「会計事務所を辞めたい」の理由とは?対処法と転職事例を解説

「会計事務所を辞めたい」の理由とは?対処法と転職事例を解説

「会計事務所を辞めたい…」。税理士を目指して働く職員の中には、こう感じている人もいるかもしれません。実は、税理士業界での「会計事務所を辞めたい」はめずらしくありません。今回は、辞めたいと感じる主な理由7つと対処法、転職事例をご紹介します。

鈴木 まゆ子

鈴木 まゆ子

税理士・税務ライター

2000年中央大学法学部法律学科卒業。㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て、2012年税理士登録。税金の正しい知識を広めるべく、WEBを中心に多数の記事執筆・税務監修を行う。分かりやすい解説に定評がある。共著「海外資産の税金のキホン」(税務経理協会、信成国際税理士法人・著)。

「会計事務所を辞めたい」はわりと多い

会計事務所には、だいたいベテランがいます。長年働いている先輩の存在を見ていると「なじめて当たり前なんだろうな」「辞めたいと思う自分は変なのかな」と感じたりするかもしれません。ですが実際は「今働いている会計事務所を辞めたい」と考える人はわりといるものです。辞めたいと思うのには、いくつか理由があります。

会計事務所を辞めたくなる理由

会計事務所を辞めたいと思う理由には、主に次のようなものがあります。


繁忙期がつらい

通常は9時から17時あるいは18時まで勤務の会計事務所でも、11月下旬から3月までは忙しくなります。年末調整に法定調書の作成、個人の確定申告があるからです。中には「3月決算が集中して5月も忙しい」というところもあるでしょう。期間限定とはいえ、繁忙期に帰宅が遅くなったりすると、さまざまなことに支障が出ます。そのため「辞めたい」と思うことが増えたりします。

勉強時間がとれない

先ほどの繁忙期とも関係しますが、忙しくて退社が遅くなると時間が取れません。これは会計事務所で働く立場にとっては致命的です。というのも、彼らの多くは勤務をしながら税理士試験のために勉強していたり、大学院に通っていたりします。時間がなければ勉強できなくなり、資格取得がどんどん遠のいていくのです。

質問しづらい・教えてもらえない

最近でこそ「気軽に相談して」という事務所が増えましたが、その一方で「まずは自分で調べなさい」という職人気質の先生もいます。税理士は、クライアントの案件について、自ら条文や通達を調べ、過去の事例を分析して対応していくのが仕事です。そのため、「まずは自分で調べよ」は当たり前のことだといえます。

とはいえ、すべての作業について「自分で調べよ」「見て覚えろ」はつらいものです。初心者であれば何を調べて何を見てどう道筋を立てたらいいかも分かりません。また、聞きづらい雰囲気があると、一人で問題を抱え込んでしまいがちです。「聞きづらいからほかの事務所に行きたい」は、決してめずらしいことではありません。

人間関係に疲れた

先ほどの「聞きづらい」にも関連しますが、人間関係も辞めたい理由の一つになります。会計事務所で専門性が高いとはいえ、一つの職場であることには変わりありません。職場でのコミュニケーションや雰囲気になじめなかったり、特定の人が気になったりすると、出勤するのがつらくて辞めたくなったりもします。

給料が安い

「会計事務所の給料は、ほかの業界に比べて安い」と言われることがままあります。実際は会計事務所ごとに異なり、あまり大きくない事務所でも多額の給料を支払うところもあります。ですが、大手を含め、残業時間なども考えると、そう高い方ではありません。「もっと高い給料が欲しい」と思い、転職を考える人はめずらしくありません。

やりがいが感じられない

会計事務所での仕事は、経理業務の代行と税務顧問が中心です。
経理業務の範囲は、事業会社の経理職とほぼ同等です。このほか、年末調整や法定調書の作成、個人の確定申告も行います。これに加え、会社の決算と税務申告、年に数回の相続税申告を行うケースが比較的多いようです。

毎年の税制改正を勉強したり、そのときどきで話題になるニュースについていったりするのは大変ですが、業務そのものはほぼ毎年同じです。単調な作業に飽きて辞めたくなる人もいます。

チャレンジしたい

仕事をしていく中で経営相談や節税対策、事業承継などさまざまな相談に乗ることがあるかと思います。所長税理士などの手を借りつつ、そうした業務をこなすうちに、事業や経営に直接かかわりたいと考えるようになるかもしれません。また、事業承継や相続などの特定分野に興味を持ち、専門にしていきたいと考えることもあるでしょう。 現職でそうした仕事内容に関する希望が叶う場合もありますが、そうとも限りません。叶いそうにない場合は転職を検討してみてもいいでしょう。

<ココまでのまとめ>

・「会計事務所を辞めたい」はめずらしいことではない
・会計事務所を辞めたくなる理由は「繁忙期がつらい」などがある

「会計事務所を辞めたい」の対処法

「会計事務所を辞めたい」と思ってすぐに辞めるのはおすすめできません。感情のままに職場を変えても、同じような結果を招きかねないからです。ここで、「辞めたい」と思ったときの対処法をいくつかご紹介します。

2年を過ぎるまで修行だと割り切る

会計事務所で働いている方の多くは税理士になることを目指しています。そして税理士になる条件の一つは「2年の実務経験を積むこと」です。「イヤだから」だけで辞めてしまっては、元も子もありません。むしろ「2年限定」と見方を変えて修行と割り切り、その期間を耐えてしまうのも一つの考え方です。実際、2年は長いようですが、あっという間に終わります。「この2年だけは、顧客対応だけ徹底的に学ぶ」「2年でこの税目の理解は完璧にする」といった目標を持つと、割り切ったつもりの2年間も意義のある2年間になるはずです。

問題解決に取り組み、実績を作る

「業務の効率が悪い」「知識や情報を共有できていない」など、問題意識や課題を発見する能力がある人ほど、職場の問題点に気づきやすいものです。他人事と見てしまえば根深い不満というネガティブな出来事で終わってしまいます。しかし、当事者意識をもって問題の解決に臨めば「新たなチャレンジ」というポジティブな要素に切り替わります

会計事務所ごとにチャレンジできる幅は違いますが、できる範囲でやってみるのも一つの手です。結果、解決できなかったとしても、取り組んだ実績や経験は残ります。改善に成功して働きやすくなった職場で頑張っていくのもいいでしょう。また、新たなキャリアを選ぶ際、そうした経験はアピール材料にもなるはずです。

目標を明確にする

自分のキャリアに対して明確なイメージがないと、仕事を単調に感じて辞めたくなるかもしれません。そこで、あえて目標を作ってみましょう。
「所得税だけはどんな質問が来ても答えられるようにする」「相続税は基礎を完璧にする」でもいいでしょう。税目の目標が大きすぎるなら「年末調整だけは間違えずに効率よくこなす」でもいいかもしれません。また、顧客対応が強みなら「関与先の気持ちに誰よりも寄り添う」でもいいでしょう。こうやって自分の中で一つ目標を作ると、いつもの業務がゲームのように楽しくなります。

「ひとまず目標を設定する」ではなく、将来自分が目指す税理士像から逆算して目標を設定するのでもかまいません。仕事に関するイメージが難しい場合は、将来のライフスタイルから考えてみるのもひとつの方法です。「別荘がほしい」「クルーザーを持ちたい」「仕事そこそこでキャンプ三昧の生活がしたい」など、将来のライフスタイルを描いてみましょう。それを実現するための年収やワークスタイル、勤務地などから逆算していくと「今、何をどこですべきか」が見えてきます。
その上で、将来の仕事やライフスタイルを現職でその目標を実現できるかを考えておいた方がいいでしょう。会計事務所によっては個人の要望を優先できないことがままあります。そのため「転職する以外に選択肢がない」というケースもあるかもしれません。

会計事務所以外も含めて転職を考える

思い切って転職を考えるのも一つの方法です。「2年間は修行だと割り切って…」と言いましたが、病んでまでガマンする必要はありません。また、そうなる前に転職した方がよいこともあります。会計事務所はたくさんあるからです。修行はどこでも積めます。

また、転職先は会計事務所だけではありません。事業会社も選択肢の一つになります。会計事務所のクライアントの多くは中小企業であり、記帳代行などの実務を通して、中小企業の税務と経営に関する知見やスキルが培われます。そうした経験は、会計事務所だけでなく、中小企業の経営に活かすことができる可能性があります。また、「会計事務所という外部の協力者としてではなく、企業の中から変えていきたい」と感じることもあるかもしれません。そうなった場合、事業会社への転職を検討してもいいでしょう。

なお、「会計事務所以外」の候補は事業会社だけではありません。事業承継や相続、不動産投資のアドバイザリーや経営コンサルティングなどに転身する方もいらっしゃるようです。

<ココまでのまとめ>

・会計事務所を辞めたくなったら割り切るか、工夫するかのどちらか
・辞めたくなったら粘るのではなく転職を考えるのもアリ

会計事務所での経験を活かした転職事例

ここで、会計事務所での経験を活かした転職事例をご紹介します。

将来への不安を払しょくするための転職

https://zeirishi.mynavi-agent.jp/case_mt/consulting/253.html

●プロフィール
25歳 男性 会計事務所勤務
顧問先の記帳代行、記帳指導、税務申告書(法人・個人)、法定調書、各種税務届出書の作成、社会保険届出関係書類作成などを担当。

●転職の理由
・現職は記帳代行が業務の中心で、税務の経験を積むことに限界を感じた
・クライアントの増加も見込めなかったため、スキルアップをめざしたいと考えた
・残業は多くなかったが、年収も低かったため、将来を見据えて転職を決意

●転職成功の経緯
・希望に沿った求人を的確に紹介してもらい、じっくり選定できた
・面接時の服装などの些細な疑問点も気軽に相談できた
・過去の面接での質問や面接の練習があったので、安心して挑めた
・税務顧問、事業承継、コンサルティングなどの業務を経験できる会社に、希望どおりの勤務地、年収アップの条件で内定

●マイナビ税理士を利用した感想
・キャリアアドバイザーの対応が素晴らしかった
・こまめに電話をくれて、面接対策や疑問点の解消に注力してくれた
・非常に話しやすく、自分の考えをストレートに伝えられた
・面接前後の細やかな心遣いが嬉しかった

会計事務所から事業会社へ

https://zeirishi.mynavi-agent.jp/case_mt/company/248.html

●プロフィール
38歳 男性 会計事務所勤務
決算および税務申請業務、自動車部品設計業の経理および人事、雇用関係などの受託業務に対応。

●転職の理由
・事業会社の受託業務を通じて、経理だけでなく、総合的に企画提案する業務がおもしろくなった
・現職は事業会社の業務を縮小する意向で、方向性の違いが明確になった。
・給与体系が変わり、業務上の役割や自身のスキルと給与が見合わないと感じた
・待遇に関する行き違いを機に経営者に対する不信感が生まれ、人間関係に消耗した

●転職成功の経緯
・スキルアップにつながる経験が積めるメーカーの経理職から内定
・提示された給与が低い、面接者が管理部長で実際の職場の雰囲気を感じられない、勤務地が遠いなどの理由で辞退を考えた
・マイナビ税理士から、再度面接を行うよう企業側にかけあってもらった
・その面接で給与面、人事面の不安が払しょくされ、入社を決意

●マイナビ税理士を利用した感想
・ほかの転職サービスにはない求人があった

希望する業務に携われる環境へ

https://zeirishi.mynavi-agent.jp/case_mt/kaikei/238.html

●プロフィール
30歳 男性 会計事務所勤務
法人税務を中心に税務申告書作成、決算業務、記帳代行業務、相続税申告および事業承継、金融機関向け勉強会の講師、コンサルティング業務など

●転職の理由
・記帳代行が多くルーティンワークの環境から脱却したかった
・相続税法に合格し、資産税案件に携わりたいと考えた
・事業承継を得意分野にしたいと考え、より高い専門性をめざして転職を決意

●転職成功の経緯
・法人個人を問わず、オールラウンドにこなしたいという希望をくみ取ってもらえた
・職務経歴書の添削や面接における想定問答などの対策を行ってくれた
・業務に関する希望について、マイナビ税理士が企業側と交渉してくれた
・資産税の強みを法人に活かせる会社に内定

●マイナビ税理士を利用した感想
・自分の考えがぶれているところを修正してもらえた
・自分ひとりで進めていたら、どうなっていたかわからない
・マイナビ税理士のサポートで、希望業務に携われる会社から内定をもらえた

<ココまでのまとめ>

・マイナビ税理士は、応募書類や面接対策から、服装のことまで気軽に相談できる
・求職者の不安や懸念材料を解消するよう、企業側に働きかけてくれる

まとめ

「会計事務所をやめたい」と思ったとき、いくつもの選択肢が見えてくると思います。その中から転職という方法を選んだとき、自分ひとりでベストの判断や選択をしていくのは意外に難しいことに気づくのではないでしょうか。

マイナビ税理士では、応募企業の選び方から応募書類や面接対策、退職時の留意点まで、キャリアアドバイザーの客観的な助言やサポートが受けられます。頼れるエージェントに相談することで得られる“気づき”がきっとあります。

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