トランプ政権が大型税制改革案を発表
2017/05/02
アメリカのトランプ政権は4月26日に大型税制改革案の概要を発表した。柱となる連邦法人税率の減少では現在の35%から15%へ引き下げる方針で、ムニューシン財務長官は「過去最大規模の減税案」と述べている。
法人税の大幅減少が実現すると、1986年にレーガン政権が46%から34%に引き下げてから約30年ぶりとなる。米法人税制に関しては、法人が海外で稼いだ利益にも課税する「全世界所得課税方式」を採用し、海外利益は課税対象外とする「源泉地国課税」に切り替える方向。
「法人税率を15%へ」はトランプ大統領が選挙活動期間中に掲げてきた公約で、トランプ政権発足100日目を迎える4月29日付近で税制改革案を公表したのは“実績づくり”の面も大きいと見られている。マニフェストを実現し、実績をつくることに注目が集まるが、与党・共和党は財政規律を重視しているため、安定財源の確保を巡って、今後も議論が紛糾する可能性もある。
編集部からの一言
発表された税制改革案は法人税率についてだけではない。個人税制の最高税率を39.6%から35%に引き下げ、7段階ある税率も3段階にする案。富裕層にかかる相続税を廃止する案。キャピタルゲイン税を23.8%から20%に引き下げる案。いずれも税収減少の案ばかりのため財政赤字が拡大する可能性もあるが、歳入押し上げに向けた具体策は乏しい印象だ。減税案が“一時的な人気取り”にならないためには、課題が山積みである。
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