税理士に開示義務。2018年度から実施予定で国税庁などが検討に入る
2016/08/31
税理士に租税回避策の開示を要求し、拒んだ場合は罰則を与える――。現在はまだ、財務省と国税庁が具体的に検討している段階だが、2018年度から実施する予定で進められているという。この背景には「パナマ文書」で問題が明るみになったタックスヘイブン(租税回避地)を使った“税金逃れ”の方法を把握する狙いがある。すでにアメリカやイギリス、カナダ、韓国では税理士へ租税回避の仕組みを開示する制度を設けている。
対象は税理士のほか、会計事務所やコンサルティング会社にまで及び、「租税回避策の指南による成功報酬を受け取っている」「納税額を減らすための税務上の損失を生み出す」「守秘義務がある」などの条件を複数満たした場合に開示要求する方針と見られている。
現時点で税務当局は、ペーパー会社による資金運用など税金逃れの実態を全て把握できているとは言い難く、国民は不満を募らせている。税理士への開示制度によって蔓延する税制の不公平感は払拭されるのだろうか。
編集部からの一言
実施されれば法律的には違法ではない「グレーゾーン」と言われている租税回避に遂に“法のメス”が入る。税法の範囲内で税金を減らす「節税」はシロで、不正や虚偽報告で税金を逃れる「脱税」はクロだが、グレーの租税回避は法の網の目をくぐり、「違法ではないから問題ない」という言い分がまかり通ってきた。開示制度で全てが明るみに出るとは思わないが、税金逃れをする富裕層及び担当税理士に対する抑止効果に期待したい。
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