税理士有資格者が事業会社の経理部へ転職するために必要なスキルは?

税理士有資格者が事業会社の経理部へ転職するために必要なスキルは?

税理士有資格者のキャリアとして、少し前までは「税理士登録をして税理士法人もしくは税理士事務所で勤務する」ことが一般的でした。しかし、最近では税理士登録者数の増加やワークライフバランス重視の観点から、一般企業(事業会社)の経理部で勤務する税理士有資格者も増えています。

この記事では、税理士有資格者が事業会社の経理部で働きたいと考えたときに、どのようなスキルが必要か、いかにしてそれらのスキルを獲得するかについてご説明します。

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経理への転職で必要なスキル

税理士有資格者が事業会社の経理部から内定を得るために必要なスキルや、入社後に活躍するために必要なスキル(以下、まとめて「経理への転職で必要なスキル」といいます)は、転職希望先が大企業か中小企業かで大きく異なります。以下、大企業の場合と中小企業の場合に分けてご説明しましょう。

大企業への転職

まずは、大企業への転職からご説明します。大企業の経理部の特徴として、経理部における業務が細分化されていること、IFRSや税効果会計の適用を受けている企業が多いこと、国際取引が多いことがあげられるでしょう。このため、大企業を転職先として選ぶ場合には次のスキルや知識が求められます。

・法人税法や消費税法の深い知識
・国際会計基準(IFRS)の知識
・税効果会計のスキル
・国際税務(移転価格、国境をまたぐ消費税)に関するスキル
・英語力

上記5点について、それぞれご説明します。

法人税法や消費税法の細かい知識

大企業の経理部は人数が多く、業務も細分化されていて、法人税や消費税の申告書は複数人で分担して作成することが通常です。また、大企業は各種所得控除や税額控除の適用を受けたり、組織再編や国際取引があったりすることも多いでしょう。そのため、これらの税制に関する深い知識がないと、自分が担当する別表(たとえばタックスヘイブン対策税制や外国税額控除など)が正確に作成できません。

大企業の経理部には、公認会計士や税理士試験合格者も多く在籍しています。そのため、大企業の税務業務の中心である法人税法(関連する租税特別措置法も含みます)や消費税法については、入社時点で深い知識が求められます。これらの知識がないと、入社後にチームメンバーの議論についていけず、大変な苦労をすることになる可能性があります。

国際会計基準(IFRS)の知識

大企業は国際会計基準(IFRS)を任意適用している場合も多いため、転職希望先がIFRSを任意適用している場合は、IFRSに関する基礎知識(特に日本基準との差異)を身につけておくとよいでしょう。なお、IFRSを任意適用している企業は、金融庁の資料で確認することができます。

参考:会計基準を巡る変遷と最近の状況|出典元 金融庁

税効果会計のスキル

上場企業または非上場企業のうち、一定の企業には「税効果会計に係る会計基準」が強制適用されます。そのため、大企業へ転職するには、税効果会計に関するスキルを持っておいた方が有利です。税効果会計は税理士試験で深く問われることがない論点であるため、こういったスキルを持っていない税理士有資格者の方も一定数います。税効果会計に関するスキルを持っている場合は、他の応募者との差別化を図る意味でも、職務履歴書や面接で積極的にアピールするとよいでしょう。

国際税務に関するスキル

多くの大企業は、日本だけでなく世界各地で活動しています。海外に子会社を持っている企業、あるいは海外の会社と頻繁に取引を行っている企業の経理部で働くには、国際税務に関するスキルも必要不可欠です。国際税務の中でも、特に移転価格、恒久的施設(PE)、海外企業への支払いの際の源泉所得税、国境をまたぐ取引における消費税の課税関係の判定などの論点は、実務で頻繁に取り扱うでしょう。こういった論点に関するスキルを持っていると、内定を得る可能性も高くなることが期待できます。

英語力

上述したとおり、多くの大企業は日本だけでなく世界各地で活動しています。海外企業との英文契約書を税務の観点からレビューしたり、海外子会社の経理担当者と打ち合わせを実施したりする機会も多くあることから、ある程度の英語力は持っておいた方がよいでしょう。

以上、大企業を転職先として選ぶ場合に求められるスキルなどについてご説明しました。なお、給与に係る源泉所得税や事業所税、固定資産税などは他部署が担当することも多いため、これらの知識とスキルは大企業への転職においては重要視されない傾向にあります。

中小企業への転職

次に、中小企業への転職についてご説明します。中小企業の経理部の特徴としては、経理部の人数が少ないことが挙げられます。このため、中小企業を転職先として選ぶ場合は、「狭く深い知識」ではなく「浅く広い知識」が求められるでしょう。企業からは法人税や消費税だけではなく、給与に係る源泉所得税、固定資産税、事業所税、印紙税など、税理士試験では勉強しなかった税目についても一定レベルのスキルを有していることが期待されます。そのため、これらのスキルを有している場合は積極的にアピールするとよいでしょう。

また、近年では国際取引を行う中小企業も増えています。国際取引(特に消費税と源泉所得税)に関する一通りの知識があると、内定を獲得できる可能性の向上が期待できるでしょう。一方、国際会計基準の知識、英語力、移転価格などの国際税務の知識は不要なケースも多いため、こういったスキルは中小企業への転職においては重要視されないでしょう。

経理への転職で必要なスキルを獲得する方法

転職希望先が大企業か中小企業かによって必要なスキルが異なる以上、スキルを獲得する方法も異なります。先ほどと同じく、大企業の場合と中小企業の場合に分けてご説明しましょう。

大企業への転職

大企業への転職に必要なスキルを獲得する方法は、現在の勤務先がBig4などの大規模税理士法人か、中小税理士法人かによって異なります。

まず、現在の勤務先が大規模税理士法人の場合、大企業への転職で求められるスキルの多くは現職での業務経験で培われます。ただし、現職におけるアサイン(業務割当)の都合で、一部のスキルしか身につけることができないクライアントを担当することがあるかもしれません。そうした場合は将来の転職を見据えて、他の種類のクライアントを担当したい旨を法人内でアピールするとよいでしょう。

一方、現在の勤務先が中小税理士法人なら、現職での業務経験で獲得が難しいスキル(IFRS、国際税務、英語力)も多くあります。IFRSと国際税務は専門書を購入して独学する、英語力は定期的にTOEICを受験するなどして、自助努力によってスキルを向上させるしかありません。

中小企業への転職

大企業への転職と同じく、中小企業への転職に必要なスキルを獲得する方法は、現在の勤務先が大規模税理士法人か中小税理士法人かによって異なります。

まず、現在の勤務先が大規模税理士法人の場合は、現職での業務経験で獲得が難しいスキル(源泉所得税、事業所税、固定資産税などの申告実務に関するスキルなど)も多くあります。これらの税目に関するスキルは、実務書を購入して独学するしかありません。

一方、現在の勤務先が中小税理士法人の場合は、求められるスキルの多くは現職での業務経験で培われます。現職での仕事をきちんとこなして業務経験を積むことで、中小企業の経理部へ転職する道を開くことが可能です。

まとめ

税理士有資格者が事業会社の経理部で働くために必要なスキルと、それらのスキルを獲得する方法をご説明しました。必要なスキルとスキルを獲得する方法は、転職希望先(大企業or中小企業)と現職(大規模税理士法人or中小税理士法人)によって異なります。ご自身の希望と現状に合った方法でスキルを蓄積することが、満足のいく転職活動に繋がるでしょう。

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