女性税理士であっても、仕事内容は男性税理士と同じです。税務申告、税務調査などの立ち合い、税務相談などを中心に行います。しかし、働き方は男性と違い、次のような特徴があります。

女性の働き方は、ライフイベントに生活が左右されがちです。結婚・妊娠・出産・育児・介護…といった出来事が生じると、それに合わせて働き方を変えざるを得ないことがめずらしくありません。家事育児を大事にする男性が増えたとは言え、こういった出来事を主に担うのは今でも女性です。

職種によっては仕事を辞めざるを得ませんが、税理士資格のある女性だと仕事を辞めるケースはほとんどありません。育休や時短勤務を上手に活用して仕事を続けています。専門性の高い仕事ができる人材はそう多くないため、職場の理解を得やすいのです。

男性税理士は、拡大や成長を意識する人が一般的です。勤務税理士ならスキルアップや昇進・昇給が、開業税理士なら売上や利益の増加、顧客獲得、事業拡大などを重視する傾向にあります。社内の評価やスタッフの生活、家族の生活を常に意識しているため、ストレスを抱える人が少なくありません。

しかし、このような拡大・成長志向のある人は、女性税理士だとそう多くはありません。自分のしたい業務や自分の強み、実現したいライフスタイルを考えた上で仕事しています。拡大や成長よりも目の前の顧問先を意識し、自分の生活とのバランスを考えながら仕事する人が多いです。

男性税理士だと、拡大や成長を意識する人ほど時間配分が仕事に偏ります。土日返上で働く人もめずらしくありません。一方女性税理士は、家事や子どもとの時間、趣味の時間を大事にしながら仕事をするケースが多い印象です。

ここで女性税理の年収や仕事の時間、仕事内容についてご紹介します。

税理士の平均年収は約892万円とされています。男女別で見ると、男性が全年齢の平均で約1031万円、女性が全年齢の平均で約744万円となっています。金額の差の原因は、出産や育児によるキャリアの一時中断だと思われますが、それでも押しなべて年収は高いと言えます。

仕事内容は男性税理士と同じであるため、12月から3月まで、そして5月の繁忙期は残業が多くなりがちです。しかし、それ以外の時期は平時で終われるのが一般的です。ただ、この勤務時間は会計事務所ごとに異なります。資産税中心の会計事務所なら年明けから3月まででも忙しくないこともあります。

先ほどお伝えした通り、女性税理士であっても、仕事内容は男性税理士と同じです。ただ、女性税理士の場合、勤務先やお客様から求められる要素が男性税理士と若干異なります。

まず、仕事に対する姿勢です。女性の方が真面目に、ていねいに業務を行う傾向にあります。そのため、細かく数字を確認するためミスを防いだり、期日を厳守してルーチンワークをこなしたりする点では女性税理士の方が信頼を得やすい模様です。

また、顧客対応においては「女性の税理士にお願いしたい」と言われることがあります。個人事業主や会社社長、相続の相談に来たお客様が女性や高齢者のケースです。女性だと、相手の立場に立って、分かりやすく簡単な言葉で説明する傾向にあります。そのため「税金の話は難しい」と構えがちな一般の人の気持ちをやわらげることが期待されます。

女性税理士として働くと、次のようなメリットがあります。

難関資格がないとできない専門職であるため、高い収入を得やすいのが特徴です。そのため、お金の悩みは少なく、生活面の不安などは非常に低いと言えます。

高収入があると、自立しやすくなります。パートナーの収入に依存しなくていいからです。そのため、パートナーとの相性やコミュニケーションがうまくいかないケースだと、早々に婚姻関係を解消して自立したり、一人で子どもを育てたりする傾向にあります。

税理士は難関の国家資格であり、専門職です。税理士資格がなければ税務申告・税務相談・税務代理はできません。そのため仕事に困ることはほとんどなく、失業リスクはきわめて低いと言えます。

一口に税理士といっても、多様な仕事があります。通常の法人・個人の決算や確定申告だけではありません。資産税に特化することができますし、海外志向が強いのなら国際税務という分野において海外で活躍することもできます。つまり、税理士という仕事を通じて、さまざまな可能性にチャレンジできるのです。

女性税理士として働くにはメリットがある反面、次のようなデメリットがあります。

税理士は常に勉強が必要です。税制改正が毎年あるほか、既存の税法もかなり複雑です。また、民法や会社法などの税法以外の知識も求められます。常にブラッシュアップしないと税理士としての仕事ができないのです。

税理士の仕事の中心は税務申告です。税務申告は課税所得や課税額の計算を自己の責任と判断で行います。そのため、細かい税法を深く正確に理解していないと、判断を誤り、顧問先に不利益を被らせることがあります。

昨今、消費税を中心に税理士の賠償問題が頻繁に起きています。税理士が女性であっても、この賠償リスクは避けられません。

税理士は女性であっても繁忙期があります。一般的に12月から3月までが忙しく、また、5月も3月決算で忙しくなりがちです。このほか、遠方に相続の顧問先があると、土地の実地調査などで出張せざるを得ません。

こういったことから、仕事は忙しくなりがちです。夫をはじめとする家族の理解がないと、家庭内の不和が生じかねません。

以上が女性税理士ならではの特徴です。それぞれの強みを活かし、転職で成功した事例は下記のリンクにあります。

女性税理士は高年収で失業リスクが低い反面、忙しくなりやすいのが特徴です。かつ、女性税理士も人生に求めるものがそれぞれ違います。「もっとスキルをみがいて成長し、バリバリ仕事をしたい」という人もいれば「家庭と仕事の両立を心がけ、無理なく楽しく働きたい」という人もいるのです。

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