税理士事務所が「事業承継」サポートを強化する流れが顕在化
2018/06/22
コラム
税理士事務所が「事業承継」サポートを強化する流れが顕在化

高齢化が急激に進む日本において、社会問題の1つにあがっているものに「事業承継」があります。

地方の優良企業であっても、“後継ぎ”がいなければ企業を存続していくことができません。

そんななか、税理士事務所による、ある動きが活発化しているそうです。

事業承継のサポート

経営者が高齢化した際には、必然的に「事業承継」を意識することになります。

事業承継とは、その言葉どおり、事業の経営権を後継者に引き継ぐことをいいます。ただ、「次の社長を決めればそれで終わり」というわけにはいかず、自社株の引き継ぎ、後継者とその周囲の体制を整えるなど、やることは多数あります。

そして、超高齢化が進んでいる日本では、まさにこの「事業承継」が大きな社会問題になっているのです。

経済産業省の試算によると、国内の中小・零細企業で70歳以上の経営者は全国でじつに約245万人にのぼるそうです。さらにここからが驚きの事実ですが、その半分が「後継者が未定」であり、この状態が続くと、全国で廃業する中小・零細企業が急増し、2025年度までに約650万人の雇用が失われる可能性があるというのです。

つまり、事業承継は1企業の問題ではなく、日本全体の社会の問題です。大量の失業者が出ることを防ぐためには、事業承継を成功させ、そしてその件数を着実に増やしていくほかありません。

そんななか、最近は税理士事務所が銀行とタッグを組み、事業承継のサポートに乗り出すケースが増えてきています。事業承継により、その企業の担当になり、以降も継続的にサービスを提供することができれば、税理士事務所にとってもメリットになるからです。

そこで今回は、具体的にどのような支援がはじまっているのかについて、紹介していきます。

<ココまでのまとめ>
・失業者を大量に生む可能性のある事業承継は1企業だけでなく、日本全体の問題。
・事業承継のサポートに乗り出す税理士事務所が増えている。継続的にメリットがある。

名古屋銀行とアタックスグループ

税理士法人のアタックスグループ(名古屋市)は名古屋銀行と連携して、4月中旬に「次世代経営塾」を開講しました。

アタックスグループはこれまでに取引先会員組織を対象にした後継者・若手経営者向けセミナーを実施してきた経験がありますが、「次世代経営塾」では少人数に限定して実施。塾形式で次世代経営者を育成する取り組みは、東海3県の地方銀行では初の試みになるそうです。

また、税理士などの専門家でつくる札幌市の一般社団法人「しんきん事業承継支援ネットワーク」は釧路信用金庫内に「釧路オフィス」を設立し、4月から無料相談会を月に数回実施していくことを発表しました。

以前は相談があるごとに担当者が釧路を訪れていたそうですが、今回、支援体制を充実することで後継者問題や承継手続きなどで悩む経営者の代替わりを後押しする狙いがあるそうです。

ちなみに、帝国データバンク釧路支店によると、釧路・根室管内の企業約4千社の経営者の平均年齢は、2017年は60.7歳と1990年以降の調査で最も高い結果となり、全国や北海道の経営者の平均年齢を上回っていることがわかりました。経営者の平均年齢が還暦を超えており、事業承継を進めるのは喫緊の課題です。

税理士と銀行が協力して、セミナーまたは無料相談会を開くという活動は、今後も増えていくでしょう。

<ココまでのまとめ>
・アタックスグループと名古屋銀行は「次世代経営塾」を開催。
・税理士などの社団法人と釧路銀行は定期的な無料相談会を実施する。

広島銀行とデロイトトーマツ

税理士事務所と銀行のタッグによる事業承継のサポートは、セミナーや無料相談会にとどまりません。

デロイトトーマツ税理士法人(東京)はパーソルホールディングスとともに広島信用金庫と業務提携を実施し(事業承継支援については、みらいコンサルティングとも提携)、取引先に対して「従業員の新規採用支援」「M&A(合併・買収)」も含めた事業承継のマッチング支援強化をはじめています。

広島信用金庫はお客様サポート部の体制も改正し、以前は「金融サポート室」「ビジネスサポート室」「新事業サポート室」だったものを、「創業・事業継承サポート室」「企業成長サポート室」と“事業承継”の名前を入れ、デロイトトーマツが事業承継の進んでいない事業者に提案し、当金庫とともに事業者等のコーディネートを行うそうです。

今回、紹介したような事業承継サポートの試みは進んでいますが、まだ厳しい状況が改善したわけではありません。

経済産業省が2016年に発表した資料「事業承継に関する現状と課題について」のなかでは、「2020年頃に数十万の団塊経営者が引退時期にさしかかる」と明記されています。2020年までは残り2年弱。時間は容赦なく進み続けているので、事業承継のサポートのいっそうの強化が求められています。

<ココまでのまとめ>
・デロイトトーマツは広島信用金庫と業務提携してサポートをスタート。
・2020年には数十万人の団塊世代経営者が引退時期を迎える。待ったなしの状況にある。

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