手当が出なくなっても、攻めの姿勢で稼ぎにいく――実際に今はそう考えている女性が増えているそうです。とはいえ、長らく専業主婦またはパートで仕事をしていた妻に好条件の職場がすぐに見つかるとは限りません。はっきり言えば、それはなかなか難しいというのが現実でしょう。でも、悲観することはありません。今は「女性の再就職サポートプログラム」などのフォロー体制が整ってきているからです。これは団塊世代の一斉退職などで人材不足に悩んでいる企業と利害が一致したことから活性化していると考えられます。 この2つの選択、どちらを選べばよいかは他人には口出しをできない領域です。それよりも、一市民として税制改正のほうに口出しをしていきたいところですね。

5年後や10年後、日本の「女性の管理職の割合」は増えているでしょうか? この割合を増やすためには、女性の働き方に制限を加える現在の税制に、本当の意味の“改正”が不可欠といえるでしょう。

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