個別決算とは?連結決算との違いをご紹介

個別決算とは?連結決算との違いをご紹介

企業の決算には企業が単独で決算を行う「個別決算」と、関連企業をまとめて行う「連結決算」があります。一般的に決算といえば、個別決算(単体決算)をさしますが、子会社をもつ企業は、グループ全体の売上、借入、貸出、経費などを合算する連結決算を行います。連結決算により、グループ全体の状況を把握することができます。

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個別決算とは?

個別決算とは?

個別決算とは、企業単独の業績を対象とする決算です。単独決算、単体決算も同じ意味です。グループに属さず、親会社も子会社を持たない独立系の企業では、「決算」といえば個別決算をさします。

個別決算のメリット

個別決算により、企業単体での業績、財務状況を把握でき、税金の計算を行うことができます。

会社法により、すべての企業は個別決算を行わなければなりません。経済のグローバル化に伴い、企業価値の評価においては連結決算が重視されるようになっていますが、税務申告は個別決算に基づいて会社ごとに申告を行います。M&Aなどで単独でその企業の企業価値を評価する場合にも、個別決算の財務諸表が基準になります。

多くの企業では、月次の個別決算を行い、事業計画の進捗状況やキャッシュフローを把握するなど、経営管理に役立てています。

<ココまでのまとめ>

・個別決算とは、企業単独の業績を対象とする決算。
・税務申告は個別決算に基づいて行われる。
・月次の個別決算により、事業計画の進捗状況やキャッシュフローを把握できる。

連結決算とは?

連結決算とは?

連結決算とは、企業グループ全体を単一の企業と見なして行う決算です。

原則として子会社すべてが連結の範囲に含まれます。重要性の原則に基づき、また、ごく小規模である、支配が一時的であるなど、連結グループにおいて重要性がないと判断される会社が連結範囲から外される場合もあります。

連結範囲を判定する基準は、親会社がその会社の意思決定機関を「支配」しているかどうかです。支配力基準に関する会計基準の要件のほか、役員、出向者などの関係性、取引依存度などの実態に基づいて判断されます。

連結決算を行うメリット

日本では、企業価値を判断する際、「個別財務諸表」が重視されていましたが、企業経営の多角化に伴い、個別財務諸表だけでは業績や財務状況を正確に把握しきれなくなってきました。また、経済のグローバル化により、国際的なトレンドである「連結財務諸表」を重視する傾向が定着しています。関連会社を有する大手企業では連結決算が当たり前になっています。

日本企業の海外進出も増えていますが、海外で株式上場する場合は連結決算が必須となります。連結決算を行うことで、海外の投資家や、日本企業との取引を希望する海外企業が求める情報を開示することができるようになります。適切な情報開示によって企業ブランドや信頼性が向上し、海外からの投資や海外進出を促進させることができます。

連結決算の流れ

連結決算はそれぞれの会社が個別決算を行い、作成した個別財務諸表をグループ全体で集計していきます。親会社は連結決算に先立ち、どこまでを連結範囲とするか判定し、連結範囲の子会社から必要な情報を収集します。連結範囲と判定された子会社は、親会社が連結決算を行う分のスケジュールを含めて、個別決算の財務諸表を作成しなければなりません。

(1)連結範囲を判定する
子会社などから、株式異動明細、融資増減、債務保証増減、出向者情報、役員兼任状況、取引依存度などの連結範囲を判定するための情報を収集します。

(2)連結範囲から必要な情報を収集する
連結範囲と判定された子会社から、連結財務諸表および注記情報を作成するための情報を収集します。

<連結財務諸表>
支配取得日、持分比率、決算通貨、決算月、サブ連結状況、会計処理基準、個別財務諸表、関係会社取引明細、未実現損益計算、キャッシュフロー関連データ

<注記情報>
所在地区分、事業セグメント、増減説明書、有価証券時価情報、リース関連データ、担保注記関連データ、セグメント関連データ

(3)親会社、子会社の個別財務諸表を合算する
個別に作成された財務諸表の合算に先立ち、必要に応じて以下の処理を行います。 ・在外子会社の財務諸表を外貨ベースから円貨に換算する。
・決算期ズレがある場合は、期ズレ調整の処理を行う。

(4) 連結調整仕訳を算定する
開始仕訳を行って前期末と期首の利益剰余金を一致させ、連結調整仕訳を算定します。
・親会社の投資額と子会社の株主資本の消去
・連結会社間の債権債務の相殺消去
・連結会社相互の取引高の消去
・子会社の当期純利益の案分
・債務超過の子会社の損益処理
・配当金の処理

(5) 連結財務諸表を作成する。
連結財務諸表として、以下の計算書類を作成します。
・連結貸借対照表
・連結損益計算書
・連結キャッシュフロー計算書
・連結株主資本等変動計算書

<ココまでのまとめ>

・連結決算による適切な情報開示で海外取引や投資を促進できる。
・連結決算に先立ち、連結範囲の判定を行う。
・個別財務諸表を合算した後、連結調整仕訳を算定する。

個別決算と連結決算の違い

個別決算と連結決算の違い

個別決算と連結決算の違いは、決算の対象が企業単体もしくはグループ全体であるかの違いです。連結決算は、連結範囲の会社の個別決算を合算して作成されます。

個別決算では、子会社と親会社で行われる内部取引も親会社の利益として計上されます。それに対して、企業グループ全体をひとつの企業とみなす連結決算では、内部取引での収支が相殺され、親会社の財務状況が把握しやすくなります。

個別決算は企業会計の基本であり、どの企業にも必須です。連結決算は個別決算を応用して、複合化した企業グループの親会社の実態、グループ全体の状況を、正確に把握するために行われるものです。

連結決算を導入する理由

個別決算だけを開示する場合、グループ内で親会社側の収益性が高い取引を行う、親会社の損失を子会社に引き受けさせるなど、親会社の業績を上げる工作も理論的には可能です。これらは、グループ内の親会社だけが上場している場合などで、財務諸表を良く見せる粉飾決算で用いられる手口のひとつです。

粉飾には該当しなくても、たとえば、子会社の株式配当が親会社の収益として計上されるなど、多くの子会社を抱える大手企業では、グループ内だけでも莫大な収益が動きます。そのため、個別決算だけでは業績や財務状況の実態が把握しづらくなります。

グループ全体の連結決算によって実態を把握しやすくなり、親会社の財務諸表の透明性が高まります。こうした理由から、世界的なトレンドとして連結決算が重視されるようになりました。日本企業の海外進出や海外からの投資が活発になり、海外からのニーズに応じる形で、国際会計基準の対応や連結決算を導入する企業が増えています。

<ココまでのまとめ>

・個別決算だけでは多くの子会社を抱える大手企業の実態を把握するのが難しい。
・連結決算により、財務諸表の透明性を高めることができる。
・連結決算を重視する世界的なトレンドにあわせて日本でも定着した。

まとめ

グループ会社の間では密接な取引がある場合が多く、グループ内での取引だけでも大きな売上高をつくることができます。また、業績が悪いときに、グループ間の取引で子会社にマイナスを押しつけ、親会社の業績をよく見せる操作も可能です。連結決算の導入により、こういった操作は無意味になります。連結によって、売上と仕入れが相殺されてしまうため、グループ間の取引はあまり意味がなくなります。連結決算はグループ全体を評価する指標になると同時に、個別決算の透明性を高める効果があります。

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