公認会計士と税理士、取得を目指すならどちらが良い?

公認会計士と税理士、取得を目指すならどちらが良い?

公認会計士と税理士は、その業務や役割について混同されている方が多いかもしれません。あるいは資格取得を目指す際、どちらを取得すべきなのか悩まれるケースも見られます。

ここでは公認会計士と税理士について業務内容などの違いを整理しながら、自分がどちらを目指すべきかのヒントとなる情報を解説します。

中田ゆい(ペンネーム)

公認会計士、税理士の資格を保有

公認会計士、税理士の資格を保有。大手監査法人で約10年勤務後、一般事業会社2社で13年勤務。現在は会計事務所にて税務に取り組みながら、中小監査法人で非常勤としても勤務する。

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公認会計士の業務

公認会計士の主な業務は「会計監査」であり、これは公認会計士の独占業務となっています。公認会計士の行う会計監査とは、会社が作成した決算書が正しく作成されているか、第三者の立場から監査すること。上場会社などの大規模な会社は、決算の開示にあたり公認会計士による「会計監査」を義務付けられています。

新聞などを見ると、「●●株式会社の売上高は●●兆円、経常利益●●億円」など掲載された情報を目にすることがあるでしょう。これらの会計数値は公認会計士の監査を受けた後に公表されているもの。そして公認会計士が会計監査を担うクライアントは、上場会社を中心とした比較的規模の大きい会社となります。

公認会計士が監査を行う際には、会計監査を専門とする監査法人に所属し、グループで監査を進めるのが通常です。そのため公認会計士試験に合格すると、まずは監査法人に勤務して会計監査に従事するケースが一般的なルートでしょう。監査法人は東京や大阪、名古屋などの大都市圏に集中しており、地方での監査法人業務は少ない状況です。しかし大手監査法人に勤務すれば、海外勤務などの選択も可能となります。

公認会計士になると、税理士資格や行政書士資格も付与されます。そのため公認会計士の中には、会計監査業務以外に税理士登録して税務業務を行ったり、行政書士登録を行って官公庁へ提出する書類の作成業務を行ったりする公認会計士もいます。さらには一般事業会社で勤務する公認会計士や、コンサルティング会社で勤務する公認会計士も少なくありません。

税理士の業務

税理士の主な業務は「税務業務」であり、以下3つは税理士の独占業務です。

・税務代理業務

・税務書類の作成

・税務相談

これらの独占業務以外に、記帳代行や給与計算、税務に関するコンサルティング業務などを提供している税理士もいます。このように、税理士は企業や個人と顧問契約を締結して税務申告書の作成を行うだけでなく、記帳代行や決算書の作成代行、相続税の申告など、税務に関する業務全般を担っているのです。

申告義務は規模の大小を問いません。そのため、税理士業務のクライアントは大規模法人から個人までさまざまです。会社数や人口が多いのは大都市圏ですので、こうしたエリアには税理士事務所が多い傾向があるでしょう。しかし、地方でも税理士事務所の需要はあるため、全国各地に存在しています。こうしたことから、税理士資格を取れば大都市圏に限定されず、地方でも勤務先を探すことが可能です。

また、税理士業は自分ひとりでサービスを提供することができ、例えば飲食店等に比べると初期投資が少なくて済みます。そのため、税理士の資格があれば独立開業しやすいと言えるでしょう。将来的に独立開業して自ら仕事を行いたい人ならは、税理士業務はおすすめです。

なお、そのほかに公認会計士と同様、税理士の資格を持ちながら一般事業会社や金融機関で勤務する、あるいはコンサルティング業務に従事する税理士もいます。

公認会計士の受験について

公認会計士試験は受験資格がありません。つまり、誰でも受験することができるという間口の広い試験です。例えば、高校生でも受験可能となっています。

公認会計士試験は、基本的に全科目を一度に受験します。期限付きの科目合格制度がありますが、基本は全科目合格を一度に目指す試験です。試験内容は1年に2回の短答式試験と1年に1回の論文式試験が実施され、短答式試験に合格した人だけが論文式試験を受験できます。

短答式試験はマークシート形式で、合計5時間の試験を1日で実施。試験の内容としては、企業法、管理会計論、監査論、財務会計論の4科目です。そして、論文式試験は監査論、租税法、会計学、企業法のほか、選択科目1科目の合計5科目になります。

各科目の範囲は極めて広いため、社会人として働きながら試験に合格することは非常に難しいでしょう。そのため、公認会計士試験の合格者は、その多くが公認会計士試験のみに集中して勉強しています。合格に必要な年数は2年~4年と言われており、短い年数で集中して勉強できる人に向いているでしょう。公認会計士試験に合格後は約3年かけて業務補助、実務補修や終了考査を経て、初めて公認会計士となることができます。受験期間から数えると、少なくとも5年程度は必要です。

税理士の受験について

税理士試験を受験するには公認会計士と違い、受験資格が必要です。大学・短大卒業者で特定の単位履修や日商簿記検定1級合格、会計に関する事務を2年以上経験するなど、いずれかの要件を満たす必要があります。そのうえで、税理士になるには以下5科目の合格が必要です。

・必須科目:2科目(簿記論・財務諸表論)

・選択必須科目:1科目(所得税法・法人税法のいずれか)

・残りの選択科目:2科目(消費税法、酒税法、相続税法、固定資産税、国税徴収法、住民税、事業税のうち2科目)

ただし税理士の試験は公認会計士と異なり、1科目ずつ受験することができます。そして、一度合格した科目は一生涯有効です。5科目合格までに何年かかっても構わず、受験する科目や順番も自分で決めることができます。受験期間や学習量を自分で調整できるので、働きながら勉強を続けていくことも可能でしょう。コツコツと1科目ずつの合格を目指せばよいので、長期間かけて資格を取得していくタイプの方に合っています。

あなたの場合は?

公認会計士と税理士は、どちらも会計の専門化という点では共通しています。ただし、短期で集中して勉強する公認会計士試験に対し、比較的長期間かけて1科目ずつ合格していく税理士試験とでは、受験過程が異なる点を覚えておきましょう。

公認会計士は、短期集中派で勉強にまとまった時間が取れる場合に目指すのに適しています。これに対して税理士は、少しずつ長い時間をかけて勉強をしていく、長期コツコツ型の方に向いた資格だと言えるでしょう。

また、資格取得後の業務も異なります。公認会計士は会計監査が中心となりますが、それ以外に税務・コンサルティングなど幅広く業務を行っている方が少なくありません。そして税理士は税務の専門化として独立して会計事務所を営む人、あるいは会計事務所に勤務する方が多い傾向にあります。

公認会計士資格を取得すれば税理士資格も取得できるなど、公認会計士資格の方がより幅広い業務を行うことが可能です。そのため、十分な勉強時間を確保できるのであれば、公認会計士試験を目指した方が将来的な選択肢は増えるでしょう。しかし税務を中心とした仕事に取り組みたいのであれば、科目ごとの合格水準が高い税理士試験を目指すことも有用です。

また、独立開業して自ら事業を営もうという方にとっても、税理士は適した資格と言えるでしょう。自分が今度、どのような業務に携わっていきたいのか。これからのキャリアをイメージし、公認会計士と税理士のどちらが良いかを考えて、自分自身に合った資格を目指してください。

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