2017年度税制改正――中小企業に減税拡大の検討
2016/12/07
政府・与党は、2017年度の税制改正で企業の賃上げを減税で後押しする「所得拡大促進税制」の改正案をまとめた。
具体的には、前年度比で社員の給与を2%以上増やした中小企業は給与総額の増加分のうち22%を法人税額から控除できる仕組み。大企業も前年度比2%以上の賃上げをした場合は現行の制度に加えて、増加額の12%を法人税から差し引けるようにするが、2%未満の場合は減税を受けられないようにする。安倍首相はデフレ脱却を目指し、2017年の春闘で経済界に2%以上の賃上げを求めている背景から、大企業と比べて資本力の少ない中小企業を支援する狙いがあるとみられている。
国内雇用の7割を占める中小企業の賃上げを後押しすることで、賃上げの裾野拡大を目指す方針だ。ただ、「中小企業の7割は法人税を支払っていない」という現実もあることから、この制度の対象は「法人税を支払っている中小企業に限る」として調整が進められている。
編集部からの一言
「中小企業の7割は法人税を支払っていない」――これは国内の中小企業の大半は赤字により法人税が免除され、「法人住民税」の7万円のみを支払っていることを示している。国内雇用の7割を占める中小企業の7割が赤字決算という状況で、「中小企業の減税拡大」を打ち出したところで本当に賃上げの裾野が広がるのか疑問が残る。政府・与党は賃上げに取り組む中小企業を対象とした助成金の新設を盛り込む案も調整をしているという。
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