M&Aコンサルタントの仕事とは?仕事内容からメリット・デメリットの紹介

M&Aコンサルタントの仕事とは?仕事内容からメリット・デメリットの紹介

M&Aコンサルタントとは、広くM&Aに関連するサービスをサポートするコンサルタントです。法令上・基準上の明確な定義はないため、業務範囲に明確な区分はありません。しかし、一般的にはM&Aに関する相談・調査・交渉など、M&Aの一連の流れをサポートする職業を指すことが多いでしょう。

ここでは、M&Aコンサルタントの業務の流れや、メリット、デメリットについて解説します。

マイナビ税理士編集部

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M&Aコンサルタントの業務の流れ

M&Aコンサルタントの業務の流れは、大きく以下の6段階に分けられます。

1.戦略策定
2.対象企業の選定
3.ストラクチャーの決定
4.交渉・デューデリジェンス
5.最終契約書・クロージング
6.PMI

全ての業務がM&Aコンサルタントの業務範囲であるものの、一気通貫してサービスに関与するケースから、部分的に関与するケースまでさまざまです。ここで、各業務について詳しく解説します。

戦略策定

M&Aに際しては、まずM&Aを行う目的を明確化し、その目的を達成するための戦略を含むスケジューリングなど大枠を協議することになります。戦略策定の次にあたるプロセス(対象企業の選定)を踏まえるため、戦略策定にはクライアント企業の競合調査、同業界の市場調査、クライアント企業の財務分析なども含まれます。
M&Aでは、クライアント企業によるシナジー効果を期待するケースが多いでしょう。そのため、同業界に知見を有した専門家をチームメンバーに迎えることで、より効果的な戦略策定・提案が可能になります。

対象企業の選定

M&Aの戦略策定が終わると、次はM&A対象企業の選定です。ここでは、戦略策定で明確された目的を達成できるような企業・事業をリストアップします。このリストアップは、一般的には「ロングリスト」を作成し、その中から「ショートリスト」を作成するという流れです。

ロングリストの作成では、まずM&Aの候補となり得る企業・事業を広くピックアップ。そして、ショートリストの作成ではロングリストの中からM&Aの目的に合致し、シナジー効果を得られると考えられる企業・事業などをピックアップし作成します。そして、クライアント企業との協議により、ショートリストの中からM&Aの対象企業を選定するのです。

ストラクチャーの決定

ストラクチャーとは、M&Aの取引スキームです。ストラクチャーの手法としては、具体的には株式譲渡・株式交換・事業譲渡などが挙げられます。
また、ストラクチャーを決定するにはさまざまな要因が絡みますが、例えば投資対象への関与度合いや、税務上の観点から決定されることが一般的です。特に、税務上有利なストラクチャーを選定するような場合には、組織再編税制などの専門的な税務スキルが要求されることになります。

交渉・デューデリジェンス

ストラクチャーを決定すると、買い手及び売り手企業のトップ面談によって具体的なM&Aの内容の協議を行います。企業トップ同士の面談ではあるものの、M&Aの協議には専門的知識が必要です。そのため、M&Aコンサルタントもサポートを行うことで交渉を円滑に進めます。
交渉合意後は基本合意を交わし、売り手側企業のデューデリジェンス(リスクの洗い出し)を進めることになります。デューデリジェンスでは、財務・税務・事業・法務・人事・ITなど、さまざまな観点からリスクを精査。これにより、売り手側企業の企業価値や将来性を明らかにすることができます。

最終契約書・クロージング

デューデリジェンスを行って最終的な買収価格・条件などの合意がなされると、最終契約書の締結です。最終契約書にはM&Aの契約条件、権利・義務に関する情報などが記載され、これに基づきM&Aが実行されることになります。
その後、最終契約書に基づくクロージングがなされます。クロージングとは、M&A実行に伴う最終的な手続きをいい、具体的には株式譲渡・譲渡代金の決済などを指すもの。クロージングが終了することで、M&A実行までの一連のプロセスが完了することになります。

PMI

M&Aの実行後にPMIが行われます。PMIとは、M&A実行後の組織間の統合作業です。M&Aでは異なる組織が1つに融合するため、業務プロセス・人事評価・会計システムなど、さまざまな要素の統合作業が求められます。
PMIはM&A後に実行されるプロセスですが、クライアントのニーズはM&A実行による便益の享受にあることから、M&Aコンサルタントに対してPMIのコンサルティングを求めるニーズもあります。PMIでは、コーポレートファイナンスよりも業務プロセス等の実務的なスキルが必要になるため、例えば監査経験・経理経験などが活かせるでしょう。

M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの違い

M&Aコンサルタントと似た名称に、「M&Aアドバイザリー」があります。両者は表現の違いであり、あまり大きな違いはありません。ただし一般的には、それぞれ次のような意味合いがあります。

・コンサルタント=人・職種を指す
・アドバイザリー=サービス・職種を指す

このため、「M&Aコンサルタント」は特定の専門職(専門家)を指すのに対し、「M&Aアドバイザリー」はM&Aに関するコンサルティングサービスを指すことが多いでしょう。

M&Aコンサルタントのメリット

M&Aコンサルタントになるメリットとしては、例えば次のようなものが挙げられます。

・クライアントワークであり、やりがいがある
・専門性が磨かれる

それぞれ、詳しく解説しましょう。

クライアントワークであり、やりがいがある

M&Aコンサルタントとしての仕事は、クライアントワークです。常にクライアントのためにサービス提供を行うため、クライアントに頼られる・役に立つことで、やりがいを感じられるでしょう。また、組織によっては新聞に載るような大規模プロジェクトを担当することもあり、これ自体にやりがいを感じる方も少なくありません。

専門性が磨かれる

M&Aコンサルタントは専門職です。また、仕事をするにつれて特定業界のM&Aや特定スキームのM&Aに詳しくなり、専門性を磨くことができるでしょう。そのため、専門性を磨くことで転職市場での価値を高めることにも繋がり、更なるキャリアアップにも繋がる可能性があります。

M&Aコンサルタントのデメリット

M&Aコンサルタントになるデメリットとしては、例えば次のようなものが挙げられます。

・忙しくなりやすい
・利害関係者が多く、コミュニケーション能力も必要

こちらも、それぞれ詳しく解説しましょう。

忙しくなりやすい

M&Aコンサルタントの仕事は、ハードワークになる傾向にあります。なぜなら、プロジェクトの数をこなすことが組織の売上に繋がるため、組織としても多くのプロジェクトをこなして欲しいからです。そのため、M&Aコンサルタントにはバイタリティも要求されます。また、時には複数のプロジェクトを同時並行して進めることもあり、長期的なスケジュールを立てづらいといったデメリットもあるでしょう。

利害関係者が多く、コミュニケーション能力も必要

M&Aコンサルタントとしての仕事は、さまざまな利害関係者とコミュニケーションが求められます。売り手側企業・買い手側企業の担当者・経営者だけでなく、場合によっては銀行やファンド、外部コンサルタントと連携を取る必要があるでしょう。このような立場の違う利害関係者との調整を求められることから、ストレスになります。M&Aコンサルタントには、ある程度のコミュニケーション能力も必要です。

メリットだけでなく、これらデメリットも踏まえたうえで、ご自身にM&Aコンサルタントの仕事が向いているか検討してみてください。

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